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呼吸器疾患最新の治療2021-2022

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 門田淳一/弦間昭彦/西岡安彦
ISBN : 978-4-524-22783-9
発行年月 : 2021年3月
判型 : B5
ページ数 : 496

在庫品切れ・重版未定

定価11,000円(本体10,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

最新の治療シリーズの呼吸器版。巻頭トピックスでは、「喀痰の科学と咳嗽・喀痰の診療ガイドライン」「呼吸器ウイルス感染症UPDATE」「iPS細胞由来肺上皮細胞と診断・治療への展開」「肺癌ゲノム診断の現場」など、注目のテーマを14題取り上げた。各論では、主な呼吸器用薬剤・治療手技、各疾患の診断から処方例を含めた標準的治療について最新の知見を紹介し解説。巻末には薬剤一覧も収載。最新の呼吸器診療を網羅した一冊。

巻頭トピックス
 1 免疫チェックポイント阻害薬と結核感染
 2 次世代抗体医薬開発の状況(腫瘍領域)
 3 クラウド型統合データベースとIIPsのMDD診断
 4 iPS細胞由来肺上皮細胞と診断・治療への展開
 5 呼吸器外科におけるロボット支援手術の展望
 6 喀痰の科学と咳嗽・喀痰の診療ガイドライン
 7 呼吸器ウイルス感染症UPDATE
 8 呼吸器感染症におけるantimicrobial stewardship
 9 COPDに対する3剤合剤のエビデンスと患者選択
 10 COPDとフェロトーシス
 11 特発性肺線維症以外の肺線維症に対する抗線維化薬の展望
 12 肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入療法
 13 病理診断における人工知能
 14 肺癌ゲノム診断の現場
I 主な呼吸器用薬剤の作用機序と適応
 1 鎮咳薬
 2 去痰薬
 3 気管支拡張薬
 4 抗アレルギー薬
 5 抗炎症・免疫抑制薬
 6 副腎皮質ステロイド薬
 7 抗癌薬
 8 抗菌薬
II 呼吸器疾患の治療手技
 1 気管挿管/気管切開
 2 酸素吸入の流量決定と投与方法
 3 侵襲的人工呼吸の適応とウィーニング
 4 NPPV(非侵襲的陽圧換気)の急性呼吸不全における適応と実際
 5 胸腔穿刺法と胸腔チューブの挿入法
 6 心膜腔穿刺法と開窓術
 7 気道狭窄治療-レーザー治療とステント治療
 8 在宅酸素療法の適応と導入
 9 呼吸理学療法
 10 運動療法の実際
 11 在宅人工呼吸療法の適応
 12 肺移植の現状
III 呼吸器系の救急治療
 1 慢性呼吸不全の急性増悪
 2 重症喘息発作
 3 喀血
 4 気胸
 5 胸水貯留
 6 気道異物(成人)
 7 化学物質の吸入
 8 気道熱傷
 9 溺水
 10 高地肺水腫
IV 呼吸不全と呼吸調節障害
 1 急性呼吸不全とARDS
 2 慢性呼吸不全
 3 睡眠時無呼吸症候群
 4 原発性肺胞低換気症候群
 5 過換気症候群
V 呼吸器感染症
 1 急性気道感染症:かぜ症候群,咽頭炎,気管支炎
 2 百日咳(成人)
 3 肺炎のエンピリック治療
 4 マイコプラズマ肺炎
 5 クラミドフィラ・ニューモニエ肺炎
 6 オウム病
 7 Q熱
 8 レジオネラ肺炎
 9 肺膿瘍
 10 肺アスペルギルス症
 11 肺クリプトコックス症とその他の肺真菌症
 12 MRSA肺炎
 13 緑膿菌感染症
 14 肺結核(症)
 15 結核性胸膜炎
 16 非結核性抗酸菌症
 17 寄生虫,リケッチアによる肺感染症
 18 ニューモシスチス肺炎
 19 誤嚥性肺炎
VI 閉塞性肺疾患と気道系疾患
 1 気管支喘息
 2 咳喘息
 3 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 4 びまん性汎細気管支炎/副鼻腔気管支症候群
 5 気管支拡張症
VII 間質性肺疾患
 1 急性間質性肺炎
 2 特発性肺線維症
 3 非特異性間質性肺炎(NSIP)
 4 特発性器質化肺炎(COP/BOOP)
 5 肺Langerhans細胞組織球症
 6 慢性好酸球性肺炎
 7 肺胞蛋白症
 8 肺リンパ脈管筋腫症
 9 肺胞微石症
VIII 免疫・アレルギー性疾患
 1 サルコイドーシス
 2 過敏性肺炎
 3 アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)
 4 急性好酸球性肺炎
 5 ANCA関連血管炎における肺疾患
 6 Goodpasture症候群
 7 IgG4関連呼吸器疾患
IX 医原性肺疾患
 1 薬剤性肺障害
 2 放射線性肺臓炎
 3 造血幹細胞移植後の呼吸器合併症
X 肺循環障害
 1 肺血栓塞栓症
 2 肺動脈性肺高血圧症
XI 全身性疾患による肺障害
 1 腎不全,透析患者の肺合併症
 2 膠原病の肺病変
 3 HIV患者でみられる肺病変
 4 血液疾患(白血病,悪性リンパ腫)による肺病変
XII 腫瘍性疾患
 1 肺癌の外科治療
 2 小細胞肺癌の治療(手術適応と化学療法)
 3 非小細胞肺癌の集学的治療
 4 肺癌合併症への対策
 5 肺癌の緩和ケア
 6 抗癌薬の副作用対策
 7 縦隔腫瘍
 8 転移性肺腫瘍
 9 胸膜中皮腫
XIII 先天性異常・形成不全
 1 肺分画症
 2 肺動静脈瘻(肺動静脈奇形)
XIV 呼吸器疾患の患者指導
 1 妊娠時の呼吸器薬の取り扱い方
 2 慢性呼吸不全患者の日常生活指導と訪問看護(現状と問題点)
 3 慢性呼吸不全患者に対する栄養療法
 4 誤嚥性肺炎防止のための患者指導
 5 肺癌の外来管理
 6 禁煙指導の実際
巻末付録:薬剤一覧表
索引

序文

 本書『呼吸器疾患最新の治療』は近年の呼吸器領域の診断、手技および治療の日覚ましい進歩に後れを取らないように前回から2年ごとの発刊としました。呼吸器領域は感染症疾患、アレルギー疾患、肉芽腫性疾患、びまん性肺疾患、腫瘍性疾患、希少疾患など多岐にわたっていますので、これら各領域の進歩をいち早く読者にお届けすべく、多数のエキスパートの先生方に最新の情報を含めて執筆いただきました。
 まず本書の特長である巻頭トピックスでは、最先端研究領域からiPS細胞由来肺上皮細胞や新たな細胞死であるフェロトーシスの話題に加え、近年、進歩の早い呼吸器疾患の診断と治療において注目される14テーマを選択し、執筆いただきました。感染症領域では、免疫チェックポイント阻害薬のirAEとしての結核感染、2019年末より世界的なパンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症を含むウイルス感染症UPDATE、耐性菌の脅威に立ち向かうために必須である抗微生物薬の適正使用について執筆いただきました。間質性肺炎では、クラウド型統合データベースを用いたMDD診断へのアプローチや抗線維化薬の適応拡大、肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入療法、肺癌では、薬剤性間質性肺炎の発現頻度が高い薬剤の次世代抗体医薬の開発、呼吸器外科におけるロボット支援手術、AI病理診断の開発、肺癌ゲノム診断の現状など、いずれも興味深いテーマについて熱意のこもった内容で執筆いただきました。
 I章からIV章までは総論ともいうべき内容を取り上げ、呼吸器科医として必須である呼吸器用薬剤、治療手技、救急治療、および呼吸不全や呼吸調節障害への対応に関して最近の進歩とともに実際的に解説をしていただいています。呼吸器領域の中でインターベンションが重要となる呼吸器系の救急治療領域では、特に「喀血」「気胸」に対する気管支鏡を用いた治療手技や、酸素療法として患者の利便性と効果から広く普及しつつある高流量鼻カニュラ(high-flow nasal cannula)やNPPVについても、薬物療法以外の治療法として解説していただいています。
 V章からXIII章は各論として各呼吸器領域の疾患を取り上げて解説をお願いしました。感染症領域は従来の各論を中心に最近の治療のトピックスを踏まえて執筆していただいています。閉塞性肺疾患では、『難治性喘息診断と治療の手引き2019』の内容も含め、重症喘息の評価と最新の抗体医薬の話題やCOPDに対する3剤合剤のエビデンス(巻頭トピックスも参照)などを紹介していただいています。間質性肺疾患では、進行性のフェノタイプを示す慢性線維化性ILDの概念と抗線維化薬の適応拡大(巻頭トピックス参照)、クライオバイオプシーなどのトピックスを交えて最新の診断と治療を解説していただきました。免疫・アレルギー疾患では、AMED研究班による新しいABPMの診断基準なども紹介いただいています。肺循環や肺腫瘍領域では、薬剤開発が進歩してきており、その進歩に伴い、それら薬剤、手術、放射線治療との併用やシークエンス、治療選択のためのバイオマーカーなどに関する多くの研究が進んでいます。
 本書は毎回執筆者の先生方に可能な限り交代していただき、新鮮な視点から執筆していただくように努力していますが、今後も2年ごとの改訂を予定していますので、これまで以上に多数の執筆者の先生方にお願いすることになるかと思います。
 今回大変お忙しい中、執筆をお引き受けいただきご尽力を賜りました多数の執筆者の先生方に感謝申し上げますとともに、きめ細かなサポートをいただきました南江堂のスタッフの皆様に深謝し、本書が全国の多くの先生方の呼吸器疾患治療のバイブルとして日常臨床の場で活用されますことを編者一同期待して序文と致します。

2021年1月
門田淳一
弦間昭彦
西岡安彦

呼吸器診療に携わるすべての臨床医のバイブル
 『呼吸器疾患最新の治療2021‒2022』がこのたび刊行された.同書の初版は「1998‒2000年版」であり,長い歴史のあるロングセラーである.小生も内科医・呼吸器内科医として駆け出しのころから,本書をバイブルとして病態のメカニズムや,診断・治療方針の決定,さらに具体的な処方例も大変参考にして診療にあたってきた.また小生が呼吸器専門医・指導医となった現在でも,自身のサブスペシャルティ領域に関する内容,そしてそれ以外の内容に関しても大変興味深く,現在の最新の情報をアップデートができる,まさに呼吸器領域のエッセンスがすべて詰まっている大変秀逸な本である.
 近年では,呼吸器領域の進歩は目覚ましく,本書も「2019‒2020年版」よりそれまでの3年ごとから2年ごとに発行する方針とされた.編集者の門田淳一先生,弦間昭彦先生,西岡安彦先生には,大変ご多忙のなかで短期間のサイクルでこれだけ充実した本書をまとめ上げられたことに関して心から敬意を表し,お祝いを申し上げるとともに,一呼吸器内科医として素晴らしい本書を手にする機会をいただきお礼を申し上げたい.
 さて,本書の具体的内容であるが,呼吸器領域の知見として14項目,前半の4項目は,いわば総論として,「主な呼吸器用薬剤の作用機序と適応」「呼吸器疾患の治療手技」「呼吸器系の救急治療」「呼吸不全と呼吸調節障害」が取り上げられている.そして後半の10項目は,「呼吸器感染症」「閉塞性肺疾患と気道系疾患」「間質性肺疾患」「免疫・アレルギー性疾患」「医原性肺疾患」「肺循環障害」「全身性疾患による肺障害」「腫瘍性疾患」「先天性異常・形成不全」「呼吸器疾患の患者指導」と,大変多岐にわたり体系立てて各項目がコンパクトに凝縮してまとめられている.通読するのもよいが,巻頭の目次および巻末の索引も充実し,また大変見やすいレイアウトでまとめられているため,調べたいときに目的とする箇所にすぐにたどり着けるように工夫されており,薬剤の処方や,緊急の処置など,困ったときにもすぐに参照でき,大変使いやすい.忙しい内科医・呼吸器専門医に配慮した優しい本であることを実感する.
 また本書は,巻頭に「巻頭トピックス」として,最新の基礎的・臨床的知見を集約した項があり,今回本書では14ものトピックスに関して述べられている.しかも肺癌ゲノム,近年パンデミックで最重要課題である新型コロナウイルス感染症を含む呼吸器ウイルス感染症,また閉塞性肺疾患に関しては「難治性喘息診断と治療の手引き2019」が刊行されたことを踏まえて重症喘息の話題やCOPDの3剤合剤に関して,肺線維症に対する抗線維化薬,そしてiPS細胞由来肺上皮細胞にいたるまで幅広い最新情報を得ることができるのも特徴といえる.初版の1998年からは2021年で23年目を経て,さらに進化し充実した内容となっている.
 以上のように,本書は呼吸器領域に興味がある若手の医師に限らず,呼吸器専門医・指導医にいたるまで,幅広く呼吸器診療に携わる臨床医にとってバイブルとなる必須の書籍であり,自信をもって本書をお勧めしたい.

臨床雑誌内科128巻4号(2021年10月号)より転載
評者●慶應義塾大学医学部呼吸器内科 准教授 石井 誠

9784524227839