書籍

循環器内科ゴールデンハンドブック改訂第3版

監修 : 半田俊之介/伊苅裕二
ISBN : 978-4-524-26979-2
発行年月 : 2013年3月
判型 : 新書
ページ数 : 602

在庫あり

定価5,184円(本体4,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

研修医、循環器内科シニアレベルを中心に大好評の“バイブル”の改訂第3版。コンパクトでありながら充実した解説はそのままに、手技や薬剤などの最新情報をアップデート。今版から「糖尿病」「遺伝子検査とカウンセリング」「肺高血圧症」「カテーテルアブレーション」の項目を追加しさらにパワーアップ。ポケットサイズながら循環器診療全般をカバーした必携の一冊。

T.Emergency
 1.ショック
 2.高血圧緊急症
 3.心肺蘇生法
 4.緊急処置法
U.外来パート
 1.身体所見のとり方
 2.一般検査手順
 3.胸痛
 4.息切れ・呼吸困難
 5.めまい・失神
 6.動悸
 7.浮腫
 8.不明熱
 9.メタボリックシンドローム
 10.高血圧
 11.脂質異常症
 12.糖尿病
 13.冠危険因子と生活指導
 14.遺伝子検査とカウンセリング
V.入院パート
 1.虚血性心疾患
 2.不整脈
 3.心不全
 4.心弁膜疾患
 5.心筋症
 6.心筋炎
 7.感染性心内膜炎
 8.先天性心疾患
 9.大動脈解離・大動脈瘤
 10.二次性高血圧
 11.家族性高脂血症
 12.頸動脈狭窄症
 13.閉塞性動脈硬化症
 14.肺高血圧症
 15.肺血栓塞栓症
 16.失神発作
 17.非心臓手術時の循環器疾患のリスク評価
W.主要検査手技
 1.心電図の読み方
 2.冠動脈造影、その他
 3.心臓超音波検査
 4.核医学検査
 5.運動負荷試験
 6.電気生理学的検査
 7.血圧脈波検査
 8.心臓MRI
X.主要治療手技
 1.インターベンション
 2.カテーテルアブレーション
 3.ペースメーカー、植込み型除細動器、心室再同期療法
 4.心膜(心嚢)穿刺
 5.大動脈内バルーンパンピング
 6.心肺補助装置(PCPS、VAD)
 7.心臓リハビリテーション
Y.主要薬剤の特徴と使い方
 1.緊急時の静注薬
 2.抗凝固薬・抗血小板薬
 3.抗不整脈薬
 4.硝酸薬
 5.降圧薬
索引

第2版の上梓から5年が経過した。この本も進化を求められる。
 言うまでもなく優れた臨床医を創るのは「絶えざる学び」である。これまでの知識と経験に加え新知見を咀嚼し吸収する。その過程で別の疑問と問題が生じ解決を図る。このような個々人の「学びのサイクル」は、循環器病学の歴史の壮大な流れのミニチュアと模することもできよう。
 たまたまここに古典から今日までの数冊の書籍がある。血液循環を記述したW Harvey(1578-1657)“Exercitatio, anatomicade motv cordis et sangvinis in animali.”、ジギタリス葉末の効用を発見したW Withering(1741-1799)“An account of thefoxglove, and some of its medical uses: with practical remarkson dropsy, and other diseases”、近代内科学の祖W Osler(1849-1919)“The principles and practice of medicine”、臨床心臓病学を集約したCK Friedberg(1905-1972)“Diseases ofthe heart”、改訂され読み継がれてきたJW Hurst(1920-2011)“The Heart”、E Braunwald(1929-present)“Braunwald’sHeart Disease, A textbook of cardiovascular medicine”である。
 俯瞰すると先人達の知識、発見、創意と工夫の流れを追体験できよう。try and error とparadigm shift の繰り返しである。
 この半世紀ほどだけでも多くの変革がみられた。たとえば“essential”で降圧禁忌とされた高血圧症は、治療による予後改善が証明され(JAMA 1970 ; 213 : 1143)、今日の理解へ進んだ。数十年のcohort study がこれを補強した(JAMA 1996 ; 275 : 1571)。β遮断薬は心不全に有用との小論文(Br Heart J 1975 ; 37 : 1022)が治療を変えた。古いジギタリス信仰は否定され、症候の軽減と生命予後の改善は異なること(N Engl J Med 1997 ; 336 : 525)が示された。Intervention治療の興隆はA Gruntzig(1939-1985)のPTCA発表(AHA Meeting Nov. 1977)に始まる。
 この第3版は、これまで協力してきた教室員たちを分担執筆者とした。日頃の研鑽の一部を示す場ともなる。

2013年3月
半田俊之介

本書は小さな本である。本文の頁数は586とやや厚いが、B6サイズよりも一回り小さい。ちょうど、白衣のポケットに入る手頃な大きさである。ハンディながら、内容はかなり高度である。活字が小さく、記述のほとんどは表や図にまとめられていて、あらゆる知識をコンパクトにたたみ込もうとした努力がうかがわれる。まったくの初心者にはむずかしいであろうが、多少の臨床経験をもつようになったシニアレベルの研修医にとってはきわめて実践的な指針の書である。すでに専門医として診療する立場にあるものにとっても、知識を整理し、リフレッシュできるという効用がある。執筆者は東海大学循環器内科の指導陣である。この病院で研修する若手たちには、これだけのことは教え込んでおきたいというこれらの人たちの熱い思いが伝わってくるような本であった。
 初めに略語一覧が数頁にまとめてあって、これに6部構成の本文が続く。救急診療、外来診療、入院診療、そしてさらに検査手技、治療手技、薬剤の解説の部が続く。中心になるのは初めの3部であり、実践的であろうとする姿勢が徹底している。
 診断、治療の方針はアルゴリズム化されている。ガイドラインに基づく理解の仕方をチャートで示すというのが基本的な方針のようである。
 内容の一端を紹介してみる。冠危険因子の生活指導が一つの章として独立している。遺伝子検査とカウンセリングの項に血液型O型の人は膵臓がんになりにくい、とあった。O型の私にはうれしいことだった。ST上昇型心筋梗塞の治療プロトコールはMONAと覚えるのだそうである。若い世代に任せられることの多い冠動脈インターベンション後の管理はさすがに詳しい。虚血性心疾患における植込み型除細動器(ICD)の効用や虚血性僧帽弁閉鎖不全の意味、アブレーション治療の適応と限界は実用的である。心不全の呼吸障害とその管理は詳しい。拡張障害性心不全もおざなりではない。4つの場合があって、それぞれに治療対策の異なることが示されている。冠動脈インターベンション、MRI画像などには行き届いた図解が添えられ、肥大型閉塞性心筋症(HOCM)に影響する負荷要因のリスト、二次性高血圧を疑うときの診断アルゴリズムが詳しく記述されている。カテーテルによる大動脈弁置換の適応、大動脈瘤のステントグラフト治療のdecision treeがあり、Tilt訓練は上手に図解されている。また、検査が日常化していて、外来で対応にしばしば悩まされるものに頸動脈狭窄症や閉塞性動脈硬化症がある。これへの対応の実際、エビデンス、合併症対策などに力が入っている様子はうれしく思った。とくに治療手技に関しては、ステント血栓症、造影剤腎症、心膜穿刺合併症、運動療法の適応、運動処方の詳細などが目に付いた。
 最近、医療を行うというよりも、医療上の悩みをもつ方々に相談されたり、説明したりすることが多くなっている私の立場にあっては、大変役に立ち、ぜひ利用させていただきたいと思う内容が多かった。時代の進歩を確認する意味でも役立った。現場で活躍中の第一線のみなさん方には便利であり、重宝されるであろう。みなさんの手元に置かれて大いに活用されることを期待したい。

臨床雑誌内科112巻2号(2013年8月号)より転載
評者●関東中央病院名誉院長 杉本恒明