教科書

基礎から学ぶ健康管理概論改訂第3版

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 柳川洋/尾島俊之
ISBN : 978-4-524-26841-2
発行年月 : 2012年12月
判型 : B5
ページ数 : 218

在庫なし

定価2,530円(本体2,300円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

健康づくりに関する基礎知識をやさしくコンパクトにまとめた、栄養系をはじめ保健医療福祉分野、体育系など健康に関する学問を学ぶ学生向けの教科書。好評を得ていた『栄養・健康科学シリーズ 健康管理概論』の後継本として、最新の健康管理にあわせ内容構成を一新、さらに第一線で公衆衛生活動および健康管理業務に従事しているスタッフの手引書としても幅広く活用できるよう編集。今改訂では、「統計学」の章を新設、「健康日本21(第2次)」など、最新の知見も収載。

1 健康の概念
 A. 健康の定義
 B. 健康の追究
 C. 健康管理
 D. 集団における健康度
 E. 健康阻害要因
 F. 公衆衛生と疾病予防の考え方
■練習問題
2 疫学
 A. 定義
 B. 疫学指標
  1 罹患率
  2 有病率
  3 死亡率
  4 率の差
  5 率の比
  6 寄与割合
  7 疫学指標の応用
 C. 疫学研究方法
 D. 観察研究
  1 記述的研究
  2 症例対照研究
   a. 調査計画の作成
   b. 症例の選定
   c. 対照の選定
   d. 情報の収集
  3 コホート研究
   a. 調査計画の作成
   b. コホート研究の型
   c. コホートの設定
   d. 情報の収集
   e. 偏りの原因
  4 症例対照研究とコホート研究の比較
 E. 介入研究
 F. 誤差と偏り
  1 偏りの種類と内容
   a. 選択の偏り
   b. 情報の偏り
  2 交絡因子
  3 偏りの除去
 G. 因果関係の判定
■練習問題
3 統計学
 A. 統計学の基本的事項
  1 統計とは
  2 母集団と標本
  3 統計的手法
 B. データの種類と分布
  1 データの種類
  2 分 布
 C. 記述統計
  1 数量データの記述統計
   a. 代表値
   b. ばらつきの尺度
  2 質的データの記述統計
  3 相関と回帰
  4 分割表による集計
 D. 分析統計
  1 検定と推定
  2 検定の手順
  3 2群間の平均の差の検定(t検定)
  4 2群間の割合の差の検定
  5 分割表による関連性の検定
  6 母平均の推定
 E. その他の統計解析方法
  1 年齢調整法
■練習問題
4 人口統計
 A. 国勢調査の概要
  1 国勢調査の歴史
  2 国勢調査の目的
  3 国勢調査の将来
 B. 主な人口指標
  1 年齢構成に関する指標
  2 労働力人口についての指標
 C. わが国の人口特性
  1 日本人人口、総人口の推移
  2 性・年齢構成、人口ピラミッド
  3 将来の人口
■練習問題
5 保健統計指標
 A. 人口動態統計
  1 人口動態事象
  2 出 生
  3 死 亡
  4 婚 姻
  5 離 婚
  6 死 産
 B. 平均寿命
  1 寿命とは何か
  2 平均寿命の年次推移
  3 平均寿命の国際比較
 C. 傷病統計
  1 国民生活基礎調査
  2 患者調査
 D. その他の保健統計
  1 国民健康・栄養調査
  2 その他の統計調査
■練習問題
6 健康づくり
 A. 健康づくりとは
  1 健康づくりと健康増進
  2 健康づくりの必要性
 B. 健康づくり施策
  1 第1次国民健康づくり対策
   a. 健康づくりの三本柱
   b. 国民健康会議提言
  2 アクティブ80ヘルスプラン
  3 健康日本21と健康日本21(第2次)
 C. 食生活関連施策
  1 日本人の食事摂取基準
   a. 食事摂取基準(DRI)の各指標
   b. エネルギーの食事摂取基準
   c. タンパク質
   d. 脂 質
   e. 炭水化物と食物繊維
   f. ビタミン
   g. ミネラル
  2 健康づくりのための食生活指針
   a. 食生活の問題点
   b. 食生活指針の構成
   c. 対象特性別食生活指針
   d. 新しい食生活指針と食事バランスガイド
  3 外食料理栄養成分表示
  4 栄養表示基準制度
  5 特別用途食品
  6 保健機能食品
 D. 運動関連施策
  1 運動所要量
  2 健康運動指針
  3 健康づくりのための運動基準2006
   a. 策定にあたっての考え方
   b. 健康の維持・増進に必要な身体活動・運動量
   c. 健康の維持・増進に必要な体力
   d. 健康づくりのための運動指針2006
  4 休養指針
  5 睡眠指針
 E. 健康日本21と健康日本21(第2次)
  1 健康日本21
  2 健康日本21(第2次)(21世紀における第2次国民健康づくり運動)
 F. 健康増進法
  1 健康増進法の概要
  2 国、都道府県、市町村の役割
  3 受動喫煙の防止
 G. 新健康フロンティア戦略
■練習問題
7 健康管理の方法
 A. 原則と考え方
 B. 計画、実行、評価
 C. 健康教育
  1 定義
  2 目標
  3 方法
   a. 教材・媒体
   b. 機会
  4 計画、維持継続、実施と評価
   a. 健康教育の計画
   b. 健康教育の実施
   c. 健康教育の評価
  5 健康教育の事例
   a. 運動習慣
   b. 禁煙
   c. 健診データを利用した健康教育
 D. スクリーニング
  1 定義
  2 方法
  3 種類と実際
■練習問題
8 生活習慣と健康
 A. 食生活と栄養
  1 栄養摂取状況
  2 食物と健康
 B. 身体活動・運動
 C. 睡眠・休養・ストレス
 D. 喫煙
 E. 飲酒
■練習問題
9 生活習慣病の疫学、予防、健康管理
 A. 循環器疾患
  1 発症状況
  2 循環器疾患の医療費
  3 循環器疾患の危険因子
   a. 肥満
   b. 血圧
   c. 糖尿病
   d. 脂質異常症(高脂血症)
   e. メタボリックシンドロームと特定健康診査・特定保健指導
 B. がん
  1 悪性新生物の概念
  2 発生状況
  3 部位別の死亡状況
  4 悪性新生物の一次予防
   a. 一次予防の概要
  5 二次予防とスクリーニング
 C. その他の疾病
  1 糖尿病
  2 骨粗鬆症
   a. 骨粗鬆症の判定
   b. 疫学
   c. 健康への影響
   d. 予防
  3 う歯・歯周病
■練習問題
  10 地域の保健予防システム
 A. 原則と考え方
 B. 保健所の役割
  1 保健所の歴史
  2 保健所数
  3 保健所の職員
  4 保健所の業務
   a. 業務事項
   b. 業務形態
  5 保健所の活動
 C. 市町村保健センターの役割
 D. 保健師の役割
  1 都道府県保健所保健師
  2 市町村保健師
  3 政令市・特別区保健師
  4 保健師の活動状況
 E. 食生活の改善と栄養士の役割
  1 食生活改善への取り組み
  2 国民健康・栄養調査
  3 栄養士の役割
  4 その他
 F. 災害・健康危機管理対策
 G. 感染症の予防
  1 感染症法
  2 結核対策
  3 検疫
  4 予防接種
 H. 食品衛生法
■練習問題
11 高齢者・成人の健康管理
 A. 特定健康診査・特定保健指導など
  1 特定健康診査(特定健診、メタボ健診)
  2 特定保健指導
  3 後期高齢者医療制度(長寿医療制度)と保健事業
 B. 健康増進事業
  1 健康手帳の交付
  2 健康教育
   a. 集団健康教育
   b. 個別健康教育
  3 健康相談
  4 機能訓練
  5 訪問指導
  6 がん検診など
 C. 介護保険
  1 介護保険制度の概要
  2 介護保険サービス
  3 地域支援事業
 D. 医療
 E. その他の高齢者・成人の健康管理
  1 障害者
  2 難病(特定疾患)
  3 腎疾患対策、臓器移植
  4 原爆医療
  5 老人福祉
■練習問題
12 母子の健康管理
 A. 母子保健事業
  1 保健指導
  2 訪問指導
   a. 新生児訪問指導
   b. 未熟児の訪問指導
   c. 妊産婦の訪問指導
   d. 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)
  3 健康診査
   a. 1歳6か月児および3歳児健康診査
   b. 妊婦健康診査
   c. 乳児健康診査、産婦健康診査
   d. その他の健康診査
  4 妊娠届出と母子健康手帳
   a. 妊娠の届出
   b. 母子健康手帳の交付
   c. 低体重児の届出
 B. 児童福祉
 C. 児童虐待
 D. 小児医療費公費負担制度
  1 養育医療
  2 小児慢性特定疾患
  3 自立支援医療(育成医療)
  4 療育の給付(療育医療)
  5 乳幼児医療費助成
 E. 母体保護法
 F. 健やか親子21
■練習問題
13 学校の健康管理
 A. 健康診断と保健指導
  1 健康診断
   a. 実施時期
   b. 健康診断の項目
  2 保健指導
 B. 学校給食
 C. 栄養教諭
 D. 保健教育
 E. 児童生徒の問題行動
■練習問題
14 職場の健康管理
 A. 原則と考え方
  1 トータル・ヘルスプロモーション・プラン
   a. 組織と体制
   b. 職場における事業
   c. 関連サービス機関などの活用
 B. 一般健康診断
 C. 特殊健康診断
  1 粉じん
  2 有機溶剤
  3 騒音
 D. 職業病の予防
  1 作業環境管理
  2 作業管理
  3 健康管理
   a. 過重労働対策
   b. メンタルヘルス対策
   c. 快適な職場づくり
■練習問題
索引

2011年3月11日に宮城県沖に発生した東日本大震災とそれによる東京電力福島第一原子力発電所の事故は、公衆衛生の分野における危機管理について大きな問題を投げかけました。南北500km、東西200kmの広い地域において、保健・医療・福祉にかかわるさまざまな問題が短期間に噴出しました。地域内の保健医療従事者自身が被災者であることもあって、いわゆるライフラインが寸断する中で、救急医療、生命維持医療、環境の急変による健康被害、要援護者支援、PTSD対策など、外部からの時期に応じた支援のあり方について、日頃からの準備が必要であることを痛感しました。
 すべての国民がすこやかで心豊かに生活できる活力ある社会にするために、壮年期死亡の低減、健康寿命の延伸を目指す「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が発足してから10年が経過しました。過去10年間の成果を科学的な指標によって総括し、今後とも継続するもの、軌道修正をするもの、中止するものとに仕分けて、次の10年に向けた方向づけをする時期になりました。2011年10月に公表された「健康日本21」の最終評価によると、9分野(栄養・食生活、身体活動・運動、こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん)で掲げられた目標80項目のうち、再掲21項目を除く59項目について見た評価では、目標値に達した10項目(17%)と改善傾向にある25項目(42%)を合わせて35項目(59%)が良い方向を示したのに対して、9項目(15%)が悪化したというものであり、必ずしも満足すべき評価ではなかったようです。この事実を踏まえて、2013年度からの10年間を対象にした「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21(第2次))」が、つい最近公表されたところです。すべての国民がすこやかで、心豊かに生活できる社会の実現を期待したいところです。
 今回の改訂に当たっては、管理栄養士および保健師国家試験出題基準ガイドラインを意識しつつ、保健医療福祉分野の幅広い読者対象を想定しました。大学、短期大学、専門学校などの教科書としての役割を果たすとともに、第一線で公衆衛生活動および健康管理業務に従事している方々の手引き書としても役立つことを願っています。
2012年12月
編集を代表して
柳川洋

9784524268412