教科書

看護学テキストNiCE

看護倫理改訂第2版

よい看護・よい看護師への道しるべ

編集 : 小西恵美子
ISBN : 978-4-524-26412-4
発行年月 : 2014年12月
判型 : B5
ページ数 : 272

在庫あり

定価2,376円(本体2,200円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

ナースに必要な倫理的素養を育む大好評テキストの改訂第2版。(1)倫理を考えるときに背景となる看護の歴史的変遷と主要な概念、(2)小児看護、終末期看護など各領域別の倫理的問題、(3)遺伝看護、外国人への看護など現代に特有な倫理的問題を多くの事例によって解説し、具体的な理解を深める。日本の伝統的価値観の顕在化が本書の大きな特徴。今改訂では「トリアージの倫理」の項目追加の他、時代を反映した内容のアップデートを行った。

推薦のことば
はじめに
第I章 看護倫理についての基礎知識
 1.倫理の基礎
  A.倫理とは
  B.価値
  C.規範−価値観の形成に影響するもの
  D.倫理と道徳
  E.倫理と法律
 2.看護倫理の基礎
  A.看護倫理とは
  B.看護倫理の必要性
  C.ナースの価値観
  D.ナースは誰に対してもっとも重要な責任を負っているか
  E.看護倫理を学ぶ意義
 3.看護倫理の歴史的推移
  A.徳の倫理オンリーの時代(1970年代ごろまで)
  B.徳の倫理から原則の倫理へ(1970年代〜2000年ごろまで)
  C.21世紀の現在
  D.倫理綱領の変遷
第II章 看護倫理のアプローチ
はじめに
 1.徳の倫理
  A.徳の倫理とは
  B.徳の倫理の歴史
  C.「ケアの倫理」と「徳の倫理」
  D.看護にとっての徳の倫理の意味
  E.徳の倫理の問題点と今後の課題
 2.原則の倫理
  A.専門職としての倫理的判断とその説明義務
  B.判断のよりどころとしての倫理原則
  C.原則の倫理のアプローチとその限界
第III章 看護倫理に関係する重要な言葉
はじめに
 1.和
  A.「和」の意味
  B.ナースの行動パターンと職場の「和」
  C.医師たちと話し合うナースの「和」
  D.国際看護師協会のスローガンとしての「和」
 2.共同体,家,親孝行,礼,面子,和−東アジアの文化と倫理
  A.比較文化論からみた東アジア文化圏
  B.東アジア文化圏の共存共同体
  C.家族のなかの「役割」と個人の人格形成
  D.国際看護の基本は自文化を知ること
 3.コンパッション−思いやりの心
  A.患者から見たナースの心
  B.コンパッション
  C.コンパッションの2つの側面
  D.思いやりの心をもち続ける
 4.ケアリング
  A.ケアとケアリング
  B.ケアするとは−その背景にあるもの
  C.看護におけるケアリング
  D.看護にみられるケアの倫理
  E.ケアリングの限界
 5.専門職
  A.専門職とは
  B.看護は専門職か?
  C.ナースの職業意識と倫理
  D.ナース個人の信条と専門職としての義務
  E.専門職の義務とケアにともなうリスク
 6.患者中心の看護
  A.患者中心の看護とは
  B.看護教育
  C.患者中心の看護を阻むもの
  D.途上国の看護
  E.日常の実践での患者中心の看護の点検
  F.患者:看護の対象をあらわす言葉について
 7.アドボカシー
  A.アドボカシーとは
  B.看護アドボカシーの必要性
  C.看護アドボカシーを解釈するモデルと理論
  D.看護実践とアドボカシー
  E.看護アドボカシーの今後に向けて
 8.協力と協働
  A.チーム医療の必要性
  B.看護実践上の倫理的概念としての「協力」と「協働」
  C.患者との協力・協働
  D.チーム医療のなかでの協力・協働
  E.患者の擁護者としてのナースの役割
 9.パターナリズム
  A.パターナリズムとは
  B.医療におけるパターナリズム
  C.弱いパターナリズムと看護
  D.医療状況の変化におけるパターナリズム
 10.個人の権利
  A.権利の意義
  B.権利と義務の関係
  C.権利の性格
  D.医療・看護における権利の意義
 11.看護職の責任−倫理的責任と法的責任
  A.責任という言葉の意味
  B.ナースの倫理的責任
  C.看護職の法的責任
 12.インフォームド・コンセント
  A.インフォームド・コンセントの生まれた背景
  B.インフォームド・コンセントの構成要件
  C.日本におけるインフォームド・コンセント
  D.インフォームド・コンセントにおけるナースの役割
 13.情報プライバシーと守秘義務
  A.守秘義務
  B.プライバシー
  C.個人情報保護法
 14.災害状況におけるトリアージ
  A.災害とは
  B.トリアージとは
  C.トリアージを支持する倫理理論
  D.救命対象者を「ふるい分ける」という難しい課題
  E.災害時に,もしナースしかいなかったら?
  F.災害に備えた計画における医師とナース
  G.災害時におけるナースの業務範囲
  H.災害救助に携わったナースを守る
第IV章 倫理的意思決定のステップと事例検討
  A.ナースの立場と倫理的な迷い
  B.ナースのつらい体験,3つの分類
  C.意思決定のためのモデル
  D.4ステップモデルによる事例検討
  E.事例検討の意義と注意
第V章 さまざまな看護活動と倫理
 1.人生の最終段階の看護と倫理
  A.なぜ倫理問題が生じるのか
  B.ケア提供の場
  C.「苦痛を和らげよ」と「死を早めるな」−医療者の2つの使命と倫理
  D.死にゆく患者に対する「治療」とは
  E.安楽死,事前指示,アドバンス・ケア・プランニング,DNR
  F.終末期の医療にかかわる法令,指針
  G.患者自己決定と患者の真意
 2.地域看護と倫理
  A.地域看護の特徴
  B.地域看護の倫理的問題の特徴
  C.地域看護職自身の倫理的問題
  D.倫理的問題に対応するために−4ステップモデルの活用
 3.小児看護と倫理
  A.小児看護における倫理的問題
  B.子どもの最善の利益を守る
  C.小児看護におけるナースの役割
  D.ナースの倫理的役割
 4.精神看護と倫理
  A.自律性の尊重
  B.強制入院
  C.患者−ナース関係のあり方
  D.精神科領域における問題に取り組むために
 5.遺伝看護と倫理
  A.遺伝医学の進歩
  B.遺伝看護とは
  C.遺伝看護を必要としている人々と出会う場は?
  D.遺伝看護を必要としている人々の状況
  E.遺伝にかかわる問題に対する,ナースの倫理的葛藤とは
  F.それぞれの倫理的葛藤の実際
  G.ケアのプロとして
 6.在日外国人の看護と倫理
  A.保健医療現場における外国人患者の増加
  B.医療に関する価値観の相違に関連した倫理的問題
  C.言語の障壁に関連した倫理的問題
  D.母国と日本との保健医療制度の相違に関連した倫理的問題
第VI章 その他の看護活動と倫理
 1.世界の健康問題と倫理
  A.途上国の健康問題
  B.フィリピン人看護師の日本での受け入れについて
  C.途上国の医療関係者の枯渇
  D.途上国の子どもたちの生命倫理
 2.看護管理者の役割と倫理
  A.看護管理者の役割
  B.看護管理者が経験する倫理的課題
  C.管理者の倫理的意思決定
 3.看護専門職組織の役割と倫理綱領
  A.専門職実践としての看護
  B.看護専門職とその組織
  C.専門職の条件と専門職組織の活動
  D.日本看護協会「看護者の倫理綱領」
 4.臨床倫理委員会
  A.「倫理委員会」の成り立ちと役割
  B.臨床倫理委員会の必要性と機能
  C.臨床倫理委員会の実践−大分健生病院の試み
第VII章 看護研究における倫理
  A.看護と研究
  B.研究参加者保護に関する歴史的事項
  C.看護研究にかかわる研究倫理指針
  D.看護研究における倫理的配慮
付録1 ICN看護師の倫理綱領(2012年版)
付録2 看護者の倫理綱領
付録3 児童の権利に関する条約(抜粋)
索引

はじめに

 本書初版の出版は2007年でした.当時は,看護倫理の教科書は国内になく,欧米からの知識に頼っている状況でした.しかし,倫理は人々が暮らす社会の文化や価値観,法や制度と密接にかかわっています.著者一同は,日本の社会と医療に即した看護倫理の教科書を自分達で著し,看護倫理の枠組みと諸概念を示したいと考え,この本を書き下ろしたのでした.以来,初版は10刷発行され,ナースの日々の実践を見つめ,事例を多用して抽象的な言葉・概念を身近で具体的なものとした倫理の書として広く親しまれてきました.そして看護倫理は今,実践・教育・研究に不可欠な存在になっています.
 看護は社会の所産であり,社会と共に変革します.それは倫理も同じであり,テキストとしての本書は社会の動きに敏感でなくてはなりません.ここに,改訂版を刊行致します.
 改訂では,初版の編集方針と内容構成を維持しつつ,社会・医療・看護における変化を考慮して,大項目の新設やタイトルの変更,および内容のアップデートをはかりました.
 新設した大項目は,「災害状況におけるトリアージ」,また,次の3つについてタイトルを変更しました.
  協力を「協力と協働」へ
  看護情報と守秘義務を「情報プライバシーと守秘義務」へ
  末期ケアの倫理を「人生の最終段階の医療と倫理」へ
 その他の章では,ICN看護師の倫理綱領の2012年改訂,ケアの倫理への関心の高まり,チーム医療のますますの進行,インフォームド・コンセントの重要性の高まり,あるいは,認知症などで判断能力の弱まった人々を支える努力の高まりなど,数多くの変化を反映して,内容を更新しています.
 一方で,看護倫理を取り巻く状況は依然として変わっていないものも多いです.私たちはこの10年弱の間に,変わったもの,余り変わっていないものの両方を見てきました.改訂された本書から,「変化」と「継続性」に思いをはせ,変化とはどこがどのように変わったのか,変化していないものとはどのようなことで,なぜ変わらないのかなどについて,考えて頂きたいと思います.

2014年11月
執筆者を代表して
編集者
小西恵美子