教科書

新訂・生理学実習書

監修 : 日本生理学会教育委員会
ISBN : 978-4-524-26258-8
発行年月 : 2013年8月
判型 : B5
ページ数 : 310

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本生理学会により、人手・費用・時間の制約に配慮しながら、実習内容の本質的理解に役立つこと、かつその結果・考察をまとめやすいことを目的に編集されたテキスト。全国の生命科学系の研究室に実験環境や実習時間の調査を行い、実習機器の進歩や動物実験を取り巻く環境に対応。生理学教室の実情に合った、より有用な実習書となった。

1章 血液
 1-1 採血法
 1-2 赤血球、白血球数の算定
  A 赤血球数の測定
  B 白血球数の測定
 1-3 ヘマトクリット値測定、ヘモグロビン定量
  A ヘマトクリット値測定
  B ヘモグロビン定量
   B-1.Sahli法
   B-2.シアンメトヘモグロビン法
 1-4 赤血球沈降速度、赤血球浸透圧抵抗
  A 赤血球沈降速度
  B 赤血球浸透圧抵抗
 1-5 血液凝固時間、出血時間、血餅退縮
  A 血液凝固時間(Lee-White法)
  B 出血時間
  C 血餅退縮
 1-6 血液型、交差適合試験(交叉試験)
  A 血液型
   A-1.ABO式血液型検査
   A-2.Rh式血液型判定
  B 交差適合試験
2章 循環
 2-1 摘出心筋
  A 八木式灌流法
  B モルモット摘出右心房筋を用いた実験
 2-2 心電図の測定と解析
 2-3 血圧と心拍数測定
 2-4 心音聴取と心音図
  A 心音聴取
  B 心音図の測定
 2-5 循環・呼吸の調節
3章 呼吸
 3-1 スパイロメトリーによる肺機能検査
  A 肺気量分画の測定
  B 努力呼気曲線の測定
  C フローボリューム曲線の作成
 3-2 息こらえ試験
  A 息こらえ中の呼吸困難感、酸素、二酸化炭素の変化
  B 息こらえ中の呼吸困難感と呼吸運動
 3-3 高二酸化炭素換気応答検査
 3-4 最大酸素摂取量の推定
4章 腎機能および体液調節
 4-1 水負荷試験
 4-2 クリアランスの測定
  A クレアチニン・クリアランスの測定
  B 浸透圧および自由水クリアランスの測定
 4-3 酸塩基平衡の調節
  A 尿pHの測定
  B 尿の滴定酸度の測定
  C 尿中のアンモニア量の測定
5章 消化吸収
 5-1 糖の吸収
 5-2 アミノ酸の吸収
 5-3 消化管運動
  A 摘出小腸標本の運動と管腔内圧変化
  B 自律神経支配の影響
6章 内分泌
 6-1 雌性ラットの生殖機能
 6-2 経口ブドウ糖(グルコース)負荷試験(OGTT)
 6-3 下垂体後葉ホルモン(バゾプレッシン、オキシトシン)の作用
  A バゾプレッシンによる水の再吸収作用
  B オキシトシンによる子宮筋収縮促進作用
7章 神経系
 7-1 神経の興奮
  A 活動電位の特性
   A-1.活動電位の記録
   A-2.伝導速度
   A-3.閾値
   A-4.不応期
   A-5.細胞外Na+濃度の影響
   A-6.細胞外K+濃度の影響
  B 細胞膜の電気的特性
   B-1.強さ-時間曲線
   B-2.極興奮
 7-2 脳波と大脳誘発電位
  A 脳波
   A-1.健康成人の覚醒時の閉眼時脳波
   A-2.賦活脳波
   A-3.睡眠脳波
   A-4.アーチファクト
  B 大脳誘発電位
   B-1.体性感覚誘発電位(SEP)
   B-2.視覚誘発電位(VEP)
   B-3.光眼輪筋反射(PPR)
8章 骨格筋
 8-1 骨格筋の収縮
 8-2 筋電図、誘発筋電図
 8-3 終板電位の観察
9章 感覚
 9-1 視覚
 9-2 ヒトの視覚に関する実験
 9-3 聴覚性脳幹誘発電位auditory brainstem evoked potential(聴性脳幹反応auditory brainstem response、ABR)
 9-4 皮膚感覚
  A 触・圧点の分布
  B 2点弁別閾
  C 温・冷覚
  D 重量感覚におけるWeberの法則
  E 痛覚および痛覚過敏
10章 環境
 10-1 ヒトの体温測定
  A 体温の測定
  B 種々の条件下における体温の測定
  C 自由課題
 10-2 体温調節:熱放散の調節のための寒冷血管反応からの考察
 10-3 発汗機能
  A 発汗活動の連続記録
  B 汗腺活動の観察
  C 軸索反射による発汗
 10-4 運動体力の生理
11章 口腔
 11-1 味覚
 11-2 唾液
  A ヒトにおける唾液分泌量および唾液の性質の実験
   A-1.唾液分泌量の測定
   A-2.唾液のpH、粘度、浸透圧の測定
   A-3.アミラーゼ活性の測定
  B 実験動物(ラット)を利用した唾液分泌の実験
   B-1.摘出灌流顎下腺を用いた水分泌の実験
   B-2.耳下腺腺房細胞におけるアミラーゼ分泌の実験
12章 シミュレーション
 12-1 神経
 12-2 心室筋細胞興奮収縮連関
13章 テクニカルノート
 13-1 ウシガエルの取り扱い
 13-2 被験者を用いる実習
 13-3 動物実験の取り扱い
  A 基本原則3Rの遵守
  B 動物実験を行うにあたって留意すべき事項
 13-4 よく用いられる麻酔薬
 13-5 生理的代用液と緩衝溶液の調整
 13-6 よく使われる薬剤
 13-7 電気生理の基礎
 13-8 実験データの統計処理
  A 測定尺度
  B データの分布の評価
  C 正規分布性と統計量の表示
  D 仮説検定の手順
  E 多重比較−Bonferroni adjustment
  F 多重比較−分散分析analysis of variance
  G 相関と回帰分析
  H ノンパラメトリックテスト
  I 2×2分割表による検定
  J l ×m 分割表による検定
  K 生存曲線(Kaplan-Meier 生存曲線)
 13-9 pH測定法
和文索引
欧文索引

日本生理学会編「生理学実習書」は、1977年に初版が出版され、その後1991年に改訂されて「新・生理学実習書」として刊行された。以後20年以上が経過し、実習方法・機器の改善、実習実施体制や社会情勢の変化など、実習をとりまく環境が大きく変わってきた。そうした状況を背景として、教育委員会で検討を重ねた結果、「新訂・生理学実習書」の刊行に至った。日本生理学会として実習書の編纂を行う趣旨を伝えるために、この序に加えて、「生理学実習書」の初版の序文を再掲させていただくこととする。
 生理学は、生体機能とその発現メカニズムを学ぶ学問である。生理学を学ぶ上で、実習が担う役割は極めて大きい。実習では、(1)生体に生じる現象をリアルタイムで観察し、(2)そのメカニズムを考え、(3)自ら考えた仮説について、実験を通して検証する機会が得られるからである。
 学生は、通常の講義(座学)や教科書から、生理学の一般的な知識を効率よく学ぶことは可能である。しかし、実際に観察される現象は、教科書に記載されているような画一的な生体反応とは限らず、個体差や条件(環境)の違いにより大きく異なる。実習では、予期せぬ現象を観察した時に、「なぜそのような結果になったのだろうか」「どうしたら原因が分かるだろうか」と自問し、実習グループの仲間と討論して、真理を探求することが大切である。そうした作業を行う際には、講義で得た知識をフルに動員することになる。すなわち実習は、脳にしまい込んだ知識を引き出して活用するトレーニングであり、その過程を経ることにより、眠っていた知識が“活きた知識”として再生されるのである。
 本実習書には、41の実習項目と9つのテクニカルノートが収載されている。実習項目の選定は、日本生理学会に所属する多数の教育者・研究者から得たアンケート結果に基づいて行った。基本方針は、改訂版「新・生理学実習書」の方針を参考として、
  1)多くの教育施設で採用されている実習
  2)学生の興味を引き、学習意欲を掻き立てる実習
  3)専門外の教員であっても容易に理解し、指導することができる実習
  4)3〜4時間の実習時間内に完了できる実習
  5)人手や経費がそれほど掛からない実習
としたが、一部の項目は上記の方針と若干異なっていても、分野別のバランスを考慮して採用した。また、実習項目に共通であり、実習を行う上で是非知っておくべきこと、知っていると便利なこと、知っていると学習効果が深まることなどを、テクニカルノートとして13章に収録した。
 実習に関わる社会情勢は、前回の改訂時(1991年)から大きく変化した。特に、倫理的な問題に関しては、細心の注意を払う必要がある。学生自身が被験者になる実習といえども、倫理的な配慮を怠ってはならない。また動物を用いた実習を行う際、動物の取り扱いや麻酔薬の使用法に関して、近年、社会通念が大きく変遷していることには、特に注意しなければならない。個々の実習項目には、以前から用いられている方法が記載されているが、実施に当たってはテクニカルノートを参照し、専門家のアドバイスを参考にすることをお薦めする。

2013年7月
日本生理学会教育委員会・実習書編集小委員会
石松秀/岡田隆夫/奥村哲/河合康明/久野みゆき/鯉淵典之/椎橋実智男/渋谷まさと/中島昭/松尾理/森田啓之/森本恵子/山下俊一