教科書

Essential細胞生物学原書第4版

監訳 : 中村桂子/松原謙一
ISBN : 978-4-524-26199-4
発行年月 : 2016年3月
判型 : A4変型
ページ数 : 888

在庫あり

定価8,640円(本体8,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

各国で翻訳されている世界的な生命科学、分子生物学の第一選択の教科書。ストーリー性のある解説と美しい図版により、複雑な生命現象をイメージしながら学ぶことができる。改訂版では新知見の追加や情報更新、文章や図の見直しにより、より深い知識を得ることができるようになった。また、これまで補助教材として有用な確認問題や動画もさらに充実され、原書出版社のウェブサイト(英語)に収載されている。

Garland Science社 教官向け資料サイト(英語)
http://www.garlandscience.com/instructors/

Garland Science社 学生向けウェブサイト(英語)
http://www.garlandscience.com/ECB4-students/

まえがき
謝辞
資料紹介
翻訳にあたって
1 細胞:生命の基本単位
 パネル1-1 顕微鏡
 パネル1-2 細胞のつくり
 解明への手がかり:生命に共通するしくみ
2 細胞の化学成分
 解明への手がかり:巨大分子とは何か?
 パネル2-1 化学結合と基
 パネル2-2 水の化学的性質
 パネル2-3 いくつかの糖のあらまし
 パネル2-4 脂肪酸とその他の脂質
 パネル2-5 タンパク質を構成する20種類のアミノ酸
 パネル2-6 ヌクレオチドについて
 パネル2-7 非共有結合の基本型
3 エネルギー,触媒作用,生合成
 パネル3-1 自由エネルギーと生物学的反応
 解明への手がかり:酵素の能力を測る
4 タンパク質の構造と機能
 パネル4-1 タンパク質の機能の例
 パネル4-2 抗体の作製と利用
 解明への手がかり:タンパク質の構造を精査する
 パネル4-3 細胞の破砕と細胞抽出液の最初の分画
 パネル4-4 クロマトグラフィーによるタンパク質の分離
 パネル4-5 電気泳動によるタンパク質の分離
5 DNAと染色体
 解明への手がかり:遺伝子はDNAでできている
6 DNAの複製,修復,組換え
 解明への手がかり:複製様式
7 DNAからタンパク質へ−細胞がゲノムを読み取るしくみ
 解明への手がかり:遺伝暗号の解読
8 遺伝子発現の調節
 解明への手がかり:遺伝子調節−eveの話
9 遺伝子とゲノムの進化
 解明への手がかり:遺伝子を数える
10 現在の組換えDNA技術
 解明への手がかり:ヒトゲノム塩基配列の決定
11 膜の構造
 解明への手がかり:膜の流れを測定する
12 膜を横切る輸送
 解明への手がかり:ヤリイカを用いて膜の興奮の秘密を探る
13 細胞が食物からエネルギーを得るしくみ
 パネル13-1 解糖の10の反応の詳細
 パネル13-2 クエン酸回路の概要
 解明への手がかり:クエン酸回路の発見
14 ミトコンドリアと葉緑体でのエネルギー生産447解明への手がかり:化学浸透共役がATP合成を駆動するしくみ
 パネル14-1 酸化還元電位
15 細胞内区画とタンパク質の輸送
 解明への手がかり:タンパク質と小胞の輸送を追う
16 細胞のシグナル伝達
 解明への手がかり:細胞のシグナル伝達経路を解き明かす
17 細胞骨格
 解明への手がかり:微小管に付随するモータータンパクの探究
18 細胞周期
 解明への手がかり:サイクリンとCdkの発見
 パネル18-1 動物細胞のM期のおもな段階
19 有性生殖と遺伝学の力
 パネル19-1 古典遺伝学の概要
 解明への手がかり:SNPを手がかりにヒトの疾患を解明する
20 細胞のつくる社会:組織,幹細胞,がん
 解明への手がかり:がん化に重要な遺伝子を理解する
問題の答え
用語集
Index
さくいん

翻訳にあたって

 生きているとはどういうことだろう。この誰もが考える問いに答える学問として20世紀に誕生した分子生物学は、まずDNAという物質の働きを知るところから始まりました。研究が進むにつれて、多くの研究者がやはり生きているという実感は「細胞」という1つの単位を知らなければ得られないという気持ちになってきました。物質ではなくシステムを知ること、全体を知ることの重要性に気づいたのです。こうして「遺伝子の分子生物学」から「細胞の分子生物学」へと新しい展開をした学問は、着実に進んでいます。特に21世紀に入ってからは細胞内にあるすべてのDNA、つまりゲノムの解読が進み、日々多くの研究データが出されるようになり、エピゲノムとよばれるゲノムのダイナミックな側面も明らかになってきました。その展開を基本にした教科書である「細胞の分子生物学」は、版を重ねるごとにその内容量が増え、しかも複雑になっています。
 そのなかで、多くのデータから得られる知識の基本原則を抽出し、解説するという目的でつくられたのが本書です。Essentialという言葉が著者らのその気持をよく表しています。自分自身が細胞でできており、生きているのだから誰もがその働きを知って欲しいという願いをこめて編集されています。大学では医学・生物学以外の理工系の学部学生はもちろん、人文・社会系の学生たちにも読んでほしいと考えての編集です。とはいえ、近年の研究の進歩にはきちんと眼を向けていかなければなりませんので、実は今回の版にはこれまでにない新しい事柄がたくさん入っています。
 目立つのは、たとえば、遺伝子発現の調節が詳細にわかりそこでのRNAのさまざまな働きが見えてきたことです。ゲノム解析が進み、そのなかで大事な働きをするところが島のようになっていることがわかってきたのも興味深いことです。iPS細胞の研究は進み、さらにネアンデルタール人のDNA解析もできるようになるなど次の展開が楽しみな成果が次々と出ています。それらから生きものの面白さを感じとると同時に、それらを生かす学問や社会を考えて下さい。
 今回、読者とくに学生さんからの意見を取り入れて、光合成とDNA修復という基本の基本を大幅に改めています。このように読者とのやりとりを大事にしているのがこの教科書の特徴であり、いつもながらの真摯な姿勢には頭が下ります。
 本書の特徴の1つであり、翻訳をしていても楽しいのは「解明への手がかり(原題How We Know)」です。研究の現場を感じることができて、科学の面白さを研究者を通して知る喜びがここにはあります。今回もいくつかの項目が新しく加えられています。そして本書のもう1つの特徴である問題と解答の工夫も続いています。問題を考えることで自分の中に問いが生れることがあるでしょう。これは是非活用し、自分で考えるきっかけにして下さい。
 新版を読み、新しい学問に触れることを楽しみながら、心をこめて翻訳をしました。しかし、これだけ大部ですから誤りやわかりにくい表現があるかもしれません。お気づきの点を御指摘いただければ幸いです。

翻訳者を代表して
中村桂子
松原謙一