書籍

臨床血液内科マニュアル

編集 : 金倉譲
ISBN : 978-4-524-26193-2
発行年月 : 2014年11月
判型 : B6
ページ数 : 378

在庫あり

定価4,536円(本体4,200円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

血液疾患診療に必要な知識をコンパクトにまとめたハンディマニュアル。血液細胞や病理組織標本のわかりやすい写真を数多く収載したビジュアルなカラーアトラスと診断の要点がすぐわかる「症候・検査異常に基づいた鑑別診断チャート」が特徴的。検査から診療のポイント、診断チャート、レジメン集、支持療法まで幅広く網羅しており、研修医・若手医師にオススメの一冊。

【内容目次】
I.カラーアトラス
 1.正常血液細胞
 2.赤血球系細胞の異常
 3.骨髄球系細胞の異常
 4.リンパ系細胞の異常
 5.血小板系細胞の異常
 6.病理組織標本(骨髄生検・リンパ節生検)
 7.その他(検査・血液疾患所見)
II.血液内科に特徴的な検査
 1.骨髄穿刺
 2.骨髄生検
 3.腰椎穿刺
 4.リンパ節生検の検体処理・提出検査項目
 5.遺伝子検査
  A.遺伝子再構成(リアレンジメント)
  B.キメラ遺伝子
 6.染色体検査(G-banding)
 7.FISH検査
 8.腫瘍マーカー
 9.フローサイトメトリーのみかた
 10.免疫不全状態時のウイルス検査
 11.免疫電気泳動(免疫固定法、フリーライトチェーン)
 12.PET-CT
 13.止血・凝固系検査の施行法・みかた
 14.画像による骨髄造血能評価(MRI)
III.症候・検査異常に基づいた鑑別診断チャート
 1.リンパ節腫張の鑑別
 2.不明熱の鑑別・血液領域における発熱の鑑別
 3.出血傾向の鑑別
 4.貧血の鑑別
 5.白血球増多の鑑別
 6.白血球減少の鑑別
 7.高LD(H)血症の鑑別
 8.高ガンマグロブリン血症の鑑別
 9.HTLV-1(ATLA)抗体陽性患者の対応
IV.血液疾患診療の実際
 1.赤血球疾患
  A.鉄欠乏性貧血(IDA)
  B.巨赤芽球性貧血
  C.再生不良性貧血(AA)
  D.自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
  E.発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
 2.白血球疾患
  A.急性骨髄性白血病(AML)
  B.急性前骨髄球性白血病(APL)
  C.慢性骨髄性白血病(CML)
  D.骨髄増殖性腫瘍(MPN)
  E.骨髄異形成症候群(MDS)
  F.急性リンパ性白血病(ALL)
  G.慢性リンパ性白血病(CLL)
  H.Hodgkinリンパ腫(HL)
  I.非Hodgkin リンパ腫(NHL)
   I-1.B細胞性リンパ腫
   I-2.T/NK細胞性リンパ腫
  J.成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)
  K.原発性マクログロブリン血症
  L.多発性骨髄腫(MM)
  M.血球貪食性リンパ組織球症/血球貪食症候群(HLH/HPS)
 3.血小板・凝固異常
  A.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
  B.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
  C.播種性血管内凝固症候群(DIC)
  D.血友病(hemophilia)
  E.von Willebrand病(vWD)
  F.血小板機能異常症
 4.ウイルス感染と血液疾患
  A.伝染性単核球症
  B.慢性活動性EB ウイルス感染症(CAEBV)
  V.抗がん薬・分子標的治療薬とレジメン集
 1.抗がん薬(殺細胞性抗がん剤)
 2.分子標的治療薬
 3.レジメン集
  A.急性骨髄性白血病(AML)
  B.急性リンパ性白血病(ALL)
  C.Ph陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)
  D.急性前骨髄球性白血病(APL)
  E.Hodgkinリンパ腫(HL)
  F.非Hodgkinリンパ腫(NHL)
  G.成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)
  H.慢性リンパ性白血病(CLL)
  I.多発性骨髄腫(MM)
  J.骨髄異形成症候群(MDS)
  K.血球貪食症候群(HPS)
VI.造血幹細胞移植
 1.概論
 2.造血幹細胞採取
 3.前処置
 4.移植後合併症
VII.血液内科領域特有の支持療法
 1.血液疾患随伴症状への対応(骨病変、高Ca血症、止血・凝固異常、溶血、疼痛)
 2.血液内科領域における感染症対策
 3.免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン
 4.輸血療法(鉄キレート療法を含む)
 5.治療薬副作用への対応
◆略語一覧
◆索引

序文

 現在の臨床研修制度は2004年4月にスタートし,その後約10年が経過している.初期臨床研修は,卒業後2年間で内科,外科,小児科,産婦人科,救急医療などの科目で研修を積み,幅広い診療能力を得るという制度である.多くの研修医は,その後に続く後期臨床研修期間で自分の専門性を高めて行くことになる.研修医は,クリニカルクラークシップ時代のようにさまざまな診療科でトレーニングを積むが,学生時代とは異なり,研修といえども医師としての技術や最新の知識が求められる.
 血液・腫瘍内科診療に関しては,すでに多くの教科書や専門書が存在している.しかし,実際の診療現場で分厚い専門書を調べるのは困難である.また,iPadのような電子媒体もキーワードの検索には便利であるが,情報量が多過ぎて必要不可欠なポイントを短時間で得るのは難しい.初心者向けでわかりやすい血液・腫瘍内科の研修に適したマニュアルが求められていた.
 本書は,大阪大学医学部附属病院血液・腫瘍内科の病棟や外来に勤務している医師により,研修医が必要とする情報を簡潔にまとめたマニュアルである.日常診療において便利に使えるように,「アトラス」からはじまり,「検査」,「鑑別診断チャート」,「疾患理解」,「化学療法レジメン」,「造血幹細胞移植」,「支持療法」と続く章立てとなっている.「血液内科に特徴的な検査」の章では,検査法の実際と見かたを概説しており,きわめて実用的である.各疾患についても,要領よく,必要不可欠な情報が簡潔にまとめられている.さらに,各疾患のエキスパートが担当しているため,疾患の背景,病態,診断,治療などに関して,最新の情報が盛り込まれている.
 本書は,大阪大学医学部附属病院血液・腫瘍内科の研修に即したマニュアル本であるが,他の施設でも有用であると思われる.研修医が,血液・腫瘍内科診療で活用して頂ければ望外の喜びである.

2014年10月
金倉譲

 血液内科をBSLで回ってくる学生や初期臨床研修の研修医に聞くと、「血液は苦手です」といわれることが多い。そんなとき、「こんなに面白い領域はないのに」と思わずつぶやくことがあるが、学生や若い先生方にとっては、生死に関わるような疾患を扱うのに知識や実践経験が伴わないことに戸惑いを感じているのかもしれない。そのようななか、血液診療の現場にとってきわめて実践的なマニュアルが、金倉 譲教授率いる大阪大学血液・腫瘍内科学の総力をあげて南江堂より上梓された。「臨床血液内科マニュアル」は、実際に病棟や外来で血液診療を担当する医師、とくに研修医や若手を対象にしたきわめて実践的な好書である。外形的にも手頃な大きさで携帯しやすいこともさることながら、内容的に実によく構成されており、血液診療を行ううえで実地診療に必要な基本的な知識から実際の化学療法のレジメンにいたるまで、痒いところに手が届くように工夫されている。
 本書の構成は、まず「カラーアトラス」として、血液疾患の診断の基本ともいうべき代表的な血液疾患の末梢血や骨髄の形態像、リンパ節生検標本などが、正常像も含め明瞭な写真を用いてビジュアルに記載されている。その後に、診断に必要な検査、鑑別診断が解説されている。各論と各章が有機的にしかも簡潔にまとめられ、診断から実践的な治療までのポイントがよく練られた構成で理解しやすく工夫されて記述されている。「血液疾患診療の実際」においては、まず冒頭の「診療のエッセンス」においてそれぞれの疾患の概略がつかめるように工夫されており、病態、重要な診断基準や予後因子なども多くの図表を用いてきわめてビジュアルに、視覚に訴える形で理解できるようになっている。さらには、代表的な治療レジメンや造血幹細胞移植の実際、支持療法にいたるまで簡潔にわかりやすく網羅されている。このあたりの要領のよさは、編者の金倉教授の性格がかなり反映されているように思われる。また、大阪大学血液・腫瘍内科はわが国における血液学研究をリードする施設でもあるが、そのような一面が随所に散りばめられている「トピックス」に集約されており、最新の血液学の基礎研究や臨床医学の進歩に関してもよく網羅され、興味を引く記述がなされている。
 このように本書は、とかく取っ付きにくいといわれる血液学を、根本からしかも簡潔に要領よく学べるように工夫されたマニュアルであり、若手のみならず血液診療に携わるすべての医師に必携の書である。本書は、2014年に金倉教授が主催された大阪での第76回日本血液学会学術集会にての書籍売り上げのなかで、ベスト3に入ったと聞いている。実際に手に取った先生方が、本書の明快な記述とわかりやすさに惹かれて購入されたものと思われるが、まさに外来や病棟において活用したい一冊である。

臨床雑誌内科116巻1号(2015年7月号)より転載
評者●埼玉医科大学総合医療センター血液内科教授 木崎昌弘