書籍

今日の治療薬2022

解説と便覧

編集 : 島田和幸/川合眞一/伊豆津宏二/今井靖
ISBN : 978-4-524-23211-6
発行年月 : 2022年1月
判型 : B6
ページ数 : 1,450

在庫品切れ・重版未定

定価5,060円(本体4,600円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

臨床で使われる医薬品を薬効群ごとに解説と便覧で構成したベストセラー。2022年版では、便覧に、妊娠中・授乳期の薬剤使用に関する最も有名なリファレンスブックの1つである「Briggs Drugs in Pregnancy & Lactation」に掲載の妊婦への薬剤投与に関するリスク分類を表すマークを追加し、ますます使いやすく便利に。ポータルサイトで年3回更新情報も配信。

今日の治療薬2022改訂ポイント
■巻頭トピックス
・「COVID-19ワクチン」「ここ10年の糖尿病治療薬の進歩」「腎性貧血治療薬の新展開」の3点を掲載。
■解説
・「図で見る薬理作用」を7点追加。
■便覧
・妊娠中・授乳期の薬剤使用に関する最も有名なリファレンスブックの1つである「Briggs Drugs in Pregnancy & Lactation」に掲載の妊婦への薬剤投与に関するリスク分類を追加。

本書の使い方
■巻頭トピックス
 1. 新型コロナウイルスワクチン
 2. ここ10年の糖尿病治療薬の進歩
 3. 腎性貧血治療薬の新展開
病原微生物に対する薬剤
■略語表(抗菌薬,抗ウイルス薬,抗真菌薬)
 1.抗菌薬
 2.抗ウイルス薬と抗ウイルス療法薬
 3.抗真菌薬
 4.抗寄生虫薬
 5.予防接種用薬
 6.消毒薬
抗悪性腫瘍薬
■略語表
■代表的なレジメン名一覧表
 7.抗悪性腫瘍薬
炎症,免疫,アレルギーに作用する薬剤
 8.副腎皮質ステロイド
 9.鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)
 10.免疫疾患治療薬(リウマチ,炎症性腸疾患,乾癬など)
 11.アレルギー疾患治療薬
代謝系に作用する薬剤
 12.糖尿病治療薬
 13.脂質異常症(高脂血症)治療薬
 14.痛風・高尿酸血症治療薬
内分泌系薬剤
 15.女性ホルモン製剤,子宮用剤
 16.男性ホルモン製剤,視床下部・下垂体ホルモン製剤
 17.代謝異常症治療薬
 18.甲状腺疾患治療薬
 19.骨・カルシウム代謝薬
ビタミン製剤,輸液・栄養製剤
 20.ビタミン製剤
 21.輸液・栄養製剤
血液製剤,血液に作用する薬剤
 22.血液製剤
 23.造血薬
 24.止血薬
 25.抗血栓薬
循環器系に作用する薬剤
 26.降圧薬
 27.狭心症治療薬
 28.抗不整脈薬
 29.心不全治療薬,昇圧薬
 30.血管拡張薬・肺高血圧症治療薬
 31.利尿薬
呼吸器系に作用する薬剤
 32.気管支喘息治療薬,COPD 治療薬
 33.鎮咳薬,去痰薬,呼吸障害改善薬
消化器系に作用する薬剤
 34.上部消化管疾患治療薬(消化性潰瘍治療薬など)
 35.下部消化管疾患治療薬(下剤など)
 36.痔疾患治療薬
 37.肝疾患治療薬
 38.胆道疾患治療薬
 39.膵疾患治療薬
神経系に作用する薬剤
 40.抗精神病薬,抗うつ薬,その他
 41.抗不安薬,睡眠薬
 42.抗てんかん薬
 43.片頭痛・慢性頭痛治療薬
 44.制吐薬,鎮暈薬
 45.パーキンソン病治療薬
 46.脳卒中治療薬
 47.抗認知症薬
 48.神経難病治療薬,その他
 49.筋弛緩薬
 50.麻薬および類似薬
 51.麻酔薬
腎・泌尿器系薬
 52.腎疾患用剤
 53.泌尿器・生殖器用剤
感覚器官用剤
 54.眼科用剤
 55.耳鼻咽喉科用剤
 56.皮膚科用剤
その他
 57.歯科・口腔用剤
 58.中毒治療薬
 59.造影剤
漢方薬
■漢方製品番号順検引
 60.漢方薬
巻末付録
 1. 高齢者へ投与する際の注意点
 2. 小児へ投与する際の注意点
 3. 新生児への抗菌薬投与量
 4. 妊婦・授乳婦へ投与する際の注意点
 5. 添付文書上いわゆる禁忌の医薬品のうち,妊娠初期のみに使用された場合,臨床的に有意な胎児への影響はないと判断してよい医薬品
 6. 肝・腎障害患者へ投与する際の注意点
 7. 重大な副作用(有害反応)の症状
 8. 主な臨床検査基準値一覧
 9. 医薬品リスク管理計画(RMP)
 10. 2021年1 月〜12月に承認・薬価収載された主な新薬
 11. 配合剤早見表
 12. 治療薬物モニタリング(TDM)における治療域・中毒域
 13. 主なドーピング禁止薬剤
 14. 薬剤の投与期間
識別コード

索引(薬剤索引,解説事項索引)

薬剤索引(和文,薬剤欧文)

解説事項索引

探しにくい適応症ガイド

主な製薬企業連絡先一覧

 頻繁な新薬の登場や薬物治療に関する新しいエビデンスやガイドラインの発表,さらに2 年ごとの薬価の改定に至るまで,治療薬に関する情報は広範でしかも目まぐるしく日々更新されており,治療薬に関する最新情報である「今日の治療薬」は,文字通り“今日”を反映しなければなりません.特に最近の進歩は著しく,ある系統の新規薬剤が様々な疾患分野に共通して適用されるなど,本書の章立てを変更せざるを得ない状況も起こっています.
 本書の読者対象は,医師,薬剤師,看護師のみならず,医療・介護・福祉に従事する人たち,あるいはそれぞれの領域の修学生までも含みます.そのため,実際の臨床,あるいは教育現場で役に立つ「実用書」であることが求められます.同時に,薬物の使用や管理は,「医療安全」の主要な柱の一つです.記述されたことが正確無比であることが本書の絶対条件です.
 最新,実用的,教育的,かつエビデンスやガイドラインに基づき正確である“今日の治療薬”情報であることを維持するために,毎年開かれる編集会議はその都度活発な意見交換が行われます.2022 年版では,新型コロナウイルス感染症の流行でオンライン開催となりましたが,新しい編集体制で,例年通り活発に意見交換を行いました.
 2022 年版についても,細部を点検しつつバージョンアップしました.主な改訂点は以下の通りです.
 @解説では,好評の「図で見る薬理作用」を片頭痛・慢性頭痛治療薬などさらに7 つの章に追加しました.
 A便覧の「組成・剤形・容量欄」では,妊娠中・授乳期の薬剤使用に関する最も有名なリファレンスブックの1 つであるBriggs Drugs in Pregnancy& Lactation に掲載の,妊婦への薬剤投与に関するリスク表記を17 分類に分け, などのマークとして追加しました.
 B便覧の適応症欄では,薬事・食品衛生審議会第一・第二部会で了承された適応拡大にマークを挿入し掲載しました.
 本書が,治療薬に関する書籍のトップランナーとして,読者諸賢の座右の書であり続けることを願って,今後も編集体制を強化していきます.最後に,南江堂の「今日の治療薬」編集部のみなさまのご尽力に厚く御礼申し上げます.1 日も早いコロナ禍の終焉を願って!
2022 年1 月
編集者一同

本書は,筆者が医師になったときから,いや,医学生の臨床実習のころからお世話になってきた,治療薬に関する書籍のトップランナーである.今回,本評を書くにあたり,本書の初版が1977年発行であることを知った.筆者はお会いしたことはないが,水島裕先生が初版から31年にわたり本書を長らく執筆・編集されてきたことは,正直凄いなと思う.なお,その後も今日にいたるまで10年以上にわたり着実に版を重ねていることから,本書がベストセラーとして,いかに長きにわたり多くの読者の役に立ってきたのか,また,愛されてきたのかということがわかる.
本書は実用書であるととともに,それぞれの治療薬ごとに,その対象疾患について,その病態から治療法にいたるまでの要約が書かれており,その部分を読むだけでも知識の整理に役立つ.筆者は外来診療の合間に,本書の要約部分にざっと目を通すことがある.ちょっとした時間を用いた効率的な知識の整理に役立つ.
本書がもっとも役立つのは,自分の専門でない分野の薬を確認したいときかと思う.また,専門領域であってもあまり使わない薬の作用機序や実際の投与量を確認したいときや,最近増加しているジェネリック医薬品がどの先発医薬品と同じなのかを調べるときなどにおいても,たいへん役立つ.特に,時間が限られている外来診療中に何度助けてもらったことか,数えきれない.日本の津々浦々で,外来診療になくてはならない,貴重なバイブルとなっているのではなかろうか.
最近は,タブレット端末やスマートフォンの進歩や普及のおかげで,薬についてさまざまな検索が容易となった.特に若手医師は目にも止まらぬ速さでサーッと調べあげる.筆者も若者に負けじと真似をしてがんばっているが,やはり,まだなお本書のようにコンパクトサイズの辞書のような本のほうが使い勝手がよい.外来診察室のデスクに本書が1冊あると,非常に心が落ち着く.また,外来診療中に患者の前で,ざっくばらんな会話をしながらでもペラペラとななめ読みで調べられるなど,愛用している.ちょうど手ごろな厚さの本書は,これまでの長年の経験に基づいた分量になっているような気がしてならない.これも,44版を重ねて培われた賜物であろう.
最後に,なぜか本書を手にとると,医師としてはじめて病棟で仕事を始めた,あの懐かしい研修医時代の自分が思い起こされる.懐かしい記憶をよみがえらせてくれる思い出の本である.本評を読まれている多くの先生方の中にも,筆者と同じような感覚をもたれる先生が少なからずおられるのではないだろうか.

胸部外科75巻6号(2022年6月号)より転載
(名古屋大学呼吸器外科教授・芳川豊史)


『今日の治療薬』は1977年に初版が刊行された治療薬解説書のパイオニアである.以降,毎年の改訂がなされ,この2022年版で改訂第44版になる.
『今日の治療薬』には研修医のころから長年にわたりお世話になっているが,まず頭に浮かぶのはあの表紙である.単色で特徴あるビニール性の表紙は,失礼ながら重厚という印象からは程遠い.しかし,日常使いに最適の機能性と,雑に扱われてもへたらない耐久性は,本書の特徴や用途をよくとらえた秀逸なデザインといえる.アルコールなどでサッとふけるのも昨今の医療事情にマッチしている.毎年かわることも特徴である表紙の色であるが,今回はホワイトリリーであった.まだ駆け出しのころ,上の先生の外来ブースには最新版が置かれているのに,自分のブースにはそのお下がりで色の異なる『今日の治療薬』が置かれていた.最新の薬剤が載っていないこともあったりして,大先輩のブースまで調べにお邪魔した思い出がある.
さて,実際に手にとってみると,最新の薬物治療に関する情報を常に届けようとする姿勢がその内容にも現れていた.今回手にした2022年版では,巻頭に2021年11月時点での新型コロナウイルスワクチンに関する情報の記載があり,そのスピード感に少々驚いた.
後発医薬品もますます増加し,紹介状の処方薬やお薬手帳をみても,専門以外の処方であると何の薬かピンとこないことも増えてきた.そういったときにブースの傍らに『今日の治療薬』が控えていると今でも本当に頼りになる.慣れ親しんだわかりやすいレイアウトで記載された,決して過剰でない必要にして十分な情報,手にとりやすいサイズ感などの特徴は,研修医のころに感じたままで残されている.
それにもかかわらず,内容は常に進化しており,各所にさまざまな改良が認められる.個人的には,冒頭にある各薬効群ごとの解説の素晴らしさを評価したいと思っている.最近の動向,関連するガイドラインまで記載され,図表を多用しわかりやすく簡潔にまとめられた解説は日常診療において非常に有用である.また,高齢注意や運転注意のマークに加え,妊娠中,授乳期の薬剤使用に関するリスク分類を示す略号も記載されており,処方時に細心の注意喚起を行うような配慮を感じとることができる.
継承と進化のバランスを見事にとりながら充実した改訂を続ける本書は,日常臨床の傍らに携えておきたい一冊である.

臨床雑誌外科84巻6号(2022年5月号)より転載
[杏林大学消化器・一般外科教授・須並英二]

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