書籍

むかしの頭で診ていませんか?循環器診療をスッキリまとめました

編集 : 村川裕二
ISBN : 978-4-524-25811-6
発行年月 : 2015年8月
判型 : A5
ページ数 : 248

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日常の診療に役立つ知っておくと便利な循環器領域の知識をスッキリまとめた。(1)各項目の冒頭に結論を掲載(2)一般臨床医が遭遇する可能性が高い病態に絞って解説(3)「具体的にどうするのか」「なぜ考え方が変わったのか」など要点をギュッと凝縮しており、忙しい中で効率的に読み通せる。「循環器は専門でない」けれども「循環器疾患を診る機会がある」全科医師におすすめの一冊。

【内容目次】
1 安定狭心症はどこへ消えた?
2 何となく硝酸薬を使い続けていいか?
3 左室の収縮が良くても心不全は起こる
4 薬物治療を試みることなくカテーテルアブレーションを勧めていいか?
5 心室期外収縮の薬物治療は行わない
6 血圧を下げすぎるのはよくないのか?
7 ジギタリスはたくさん使わない
8 心不全にはβ遮断薬を使わなければならない
9 心拍数が低いことはいいことだ
10 CHA2DS2-VASc スコアがゼロでも抗凝固薬を使うことがある
11 発作性心房細動でも抗凝固療法を行うワケ
12 たこつぼ心筋症に出会うか?
13 最近のステントはどこが変わったか?
14 心電図で分からない心筋梗塞に出会ったら?
15 大動脈瘤は誰にできるか?
16 慢性心不全はどこを診るのか?
17 洞不全症候群でもペースメーカーを植込まないことがある
18 薬剤性QT延長が起きるのは誰か?
19 減塩しても血圧が下がらない人がいる
20 ワルファリンはもう使わないのか?
21 心房細動のカテーテルアブレーションで得する人と得しない人
22 間違った利尿薬の使い方とは?
23 足が腫れていたらどうするか?
24 痛い足に出会ったら?
25 血圧が低くて問題があるか?
26 肺気腫を治療する
27 Brugada症候群に出会う可能性はあるか?
28 頸動脈エコーで何が見えるか?
29 CTによる冠動脈検査は信用できるか?
30 肺塞栓症を疑うとき
31 肺炎か心不全か分からないとき
32 冠危険因子の数はどういう意味があるのか?
33 「何となくアスピリン」でいいか?
索引

序文

 この本は、
「循環器は専門でない」けれども、
「循環器疾患を診る機会がある」先生がた
を対象にしたものです。
 内視鏡検査を希望する患者さんから「虚血性心疾患の治療を受けた」と聞いたとき、消化器内科医が「その治療と、検査のリスク」をおおよそ理解できるほうが円滑な診療に結びつくはずです。
 糖尿病専門医のもとに通っている患者さんの血圧が高くなってきたとき、担当医が「どういう降圧薬が理にかなっているか」知っていたほうが、動きやすいでしょう。
 下肢の腫脹があるとき、整形外科医でも静脈の問題か、動脈の問題かを見きわめられたほうが、どの検査をオーダーして、いかなるタイミングで紹介状を書くか確信が持ちやすくなります。
 どういうところを心がけたかというと……
●各項目の冒頭に結論を書きました。
 「ああでもないこうでもない」という議論のあとに結論があっては、メッセージが見えにくくなるからです。
●循環器疾患をすべて扱っているわけではありません。
 「出会う可能性が高い」病態だけ扱っています。むずかしい疾患、まれな疾患に心を悩ますのはムダだと思ったからです。
●それぞれのスペシャリストに、「凝縮する」ことをお願いしました。
 読み通せる量になっています。
 楽しんで読んでいただければ嬉しいです。

2015年7月 編者

 本書が出版された。「すみません、むかしの頭で診ていました」というより、「むかしの頭」さえ定かではなくなりつつある中年外科医にとって、たいへん「スッキリまとまった」良書であり、勉強させていただいた。
 編者が序文で述べているとおり、この本の対象は「循環器の専門ではない」けれども、「循環器をみる機会がある」先生方である。社会の高齢化に伴い、循環器疾患をもつ高齢者が増加している。また、食生活の欧米化に伴い、虚血性心疾患を含む動脈硬化性疾患も増加している。となると、多くの外科医は循環器合併症をもつ患者に手術を行うことになり、また術後には循環器合併症に悩まされることになる。すなわち、外科医こそ本書のよい対象なのである。
 まず一読して感じるのは、わかりやすい。なぜかというと各章の冒頭に結論が書かれているからである。時間がなければここだけ読んでも、本書のエッセンスを知ることができる。さらに読みすすめると、コンパクトな中に最新のエビデンスが凝縮されていることがわかる。執筆者一覧をみても専門外の筆者にはどのような先生方なのかわからないが、おそらくそれぞれの領域の第一線の研究者であろうことは容易に想像できる内容である。
 高度に専門分化した現代の医療界において、術前・術後の循環器合併症に対しては循環器専門医の判断を仰ぐべきであることは論をまたない。しかしながら外科医としては、術前に自分の患者さんにどの程度の循環器リスクがあるのか、どこまで精査したらよいのか、リスクを軽減するにはどうしたらよいのか、はたまた術後に循環器合併症が発症した場合にはいったい何が起こっているのか、緊急性があるのか、等々、自分で判断しなければならないことも少なくない。この場合に、「むかしの頭」では困るのである。最新の知識をもって診療にあたるために、若手外科医はもちろんベテラン外科医の皆様方にもぜひ読んでいただきたい本である。

臨床雑誌外科78巻5号(2016年5月号)より転載
評者●がん研有明病院食道外科部長 渡邊雅之

 高血圧なら利尿薬、強心剤といえばジギタリスの時代に医師免許を取得しました。最初の5年間を過ぎると、どうしても専門(私の場合は呼吸器)のほうが忙しくなり、ときどきは医局の説明会で勉強するものの、日進月歩する各科の診療ガイドラインにはとてもついていけませんでした。さらに、数年ごとの改訂のたびにリッチになる内容には、寄る年波のせいかもうギブアップ状態です。
 本書の編集者 村川先生の序文には、『「循環器は専門でない」けれども、「循環器疾患を診る機会がある」先生方を対象にしたものです。』と書かれています。確かに33の項目中で、題名を見て「これ何」と思ったのは、1題のみ(No. 10:CHA2DS2-VAScスコアがゼロでも抗凝固薬を使うことがある)。あとは日々の診療中に浮かぶ正に古くて新しい疑問ばかり…。「No. 3:左室の収縮が良くても心不全は起こる」にはわが意を得たりの思い。「No. 5:心室期外収縮の薬剤治療は行わない」には目からウロコの思い。そして、「No. 6:血圧を下げすぎるのはよくないのか?」はやっぱりなと納得でした。
 よく「自家薬篭中のものとする」というけれど、本当にそういって恥ずかしくない薬を、いったい何種類もっているのだろう? と自問しました。本書ではジギタリスのような超古典的な薬から最新の抗凝固薬まで、非専門医でも処方する可能性が高い循環器疾患の薬について、思わず読みたくなるタイトルのもとに解説されています。たとえば、「No. 20:ワルファリンはもう使わないのか?」とか「No. 22:間違った利尿薬の使い方とは?」あるいは、「No. 33:「なんとなくアスピリン」でいいか?」などなど。どうです、読みたくなりませんか?
 各項目は冒頭に「結論から先に」で、知りたいエッセンスが簡潔にまとめられています。その後に、なぜそういえるのか? の解説が実に丹念に説明されていますので、興味をもって読み進めます。添えられている図表が大きくてみやすいのも老眼の身にとって嬉しい限りです。最後には「TAKE HOME MESSAGE」までついていますので、手っ取り早く知識を整理するのにも便利です。
 本書は、日常臨床で忙しい「循環器は専門でない」先生方にとって、頼りになる「座右の味方」になること請け合いです。私自身、きっとこれまでより自信をもって、スッキリとした頭で患者さんに向き合えると思います。ご一読をお勧めします。

臨床雑誌内科117巻4号(2016年4月増大号)より転載
評者●杏林大学医学部第一内科学教授 滝澤始