教科書

シンプル理学療法学シリーズ

高齢者理学療法学テキスト

  • 新刊

監修 : 細田多穂
編集 : 山田和政/小松泰喜/木村勉
ISBN : 978-4-524-25783-6
発行年月 : 2017年3月
判型 : B5
ページ数 : 228

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

サポート情報

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

高齢者に対する理学療法を実施するうえで必要な知識をコンパクトにまとめたテキスト。始めの6章で老年学や介護予防などの知識について解説、続く7章で高齢者に多くみられる疾患について症例を示しながら解説した。入所、通所、訪問リハビリテーションサービスの概要と高齢社会における理学療法士の役割についても章を設けた全15章構成。各章末にはシリーズ統一の「学習到達度自己評価問題」を掲載。回答も充実させ予習・復習に活用できるようにした。高齢者に対する理学療法の概要がつかめる一冊。

1 ライフステージと高齢者像
 A 老化とは
  1 加齢と老化
  2 生理的老化と病的老化
  3 老化のメカニズム
 B 高齢者のイメージ
  1 老いから想像するもの
  2 世代ごとの高齢者像
 C 高齢者に理学療法を実施するうえでの心構え
 D 高齢者の定義と分類
 E 老年期の発達課題と「老い」の受容
  1 老年期の発達課題
  2 「老い」の受容
 F 高齢者の心理
  1 身体的変化の視点からみた高齢者の心理
  2 社会的・経済的変化の視点からみた高齢者の心理
  3 家庭内の変化の視点からみた高齢者の心理
  4 過去への執着
  5 老年期の不安感・喪失体験
2 加齢に伴う心身機能の変化
 A 高齢者の身体的特徴
  1 運動機能
  2 感覚機能
  3 生理機能
 B 高齢者の認知・精神的特徴
  1 知能
  2 記憶
  3 感情
  4 人格
  5 意欲,生きがい
3 老年症候群
 A 老年症候群の概要
  1 老年症候群とは
  2 老年症候群の分類
  3 老年症候群と生活機能障害
 B 代表的な老年症候群
  1 フレイル,低栄養
  2 摂食・嚥下障害
  3 尿失禁
  4 認知症
  5 うつ
  6 睡眠障害,せん妄
  7 転倒
  8 寝たきり
4 高齢者の生活機能評価
 A 認知・精神機能の評価
  1 ミニメンタルステート検査(MMSE)
  2 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
  3 モントリオール認知評価検査(MoCA)
  4 Wechsler成人知能検査第3版(WAIS-III)
  5 Wechsler記憶検査(WMS-R)
 B 日常生活動作の評価
  1 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
  2 Barthel Index(BI)
  3 Katz Index
  4 機能的自立度評価法(FIM)
 C 生活環境の評価
  1 cost of care index(CCI)
  2 Zarit介護負担尺度(ZBI)
 D QOLの評価
  1 MOS short-form-36-item(SF-36v2)
  2 高齢者うつ尺度(GDS)
  3 意欲の指標(VI)
5 高齢者の健康寿命の延伸
 A 介護予防
  1 超高齢社会と介護保険
  2 介護予防事業
  3 介護予防における一次予防,二次予防,三次予防
  4 サルコペニア
  5 ロコモティブシンドローム(ロコモ)
  6 フレイル
  7 介護予防における運動
 B 介護予防の実際
  1 転倒・骨折の予防
  2 認知症の予防
6 高齢者の理学療法を実施するうえでの留意事項
 A 高齢患者の一般的特徴
 B 安静の弊害と廃用症候群(生活不活発病)
 C 高齢者の理学療法に伴うリスク管理
  1 血圧,不整脈
  2 リハビリテーション安全ガイドライン
  3 その他の注意すべきリスク
 D 低・過栄養と栄養管理
  1 エネルギーバランス
  2 低栄養の評価,把握
 E 運動と負荷量設定方法
  1 効果的な運動とは
  2 運動強度の設定方法
 F NCDs(非感染性疾患)の理解
  1 NCDsとは
  2 身体活動の重要性
  3 行動への介入
7 高齢者の骨・関節障害と理学療法(1)大腿骨頸部骨折
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 症状
 B 治療の概要
 C 理学療法の概要
  1 術前
  2 術後から退院まで
  3 退院後
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
8 高齢者の骨・関節障害と理学療法(2)変形性膝関節症
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 症状
 B 治療の概要
  1 保存療法
  2 手術療法
 C 理学療法の概要
  1 保存療法
  2 手術療法
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
9 高齢者の中枢神経障害と理学療法(1)脳血管障害(脳卒中)
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 病態
 B 治療の概要
  1 脳梗塞
  2 脳出血
  3 くも膜下出血
 C 理学療法の概要
  1 急性期
  2 回復期
  3 生活期
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
10 高齢者の中枢神経障害と理学療法(2)Parkinson病
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 症状
 B 治療の概要
 C 理学療法の概要
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
11 高齢者の代謝障害と理学療法 糖尿病
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 症状(高齢糖尿病患者の特徴的症状)
 B 治療の概要
 C 理学療法の概要
  1 理学療法開始時
  2 理学療法実施から退院まで
  3 退院後
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
12 高齢者の循環障害と理学療法 心疾患
 A 疾患の概要
  1 障害像
  2 症状
 B 治療の概要
 C 理学療法の概要
  1 急性期
  2 回復期
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
13 高齢者の呼吸器障害と理学療法 呼吸器疾患
 A 疾患の概要
  A-1.慢性閉塞性肺疾患
   1 障害像
   2 症状
  A-2.肺炎
   1 障害像
   2 症状
 B 治療の概要
  B-1.慢性閉塞性肺疾患
  B-2.肺炎
 C 理学療法の概要
  C-1.慢性閉塞性肺疾患
   1 リラクセーション
   2 気道クリーニング
   3 呼吸練習
   4 呼吸筋トレーニング
   5 ストレッチング
   6 運動療法
   7 日常生活活動の指導
  C-2.肺炎
 症例検討
  1 患者プロフィール
  2 理学療法経過
14 地域高齢者と理学療法士
 A 理学療法士がかかわる入所リハビリテーションサービス
  1 入所リハビリテーションサービスの概要
  2 入所リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
  3 入所リハビリテーションサービスの実際
 B 理学療法士がかかわる通所リハビリテーションサービス
  1 通所リハビリテーションサービスの概要
  2 通所リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
  3 通所リハビリテーションサービスの実際
 C 理学療法士がかかわる訪問リハビリテーションサービス
  1 訪問リハビリテーションサービスの概要数
  2 訪問リハビリテーションサービスの対象と理学療法士の役割
  3 訪問リハビリテーションサービスの実際
15 高齢社会の課題と展望
 A 高齢社会の課題
  1 高齢社会の現状
  2 病院完結型医療から地域完結型医療への移行
 B 地域包括ケアシステム
 C 高齢社会における理学療法士の役割
参考文献
索引
和文索引
欧文索引

序文

 わが国の高齢化率は1960年に5.7%であったが、2010年には23.0%となり、過去50年間で4倍以上になった。さらに2014年には26.0%となり、国民の4人に1人以上が高齢者という時代を迎えた。そして、2016年、高齢者は3461万人に達し、高齢化率は27.3%とさらに高率となっている。このように高齢化が進むなか、三世代世帯(祖父母、夫婦、子どもが同居している世帯)が世帯総数に占める割合は、1990年では13.5%、2000年では10.6%、2010年では7.9%と下がり続け、2015年には6.5%と過去25年間でおよそ半数となった。
 上記から見えてくることは、当然、理学療法の現場において高齢患者を担当する機会が増えているということ(むしろ大半が高齢患者と言っても過言ではないかもしれない)であり、その一方で、祖父母との同居が減少し、日常、高齢者と触れ合う機会が少なくなっているということである。
 残念ながら、ヒトは加齢とともに心身機能が衰える。そのため、高齢者は疾病に罹患しやすく、多種類の疾患と複数要因による症候を同時に保有することが多くなる。また、予備能が低く、回復力が低下していることから、疾病の重症化と障害の重度化をきたす危険性がある。また、社会から一線を退き、生活環境が変化した高齢者が抱く心理や感情も現役世代とは大きく異なる。
 これらを踏まえると、高齢患者に理学療法を実施する上で、その前提として“高齢者を理解すること”が重要となる。高齢者の多くが望んでいることは単なる長寿ではなく、最後まで質の高い人生を送ることである。本書では、それに応えるべく、高齢患者の理学療法に必要な知識、技術について以下の内容に重点を置き、執筆を進めてきた。
  ・高齢者をイメージできる
  ・加齢に伴う心身機能の変化を理解できる
  ・それを踏まえ、理学療法を実施する上での留意点を理解できる
  ・老年期に発症しやすい疾患の具体例から高齢患者の理学療法を深めることができる
  ・今後の高齢者に対する理学療法士の役割を知ることができる
 また、半期で行われる15回の講義回数に合わせて15章で構成した。
 我々は、本書が高齢者理学療法学の核心を突く教科書としてゆきたいと考えており、本書を活用して講義を担当される先生方や学生諸君からの忌憚のないご意見、ご批判を頂ければ幸いである。
 最後に、本書の発刊にあたり、さまざまなご助言を頂きました埼玉県立大学細田多穂名誉教授、ならびに編集のお手伝いを頂きました南江堂の藤原健人氏と吉野正樹氏に感謝の意を表します。

平成28年12月
編者を代表して 山田和政