教科書

看護学テキストNiCE

リハビリテーション看護改訂第2版

障害をもつ人の可能性とともに歩む

編集 : 酒井郁子/金城利雄
ISBN : 978-4-524-25749-2
発行年月 : 2015年12月
判型 : B5
ページ数 : 364

在庫あり

定価2,592円(本体2,400円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

リハビリテーション看護の専門性を意識し、実践へとつなげられるよう編集された大好評テキストの改訂版。基礎知識から最新の知見、また今後のリハビリテーション看護の展望までを包括的に解説している。今改訂では実践における具体的な記述を増やし、より臨地実習で活用しやすい内容としたほか、簡潔な記述を追求し,リハビリテーション看護のもつ魅力がより鮮明に伝わるよう編集した。

第I章 リハビリテーション看護とは
 1.リハビリテーションの目指すもの
  A.リハビリテーションの定義
  B.リハビリテーションの分野(教育的・医学的・社会的・職業的)
 2.リハビリテーション看護を支える法律
  A.リハビリテーション専門職と法律
  B.医療機関と法律
  C.障害者としての認定作業
  D.福祉サービスと法律
  E.介護保険制度
  F.障害年金
 3.リハビリテーション看護に必要なチームアプローチ
 4.リハビリテーション医療に携わる専門職の役割・機能
  A.リハビリテーション医療に携わる専門職種
  B.専門職の役割と機能
 5.リハビリテーション看護の専門性
  A.リハビリテーション看護の定義
  B.“療養上の世話”として展開するリハビリテーション看護
  C.“診療の補助”として医療展開中に求められるリハビリテーション看護
第II章 生活機能障害をもつ人とその家族の理解
 1.生活機能分類と生活機能障害の構造
  A.生活機能とは何か
  B.ICFモデルとその理念
  C.ICFの構造と構成因子
  D.新しいモデルの目的,目指すところ
 2.患者と家族が体験する障害の世界
  A.脳卒中を生きる意味
  B.健常者の文化から障害者の文化へ移行すること−マジョリティからマイノリティへの移行(身体障害者の例から)
  C.障害とともに年をとる
第III章 リハビリテーション看護の展開に必要な概念と理論
 1.リハビリテーションを必要とする人への看護の目的を定めるために
  A.QOL
  B.自立から自律へ
  C.セルフケア
  D.動機と主体性
  E.自我発達
 2.リハビリテーションを必要とする人との関係を構築するために
  A.協働的パートナーシップ
  B.相互作用と意味ある世界
 3.リハビリテーションを必要とする人への看護を展開するために
  A.動きやすい環境
  B.日常生活活動の構造
  C.成人における学習と移行
  D.専門職連携実践
第IV章 リハビリテーション看護の目的と方法
 1.不動・低活動の予防(生命レベル)
  A.廃用症候群とは
  B.不動・低活動がもたらす弊害
  C.不動・低活動の予防
 2.活動の促進
  A.活動の促進とADL
  B.活動の促進に向けた自助具・補装具使用の意義
  C.活動の促進に向けたADL支援方法
 3.参加の促進(人生レベル)
  A.参加とは
  B.行動範囲を拡大できるような機会の整備
  C.住居環境をアセスメントする
  D.外出する機会の整備
第V章 回復過程とリハビリテーション看護
 1.急性期におけるリハビリテーション看護
  A.急性期のリハビリテーションとは
  B.急性期のリハビリテーションが行われる場とその特徴
  C.急性期におけるリハビリテーション看護の目的と方法
  D.急性期におけるリハビリテーション看護の評価
 2.回復期におけるリハビリテーション看護
  A.回復期のリハビリテーションとは
  B.回復期のリハビリテーションが行われる場とその特徴
  C.回復期におけるリハビリテーション看護の目的と方法
  D.回復期におけるリハビリテーション看護の評価
 3.生活期におけるリハビリテーション看護
  A.生活期リハビリテーションとは
  B.生活期リハビリテーションが行われる場とその特徴
  C.生活期におけるリハビリテーション看護の目的とその方法
  D.生活期におけるリハビリテーション看護の評価
第VI章 生活機能障害とリハビリテーション看護
 1.高次脳機能障害を有する人への看護
  A.高次脳機能障害とは
  B.高次脳機能障害の症状
  C.高次脳機能障害のアセスメント
  D.高次脳機能障害者の医学的リハビリテーションと看護師の役割
  E.高次脳機能障害者の社会復帰・生活・介護支援プログラムと看護師の役割
 2.言語機能障害を有する人への看護
  A.コミュニケーションとは
  B.言語機能
  C.失語症の理解と基本的なリハビリテーション
  D.言語機能障害のアセスメントと看護援助
 3.麻痺による運動機能障害を有する人への看護
  A.運動障害とは
  B.脳血管障害とは
  C.脳血管障害による運動障害に対するリハビリテーション看護
  D.脊髄損傷とは
  E.脊髄損傷の回復過程別にみた看護
 4.運動器症候群を有する高齢者への看護
  A.運動器症候群とは
  B.大腿骨近位部骨折とは
  C.大腿骨近位部骨折のリハビリテーション看護
 5.障害を有する子どもへの看護
  A.障害を有する子どもとリハビリテーション
  B.障害を有する子どものリハビリテーションに関わる基本的考え方
  C.障害が子どもの発達に及ぼす影響と援助の基本
  D.障害を有する子どものニーズ
  E.障害を有する子どもの家族の特徴と支援
  F.発達段階の視点からみた発達障害を有する子どもの支援
 6.循環機能障害を有する人への看護(心筋梗塞を中心に)
  A.心筋梗塞とは
  B.心筋梗塞患者へのリハビリテーション
  C.急性期から回復期における患者教育
  D.入院中における看護の展開
 7.呼吸機能障害を有する人への看護
  A.呼吸機能障害とは
  B.呼吸リハビリテーションの対象と評価
  C.呼吸リハビリテーションの方法
 8.摂食嚥下障害を有する人への看護
  A.摂食嚥下障害とは
  B.摂食嚥下のメカニズム
  C.摂食嚥下障害の原因
  D.摂食嚥下障害を有する人への看護
  E.摂食嚥下障害のアセスメント
  F.嚥下障害を有する人への看護−間接訓練と直接訓練
 9.排泄機能障害を有する人への看護
  A.排泄とは
  B.排尿障害の理解
  C.排尿障害をもつ人へのリハビリテーション看護
  D.排便障害の理解
  E.排便障害をもつ人へのリハビリテーション看護
第VII章 リハビリテーション看護における倫理的諸問題
  A.看護の倫理とリハビリテーションにおける看護の専門性
  B.リハビリテーション看護における倫理的葛藤および倫理的問題
  C.リハビリテーション展開における倫理的問題
第VIII章 リハビリテーション看護のシステム化と発展を目指して
 1.療養の場の移行に伴う看護の継続
  A.リハビリテーションを行う場
  B.場の移行に伴う看護の継続
  C.看護の継続の評価
 2.地域包括ケアを支える地域リハビリテーションシステムと理念
  A.地域リハビリテーションのあるべき姿
  B.地域リハビリテーションとは
  C.地域リハビリテーションと地域包括ケア
  D.地域リハビリテーションをめぐる課題
  E.地域リハビリテーションを具現化するには
 3.リハビリテーション看護の現状と課題
  A.オーストラリアにおけるリハビリテーション看護の現状と課題
  B.日本におけるリハビリテーション看護の現状と課題
付録
 付録1 評価スケール
 付録2 身体の関節運動と可動域
 付録3 自助具・補助具一覧
索引

はじめに

 本書初版は、2010年4月に出版されました。それから11ヵ月後、東日本大震災をはじめとする大きな災害が次々と世界を襲いました。戦争と紛争は途絶えることがなく、したがって世界の国々では、生活機能障害を持つ人々が増え続けています。日本では、少子高齢社会の到来とともに、医療・介護保険制度が大きく変化し、地域包括ケアの時代が本格的に始まりました。高度医療の恩恵により命が助かる人が増えていることは喜ばしいことですが、病の回復過程では生活機能障害の克服と共存が常に求められます。
 このような状況にあって、看護職となる皆さんが、体系化されたリハビリテーション看護の知識を学ぶことは大きな意味があります。
 リハビリテーションは、単に治療法やプログラムを指すのではなく、生活機能障害と向き合う人々がよりよく人生を生きる、すなわちQuality of Lifeに焦点を当てた、当事者と支援する人々のよりどころとなる思想を含みます。そしてそれは、個人への直接的な援助にとどまらず、家族、地域、社会システムの改革を志向するものです。しかし、理念だけでは障害をもつ人々に対する具体的な援助に結び付けることは困難です。根拠のある実践を社会に浸透させて初めて、リハビリテーション看護の社会への貢献が明らかになるのではないでしょうか。
 初版の前書きで「“リハビリテーション看護”とは、“健康な生活”という視点から、障害をもった人の可能性を見出し、困難に満ちているかもしれない人生の長い旅を支え続ける活動です」と書きました。その思いは5年たった今も変わりません。失ったことに思いをはせつつ、しかし同時に未来のよりよい自分を想像しつつ、今を生きる、ということは、障害を持っていても、いなくても、人として生きていくときの基本となる姿勢であり、その意味で、リハビリテーション看護に携わる人々は、生活機能障害を持つ人々と同じなのです。
 第2版では、内容を大きく変更することはありませんでした。それは初版にリハビリテーション看護に必要な要素はほとんど含まれていると考えたからです。しかしながら、加筆を必要としたことがらがいくつかあります。まず、リハビリテーションにかかわる法律について新しく書き起こしました。リハビリテーションは包括的な活動であり、医療のみならず、多様な専門領域の人々が協働して活動します。これらの人々が依って立つ法律の理解は、共に働く人の活動を理解するのに役立つでしょう。また「社会資源」と称される、障害をもつ人の生活支援にかかわる法律についても説明を加えました。そのほかに読者のニーズに応じ、呼吸機能障害を有する人へのリハビリテーション看護を加筆しました。その上で全体的に内容を見直し、各種統計数値やコラムなどを新しくしました。
 リハビリテーション看護の奥深さ、魅力がより鮮明に伝わるように心掛けたつもりです。
 さあ、リハビリテーション看護の探究の旅に出かけましょう。

2015年11月
酒井郁子
金城利雄