教科書

シンプル理学療法学シリーズ

地域リハビリテーション学テキスト改訂第3版

監修 : 細田多穂
編集 : 備酒伸彦/樋口由美/対馬栄輝
ISBN : 978-4-524-25481-1
発行年月 : 2018年1月
判型 : B5
ページ数 : 358

在庫僅少

定価4,752円(本体4,400円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

医療・福祉の観点から地域リハビリテーションについて解説した、高齢者・障害者の生活自立支援に必要な知識・技術を習得するためのテキスト。地域リハビリテーションの現場で求められる知識が充実しているのが特徴。今改訂では、「地域包括ケアシステム」を中心とする法制度の改定に対応し、大幅な内容更新を行った。国試出題基準にも対応し、地域リハビリテーションの総論から各論まで網羅した充実の改訂版。

総論
 1 地域リハビリテーションの考え方
  A ノーマライゼーションNormalization(等生化)
   1 成り立ち
   2 定義
   3 世界・わが国への展開
  B 地域リハビリテーションの定義
  C 理学療法士が担う役割の範囲
  D 時代とともに変わる高齢者リハビリテーションと介護
  E 地域リハビリテーションで求められる考え方と姿勢
   1 正解は1つではないことを知る,他者と相談をする(連携とリーダーシップ)
   2 生活支援のためには身体機能以外の要素の重要性を認識して活用する
   3 寄り添うということ
  F まとめ
 2 制度の変遷
  A 制度を知ることの意義
   1 何のために制度を知る必要があるのか?
  B 制度の変遷
   1 第二次世界大戦前から戦後,1950年代まで
   2 1960年代
   3 1970年代
   4 1980年代
   5 1990年代
   6 2000年代
   7 2010年代
  C まとめ
 3 介護保険サービス概論(介護保険の仕組み)
  A 保険者と被保険者
  B 申請から受給まで
   1 申請から1次判定まで
   2 要介護認定(2次判定)
   3 介護サービス利用計画(ケアプラン)
   4 サービスの利用
   5 利用期間
  C 制度の現状と今後
  D 福祉用具と介護保険
 4 地域包括ケアシステムのなかでの理学療法士の役割
  A 人口構造の変化と社会保障への影響
   1 人口構造の変化
   2 超高齢化が社会保障に及ぼす影響とは
  B 地域包括ケアシステムと地域リハビリテーション
   1 地域包括ケアシステムとは
   2 地域包括ケアシステムのなかで地域リハビリテーションに期待される役割とは
  C 地域リハビリテーションに関連する主な政策の動向
   1 退院支援の機能強化
   2 多職種協働の推進−ケア職との連携・協働の推進−
   3 ケアマネジメントの機能強化
   4 生活期リハビリテーションマネジメントの機能強化
   5 介護予防の機能強化
  D 地域リハビリテーションにかかわるリハビリテーション職に期待される役割
   1 退院支援プロセスへの関与の強化−適切なリハビリテーション継続の実現に向けて−
   2 多職種協働による自立支援型ケアの推進
   3 ケアマネジメントの機能強化支援−課題解決に向けた適切な助言の実施−
  E おわりに
 5 地域支援事業のなかでの理学療法士の役割
  A 地域支援事業創設の背景と見直しの方向性
   1 地域支援事業創設の背景(2006[平成18]年4月〜)
   2 地域支援事業(創設当時)の主な内容
   3 地域支援事業の見直しの方向性
  B 総合事業の概要と理学療法士の役割
   1 総合事業とは
   2 従来の介護予防事業の問題点と見直しの方向性
   3 従来の予防給付の問題点と見直しの方向性
   4 総合事業における理学療法士の役割とは
  C 地域ケア会議推進事業の概要と同事業における理学療法士の役割
   1 地域ケア会議(地域ケア個別会議+地域ケア推進会議)とは
   2 地域ケア個別会議(多職種による事例検討会)が導入された背景
   3 地域ケア個別会議における理学療法士の役割
  D 在宅医療・介護連携推進事業の概要と理学療法士の役割
   1 在宅医療・介護連携推進事業とは
   2 先進事例の紹介(千葉県柏市)
   3 在宅医療・介護連携推進事業における理学療法士の役割
  E おわりに
 6 事業企画に携わる理学療法士
  A 本章の趣旨
  B 企画に携わる理学療法士に求められるもの
   1 説明する能力
   2 広い概念をもつこと
  C 具体的事業の実例
   1 高齢者の能力を活用した福祉用具供給事業
   2 失語症キャンプ
  D ケア論が制度論を築く
 7 地域リハビリテーションにおける関連職種の紹介
  A 定義からみた連携の重要性
  B 連携する主な専門家
   1 介護支援専門員
   2 医師
   3 歯科医師
   4 看護師(訪問看護師)
   5 保健師
   6 作業療法士
   7 言語聴覚士
   8 社会福祉士
   9 介護福祉士
   10 訪問介護員
   11 薬剤師
   12 栄養士(管理栄養士)
   13 歯科衛生士
   14 福祉用具専門相談員
   15 健康運動指導士
   16 機能訓練指導員
各論
 8 介護保険サービス下(生活支援場面)での理学療法(士)
  8-1 生活支援にかかわる理学療法士の役割
   1 ケアのコーディネーターとしての役割
   2 身体機能・動作の評価者としての役割
   3 身体機能・動作を改善する者としての役割
   4 ケアの質を高めるための役割
  8-2 介護老人保健施設
   A 介護老人保健施設の機能
    1 施設サービスと居宅サービス
    2 医療機能に特化した機能
   B 理学療法士の役割,業務
    1 理学療法士としての立場
    2 地域リハビリテーションを担う立場
   C 今後の課題
  8-3 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
   A 介護老人福祉施設の機能(特別養護老人ホーム)
    1 概要
    2 暮らしを支えるための機能
    3 看取りの場としての機能
   B 理学療法士の役割,業務
    1 理学療法士としての立場
    2 地域リハビリテーションを担う立場
    3 まとめ
  8-4 訪問リハビリテーション
   A 訪問リハビリテーションの機能
    1 訪問リハビリテーションに関係する制度
    2 訪問リハビリテーションの事業運営
   B 訪問リハビリテーションのサービスの実際
    1 サービス提供前の流れ(事前訪問)の5つの段階
    2 サービス提供時の流れ(初回訪問,定期訪問)の5つの段階
    3 サービス提供に必要な5つの専門技術
   C 訪問リハビリテーションの今後の課題
  8-5 通所リハビリテーション(デイケア)
   A 通所リハビリテーション(デイケア)の機能
    1 通所リハビリテーションの歴史と機能の変遷
    2 通所リハビリテーションの機能
   B 理学療法士の役割・業務
    1 理学療法士としての立場
    2 地域リハビリテーションを担う立場
   C まとめ
  8-6 通所介護(デイサービス)
   A 通所介護の機能
    1 通所介護とは
    2 通所介護の法的な要件
    3 通所介護のサービス提供の意義
    4 通所介護のサービス提供の実際
   B 通所介護における理学療法士の役割,業務
    1 理学療法士としての立場
    2 地域リハビリテーションを担う立場
 9 介護予防と健康増進
  9-1 介護予防と健康増進の概念
   A 介護予防
    1 介護予防の概念
    2 要支援・要介護状態となる原因
    3 2次予防の対象者像
    4 介護予防の効果的な取り組み
    5 介護予防の評価指標
   B 健康増進
    1 健康増進の概念
    2 健康日本21(第二次)
  9-2 これまでの介護予防事業のあり方
   A 介護予防事業
    1 介護予防事業における1次予防,2次予防の対象者とは
    2 1次予防事業
    3 2次予防事業
    4 「予防重視型システム」から「地域包括ケアシステム」へ
  9-3 介護予防・日常生活支援総合事業の実際
   A 介護予防と日常生活支援総合事業について
    1 これからの介護予防
    2 新しい介護予防事業
    3 介護予防・日常生活支援総合事業
    4 地域リハビリテーション活動支援事業
    5 地域づくりによる介護予防推進支援事業(2014[平成26]年〜)
    6 新しい総合事業
   B 介護予防の推進と生活支援の充実
  9-4 [実例]兵庫県洲本市の取り組み
   A 洲本市いきいき百歳体操(住民主体の通いの場)
    1 取り組みにいたった背景
    2 洲本市におけるいきいき百歳体操とは
    3 洲本市のいきいき百歳体操の支援
    4 事業の具体的内容
    5 国の取り組み状況
   B 洲本市自立支援型地域ケア個別会議
    1 取り組みにいたった背景
    2 自立支援型地域ケア個別会議の目的
    3 自立支援型地域ケア個別会議の中身
  9-5 健康増進を目指す取り組み
   A 理学療法士の健康増進へのかかわり
   B 青・壮・中年期について
    1 生活習慣病対策の必要性
    2 生活習慣病に対する運動効果
    3 評価方法
    4 介入方法
    5 実際の介入のアドバイス
    6 指導の注意点
    7 運動セルフエフィカシーの活用
    8 今後の健康増進における理学療法について
 10 リハビリテーション介入の効果判定
  A 何をもって効果判定とするか
   1 運動機能の評価
   2 介入効果としてのエンドポイントとアウトカムを考える
  B 介入効果を調べる
   1 研究デザイン
   2 データの考え方
  C 効果の判定
   1 データの観察
   2 統計解析
  D 具体的な効果判定の解釈例
   1 効果判定例(1)
   2 効果判定例(2)
 11 住環境整備
  11-1 住宅改修・福祉用具
   A 理学療法士養成における生活環境学
   B 生活環境改善の手法(総論)
    1 生活環境学を基盤とする具体的サービスとその効果
    2 生活環境上の問題解決のための3つの段階
   C 生活環境改善の手法(各論)
    1 アプローチおよび玄関における生活環境整備
    2 廊下や居間,寝室における生活環境整備
    3 トイレにおける生活環境整備
    4 風呂場における生活環境整備
   D 福祉用具導入の視点とポイント(総論)
    1 適合
    2 適合に必要なアセスメントの3つの視点
   E 福祉用具導入の視点とポイント(各論)
    1 移動にかかわる主な福祉用具
    2 睡眠環境整備にかかわる主な福祉用具
    3 トイレにかかわる主な福祉用具
    4 浴室にかかわる主な福祉用具
  11-2 生活環境改善に必要な建築用語の知識
 12 障がい者スポーツ
  A 障がい者スポーツとは
  B 障がい者スポーツの大きな特徴「障害区分(classification)」
  C パラスポーツの紹介
   1 アーチェリー
   2 陸上競技
   3 ボッチャ
   4 自転車(トラック,ロード)
   5 馬術
   6 視覚障がい者5人制サッカー
   7 ゴールボール
   8 柔道
   9 パラカヌー
   10 パラトライアスロン
   11 パワーリフティング
   12 ボート
   13 射撃
   14 競泳
   15 卓球
   16 シッティングバレーボール
   17 車いすバスケットボール
   18 車いすフェンシング
   19 ウィルチェアーラグビー
   20 車いすテニス
   21 パラバドミントン
   22 パラテコンドー
   23 アルペンスキー
   24 クロスカントリースキー
  D その他のスポーツ
   1 フライングディスク
   2 車いすツインバスケットボール
   3 電動車いすサッカー
  E スポーツと地域リハビリテーション
 13 対人援助技術
  A 対人援助とは
   1 ソーシャルワークの種類
  B ケースワークとは
   1 ケースワークの援助関係
   2 リハビリテーションの専門職業的援助関係の特殊性
   3 専門職業的対人関係(ラポール)
   4 援助者の自己覚知
  C ケースワークの原則
   1 個別化
   2 意図的な感情表現
   3 受容
   4 統制された情緒的関与
   5 非審判的態度
   6 クライエントの自己決定
   7 秘密保持
  D エンパワメント
   1 エンパワメントとは
   2 対人援助におけるパワーの理解
   3 エンパワメント・アプローチの方法
  E コミュニケーション技法
   1 コミュニケーション実施の配慮
   2 コミュニケーションの種類と留意点
  F 対人援助における面接技法
   1 面接の構造化
   2 面接技法
   3 効果的な面接技法
  G マッピング技法
   1 マッピング技法とは
   2 ジェノグラム
   3 エコマップ
生活場面での疾患・状態像の理解
 14 認知症
  A 認知症とは
   1 認知症の定義
   2 診断
   3 原因疾患
   4 中核症状と行動・心理症状(BPSD)
   5 認知症のステージ
  B 疾患の特徴と治療および対処法
   1 血管性認知症(VD)
   2 アルツハイマー型認知症(AD)
   3 レビー小体型認知症(DLB)
   4 前頭側頭葉変性症(FTLD)
  C 認知症の本人どうしの支え合い(ピアサポート)
  D 家族の介護負担の軽減
  E 地域の協力
   1 安心して住める地域づくり
   2 徘徊セーフティネットワーク
 15 精神領域(統合失調症,双極性障害)
  A 精神疾患とは
   1 精神医療の歴史
   2 精神疾患の概念
   3 精神疾患の分類
   4 精神疾患の評価
   5 精神機能の概要
  B 精神疾患の状態像と治療
   1 統合失調症
   2 双極性障害
  C 精神疾患に対する適切なリハビリテーションサービス
  D 精神疾患における日常生活の障害
  E 精神科領域における理学療法の役割
 16 発達障害(運動発達遅滞,精神発達遅滞)
  A 発達障害とは
  B 運動発達遅滞および精神発達遅滞
   1 運動発達遅滞および精神発達遅滞とは
   2 運動発達遅滞と精神発達遅滞の関係
   3 重症心身障害と重度重複障害の概念
  C 発達障害の主な基礎疾患
   1 運動発達遅滞が主となる疾患
   2 精神発達遅滞が主となる疾患
  D 発達障害における日常生活の障害
   1 姿勢保持・随意運動の障害
   2 呼吸機能の障害
   3 摂食・嚥下機能の障害
  E 発達障害の理学療法
   1 姿勢の検討
   2 運動療法
   3 呼吸理学療法
 17 慢性呼吸不全
  A 慢性呼吸不全とは
  B 疾患の概説
   1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
   2 間質性肺炎
   3 肺結核後遺症
   4 神経筋疾患
  C 呼吸リハビリテーション
  D 呼吸理学療法
   1 定義
   2 評価
   3 基本手技
   4 在宅でのポイント(身体活動・他)
  E 在宅酸素療法(HOT)
   1 HOTとは−対象疾患−
   2 HOTで用いられる機器
   3 理学療法介入のポイント
  F 在宅人工呼吸療法(HMV)
   1 HMVとは−対象疾患−
   2 HMVで用いられる機器
   3 理学療法介入のポイント
 18 嚥下困難
  A 嚥下困難とは
   1 正常な摂食嚥下
   2 異常な嚥下
  B 嚥下困難を引き起こす主な原因
   1 脳血管障害
   2 パーキンソン病
   3 認知症
   4 加齢
  C 嚥下困難の評価
   1 基礎的情報の把握
   2 自覚的・他覚的症状の把握
   3 身体所見
   4 スクリーニング検査
  D 嚥下困難に対する理学療法
   1 姿勢へのアプローチ
   2 頸部,体幹機能へのアプローチ
   3 呼吸リハビリテーション
 19 ターミナルケア
  A ターミナルケアとは
  B 日本人の死因と亡くなる過程
  C がん患者のターミナルケア
   1 がんの疼痛
  D 非がん患者のターミナルケア
  E リスク管理
  F 在宅ターミナルケアを取り巻く現状と課題
演習・ケーススタディ
 20 実際の事例
  20-1 脳卒中
   A 事例紹介
    1 一般情報
    2 身体機能
    3 ADL
    4 1日の生活状況
    5 住環境
   B 本事例への介入
    1 問題点とその要因
    2 評価とその方法
    3 介入内容
  20-2 進行性の難病
   A 事例紹介
    1 一般情報
    2 住環境
    3 在住地域の特性
    4 ADL
   B 本事例への介入
    1 問題点の抽出
    2 介入ポイント
    3 介入内容
    4 考察
  20-3 精神疾患
   A 事例紹介
    1 一般情報
   B 本事例への介入
    1 問題点の抽出
    2 介入のポイント
    3 介入内容
  20-4 認知症
   A 事例紹介
    1 一般情報
    2 ADL
    3 IADL
    4 記憶とコミュニケーション
    5 住環境
   B 本事例への介入
    1 問題点の抽出
    2 介入ポイント
    3 介入内容
  20-5 重症心身障害
   A 事例紹介
    1 一般情報
    2 身体機能
    3 ADL
   B 本事例への介入
    1 問題点の抽出
    2 介入ポイント
    3 介入内容
    4 考察
参考文献
索引

改訂第3版の序

 人に深くかかわる理学療法士という職に就こうとする学生諸君にどれほどの覚悟があるだろうか。また、学生諸君を育てる私たちにどれほどの気概があるだろうか。この問いは、学生諸君を子ども扱いするものでも、私たち自身を自虐するものでもない。理学療法士は他者の人生に影響を与えるほどの重責を負っているということから生まれた自然な問いである。
 本書は、わが国の人口減少と壺型の人口構造がますます進展するなかで、地域リハビリテーションのあり方とその方法について指針を示すもので、筆者一同、地域リハビリテーションを必要とする人々の要請に応える覚悟と気概をもって本書の作成に臨んだつもりである。そしてその内容は、実践的であることと科学的であることを守り、実効性のある地域リハビリテーションのテキストとなるよう心がけた。
 本書では、「地域ケア会議」などについてMOVIE(動画)を作成し、補助教材として活用いただけるようにした。これらのMOVIEを作成するにあたり、あらためて理学療法士の仕事を振り返り、リハビリテーション・ケアのリーダーとしての役割の大きさを再認識した。理学療法士の一義的な役割は、理学療法という技術を、それを必要とする人に提供することである。これに加えて、理学療法士はリハビリテーション・ケアのリーダーとしてチームを牽引し、あらたなサービスを産み出す役割さえ担っているという意識をもつこと。これは、これからの地域リハビリテーションを発展させていくうえで不可欠なものである。
 本書が、世界に例をみない人口構造の中を突き進むわが国にあって、地域リハビリテーションを推進することのできる理学療法士育成の一助になることを願って、改訂第3版の序としたい。

平成29年11月
編者を代表して 備酒伸彦