教科書

新・看護生理学テキスト

看護技術の根拠と臨床への応用

編集 : 深井喜代子/佐伯由香/福田博之
ISBN : 978-4-524-24703-5
発行年月 : 2008年5月
判型 : B5
ページ数 : 512

在庫あり

定価5,184円(本体4,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

前版『看護生理学テキスト』の内容に最新の情報を加え、刷新。新たに「学習目標」「キーワード」「学習課題」を設け、より利便性を高めた。看護による看護のための生理学テキストという編集方針のもと、医学生向けテキストに匹敵する内容構成で、複雑な生理現象をわかりやすく解説。初学者のみならず現役看護師の再学習にも必携のテキスト。

1 細胞の一般生理
2 神経細胞
3 筋収縮と運動
4 中枢神経系
5 自律神経系
6 感覚
7 循環系
8 血液
9 体液
10 免疫
11 呼吸
12 消化と吸収
13 栄養と代謝
14 尿生成と排泄
15 体温調節
16 内分泌系
17 生殖
18 生体リズムとホメオスタシス
19 成長と老化
20 生理学的測定法の実践応用

20世紀終盤以降、遺伝子解析や分子レベルのシグナル伝達機構の解明、さらにはヒトの脳機能への集学的なアプローチなど、生命科学は地球規模で飛躍的な進歩を遂げつつあります。科学の進歩は医療の世界にも影響を与え、新しい診断・治療技術が次々と医療現場に導入されるようになりました。こうした時代背景のなかで、看護者に、より高いケア技術と専門性が求められていることは言うまでもありません。
 保健・医療関連の専門職のなかにおいて、医師の主な役割は人体の構造と機能を含む生命科学の知識を駆使して診断・治療を行うことです。これに対して、看護者の役割はそれらを活用して、医療を補助するとともに対象の療養生活全般を管理・指導することです。このことから、看護職の特徴の一つは「人体の構造・生理機能や疾患についての広く確かな知識を、(医師に次いで)豊富にもち活用できる専門家であること」といえます。しかしながら、看護実践に必要・十分なそれらの知識を獲得できる教育環境があるでしょうか。
 編者のひとり、深井のルーツは生理学者ですが、後に看護学を修め看護実践にたずさわってわかったことは、多くの看護師が人体の生理機能の慢性的な知識不足を認識していることでした。医学教育と看護学教育の双方に関わったからこそ知り得たのかもしれませんが、専門基礎科目のなかでも看護者にもっとも必要とされる人体の形態・機能学において、看護学教育に用意された教育は内容・時間ともに、医学教育のほんの2割にすぎません。「生理学に弱い」という看護者の悩みの原因は彼らの勉強不足にあるのではなく、教育体制自体に問題があることは自明です。
 本書は私どものそうした思いから誕生しました。本書の旧版である『看護生理学テキスト−看護技術の根拠と実践への応用』は8年前(2000年)に刊行されました。このテキストは「看護者による、看護者のための看護生理学の教科書を作りたい」というポリシーにご賛同くださった方々の努力と希望の結晶ともいえる画期的なものでした。なぜなら、その当時、著者全員が臨床経験のある看護学者であるようなテキストは、わが国には1冊も存在しなかったからです。残念なことに、8年を経た今日でも、このような生理学のテキストはいまだ登場していません。その理由は、このテキストの著者たるべき看護学者がまだ十分に育っていないからかもしれません。昨今の看護学教育の驚異的な大学化・大学院化によって、近い将来、そうした人材が続々と誕生することを期待する限りです。
 本書は、看護学の初学者だけでなく大学院生、すべての看護実践者(看護師・保健師・助産師すべて)、そして看護学の教育・研究者を対象に書かれています。すなわち、本書においても、旧版のコンセプトである「看護実践の質の向上と、看護学の発展のために看護生理学が担うべき使命を果たすこと」を踏襲しました。そのため、看護者に求められる可能なかぎり高いレベルの人体の生理機能の知識が得られるように、テキストの内容構成は医学生対象のテキストと同程度となっています。それゆえ、本文中の要所に平易な説明を加え、適宜欄外説明もつけるなど、読者が馴染みの薄い専門用語につまずくことなく読み進められるよう、最大限の配慮をしました。
 また、本書『新・看護生理学テキスト−看護技術の根拠と実践への応用』は、旧版の改訂版というより、むしろその姉妹編といってよいかたちで生まれ変わりました。前述したように、近年の自然科学の進歩に伴って生理学領域でも新しい知見が次々に見出されており、常識となりつつある理論をとりあげることはテキストの使命でもあります。『新・看護生理学テキスト』では旧版『看護生理学テキスト』の既存章の内容を時代に合わせて更新・追加するとともに、新たに「細胞の一般生理(1章)」「生体リズムとホメオスタシス(18章)」「成長と老化(19章)」、そして「生理学的測定法の実践応用(20章)」を加えました。これらの章は人間を対象とする看護実践に必要なだけでなく、人間科学としての看護学の研究者が近い将来必要とするだろう知識と視点を提供すると確信します。本書ではまた、学習者、とくに初学者が自発的に学習しやすいように各項の冒頭には「学習目標」を、また項末には「学習課題」を示しました。そして、旧版同様、主要な専門用語には原語併記を充実させ、索引に加えて用語解説も設け、臨床や研究で活用しやすいようにしました。
 本書はこのように充実した内容の生理学テキストとなっていますが、それだけに、現行の看護学教育カリキュラムの時間枠の中ですべてを学ぶことは不可能ですし、初学者にはやや高度な内容もあります。看護の基礎教育では、内容は薄くてもよいから、できるだけ平易な教科書を、詳しい教科書は卒後教育で、という考えもあるかもしれません。しかし、実践の場で臨床応用に耐えうる専門的な生理学教育を誰が担うのでしょうか。そうした現実問題にさしあたって対応できる方策は、いつでも傍らに置いて、困ったときに問題解決してくれる、頼れるテキストが存在することであると、編者らは考えます。けだし、ありがたいテキストというのは、学生時代にすり切れるまで頻回に開くことはもちろんですが、専門職に就いても(その中に必ず答えを見出せるので)知識の拠り所として頼り続けられるもの、そしてよりアドバンストな知識の要求にも応えられる内容を備えているものであるはずです。
 本書がEvidence−Based Nursingを目指すすべての看護者の知識の拠り所となることを希望します。看護学を学ぶ学生諸君はいうに及ばず、看護実践の場で活躍されている看護者の方々にも大いにご活用いただくことを切望します。また、本書に対するご意見、ご感想などお寄せいただけたら幸甚です。
2008年3月20日
編者を代表して
深井喜代子