教科書

人体解剖学実習

要点と指針

編集 : 大谷修
ISBN : 978-4-524-24354-9
発行年月 : 2011年8月
判型 : A4
ページ数 : 330

在庫あり

定価8,424円(本体7,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

現代の解剖学実習の内容、時間(回数)に対応した実習書。導入部では法律や倫理的内容を含む基本的な知識と解剖手技を解説。部位別に34項目に分け、剖出手順と観察すべき内容を、ポイントをおさえた解説と多数のわかりやすい剖出図により説明する。さらに臨床的記述「Clinical Note」の項目を設け、臨床医学の基礎として学生の予習復習にも配慮している。長年実習に携わる執筆陣による新しい解剖実習書。

総論
1章 法律・献体・健康
 1.人体解剖学実習に関する法律
 2.篤志献体と人体解剖学実習
 3.健康管理
2章 解剖学の基礎知識
 1.解剖学用語
 2.皮膚
 3.骨格
 4.筋
 5.血管系とリンパ管系
 6.神経系
3章 実習の進め方
 1.解剖用具等
 2.皮膚のはがし方
 3.解剖の基本手技
 4.神経・脈管の区別の仕方
 5.毎日の学習の仕方

各論
1章 背面の体表と浅層
 1.背面の体表と骨格を観察する
 2.背面の皮膚をはがし、皮下を解剖する
 3.背面の浅い層を解剖する
 4.殿部を解剖する
 5.実習終了時の処置
2章 頸・胸・腹部前面の体表と浅層
 1.頸・胸・腹部の骨格を復習する
 2.頸・胸・腹部の体表を観察する
 3.頸・胸・腹部の皮膚をはがす
 4.頸部の皮下を解剖する
 5.胸腹部の皮下を解剖する
 6.上腕屈側の皮膚をはがし、皮下を解剖する
 7.腋窩の皮下を解剖する
3章 上腕の浅層と頸・胸・腹部の中間の層
 1.上腕の体表を観察する
 2.上肢帯と上腕の骨を復習する
 3.頸部の中間の層を解剖する
 4.胸部の中間の層を解剖する
 5.腹部の中間の層を観察する
4章 腋窩とその内部構造
 1.腋窩を解剖する
 2.鎖骨下動・静脈を解剖する
 3.鎖骨下動脈の枝を解剖する
 4.鎖骨を切る
 5.腕神経叢を解剖する
 6.腋窩動脈の枝を解剖する
 7.肩甲骨前面の筋と腕神経叢の後神経束を解剖する
5章 上腕と肩甲骨の周り
 1.上腕屈側の筋と神経を解剖する
 2.上腕動脈と正中神経を解剖する
 3.上腕伸側の筋と神経を解剖する
 4.肩甲骨背面の筋・神経・血管を解剖する
6章 前腕・手掌の浅層・手背
 1.前腕と手の体表を観察する
 2.前腕と手の骨を復習する
 3.手掌の浅い層と前腕屈側
 4.前腕伸側と手背
7章 前腕と手掌の深層
 1.母指球の筋を解剖する
 2.小指球の筋を解剖する
 3.浅掌動脈弓を解剖する
 4.手掌の神経の分布域を調べる
 5.手根管を通る構造を観察する
 6.前腕深層を解剖する
 7.虫様筋を解剖する
 8.母指内転筋を解剖する
 9.深掌動脈弓を解剖する
 10.掌側骨間筋と背側骨間筋を解剖する
 11.上肢の動脈のまとめ
 12.上肢の筋と神経のまとめ
8章 大腿
 1.大腿の体表を観察する
 2.大腿の骨を復習する
 3.大腿の皮下を解剖する
 4.大腿前区画の浅層を解剖する
 5.大腿前区画の深層を解剖する
 6.大腿内側区画(内転筋群)を解剖する
 7.大腿後区画を解剖する
9章 下腿と足
 1.下腿と足の体表を観察する
 2.下腿と足の骨を観察する
 3.膝窩と下腿後方区画の浅層を解剖する
 4.下腿後方区画の深層を解剖する
 5.下腿前方区画を解剖する
 6.下腿外側区画を解剖する
 7.足背を解剖する
 8.足底の皮下と浅層を解剖する
 9.足底の深層を解剖する
 10.下肢の動脈のまとめ
 11.下肢の神経と筋のまとめ
10章 腹壁と腹部内臓の位置
 1.腹部の区分を復習する
 2.外腹斜筋を解剖する
 3.内腹斜筋と腹横筋を解剖する
 4.鼡径管を解剖する
 5.腹直筋を解剖する
 6.横筋筋膜と壁側腹膜を切って腹膜腔を開ける
 7.深鼡径輪を解剖する
 8.腹部内臓の位置と腹膜腔を観察する
 9.骨盤内臓の位置を前上方から観察する
11章 前胸壁・胸膜腔・肺
 1.胸壁を解剖する
 2.胸腔を開く
 3.前胸壁の内面を観察する
 4.胸膜を解剖する
 5.肺を自然の位置で解剖する
12章 縦隔と心臓の形態
 1.胸郭上口とその周囲を解剖する
 2.上縦隔と前縦隔を解剖する
 3.心膜腔を開き、心臓の位置を観察する
 4.心臓を取り出す
 5.心臓の形態と血管
13章 心臓の内部構造と縦隔の深部
 1.心臓の内部構造を観察する
 2.縦隔の深部を解剖する
 3.区域気管支と肺区域を解剖する
 4.横隔膜の上面を解剖する
 5.交感神経幹を解剖する
14章 腹膜腔と腹部内臓の神経・血管・リンパ管
 1.腹側胃間膜と背側胃間膜の概念を理解する
 2.網嚢の広がりを観察する
 3.網嚢以外の腹膜腔(大腹膜腔)を観察する
 4.腸間膜の血管・リンパ管・神経を解剖する
 5.腹腔動脈系を解剖する
 6.下腸間膜動脈系を解剖する
 7.門脈系を解剖する
 8.腹部における迷走神経を解剖する
15章 腹部内臓
 1.肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、胃、小腸、大腸を一体として取り出す
 2.肝臓の形態を観察する
 3.胆嚢と肝外胆管を解剖する
 4.肝臓の内部構造を観察する
 5.小腸と大腸の形態を調べる
 6.胃、十二指腸、膵臓、脾臓の形態を観察する
 7.胃腸間の内面の構造を調べる
16章 腹膜後器官
 1.腹膜後器官を解剖する
 2.腹部の自律神経を解剖する
 3.腹大動脈とその枝を解剖する
 4.総腸骨静脈と下大静脈を解剖する
 5.腎臓と副腎の内部構造を観察する
17章 横隔膜と後腹壁の筋と神経・脈管
 1.横隔膜を解剖する
 2.胸管を解剖する
 3.深腹筋を解剖する
 4.腰神経叢を解剖する
 5.腰動・静脈を解剖する
18章 固有背筋と後頭下の筋
 1.胸腰筋膜と浅背筋を解剖する
 2.固有背筋を解剖する
 3.後頭下の筋・動脈・神経を解剖する
19章 脳と脊髄の取り出し
 1.頭蓋骨と椎骨を復習する
 2.脊柱後面の靭帯を観察する
 3.脊柱管の後壁を切り取る
 4.脊髄硬膜を開く
 5.脊柱管内の脊髄を観察する
 6.脊髄神経節を観察する
 7.頭蓋冠を取りはずし、頭蓋冠の内面と脳硬膜を観察する
 8.後頭骨を切り取り、硬膜を切る
 9.脳と脊髄を取り出す
 10.脊髄を解剖する
20章 脳硬膜と内頭蓋底を観察する
 1.脳硬膜を自然の位置に戻して観察する
 2.内頭蓋底で、脳神経・内頸動脈の断端を観察する
 3.内頭蓋底で中硬膜動脈を観察する
 4.後膜静脈洞を観察する
 5.三叉神経節を観察する
 6.海綿静脈洞とその中または壁を通る神経と血管を解剖する
 7.下垂体を取り出して観察する
21章 尿管、膀胱、外陰部、および会陰
 1.下半身を切り離す
 2.尿管と膀胱を解剖する
 3.男性の外陰部と精巣を解剖する
 4.女性の外陰部を解剖する
 5.男性の会陰を解剖する
 6.女性の会陰を解剖する
22章 骨盤内臓の解剖
 1.骨盤を切半する
 2.骨盤の内壁を解剖する
 3.骨盤の血管と神経を解剖する
 4.男性の骨盤内臓を解剖する
 5.女性の骨盤内臓を解剖する
23章 上肢帯と上肢の関節
 1.肩鎖関節を解剖する
 2.回旋筋腱板と肩関節を解剖する
 3.肘関節を解剖する
 4.前腕の骨間膜を解剖する
 5.下橈尺関節を解剖する
 6.手首の関節(橈骨手根関節)を観察する
 7.手根骨の間の関節(手根間関節)を解剖する
 8.手根骨と中手骨の関節(手根中手関節)を解剖する
 9.中手骨と指節骨の関節(中手指節関節)を解剖する
 10.指節骨の間の関節(指節間関節)を解剖する
24章 下肢帯と下肢の関節
 1.股関節を解剖する
 2.膝関節を解剖する
 3.足首の関節(距腿関節)を解剖する
 4.足を内反・外反させる関節を解剖する
25章 頸部の深い層と顔の浅層
 1.顔面の皮下を解剖する
 2.表情筋と顔面神経と耳下腺を解剖する
 3.外頸動脈の枝と頭部の静脈を解剖する
 4.顎下三角とオトガイ三角を解剖する
26章 咀嚼筋と側頭下窩の領域
 1.咬筋を解剖する
 2.下顎管を解剖する
 3.側頭筋を解剖する
 4.外側翼突筋、内側翼突筋、頬筋を解剖する
 5.顎関節を解剖する
 6.側頭下窩を解剖する
27章 頭部の切り離しと咽頭と喉頭
 1.頭部を切り離す
 2.咽頭の後外側に沿って走る神経・血管を解剖する
 3.咽頭の後壁を解剖する
 4.咽頭を解剖する
 5.喉頭を咽頭から切り離す
 6.気管と気管支を観察する
 7.喉頭を解剖する
28章 口と鼻と咽頭鼻部
 1.頭部を正中断して、口腔を解剖する
 2.下顎骨を取り去って、舌を解剖する
 3.口蓋と咽頭鼻部を解剖する
 4.鼻中隔を解剖する
 5.鼻腔の側壁と副鼻腔を解剖する
 6.翼口蓋神経節を解剖する
29章 眼と眼の付属器
 1.眼窩の構造を理解する
 2.眼の付属器を解剖する
 3.眼窩の中の筋・神経・血管を解剖する
 4.眼球を取り出す
 5.眼球の内部を解剖する
30章 耳と頭蓋底を通る構造
 1.外耳を解剖する
 2.中耳を解剖する
 3.内耳を解剖する
 4.翼口蓋窩を解剖する
 5.頸動脈管を解剖する
 6.耳神経節を解剖する
 7.舌下神経管を解剖する
 8.頸静脈孔を解剖する
31章 脳の表面
 1.脳を包んでいる構造を復習する
 2.クモ膜を観察する
 3.脳神経の根を観察する
 4.脳の動脈を解剖する
 5.脳の静脈系を理解する
 6.脳幹を大脳から切り離す
 7.脳幹と小脳の外景を観察する
32章 脳幹と小脳
 1.脳幹から小脳をはずす
 2.第4脳室を観察する
 3.第4脳室の床である菱形窩を観察する
 4.脳幹の区分と内景
 5.小脳の外景
 6.小脳の内景
33章 大脳皮質と第3脳室
 1.大脳を切半する
 2.第3脳室とその周囲の構造を理解する
 3.大脳皮質を観察する
 4.大脳皮質の主な回と溝
 5.嗅脳と辺縁皮質

34章 大脳基底核と側脳室
 1.右半球で島を剖出する
 2.右半球を水平断する
 3.側脳室を開いて海馬を観察する
 4.間脳
 5.左半球をスライスして、前頭断面を観察する
 6.主要な伝導路の追跡

参考図書
索引

優れた臨床家になるには臨床で必要とされる人体構造の知識すなわち臨床解剖学の知識が重要である。著者は1981年から2年間オーストラリアのFlinders大学で解剖学教育に携わった。そのとき、Flinders大学の学生は臨床と直結した解剖学を学んでいることを実感し、当時のわが国の解剖学教育との大きな違いを痛感した。以来30年間、医学科において臨床に役立つ解剖学教育を行うべく努力してきた。
本書は臨床家を目指す医学生が、初めて人体解剖学を学ぶときの入門書になると同時に、解剖するときの指針となり、人体構造を理解するために必要な教科書ともなるように記載した。本書は総論と各論からなる。総論は解剖学実習全般についての注意および解剖学の基本事項と基本的な解剖手技を記した。各論は34章に分け、学習目標、解剖の仕方と解剖すべき構造の要点を記載した。解剖の仕方に関する記載を青字にして、観察事項および解説とは区別した。また、解剖の仕方と剖出すべき構造がわかりやすいように要点を強調した図や表を多数掲載した。さらに、臨床医学との関連をClinical noteとして記載し、やや高度な学習課題をAdvanced noteとして記載した。章末には観察すべき構造の解剖学名を列挙し、英語を併記した。これにより、学生は、観察すべき構造を解剖したか否かをチェックでき、同時に英語の解剖学用語を学習することができる。
各章を1回の実習(午後半日と仮定)で終わらせるように工夫した。しかし、複雑な人体の構造をよく理解するためには、構造をスケッチし、他の遺体の所見と比較するなどして、繰り返し観察することが重要である。結合組織で一塊になった構造を解剖して個々の筋、神経、血管などの構成要素を見えるように剖出するには相当の時間を要し、初めて解剖する学生が構造を理解するには一定の時間が必要である。しかし、この過程によって学生は科学的方法を身につけ、発見することの喜びを体験し、人体構造を理解することができるのである。したがって、全体で最低でも45-50回の実習時間を確保することが望ましい。
限られた時間内に効果的に実習するためには、解剖すべき部位の構造や形、位置をあらかじめ理解しておくことが重要である。図譜(巻末のリスト参照)を参考にしながら本書を読み、十分に予習することが大切である。実習では、本書を読みながら解剖を進める。解剖が一通り終わったら、もう一度観察しなおして、構造が理解できていたら章末の「このセクションで観察する構造」の□に/を入れる。時間に余裕があれば、Advanced noteに記載されている事項について調べる。また復習の際には、Clinical noteをよく読み、正常な構造と病態との関連も学習してほしい。
2011年7月
大谷修