教科書

入門人体解剖学改訂第6版

: 藤田恒夫
改訂 : 藤田信也
ISBN : 978-4-524-23072-3
発行年月 : 2024年1月
判型 : B5判
ページ数 : 436

在庫あり

定価5,940円(本体5,400円 + 税)

  • 新刊

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

刊行以来定評を得ている初学者のための解剖学書の改訂版.紙面デザインを一新し,さらに使いやすく学びやすくなった.全章にわたり臨床に必要な解剖学の記述を補完し,「3章 細胞と組織」には「細胞と細胞小器官」の項を追加し,「13章 神経系」は大きくリニューアルした.臨床に関する内容を新設の「コラム」や「臨床ノート」にまとめ,臨床画像を多数追加した.

1 解剖学とは何か
2 器官とその系統
3 細胞と組織(顕微解剖学のあらまし)
 A 細胞と細胞小器官
 B 組 織
  1 上皮組織
  2 支持組織
  3 筋組織
  4 神経組織
4 人体の外形と方向用語
  1 人体の外形と構成
  2 からだの方向と動きの用語
  3 体部の形態に関する名称
5 骨格系
骨格とは何か
骨のかたち
骨の構造
骨の発生と成長
 A 骨の連結
  1 関節の構造
  2 関節の種類
 B あたまの骨
  1 脳頭蓋
  2 顔面頭蓋
  3 鼻腔と副鼻腔
 C 脊 柱
  1 椎骨の一般的なかたち
  2 椎骨の連結
  3 脊柱の全体的なかたち
 D 胸 郭
 E 上肢の骨格
  1 上肢帯の骨
  2 肩関節
  3 上腕の骨
  4 前腕の骨
  5 肘関節
  6 手の骨
 F 下肢の骨格
  1 下肢帯の骨と骨盤
  2 大腿の骨
  3 股関節
  4 下腿の骨
  5 膝関節
  6 足の骨
6 筋 系
筋のかたちと構造
筋のはたらきと神経支配
 A あたまの筋
  1 顔面筋
  2 下顎を動かす筋─咀嚼筋
 B くびの筋
 C 胸部の筋
  1 前胸部の筋−浅胸筋
  2 呼吸筋
 D 背部の筋
 E 腹部の筋
 F 上肢の筋
  1 上肢帯の筋−三角筋など
  2 上腕の筋
  3 前腕の筋
  4 手の筋−手内筋
 G 下肢の筋
  1 下肢帯の筋−腸腰筋と殿筋など
  2 大腿の筋
  3 下腿と足の筋
7 脈管系
 A 血管系
  1 心 臓
  2 肺循環と体循環
  3 動脈系
  4 静脈系
  5 胎生時の循環系
 B リンパ系
 C 脾 臓
 D 胸 腺
 E 血液・血球・造血組織
8 消化器系
粘膜とは何か
腺とは何か
 A 口 腔
  1 歯
  2 口 蓋
  3 舌
  4 唾液腺
 B 咽 頭
扁 桃
 C 食 道
 D 胃
 E 小 腸
  1 十二指腸
  2 空腸と回腸
 F 大 腸
 G 肝 臓
 H 胆 嚢
 I 膵 臓
  内臓全景図譜
9 呼吸器系
 A 鼻 腔
副鼻腔
 B 咽 頭
 C 喉 頭
 D 気管と気管支
 E 肺
 F 胸膜と胸膜腔
10 泌尿器系
 A 腎 臓
 B 尿 管
 C 膀 胱
 D 尿 道
11 生殖器系
 A 男性の生殖器
  1 精巣と精巣上体
  2 精 管
  3 精嚢と前立腺
  4 陰 茎
  5 精液と精子
 B 女性の生殖器
  1 卵 巣
  2 卵 管
  3 子 宮
  4 胎 盤
  5 腟と外陰部
 C 腹 膜
12 内分泌系
 A 下垂体
  1 下垂体の前葉
  2 視床下部からの調節ホルモン
  3 下垂体の後葉と神経分泌
 B 松果体
 C 甲状腺
 D 上皮小体
 E 副 腎
  1 副腎皮質の構造とホルモン
  2 副腎髄質の構造とホルモン
 F 膵臓のランゲルハンス島
 G そのほかの内分泌細胞とホルモン
13 神経系
神経系の構成
神経細胞の新生,変性,再生
 A 中枢神経系
  1 脊 髄
  2 延髄と橋
  3 小 脳
  4 中 脳
  5 間 脳
  6 大 脳
  7 脳の血管
  8 脳室と脳脊髄膜
 B 末梢神経系
  1 脳神経
  2 脊髄神経
  3 自律神経
 C 神経系の主な伝導路
  1 反射路
  2 求心性伝導路
  3 遠心性伝導路
  4 小脳系伝導路
14 感覚器系
 A 視覚器
  1 眼 球
  2 眼球の付属器
 B 平衡聴覚器
  1 外 耳
  2 中 耳
  3 内 耳
 C 皮 膚
  1 皮 膚
  2 角質器(毛とつめ)
  3 皮膚の腺
15 からだはどのように造られるか(発生学のあらまし)
  1 受精から着床へ
  2 発生の第2週と第3週
  3 発生の第4週から第8週
  4 胎生第3月から出生まで
事項索引
臨床用語索引

改訂第6版の刊行にあたって

 本書は,父・藤田恒夫が解剖学の入門書として執筆したものである.約10年に1回のペースで改訂を重ね,半世紀以上にわたり将来医療を担う学生たちの教科書として広く支持されてきた.解剖学者であった父は,研究だけでなく,『解剖実習の手びき』『骨学実習の手びき』(南山堂),『標準組織学』(医学書院),『人体解剖学』(南江堂)など,多くの教科書を手がけ,医学教育に尽力した.
 第5版の改訂では,私自身も臨床医学の記述や画像の提供をしながら,父の改訂作業をつぶさに見てきた.父は,ひとりで内容と図を吟味し,細部にわたり文章を推敲して,一層読みやすく理解しやすい教科書にしようと力を尽くした.2012年の正月に「やっと仕上がったよ」と,改訂を終えた新刊を私に手渡してくれたが,父はその1ヵ月後に急逝した.
今回,父の遺志を継ぎ,12年ぶりに第6版を上梓する運びとなった.私は,30年近く,地域の基幹病院の臨床現場で,多職種のメディカルスタッフや学生実習生(医学生・看護学生)と,患者さんの診療に携わってきた.父も本書を臨床医学と関連づけて執筆することを意識していたが,臨床でよく目にする疾患や外傷に対応する解剖学の記述が不足しているところもあった.臨床医の私が,解剖学の教科書を改訂することは,おこがましいことではあるが,解剖学者の視点だけでなく,臨床医の目を入れて,第5版をブラッシュアップした.

・随所に,臨床で必要と思われる解剖学の記述を書き加えた.たとえば,「肩関節」や「肘関節」の項を加え,「前腕の筋」「手の筋」などの記述を補完したのは,臨床現場でこれらの部位の外傷を多く見るためである.
・3章に 新たに「細胞と細胞小器官」の項を設けた.13章の神経系は,「神経系の構成」や「神経系の主な伝導路」の項などを書き改め,「脳神経と神経核」の図などを加え,神経系のしくみが理解しやすくなるように努めた.
・臨床に関係することがらはコラムに記載し,さらに最新の臨床画像もまじえた「臨床ノート」を設けた.臨床に関する語句は,青字で記載して索引も別掲にした.
・側注のラテン語は省き,本文のゴシックで表した重要語句は英語で表記して,臨床で使われる略語も表記した.ドイツ語は,臨床で今も使われているものに限定してイタリックで表わして,発音も併記した.
・大きく綺麗な図が本書の特色だが,図のタカリ字で大項目の語句のフォントを大きくして見やすくした.ほとんどの本文中の重要語句は,図にあたれるようにした.また,新たに多くの重要語句にルビをふって,より読みやすくした.
・姉妹書の『人体解剖学』などからの転載を含め,新たな図を加えた.特に,臨床画像は71点を新しくした.本文の内容の理解に役立つように,表も加えた.

 長岡赤十字病院の多くの診療科の先生方からは,臨床画像の提供や 本文に対する貴重なアドバイスをいただいた.また,新潟大学脳研究所トランスレーショナル研究分野 岡本浩一郎先生からは,最新の内耳のMRI画像をご提供いただいた.
今回の改訂作業は,コロナ禍の3年間に及んだが,南江堂の内田慎平氏,松本岳氏をはじめとする教科書編集部・制作部諸氏に終始編集作業をサポートしていただいた.皆様に心からお礼を申し上げる.

 今の医療現場で求められるのは「チーム医療」である.医師だけでなく,多職種のメディカルスタッフが,電子カルテの内容や画像を共有して議論しながら,臨床の現場は動いている.解剖学を通して「体のしくみ」を学ぶことは医学の基本であり,解剖学用語はチームの共通言語となる.インターネットがあれば,調べたいことをいつでも検索できる時代であるが,教科書を通読して系統的に学ぶことが必要である.本書が,すべての医学の初学者にとって,一層 読みやすくわかりやすい教科書として活用されることを願っている.

2023年10月
藤田 信也 

9784524230723