消化性潰瘍診療ガイドライン2026改訂第4版
| 編集 | : 日本消化器病学会 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-27291-4 |
| 発行年月 | : 2026年4月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 204 |
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

日本消化器病学会編集による診療ガイドラインの改訂版.Mindsの作成マニュアルに準拠し,臨床上の疑問をCQ(clinical question),BQ(background question),FRQ(future research question)に分けて記載.消化性潰瘍の疫学,出血性胃潰瘍/出血性十二指腸潰瘍/薬物性潰瘍/非H.pylori・非NSAIDs潰瘍/残胃潰瘍の治療や予防,H.pylori除菌治療,非除菌治療,外科的治療,穿孔・狭窄に対する内科的(保存的)治療等について,エビデンスに基づき現時点の標準的な指針を示す.
クエスチョン一覧
第1章 疫学
BQ1-1 日本人の消化性潰瘍の有病率と死亡率は減少しているか?
第2章 出血性胃潰瘍・出血性十二指腸潰瘍
(1)内視鏡的止血治療
BQ2-1 出血性潰瘍に対する内視鏡的止血治療法の成績はどうか?
BQ2-2 止血確認のための内視鏡検査(セカンド・ルック)はどのような患者に必要か?
CQ2-1 出血性潰瘍に対する内視鏡的止血治療後にどのような酸分泌抑制薬が有用か?
(2)非内視鏡的止血治療
BQ2-3 出血性潰瘍に対してinterventional radiology(IVR)は有用か?
BQ2-4 抗血栓薬服用中の出血性潰瘍に対して休薬は必要か?
第3章 H. pylori除菌治療
(1)除菌前治療
BQ3-1 H. pylori除菌前のプロトンポンプ阻害薬投与は胃潰瘍および十二指腸潰瘍の除菌率に影響を与えるか?
(2)一次除菌
CQ3-1 プロトンポンプ阻害薬に比してボノプラザンで除菌率は向上するか?(二次除菌を含む)
CQ3-2 一次除菌前にはクラリスロマイシン耐性の有無を検査すべきか?
CQ3-3 クラリスロマイシン感受性試験をした際にはどのレジメンを推奨するか?
CQ3-4 クラリスロマイシン耐性を検査できない際にはどのレジメンを推奨するか?
CQ3-5 ボノプラザンとアモキシシリンの2剤療法を推奨するか?(二次,三次除菌を含む)
(3)二次除菌
CQ3-6 一次除菌でクラリスロマイシンを含む治療で失敗した際にはどのレジメンを推奨するか?
FRQ3-1 一次除菌でクラリスロマイシンを含まない治療で失敗した際にはどのレジメンを推奨するか?
(4)三次除菌
CQ3-7 二次除菌でメトロニダゾールを含む治療で失敗した際にはどのレジメンを推奨するか?
FRQ3-2 二次除菌でメトロニダゾールを含まない治療で失敗した際にはどのレジメンを推奨するか?
FRQ3-3 泥沼除菌とは何ですか? 泥沼除菌の際に気をつけることはありますか?
(5)その他の除菌
CQ3-8 ペニシリンアレルギーを有する患者においてどのレジメンを推奨するか?
CQ3-9 肝機能障害を有する患者においてどのレジメンを推奨するか?
CQ3-10 腎機能障害を有する患者および透析患者においてどのレジメンを推奨するか?
CQ3-11 消化性潰瘍を有する高齢者は何歳まで除菌を行うべきか?
FRQ3-4 除菌治療は腸内細菌へどう影響するか?
(6)除菌成功後の経過観察
BQ3-2 除菌成功後に潰瘍再発の予防治療は必要か?
BQ3-3 除菌後のH. pyloriの再陽性化率はどれくらいか?
BQ3-4 除菌成功後に胃食道逆流症(GERD)の発生は増加するか?
BQ3-5 除菌成功後に定期的な上部消化管内視鏡検査は必要か?
(7)除菌成功後潰瘍
BQ3-6 除菌成功後の未治癒潰瘍にはどのような治療を推奨するか?
BQ3-7 除菌成功後の再発潰瘍にプロトンポンプ阻害薬の長期投与は必要か?
(8)治療ストラテジー
BQ3-8 潰瘍診断後にプロトンポンプ阻害薬(ボノプラザン)と除菌のどちらを選択すべきか?
第4章 非除菌治療
(1)初期治療
[胃潰瘍]
BQ4-1 胃潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)にどのような薬剤を選択するか?
[十二指腸潰瘍]
BQ4-2 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(初期治療)にどのような薬剤を選択するか?
(2)維持療法
[胃潰瘍]
BQ4-3 胃潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)にどのような薬剤を選択するか?
[十二指腸潰瘍]
BQ4-4 十二指腸潰瘍に対する非除菌治療(維持療法)にはどのような薬剤を選択するか?
[胃潰瘍・十二指腸潰瘍]
BQ4-5 胃潰瘍および十二指腸潰瘍に対する非除菌治療において,維持療法中に内視鏡検査は必要か?
第5章 薬物性潰瘍
(1)NSAIDs潰瘍
[疫学・病態]
BQ5-1 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍および消化管出血の発生頻度はどの程度か?
BQ5-2 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍の発生時期はいつ頃か?
BQ5-3 非ステロイド性抗炎症薬による上部消化管傷害における症状は何か?
BQ5-4 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍はH. pylori関連潰瘍と内視鏡所見が異なるか?
BQ5-5 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍のリスク因子は何か?
BQ5-6 非ステロイド性抗炎症薬の種類により潰瘍(出血)発生率に差があるか?
BQ5-7 非ステロイド性抗炎症薬の投与量により潰瘍(出血)発生率に差があるか?
BQ5-8 非ステロイド性抗炎症薬の経口薬,坐薬,外用薬で潰瘍(出血)発生率に差があるか?
BQ5-9 非ステロイド性抗炎症薬の単剤投与と多剤投与で潰瘍(出血)発生率に差があるか?
BQ5-10 低用量アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬の併用は潰瘍(出血)発生リスクを上げるか?
[治療]
BQ5-11 H. pylori除菌治療は非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍の治癒率を高めるか?
BQ5-12 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍の治療はどのように行うか?
[予防]
BQ5-13 非ステロイド性抗炎症薬投与患者でH. pylori陽性の場合,潰瘍予防として除菌治療は有用か?
CQ5-1 潰瘍既往歴がない患者における非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍発生予防治療は有用か?
CQ5-2 潰瘍既往歴,出血性潰瘍既往歴がある患者が非ステロイド性抗炎症薬を服用する場合,再発予防はどうするか?
CQ5-3 非ステロイド性抗炎症薬と抗血栓薬または糖質ステロイドの併用患者,重篤な合併症を有する患者において,どのように非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍を予防するか?
(2)選択的NSAIDs(COX-2選択的阻害薬)潰瘍
BQ5-14 非ステロイド性抗炎症薬は心血管イベントを増加させるか?
BQ5-15 非ステロイド性抗炎症薬誘発性潰瘍発生予防にCOX-2選択的阻害薬は有用か?
BQ5-16 COX-2選択的阻害薬服用時に潰瘍発生予防治療は必要か?
(3)低用量アスピリン(LDA)潰瘍
[治療]
CQ5-4 低用量アスピリン潰瘍の治療はどのように行うべきか?
[予防]
BQ5-17 低用量アスピリン服用者におけるCOX-2選択的阻害薬は通常の非ステロイド性抗炎症薬より潰瘍リスクを下げるか?
CQ5-5 潰瘍既往歴,出血性潰瘍既往歴のない低用量アスピリン服用者では潰瘍発生の予防は必要か?
CQ5-6 潰瘍既往歴がある低用量アスピリン服用者ではどのように潰瘍再発を予防するか?
CQ5-7 上部消化管出血の既往歴がある低用量アスピリン服用者ではどのように再出血を予防するか?
CQ5-8 低用量アスピリン服用者における非ステロイド性抗炎症薬併用時に潰瘍再発予防に有用な薬剤は何か?
(4)抗凝固薬などその他の薬物潰瘍
BQ5-18 非ステロイド性抗炎症薬以外に潰瘍の発生リスクを高める薬剤は何か?
BQ5-19 糖質ステロイドは消化性潰瘍発生(再発)のリスク因子か?
BQ5-20 糖質ステロイド使用時のプロトンポンプ阻害薬(ボノプラザン)の併用は必要か?
CQ5-9 抗凝固薬服用者ではどのように上部消化管出血を予防するか?
(5)PPI/P-CABの有害事象
FRQ5-1 プロトンポンプ阻害薬/ボノプラザンの長期投与により胃腫瘍などの粘膜病変は生じるか?
第6章 非H. pylori・非NSAIDs潰瘍
BQ6-1 非H. pylori・非NSAIDs潰瘍の頻度は増加しているか?
BQ6-2 非H. pylori・非NSAIDs潰瘍の原因や病態,内視鏡的特徴は何か?
CQ6-1 非H. pylori・非NSAIDs潰瘍の初期治療はどのように行うべきか?
CQ6-2 非H. pylori・非NSAIDs潰瘍の治癒後再発予防はどのように行うべきか?
CQ6-3 十二指腸球後部・下行部潰瘍の治療はどのように行うべきか?
FRQ6-1 Non-Helicobacter pylori Helicobacter感染による潰瘍の発生頻度はどの程度か?
FRQ6-2 Non-Helicobacter pylori Helicobacter感染の治療方法は?
第7章 残胃潰瘍
CQ7-1 残胃潰瘍の治療はどのように行うか?
第8章 外科的治療
(1)手術適応
BQ8-1 消化性潰瘍穿孔の手術適応は何か?
BQ8-2 消化性潰瘍出血の手術適応は何か?
(2)手術術式
BQ8-3 消化性潰瘍穿孔に対する最適な手術術式は何か?
BQ8-4 消化性潰瘍出血に対する最適な手術術式は何か?
BQ8-5 消化性潰瘍による狭窄に対する最適な手術術式は何か?
(3)術後維持療法
BQ8-6 消化性潰瘍の術後に除菌療法は再発防止に有用か?
第9章 穿孔・狭窄に対する内科的(保存的)治療
(1)穿孔
BQ9-1 穿孔に対する内科的治療の適応は何か?
BQ9-2 穿孔に対する内科的治療はどのように行うべきか?
BQ9-3 穿孔に対する内科的治療から外科的治療に移行するタイミングはいつか?
(2)狭窄
BQ9-4 狭窄に対する内科的治療の適応は何か?
BQ9-5 狭窄に対する内科的治療はどのように行うべきか?
一般財団法人日本消化器病学会は2005 年に第8 代理事長である跡見裕先生の発議によって,消化器疾患の診療ガイドラインを作成することを決定しました.クリニカルクエスチョン(Clinical Question:CQ)を設定して,文献の検索範囲と採用基準を明確にし,エビデンスレベルを評価したうえで,推奨グレードを決定することにしました.Evidence-Based-Medicine(EBM)の手法に基づいた当時では先進的なガイドラインです.また,利益相反(Conflict ofInterest:COI)を重視し,EBM専門家の提案した基準に従って,ガイドライン作成に関わる委員全員のCOIを公開することにしました.第9代理事長である菅野健太郎先生のリーダーシップのもとに,学会をあげた事業として取り組みが継続し,2009〜2011年に胃食道逆流症(GERD),消化性潰瘍,クローン病,肝硬変,胆石症,慢性膵炎の診療ガイドラインが上梓されました.これら第一次ガイドラインの発刊は,わが国の消化器診療の方向性を学会主導で示した事業として,高く評価されます.
また,2014年には機能性ディスペプシア(FD),過敏性腸症候群(IBS),大腸ポリープ,脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の診療ガイドラインも刊行しました.一方,第一次ガイドラインは発表後約5年が経過することから,並行してその改訂作業も開始しました.その際,国際的に主流となったGRADE(The Grading of Recommendations Assessment, Developmentand Evaluation)システムを採用しています.これら改訂版は2015〜2016年に刊行されました.
また,2017年には日本消化器病学会の関連研究会が慢性便秘症の診療ガイドラインを発刊しました.
計11種類となったガイドラインは臨床の現場で標準的な診療指針として活用されていましたが,どの領域でも医学・医療の進歩は目覚ましく,徐々に専門医による最先端の診療とは乖離が広がります.そこで,第10代理事長である下瀬川徹先生は2017年に,ガイドラインを原則5年ごとに改訂することを決定しました.各ガイドラインのCQは20〜30程度に絞り,結論が明らかである基礎的知識,総論はBackground Question(BQ),今後の研究課題はFutureResearch Question(FRQ)とすることになりました.また,2018 年には肝硬変とNAFLD/NASHの両ガイドラインを一般社団法人日本肝臓学会と合同で編集することを決定しました.
さらに,2020年には第11代理事長である小池和彦先生がCOIの規定を厳格化し,全ガイドラインの方向性を統括する委員会も設置しました.これらの過程を経て,2020〜2021年に慢性便秘症を除く10ガイドラインの改訂版が刊行されました.一方,慢性便秘症診療ガイドラインは,当学会も協力して,2023年に一般社団法人日本消化管学会が便通異常症診療ガイドライン(慢性便秘症・慢性下痢症)を刊行した際に,いったんその役割を同ガイドラインに譲る形となりました.
その後,2024年になって,日本消化器病学会は慢性便秘症を含む全11ガイドラインを再度改訂することを決定しました.今回の改訂では,各ガイドラインの作成委員長は公募制となり,同年5月8日から6月28日に公募を実施し,利益相反委員会の厳格な審査を経て,委員長,副委員長と委員が確定しました.各ガイドライン作成委員会は,それぞれが選定したSystematicReviews(SR)委員(作成協力者)の協力のもとに作業を進め,完成したガイドライン(案)は評価委員会の意見,会員のパブリックコメント,さらに協力学会等の外部評価をもとに加筆,修正を行いました.全ガイドラインが2026年4月〜2027年3月に,次々と刊行される予定です.
COI管理は厳格で,作成の過程で委員長が交代したガイドラインもあります.社会から信頼され,臨床の現場では有用性の高いガイドラインを公表できると自負しています.
「消化性潰瘍診療ガイドライン2026(改訂第4版)」は鎌田智有委員長(川崎医科大学),杉本光繁副委員長(大分大学)を中心に,計12名の作成委員が,23名の作成協力者の協力で作成し,評価委員会の佐藤貴一委員長(とちぎ健診プラザ),溝上裕士副委員長(医療法人社団誠馨会新東京病院),木敦司委員(亀田森の里病院)によって評価されました.多くの時間と労力を惜しまず,ガイドラインの改訂に携わった全ての先生に感謝申し上げます.また,ガイドライン改訂の方向性を検討いただいたガイドライン統括委員会担当理事の糸井隆夫先生(東京医科大学),副担当理事の磯本一先生(鳥取大学),委員長の渡辺純夫先生(順天堂大学),研究推進室を担当する副理事長として全体を統括していただいた竹山宣典先生(近畿大学)と江口晋先生(長崎大学),利益相反委員会を担当した理事である中尾一彦先生(長崎大学)と田中靖人先生(熊本大学)をはじめ多数の先生方のご高配なしには,このガイドラインの完成はなかったことも申し添えさせていただきます.さらに,ご協力をいただいた一般社団法人日本消化器内視鏡学会,一般社団法人日本消化管学会,一般社団法人日本ヘリコバクター学会,および丁寧なご支援をいただいた株式会社南江堂の皆様にも御礼を申し上げます.改訂版の英語による簡易版は,後日,「Journal of Gastroenterology」誌に掲載する予定です.
最新のエビデンスを網羅した今回の改訂版が,わが国のみならず世界の消化器病の診療に寄与することを期待します.
2026年4月
日本消化器病学会理事長
持田 智

