呼吸器外科テキスト[Web動画付]改訂第3版
外科専門医・呼吸器外科専門医をめざす人のために
| 編集 | : 日本呼吸器外科学会/呼吸器外科専門医合同委員会 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-27063-7 |
| 発行年月 | : 2026年3月 |
| 判型 | : A4判 |
| ページ数 | : 576 |
在庫
定価15,400円(本体14,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評

日本呼吸器外科学会「呼吸器外科専門医修練カリキュラム」と「認定試験問題内容」に準拠した公式テキストの改訂第3版.今改訂では,呼吸器外科専門医をめざす医師の自己学習ならびに専門医取得者の知識更新のために広く活用されることを目的として内容をアップデート.Web動画もより充実した.外科専攻医,外科専門医,医学生,外科医をめざす学生・研修医,内科医,呼吸器外科指導医・外科指導医も対象とした必読書.
第T章 総論
1.呼吸器外科の歴史
2.保険診療
3.専門医制度
4.医療安全
5.感染対策
6.医療倫理─特に利益相反と研究倫理
7.肺の発生
8.呼吸器外科に関連する解剖と組織
9.呼吸生理と呼吸機能検査
10.呼吸器疾患の症候・身体所見
11.呼吸器疾患の検査
第U章 手術手技
1.手術器具と使用方法の基本
2.開胸法(切開法)
3.胸腔鏡下手術総論
4.ハイブリッドアプローチ
5.ロボット支援手術
6.術前のシミュレーション,術中のナビゲーション
7.胸腔ドレーン管理
8.癒着剥離,肺瘻処理,被覆法
9.気管・気管支・肺
A 肺切除の基本
B 縦隔リンパ節郭清
C 肺切除術
D 気管・気管支形成術
E 隣接臓器合併切除術
F 肺尖部腫瘍切除術
10.胸壁
11.胸膜
12.胸郭成形
13.縦隔
14.横隔膜
15.横隔膜弛緩症と横隔神経麻痺に対する手術
16.トラブルシューティング
第V章 周術期管理と術後合併症
1.肺切除術の機能的適応
2.術前管理
3.術中管理
4.術後管理
5.術後合併症
6.術前・術後の呼吸リハビリテーション
第W章 一般外科・呼吸器外科に必要な循環器領域の病態
1.血管走行異常
2.虚血性心疾患,弁膜症,心筋症
3.周術期の心不全・不整脈管理
4.肺性心・肺循環の一般論
5.急性肺血栓塞栓症
6.大動脈疾患,その他
7.抗血栓療法
第X章 肺の非腫瘍性疾患
1.肺感染症の外科
A 結核
B 非結核性抗酸菌症
C 肺真菌症
D 寄生虫疾患
E 気管支拡張症
F 肺放線菌症
G 肺膿瘍
2.嚢胞性肺疾患,その他
3.その他の外科的肺疾患・血管疾患
A 先天性疾患
B 肺血管・その他の疾患
C 外科的生検
D その他
第Y章 肺の腫瘍性疾患
1.原発性肺癌
A 肺癌の疫学
B 肺癌の分子生物学
C 肺癌の組織型分類
D 肺癌のTNM病期分類(UICC-9)
E 肺癌の症状
F 肺癌の診断法
G 肺癌の検診
H 肺癌の外科的治療
I 肺癌の併用療法
J 非小細胞肺癌の化学療法/薬物療法
K 非小細胞肺癌の放射線治療
L 肺癌の術後フォローアップ
M 肺癌に対するインターベンション治療
2.転移性肺腫瘍
A 転移性肺腫瘍の総論
B 転移性肺腫瘍の手術適応
C 転移性肺腫瘍の手術術式
D 大腸癌肺転移の手術成績と予後因子
E 大腸癌以外の肺転移の手術成績と予後因子
3.その他の腫瘍性疾患
A 良性上皮性腫瘍
B 間葉系腫瘍
C リンパ増殖性腫瘍・組織球性/樹状細胞腫瘍
D その他の腫瘍
第Z章 胸部外傷・その他
1.概論
2.胸郭損傷
3.肺損傷
4.気管・気管支損傷
5.縦隔損傷
6.横隔膜損傷
7.気道異物
第[章 気管・気管支
1.概論
2.気管の先天性異常
3.食道気道瘻
4.気管・気管支軟化症
5.気管支拡張症
6.気管・気管支結核
7.気管腫瘍
8.気管・気管支病変に対するインターベンション治療
第\章 縦隔
1.縦隔の解剖
2.縦隔の炎症
3.縦隔腫瘍
A 概論
B 胸腺上皮性腫瘍
C その他の縦隔腫瘍
D 手術
4.重症筋無力症
5.胸腺腫に伴う自己免疫疾患(重症筋無力症以外)
6.縦隔気腫あるいは気縦隔
第]章 胸膜
1.胸膜の解剖
2.気胸
3.血胸
4.急性膿胸
5.慢性膿胸
6.乳び胸
7.胸水症・胸膜炎
8.胸膜腫瘍
第XI章 胸壁
1.胸壁の解剖
2.胸壁の変形
3.胸壁の炎症,感染症
4.胸壁腫瘍
5.多汗症
第XII章 横隔膜
1.横隔膜の解剖
2.横隔膜ヘルニア
3.横隔膜弛緩症
4.横隔膜腫瘍
5.その他の横隔膜疾患
第XIII章 肺移植
1.概論
2.適応
3.術式
4.肺保存液
5.拒絶反応と免疫抑制
6.術後合併症
第XIV章 緩和ケア
1.概論
2.各論:癌疼痛コントロール,緩和ケアの実際
3.指針
索引
『呼吸器外科テキスト〜外科専門医・呼吸器外科専門医をめざす人のために〜(改訂第3 版)』 の刊行にあたり,日本呼吸器外科学会を代表して,ご執筆いただいた会員諸先生方に心より御礼申し上げます.また,各章の編集を担当いただいた日本呼吸器外科学会理事会役員をはじめ呼吸器外科に造詣の深い諸先生方,テキスト小委員会の先生方の多大なるご尽力に深く感謝いたします.
本テキストは,2016 年の初版,2021 年の第2 版を経て,わが国の呼吸器外科領域における標準的な知識の集大成として揺るぎない地位を築いてまいりました.初版から続く「 学会の総力を挙げた教科書作り」 という理念は,今や呼吸器外科専門医を目指す若手医師の指針のみならず,すでに資格を取得された指導医・専門医にとっても,常に傍らに置くべき「 座右の書」 として定着しております.それゆえに,このたびの第3版への期待もかつてなく大きくなっているといえるでしょう.
第2版から5年を経て上梓される今回の第3版は,劇的な進化を遂げる呼吸器外科の「 現在地」 を極めて高い解像度で映し出しています.この数年,私たちの専門領域を取り巻く環境は驚くべき速度で変貌いたしました.ロボット支援下手術( RATS) の急速な普及と適応拡大,区域切除に代表される縮小手術の浸透,各種ナビゲーション技術の高度化,そして周術期における複合免疫療法の導入など,外科的アプローチから周術期治療にいたるまで,まさにパラダイムシフトともいえる転換期を迎えています.本改訂では,これらの最新知見を網羅するとともに,改訂された各種診療ガイドラインやTNM分類( UICC‑9) への対応も行われました.また,専門医として習熟すべき保険診療についても一部改訂を行うとともに,医療安全や医療倫理といった,専門医に不可欠な素養についても引き続き重要な項目として網羅しております.
今日の呼吸器外科医に求められるのは,優れた手術技能のみならず,膨大な情報のなかからエビデンスを正しく理解し,個々の患者さんに最適な治療を提示する「 総合的な臨床力」 にほかなりません.本書が,若き志を持つ医師たちにとっては専門医取得への確かな道標となり,ベテラン医師たちにとっては知識のアップデートと再確認のための良き伴侶となることを切に願っております.
2026 年2 月
日本呼吸器外科学会 理事長
豊岡 伸一
本書の初版・第2版を分担執筆した者の1人として,5年ぶりに改訂された第3版を拝見しました.本テキストは豊岡伸一理事長が緒言で示されたように,「学会の総力をあげた教科書作り」という理念のもと,呼吸器外科臨床・研究の第一線で活躍されている専門医がおのおのの得意とする分野に関する執筆を行い,日本呼吸器外科学会テキスト小委員会が編集しています.本書は呼吸器外科専門医をめざす若手医師にとっての指針であると同時に,すでに資格を有する指導医・専門医にとっても「座右の書」となりうるという位置づけにふさわしく,最新の臨床知見を幅広く網羅した充実した内容となっています.
構成面では,初版以来一貫して外科医の実践に重きをおき,総論に続いて呼吸器外科手術手技が配置され,多くの紙幅が割かれている点が本書の大きな特徴であり,臨床現場での有用性を強く意識した編集方針がうかがえます.Web動画コンテンツも第2版の23本から第3版では28本へと拡充され,特に胸膜領域において新規の動画が追加された点は,手技理解の補助として評価できます.
第3版における主な進展としては,外科学領域の技術革新が適切に反映されている点があげられます.ロボット支援下手術については,手術動画が加わるとともに,da Vinci(Intuitive Surgical社)の最新機種だけでなく,Saroa(リバーフィールド社)やHinotori(メディカロイド社)といった新たな手術支援ロボットにも言及され,さらに国内における動向の統計も提示されており,現状把握に有用です.また,区域切除については臨床試験の成果をふまえ,その重要性の高まりが示されており,実臨床における比重の増加が理解できる構成となっています.
薬物療法に関しても,この5年間のガイドライン改訂やエビデンスの蓄積をふまえ,抗血小板・抗血栓療法や,国際対がん連合(UICC)-TNM分類改訂第9版に基づく原発性肺癌病期分類に応じた肺癌周術期治療,化学療法・免疫療法について要点が適切に改訂・整理されており,臨床家にとって実践的な指針となる内容です.
一方で,さらなる充実が期待される点もいくつか見受けられます.たとえば,区域切除に関しては区域間同定法など新たな技術的進歩もみられることから,今後はより詳しい解説が加わることで一層理解が深まるものと思われます.また,ナビゲーションシステムの進歩やクライオバイオプシーといった内視鏡診断領域の発展についても,今後の版ではより体系的な記述が望まれます.さらに,引用文献については必要最小限にとどめる編集方針がとられていると拝察しますが,専門医取得後の中堅医師が知識を深化させる際の指針として,参考文献のさらなる充実が図られると,本書の活用範囲は一層広がると思われます.加えて復習ドリルについても内容の更新が加われば,学習教材としての魅力がさらに高まると考えられます.
総じて本書は,呼吸器外科領域の現在を的確に反映・網羅した優れた教科書であり,初学者から経験を積んだ専門医まで幅広い読者にとって有用な一冊です.今後のさらなる改訂により,より完成度の高い標準的教科書へと発展していくことが期待されます.
胸部外科79巻7号(2026年7月号)より転載
日本赤十字社医療センター院長・中島 淳

