書籍

肝臓病診療ゴールデンハンドブック改訂第2版

編集 : 泉並木
ISBN : 978-4-524-26964-8
発行年月 : 2012年10月
判型 : 新書
ページ数 : 342

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

肝臓疾患で注意する症候は? 診断基準は? 薬剤処方は? 他疾患を抱える患者さんの対応は? などなど肝疾患の診察に携わるおもに後期研修医の先生方に向けて、診療の重要エッセンスをまとめたポケットサイズの好評書の改訂版。今改訂では、IL-28遺伝子多型による薬効評価、新規治療薬の活用法を盛り込み、最新のガイドラインを反映するなど最新情報にupdate。臨床現場で頼りになる一冊。

T章 日常診療で見逃してはならないポイント
 1.注意を要する症候
 2.急性肝不全の早期診断のポイント
 3.画像診断の適切な選択
U章 身体所見と検査
 1.知っておきたい肝臓の解剖
 2.身体所見の特徴
 3.血液・生化学
 4.ウイルス学的検査
  A.A型肝炎ウイルスマーカー
  B.B型肝炎ウイルスマーカー
  C.C型肝炎ウイルスマーカー
  D.D型肝炎ウイルスマーカー
  E.E型肝炎ウイルスマーカー
 5.肝生検
 6.画像診断
  A.腹部超音波
  B.CT
  C.MRI
  D.シンチグラフィー
V章 肝臓病の診方とアプローチ
 1.A型肝炎、E型肝炎
  A.A型肝炎
  B.E型肝炎
 2.B型急性肝炎
 3.C型急性肝炎
 4.劇症肝炎
 5.B型慢性肝炎
 6.C型慢性肝炎?
 7.自己免疫性肝炎
 8.原発性胆汁性肝硬変
 9.原発性硬化性胆管炎?
 10.薬物性肝障害
 11.アルコール性肝障害
 12.脂肪肝、NAFLD・NASH
  A.脂肪肝
  B.NAFLD・NASH
 13.代謝性肝疾患
  A.Wilson病
  B.ヘモクロマトーシス
  C.体質性黄疸
  D.その他の代謝性肝疾患
 14.肝嚢胞性疾患?肝嚢胞、肝膿瘍
  A.肝嚢胞
  B.化膿性(細菌性)肝膿瘍
  C.アメーバ性肝膿瘍
 15.寄生虫症
 16.肝硬変
  A.病態と重症度
  B.門脈圧亢進と腹水
  C.肝性脳症
  D.肝不全・黄疸
 17.肝良性腫瘍
 18.肝細胞癌?診断のガイドラインを中心に
 19.胆管細胞癌
 20.転移性肝癌
W章 肝炎・肝硬変の主な治療法
 1.薬物療法
  A.抗ウイルス療法
   A-1.B型慢性肝炎
   A-2.C型慢性肝炎
  B.DAAs?C型肝炎に対する新規治療薬
  C.肝庇護療法
 2.輸液と栄養
  A.輸液
  B.栄養
 3.食道静脈瘤内視鏡治療
 4.腹水の治療
 5.肝性脳症の治療
 6.肝移植
 7.肝疾患の栄養管理
X章 肝癌の主な治療法
 1.肝癌治療のガイドライン
 2.外科手術
 3.肝癌に対する局所療法?ラジオ波・エタノール注入療法
 4.肝細胞癌に対する肝動注化学療法
 5.分子標的治療薬
Y章 他疾患の肝障害の鑑別と治療
 1.糖尿病患者
 2.心疾患患者
 3.血液疾患患者
 4.肝臓以外の癌患者?化学療法の留意点
付録
 1.各種ガイドライン、診断基準、疾患分類
 2.薬剤一覧
索引?

肝炎に対する抗ウイルス薬や肝癌に対する分子標的治療薬が使用できるようになり、ここ5年間に大きな治療体系が変化した。C型肝炎において宿主の遺伝子を測定することによって、インターフェロンの治療効果が予測でき、新たな直接抗ウイルス薬を用いることによって治癒する例が増加した半面、有害事象の出現や薬剤耐性変異の問題が重要視され、どの薬剤を選択していつ治療するのかが専門医にとって大きな課題となっている。また、B型肝炎では、HBs抗原量の測定が肝発癌の予測に寄与することがわかり、新たに使用できるようになったペグインターフェロン製剤を有効活用することが重要になっている。肝癌では、新たなGd-EOB-DTPA造影MRIを行うことによって、早期肝細胞癌の診断が大きく進歩し、分子標的治療薬が使用可能になって適切な使い方をすると生命予後の改善が得られるようになった。
 そこで、この度『肝臓病診療ゴールデンハンドブック』を大きく改訂して、第2版を作製した。新たな知識を活用して、最適な医療を提供する知識が得られる内容にすることに主眼をおいた。すでに実地臨床に長く携わっている医師や、若い専門医が活用できるように配慮した。また、これから肝臓診療を学ぶ若手医師にとって最低限知っておくべき内容が網羅されている。しかし、本書はポケットに入るサイズとし、常に臨床で参照できる内容とした。重要なポイントを、できるだけ図表にまとめて、短時間で重要なポイントを把握できるように心がけた。とくに留意すべき点については、色文字のゴシック体にして示し、理解の助けになるように配慮した。
 わが国では、肝炎対策基本法が制定され、さまざまな医療費助成が行われている。本書を活用していただき、現代の高度医療に相応しい診療を行う手助けになれば望外の喜びである。

2012年9月吉日
編者

泉並木先生編集の『肝臓病診療ゴールデンハンドブック』は2007年に初版が刊行された。当時、肝疾患に関するこの種のハンドブックはなく、初期研修医、後期研修医はもちろん実地医家の日常診療においても大いに役立ち、広く汎用された。医学・医療の進歩は驚くほど早く、肝疾患診療においても例外でない。新しい知見が臨床応用され、毎年診療ガイドラインや治療ガイドラインが更新されている。初版から5年が経過したこのほど、最新情報満載の改訂第2版が上梓された。
 今回改訂された第2版の特徴は第W章に「肝炎・肝硬変の主な治療法」を、第X章に「肝癌の主な治療法」を独立させたことである。ウイルス肝炎の抗ウイルス治療と肝癌の治療は、新薬の登場等により治療オプションが広がっている。ウイルス性慢性肝炎、肝硬変、肝癌は日常診療でよく遭遇する疾患である。いったん診断が確定した場合、その治療が的確になされれば予後がよいことがわかっている。ここに編者の本書に込めた明快なメッセージを読み取ることができる。
 第W章「肝炎・肝硬変の主な治療法」は本書でもっとも重要な部分である。内容は、1。薬物療法、2。輸液と栄養、3。食道静脈瘤内視鏡治療、4。腹水の治療、5。肝性脳症の治療、6。肝移植、7。肝疾患の栄養管理に分かれている。中でも1。薬物療法についてはA。抗ウイルス療法に39ページを割き、もっとも重点を置いた記述がされている。B型肝炎、C型肝炎に対する抗ウイルス治療は新薬の登場、効果予測に関する新しい宿主因子の発見等、格段の進歩がある。B型肝炎、C型肝炎の具体的な治療法については、厚生労働省科学研究班から提唱されている治療ガイドラインに則り記載されている。B型肝炎では核酸アナログ製剤の特徴と使い方、ペグインターフェロン(PEG―IFN)注射の使い方はもちろん、最近話題になっている免疫療法・化学療法時に発症するde novo B型肝炎の予防についても述べられている。C型肝炎については最新治療法であるtelaprevir+PEG―IFN+ribavirin 3剤併用療法の実際、副作用がわかりやすく記載されている。また、IFNを用いた抗ウイルス治療の効果予測因子として、最近同定された宿主遺伝子IL28BのSNPについては、治療アルゴリズム上での有用性が説明されており、患者への説明には便利である。また、C型肝炎ウイルスの増殖を直接抑える内服薬である直接作用抗ウイルス薬(direct anti―virus agents:DAAs)についても言及されている。
 第X章「肝癌の主な治療法」も力が入っている章である。ガイドライン、外科手術、局所療法、動注化学療法、分子標的治療薬等が網羅されている。分子標的治療薬であるsorafenibは保険診療で肝細胞癌に使用できる唯一の薬剤であり、その適応、投与法、治療効果判定法、画像変化、腫瘍マーカーの推移についてコンパクトに書かれている。また、本薬には有害事象が高頻度にみられることから、対策法も記載されている。
 B型肝炎、C型肝炎の抗ウイルス治療には治療費助成等、国をあげて支援体制を構築したところであり、この制度を利用して治療を受ける患者が増加しつつある。その時期に上梓された本書は実地医家にとって頼りになる書であることは間違いない。

評者●清澤研道
内科111巻3号(2013年3月号)より転載

肝炎に対する新規の抗ウイルス薬や肝細胞癌に対する分子標的治療薬が使用できるようになり、近年肝疾患治療体系は大きく変化した。C型肝炎に対しては、従来と異なる作用機序をもつ薬剤の開発とその臨床への導入によって、治療効果に大きな進展がみられている。B型肝炎の治療も進歩し、また病態の概念も変化している。逆転写酵素阻害薬がB型肝炎治療薬として開発され使用されているが、耐性の問題が深刻化している。従来B型肝炎感染としては完治と考えられていたHBs抗体陽性患者からのHBs抗原再陽性化やそれに伴う劇症化など、以前には把握できなかった臨床像も明らかになってきた。また、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の疾患概念が確立された。発症のメカニズムが複雑ですべてが解明されているとはいえないものの、肝硬変、肝癌へ進展する可能性が明らかとなった。メタボリックシンドロームの増加に伴い、NASHへの注目が高まっている。肝癌の診断においても、造影超音波やGd─EOB─DTPA造影MRIによる早期肝細胞癌の診断が大きく進歩した。外科診療を実施するうえでも、このような病態の解明と診断・治療の進歩に伴い複雑化する肝疾患治療体系を理解し実践しなければならず、そうでなければ思わぬピットフォールに陥ることも懸念される。
 本書は、肝疾患に関するup-to-dateな知識をコンパクトにまとめ、使いやすいポケットサイズのハンドブックとして2007年に出版された。このたび、前述のような肝疾患治療の進歩に対応すべく、改訂版が出版された。最適な医療を提供する新たな知識が得られる内容にすることに主眼をおいて、実地臨床に有用な最新のガイドラインや、診断基準、コンセンサス、治療基準などが簡潔に盛り込まれている。短時間で重要なポイントを把握できるため、肝臓外科医のみならず一般消化器外科医にとっても、日常診療の中で使用しやすい知識の整理に有益な書である。

評者●大段秀樹
外科75巻3号(2013年3月号)より転載