書籍

薬剤師がはじめるフィジカルアセスメント

副作用症状を見抜くためのポイント

監修 : 河野茂
編集 : 濱田久之/佐々木均/北原隆志
ISBN : 978-4-524-26956-3
発行年月 : 2011年7月
判型 : B5
ページ数 : 204

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

薬剤師のフィジカルアセスメント(PA)を「副作用症状の早期発見」に繋げるためには何が必要かを中心にまとめた。PAの基本手技(1、2章)、患者の症状あるいは処方せんから何を読み取るべきか(3、4章)など、PAを多方面からアプローチできる構成。豊富なカラー写真やイラストで、これからPAを始める薬剤師に最適。

I フィジカルアセスメントを始めるまえに
1 薬剤師にとってフィジカルアセスメントとは何か
(1)薬剤師を取り巻く環境とフィジカルアセスメン卜
(2)薬剤師がフィジカルアセスメン卜を行うために
(3)薬剤師がフィジカルアセスメン卜を身につけるために
(4)フィジカルアセスメン卜業務の立ち上げと運営のポイント
2 準備
(1)医療面接の基礎知識
 【1】心構え/【2】身だしなみ/【3】言葉づかい/【4】患者さんへの配慮
(2)病棟(あるいは外来や往診)に行く際の注意事項
 【1】カルテを読む/【2】医師や看護師に了解を得る/【3】目的の確認、持ち物の確認をする
(3)問診の流れ
 ワンポイント 目的を明確に伝える
(4)問診の注意点
 【1】視線と相づち/【2】開放型質問と閉鎖型質問/【3】患者さんからの質問に対する基本的姿勢
 ワンポイント ベッドサイドでの感染予防策

II フィジカルアセスメントの基本
1 バイタルサイン
(1)意識レベル
 【1】目的/【2】手順および評価/【3】こんなときは医師にコンサルトを
(2)体温測定
 【1】目的/【2】手順/【3】評価/【4】こんなときは医師にコンサルトを
(3)脈拍測定
 【1】目的/【2】手順/【3】測定時間/【4】評価/【5】こんなときは医師にコンサルトを
(4)呼吸数
 【1】目的/【2】手順/【3】評価/【4】こんなときは医師にコンサルトを
(5)血圧
 【1】目的/【2】手順/【3】評価/【4】こんなときは医師にコンサルトを
 ワンポイント ゴム球の正しい持ち方
 ワンポイント コロトコフ音とは
2 身体診察(総論)
 【1】目的/【2】手順
 ワンポイント カルテの記載について
(1)視診
 【1】目的/【2】手順
 ワンポイント かしこい視診の仕方
(2)聴診
 【1】目的/【2】聴診器の種類と仕組み/【3】聴診器のつけ方/【4】聴診器のあて方
 ワンポイント 聴診トレー二ング
3 身体診察(各論)
(1)頭頸部および顔面の診察
 【1】問診のポイント/【2】視診/【3】聴診
 ワンポイント 舌圧子とペンライトの持ち方
(2)胸部(呼吸器系)の診察
 【1】問診のポイント/【2】視診/【3】聴診
 ワンポイント パルスオキシメーターの利用
(3)胸部(循環器系)の診察
 【1】問診のポイント/【2】視診/【3】聴診
 ワンポイント 心尖拍動の触診
(4)腹部の診察
 【1】問診のポイント/【2】診察の手順/【3】視診/【4】聴診/【5】浅い触診/【6】深い触診
 ワンポイント 腹部4分割領域と解剖

III 異常所見から副作用を疑う
 (1)特徴的な副作用とその症状/(2)副作用頻度の高い薬剤/(3)副作用歴の聴き方/(4)副作用をみつけるためのフィジカルアセスメント/(5)こんなときには医師にコンサルトを/(6)チェックポイン卜
1 全身系の副作用
2 皮膚科系の副作用
3 循環器系の副作用
4 神経系の副作用
5 精神系の副作用
6 呼吸器系の副作用
7 消化器系の副作用
8 腎臓系の副作用
9 代謝系の副作用
10 副作用症状としての感染症
11 小児の副作用
 ワンポイント 子どもを診察するときの注意点
12 産婦人科系の副作用
 ワンポイント 女性を診察するときの注意点
13 泌尿器系の副作用
14 眼科系の副作用
15 耳鼻・咽喉系の副作用
16 歯科・口腔領域の副作用

IV 処方せんから見るフィジカルアセスメント
 (1)処方例/(2)注意すべき副作用/(3)副作用早期発見のためのフィジカルアセスメント/(4)薬剤管理指導のポイント
1 降圧薬を含む処方例
(1)ACE阻害薬とサイアザイド系利尿薬の併用
(2)アンジオテンシンII受容体拮抗薬とCa拮抗薬の併用
2 脂質異常症薬を含む処方例
(1)HMG-CoA還元酵素阻害薬と小腸コレステロールトランスポーター阻害薬の併用
3 抗血小板薬を含む処方例
(1)ワルファリンカリウム
(2)クロピドグレルとアスピリンの併用
4 喘息治療薬を含む処方例
5 胃潰瘍、十二指腸潰瘍治療薬を含む処方例
6 緩下剤を含む処方例
7 糖尿病治療薬を含む処方例
8 抗リウマチ薬を含む処方例
9 尿酸排泄薬を含む処方例
(1)ベンズブロマロンとクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物の併用
10 抗精神病薬を含む処方例
11 抗てんかん薬を含む処方例
(1)バルプロ酸ナトリウムとラモトリギンの併用
(2)フェニトイン単剤処方
12 抗がん薬を含む処方例
(1)R-CHOP
13 がん疼痛治療薬を含む処方例
(1)徐放性と速放性モルヒネ製剤の併用
(2)フェンタニルパッチとオキシコドンによるがん疼痛緩和
14 免疫抑制薬を含む処方例
15 抗菌薬を含む処方例
(1)キノロン系薬単独処方
(2)経口血糖降下薬とキノロン系薬の併用
16 漢方薬を含む処方例

索引

近年高度化する医療において、薬剤師が積極的に薬物療法に参画するようになることは当然の流れと考えられます。薬剤師は薬物療法の専門家であり、医療の質の向上と安全の確保に十分な役割を果たすことができます。しかし、チーム医療を本当に円滑に進めるためには、異なった職種との境界領域や関連する領域へ正しく理解を示さなければなりません。そのひとつの手段が、本書の表題である「フィジカルアセスメント」といってよいでしょう。
 平成19年12月28日には、厚生労働省から「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」が通知されています。平成21年8月には「チーム医療の推進に関する検討会」が設立され、その報告書を基に、平成22年4月30日付で「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」が通知されました。いずれも、関係法規に照らして医師以外のスタッフが実施可能な医療業務について、チームで分担することが示されています。薬剤師においては「薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと」、「薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること」などが明記されています。
 つまり、本書で扱うフィジカルアセスメントは、これからの医療のニーズに沿った内容であり、チーム医療の成否に関わる重要な事項のひとつと考えてよいでしょう。医療現場で医薬品に関する専門性を有している薬剤師にかかる期待は益々大きくなるに違いありません。患者からみた場合、医師より聞きやすく、専門的な知識がある薬剤師は、ともすれば言い出せないで終わるような副作用などについて、相談しやすいパートナーとなるに違いありません。
 しかし、その時、情報に含まれる意味を読み取る必要があり、臨床の現場での訓練は不可欠です。これまでの4年制の薬学教育では、必ずしも十分ではなかった臨床教育も、6年制になって、より実践的な知識や技術を学ぶ方向へ舵を取ることになるでしょう。教育課程だけでなく、実際に臨床現場へ続くシームレスな教育・研修が必要と考えます。
 本書は、薬剤師が「フィジカルアセスメント」を始めるための基礎知識と方法、そして副作用を早期に発見できるように臓器ごとの解説、さらに処方例からどのように取り組むかについて解説しています。本書が、薬剤師の知識と技術の修得の一助となり、豊かな医療を実践する礎となることを願っています。
2011年6月
監修 河野茂