書籍

専門家をめざす人のための緩和医療学

オンラインアクセス権付

編集 : 日本緩和医療学会
ISBN : 978-4-524-26944-0
発行年月 : 2014年6月
判型 : B5
ページ数 : 374

在庫あり

定価6,480円(本体6,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

緩和医療の臨床実践に役立つ内容を網羅した学会公式テキスト。各論では「主要な症状のアセスメントとマネジメント」「心理社会的・スピリチュアルな側面」のほか、「教育」「研究」に関する内容も掲載し、専門医認定試験に必要な知識をカバー。緩和医療専門医をめざす医師だけでなく、緩和医療を専門的に学びたいすべてのメディカルスタッフに役立ち、指針となる一冊。

第I章 総論
1.緩和ケアの歴史と展望
 A 緩和ケアの歴史
 B 緩和ケアの発展
 C 緩和ケア−これからの課題と展望
2.全人的苦痛とチーム医療
 A 苦しみ
 B チーム医療
3.倫理的側面
 A 生命倫理の基礎理論
 B 緩和ケアにおける倫理的問題
4.腫瘍学
 A がんに関する基礎知識
 B がんの管理と治療
 C オンコロジー・エマージェンシー
5.緩和医療の拡大
5-1.小児
 A 定義と対象、疫学
 B 発達の理解
 C 家族への対応
 D 倫理面の課題
 E 痛みの緩和
 F 臨死期のケアと死別
5-2.高齢者と非悪性疾患患者
 A 定義と対象、疫学
 B 疾患の軌跡の理解
 C 家族への対応
 D 倫理面の課題
 E 緩和ケアの実際
 F 臨死期のケアと死別
第II章 主要な症状のアセスメントとマネジメント
1.包括的アセスメント
 A 評価方法
 B アセスメントツール
2.がん疼痛
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
3.倦怠感
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
4.食欲不振・悪液質症候群
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
5.悪心・嘔吐
 A 概念
 B 疫学
 C 原因
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
6.腸閉塞
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
7.便秘
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
8.下痢
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
9.腹水
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
10.呼吸困難
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
11.咳嗽
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
12.胸水
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
13.気道分泌過多
<死前喘鳴>
 A 概念・症候
 B 疫学
 C 病態生理
 D アセスメント
 E マネジメント
 F ケア
<気管支漏>
 A 概念・症候
 B 病態生理
 C マネジメント
 D ケア
14.下部尿路症状
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
15.乏尿・無尿
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
16.血尿
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
17.転移性脳腫瘍
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
18.脊髄圧迫
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
19.高カルシウム血症
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
20.上大静脈症候群
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
21.うつ病と適応障害
 A 疫学
 B 危険因子
 C 診断
 D 薬物療法
 E 非薬物療法
 F 精神療法
 G 抑うつのスクリーニングと包括的介入プログラム
 H チーム医療
22.せん妄
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
23.睡眠障害
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
24.臨死期のケア
 A 概念
 B 疫学
 C 症候
 D 病態生理
 E アセスメント
 F マネジメント
 G ケア
25.苦痛緩和のための鎮静
 A 概念
 B 疫学
 C アセスメント
 D マネジメント
 E ケア
第III章 心理社会的・スピリチュアルな側面
1.心理的反応
 A がんに対する心理的反応
 B コーピング(対処)
 C 防衛機制
 D 心理的反応への対応
2.コミュニケーション
 A コミュニケーションの概要
 B 緩和ケアにおけるコミュニケーション
 C 対応が難しい場合のコミュニケーション
 D 家族とのコミュニケーション
 E 医療従事者間のコミュニケーション
3.社会経済的な問題と支援
 A 社会経済的な問題
 B 社会的な問題とその支援
 C 経済的な問題とその支援
 D 社会資源の活用
4.スピリチュアリティとスピリチュアルケア
 A QOLと価値観
 B 病いの体験
 C スピリチュアリティとスピリチュアルペイン
 D スピリチュアルケア
5.家族ケアと遺族ケア
<家族ケア>
 A がん患者家族になるということ
 B 家族への対応
<遺族ケア>
 A がん患者遺族になるということ
 B 遺族への対応
6.医療従事者の心理的ケア
 A 医療従事者の心理的問題
 B 医療従事者の心理的ケアの方法
第IV章 教育・研究
1.教育
 A 緩和ケア教育の類型化
 B 卒前教育
 C 卒後教育−基本的緩和ケアの教育
 D 専門教育
2.研究
 A 研究デザイン
 B 量的研究
 C 質的研究
 D 介入の計画
 E 研究対象の選択
 F アウトカムの測定
 G 統計解析の基本原理と臨床的有用性
 H その他、臨床研究の実施・解釈における注意点
事項索引
薬剤索引

『専門家をめざす人のための緩和医療学』が、ついに上梓されることとなりました。本書はまず、(1)日本緩和医療学会の「緩和医療専門医をめざす医師のための研修カリキュラム」に準拠した内容、(2)緩和医療専門医をめざす医師や専門的緩和医療を学ぶ医療従事者の要望に応える内容、(3)緩和医療を臨床実践する際の指針となる内容、これらすべてを盛り込むことを目的として立案・作成されたものです。緩和医療・ケアの専門家、50人以上からなる執筆陣が組織され、読者対象を専門的緩和医療・ケアを臨床実践する医療従事者、つまり医師だけでなく、すべてのメディカルスタッフ(看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、リハビリテーション専門職等)にも満足のいく内容と質を目指したテキストです。
 執筆方法はきわめて合理的かつ斬新で、三段構えの執筆・加筆・編集体制が導入されています。これは、まず各項目を第一執筆者が執筆し、その原稿を看護師担当者(一部の項目)、第二執筆者が加筆、さらに担当編集作業WPG(Working Practitioner Group)員が加筆修正、できあがった原稿について執筆者全体による査読を行った後、最終的には編集作業WPG員全員で編集を行うという時間をかけた、かつ念の入った独特のシステムでした。これにより、多人数執筆により往々にして生じる文章構成や文体の不揃い、項目別の内容量の多寡、連続性の欠如などが一掃され、一貫性のあるきわめて読みやすいテキストとなっています。
 本書は、第I章:総論、第II章:主要な症状のアセスメントとマネジメント、第III章:心理社会的・スピリチュアルな側面、第IV章:教育・研究、の四章から構成されています。第I章では、緩和医療・ケアの歴史から始まり、全人的苦痛、チーム医療、倫理、腫瘍学、さらに小児や高齢者の特性や非悪性疾患患者にまで言及されています。第II章では、緩和ケアの臨床現場で遭遇するおよそすべての症状のアセスメントとその対応が、EBMに準じた内容だけでなく、現場を経験した実務者の言葉としても語られており、試験向きのペーパーワークとしてだけではなく、実務レベルでも十分に活用・実践できる内容が盛り込まれています。第III章では、患者心理とコミュニケーションスキル、スピリチュアルな側面をピックアップし、家族ケア、遺族ケア、そしてスタッフのケアにまで及ぶ、微に入り細を穿つ内容となっています。第IV章では、緩和医療・ケアの教育・研究にまで筆が進められており、まさに専門的緩和医療・ケアの総仕上げに向かう医療従事者、そしてこれからそれを目指す各種メディカルスタッフにとって、座右の書とするに相応しい珠玉の一冊です。一項目でも読んでいただければ、執筆者の方々の熱意と、多くの手間と時間をかけたプロセスを実感・理解していただけると思います。
 本書が、わが国の緩和医療・ケアを今も支え、これからも支えていくメディカルスタッフの方々の一助となり、それが“より良い緩和医療・ケアを切望する患者・家族により良い緩和医療・ケアを届けられる”ことにつながっていくことを祈願して、序とさせていただきます。

2014年4月
特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
理事長 細川豊史

 このたび、日本緩和医療学会の編集による「専門家をめざす人のための緩和医療学」が上梓された。本書は同学会の専門医の研修カリキュラムに準拠しており、緩和医療専門医をめざす人のための公式のテキストであるとともに、緩和医療に従事する他の医療職についても十分配慮された内容となっている。
 内容は、第I章で緩和ケアの歴史と展望、倫理的側面、腫瘍学などの総論に始まり、第II章では症状のアセスメントとマネジメントについて、疼痛、倦怠感など25項目に及び網羅的に記載されている。第III章では、心理社会的・スピリチュアルな側面について、心理的反応やコミュニケーションから、家族と遺族ケア、医療従事者の心理的ケアにいたるまで、緩和医療に関わる医療者に必要な事項が詳細に述べられている。さらに本書は、第IV章において教育・研究を取り上げているのが大きな特徴である。これは、緩和医療の専門家は、実際の診療はもちろんのこと、教育・研究においても大きな役割を担うべきである、という緩和医療学会の方針に基づくものであろう。
 本書の執筆・編集にあたっては、多くの専門家・職種がブラッシュアップと内容の統一に関わっていることが大きな特徴である。そのため、分担執筆にありがちな内容の重複や不統一がなく、どこからでも安心して読むことができる。すべての記載には最新のエビデンスが明示されており、まさに標準テキストとしてふさわしい仕上がりになっている。購入するとオンラインアクセスも可能になるので、パソコンやタブレット端末でどこでも参照できるのも魅力である。
 本書は、タイトルに示すとおり「緩和医療の専門家をめざす人のため」に執筆されている。その目的に十分にかなうだけの内容になっていることは上述のとおりであるが、その記載はきわめて実践的かつ具体的であり、専門家以外の医療従事者にとっても非常に有用な内容が盛り込まれている。いうまでもなく、わが国における緩和医療は専門家だけで成り立つものではない。対象も肺気腫や心不全、認知症など、悪性疾患以外の疾患のケアにも広がりをみせており、ほとんどの医療者が何らかの形で緩和医療に関わっているのが実情である。緩和医療の実践において対応が求められるさまざまな問題を網羅的に取り上げ、最新のエビデンスに基づいてわかりやすく記述された本書は、非専門家にとっても診療のレファレンスとして最適である。とくに、周りに専門家がいないセッティングで働いている医療者にとっては、本書をベッドサイドに備えておくことで、緩和医療に関する最新・最善の情報をすぐに入手できるのだから、診療の質の向上に大いに役立つだろう。
 タイトルに異を唱えるようではあるが、本書は、緩和医療の専門家をめざす人はもちろん、そうでない人にとっても最適の良書である。わが国の緩和医療のエキスパートが総力を結集してつくり上げた本書は、緩和医療に関わるすべての人にお薦めの一冊である。

臨床雑誌内科115巻5号(2015年5月号)より転載
評者●筑波大学附属病院総合診療科教授 前野哲博