書籍

基礎から学ぶ医療関連感染対策改訂第2版

標準予防策からサーベイランスまで

: 坂本史衣
ISBN : 978-4-524-26873-3
発行年月 : 2012年3月
判型 : B5
ページ数 : 230

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

感染対策の基礎から臨床において議論の分かれる点まで網羅。院内感染対策を“しっかり学べる”テキストの改訂版。こまかい予備知識がないビギナーはもちろん、専門看護師、認定看護師をめざしている方にも有用。今改訂では、図表を活用したわかりやすさはそのままに、ガイドラインの改訂等に合わせて“up to dateな記述”に更新した。

第I章 感染の成立と予防に関する考え方
 A.院内感染から医療関連感染へ
 B.感染の発生を疫学的な視点でとらえる 
 C.感染成立の連鎖
 D.感染成立の連鎖に基づく感染予防の考え方

第II章 基本的な感染予防策 
1.標準予防策(スタンダード・プリコーション)
 A.標準予防策の考え方
 B.手指衛生
 C.個人防護具の着用
 D.呼吸器衛生/咳エチケット
 E.注射を介した感染予防
2.感染経路別予防策
 A.接触予防策
 B.飛沫予防策
 C.空気予防策

第III章 医療器具・処置関連感染防止
1.血管内留置カテーテル由来血流感染予防策
 A.血管内留置カテーテル由来血流感染とは
 B.血管内留置カテーテル由来血流感染の発生頻度と起因菌
 C.血管内留置カテーテル由来血流感染の感染経路
 D.血管内留置カテーテル由来血流感染の予防策
2.尿道カテーテル関連尿路感染予防策
 A.尿道カテーテル関連尿路感染とは
 B.尿道カテーテル関連尿路感染のリスク
 C.尿道カテーテル関連尿路感染の起因菌
 D.尿道カテーテル関連尿路感染の感染経路
 E.尿道カテーテル関連尿路感染の予防策
 F.効果を認めない対策
 G.尿道カテーテル代替法
 H.尿道カテーテルの材質
3.人工呼吸器関連肺炎予防策
 A.人工呼吸器関連肺炎とは
 B.人工呼吸器関連肺炎の種類と起因菌
 C.人工呼吸器関連肺炎発生のメカニズム
 D.人工呼吸器関連肺炎予防策
4.手術部位感染予防策
 A.手術部位感染とは
 B.手術部位感染の発生部位
 C.手術部位感染の起因菌と感染経路
 D.手術部位感染予防策
資料 セルフチェックリスト

第IV章 職業感染防止
1.針刺し・切創・汚染
 A.針刺し・切創・汚染の現状と感染リスク
 B.針刺し・切創・汚染予防策
 C.針刺し・切創、汚染発生時の対応
2.結核
 A.結核の現状
 B.結核の早期発見
 C.結核の伝播経路と病態
 D.結核の伝播予防策
 E.結核の届出
 F.接触者への対応
3.流行性ウイルス感染症
 A.医療現場で問題となる流行性ウイルス感染症
 B.麻疹、水痘、風疹、流行性耳下腺炎
 C.インフルエンザ
 D.流行性角結膜炎

第V章 洗浄・消毒・滅菌
 A.洗浄・消毒・滅菌の基本
 B.洗浄・消毒・滅菌の選択
 C.開封・調整後の消毒薬の使用期限

第VI章 ファシリティ・マネジメント
 A.清掃
 B.洗濯
 C.廃棄物の管理
 D.空調管理
 E.給食部門

第VII章 部署別感染対策
1.集中治療室(ICU)における感染対策
 A.ICU患者の感染リスク
 B.ICUにおける感染予防策
2.新生児集中治療室(NICU)における感染対策
 A.NICUに収容される新生児の感染リスク
 B.NICUの特性に基づく感染対策のポイント
3.内視鏡を介した感染対策
 A.内視鏡を介した感染のリスク
 B.使用済み内視鏡の処理
 C.生検鉗子などの処置具の処理
 D.内視鏡を取り扱う従業員の安全対策
4.透析室における感染対策
 A.慢性透析患者の感染リスク
 B.透析室における感染予防の考え方
 C.透析室における具体的な感染対策
5.高齢者介護施設における感染対策
 A.高齢者介護施設入所者の感染リスク
 B.高齢者介護施設における具体的な感染対策
 C.高齢者介護施設における感染症の早期発見と対応
6.在宅における感染対策
 A.在宅患者の感染リスク
 B.標準予防策
 C.感染経路別予防策
 D.日常生活における感染予防
 E.医療器具に由来する感染症対策のポイント
 F.患者および同居者への予防接種

第VIII章 医療関連感染サーベイランス
 A.医療関連感染サーベイランスの定義と意義
 B.サーベイランスで得られる指標
 C.感染対策の評価に用いられる指標
 D.医療器具関連感染サーベイランスの方法
 E.手術部位感染サーベイランスの方法

索引

初版が上梓された2008年から今日までに、医療関連感染の領域ではさまざまな変化が起きた。その変化を象徴するのが、感染制御(infection controI)に代わり感染予防(infection prevention)という用語が意図的に使われるようになったことだろう。感染予防という言葉には、感染症の発生を許さない積極的な意思が込められている。この数年間で改訂された多数のガイドラインにも感染予防の視点が盛り込まれた。たとえば、エビデンスレベルの高い予防策を単独で行うのではなく、複数を同時に実施する「ケアバンドル」を導入することが、高い予防効果を発揮することから推奨されるようになった。また、世界保健機関(WHO)が、感染予防の基盤である手指衛生を要する5つの場面を示したシンプルなガイドラインを出版し、観察法によって実践率を把握することを推進している。
 国内では、診療報酬制度において感染防止対策加算が新設され、専従の感染対策担当者を配置した医療機関に保険点数が加算されるようになった。実際に医療を取り巻く状況をみると、高齢者人口の増加、医療の高度化やアウトソーシングがさらに進み、医療サービスを受ける側、提供する側の双方において感染のリスクが高まっている。予防に主眼を置いた活動は以前にもまして重要になったといえる。
 改訂第2版には、これらの変化を反映した。ただし、教科書として採用していただいている教育機関があることを考慮し、基本構成は変えず、古い内容は削除し、新しい情報を追加することにした。その他に考慮した点はほぼ初版と変わらない。すなわち、可能な限り、(1)医療関連感染予防に取り組むビギナーにもわかりやすい内容とすること、(2)対策の根拠やその有無を明確にすること、(3)議論のある対策については偏ることなく、議論の内容を記すこと、(4)図表を活用すること、(5)筆者の経験も紹介しながら具体的に解説すること(6)現実的な内容とすることである。
 医療関連感染対策については、年々新しい知見が加えられているものの、強力な科学的根拠で支持される予防策は相変わらず一握りである。その他数多くの感染予防策は、導入する意義や実施方法についていく通りもの考え方があり、単純に正解、不正解に区別されうるものではない。このため、各医療機関の担当者は悩み、迷いながら、感染予防体制の改善に取り組んでいる。本書がそのような方々にとって、役立つ一冊となれば幸いである。
2012年2月
坂本史衣