書籍

3日間で行う理学療法臨床評価プランニング

編集 : 中山恭秀
ISBN : 978-4-524-26814-6
発行年月 : 2013年5月
判型 : B5
ページ数 : 208

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

理学療法士がよく遭遇する10疾患を中心に、理学療法を開始するにあたっての初期評価の流れを3日間にまとめ、豊富なカラーイラストで解説した。限られた時間内に効率よく、かつ患者に負担をかけないようにして患者像を余さず捉え、今後の治療や理学療法、患者の生活を考えながら評価プランを立てる力が身につく。臨床現場で使いやすいよう、よく使う評価法も収載。

本書の使い方
I章 臨床評価プランニング実践
 1 脳血管疾患(片麻痺)
 2 大腿骨頚部・転子部骨折
 3 腰椎圧迫骨折
 4 変形性股関節症(人工股関節全置換術)
 5 変形性膝関節症(人工膝関節全置換術)
 6 パーキンソン病
 7 脊髄損傷(対麻痺)
 8 頚髄損傷(四肢麻痺)
 9 切断
 10 運動失調
II章 役立つ高頻度利用評価指標ガイド
 1 情報収集
 2 血液・生化学データ
 3 意識[Japan Coma Scale(JCS),Glasgow Coma Scale(GCS)]
 4 Mini Mental State Examination(MMSE)
 5 Visual Analog Scale(VAS)とNumeral Rating Scale(NRS)
 6 Borg スケール
 7 踵引き寄せ距離(股関節複合可動性評価)
 8 形態測定
 9 HHD(hand held dynamometer)測定
 10 modified Ashworth scale(mAs、痙縮評価法)
 11 協調性検査
 12 Functional Reach Test(FRT)
 13 Functional Balance Scale(FBS)
 14 歩行テスト
 15 姿勢安定度評価指標(Index of Postural Stability:IPS)
 16 Physiological Cost Index(PCI)
 17 Timed“Up and Go”Test(TUG)
 18 6分間歩行距離(6MD)
 19 Barthel Index(BI)
 20 Functional Independent Measure(FIM)
 21 起居・移動動作のテスト
 22 Ability for Basic Movement Scale(ABMS)
 23 Brunnstrom Recovery Stage(BRS)
 24 National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)
 25 日本整形外科学会(JOA)スコア
 26 ASIAによる脊髄損傷神経学的評価
 27 Zancolliの分類における損傷レベルと最終獲得機能
 28 Hoehn&Yahr分類
 29 Unified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS)
 30 WOMAC OA index(Western Ontario and McMaster Universities osteoarthritis index)
 31 日本整形外科学会股関節疾患評価質問票(Japanese Orthopaedic Assosication Hip Disease Evaluation Questionnaire:JHEQ)
索引

『3日間で行う理学療法臨床評価プランニング』は、実際の臨床現場の評価を念頭に置き、臨床経験の浅い実習生から若手臨床家をイメージして作成しました。今日の医療現場における理学療法は、限られた時間で情報収集から評価(検査・測定・分類)、安全に配慮しながらの診療までを行います。当然のごとく、患者数が少なければ1人の患者により多くの時間を割きたいところではありますが、実際は患者数が増えれば1人当たりの時間数は減少してしまいます。そのため、必然的に合理的な患者誘導や評価の流れが求められます。最近ではpatient flow managementという概念が求められており、理学療法のみでなく“流れ”が重要となっております。筆者が思う臨床における重要な能力に、評価をどのように組み立てるかというプランニング力があります。これは、できるだけ瞬時にイメージする必要があり、認知領域というよりは精神運動領域の能力と言えるでしょう。優先するべき項目と後回しにしてもよい項目の区別、病棟に訪問して聴取しても問題ない項目や、数日繰り返して調べる必要がある項目など、計画的に組み立てる必要があります。これが「評価プラン」です。検査・測定項目の選択から、どの順番でどの程度抜粋して評価するかというものであり、何をどの順番で行うかという「評価プログラム」とは微妙に異なります。例えば、長期臥床でようやく理学療法室に行くことができるようになった患者をプラットフォームに移乗して、背臥位で長い時間かけて関節可動域と筋力測定、感覚検査を行うこととしましょう。この場合、評価項目としては正しくても、評価プランとしては不適切になる場合が少なくありません。リスク管理上、坐位や立位に制限がある場合はともかく、血圧変動や気分不快、痛みなどがない場合は、長々と背臥位で検査を行うことはあまり好ましくありません。評価プランはこのような実際に気をつけなければならない評価の流れが重要です。実際、この評価プランの立案は経験が大きく左右します。その上で、判断力や決断力も必要です。正解を示すことはむずかしいことです。
 臨床実習で実習生を指導する際、おおむね3日間程度の評価期間を許可します。いくつかの書籍にも3日間程度という記載があり、『臨床実習教育の手引き(第5版)』(日本理学療法士協会、2007)にも記載されております。即日で評価が終わり、というより、診療と並行して評価が行えることに越したことはありませんが、まだ経験数が少ない実習生や若手では、評価を完遂するのに数日かけることを否定する理学療法士はいないでしょう。むしろ、日々評価し続けるという目線を多くの臨床家が持っているように思います。
 理学療法評価は、最大限正確であり、誤差を限りなく少なくすることが重要です。その一方で、時間がかかる精密な評価より、限られた時間で安全に外枠から捉える評価戦略も重要です。問題は、焦点(point)をどこに合わせるかであり、絞り込んで判断することが大切になってきます。本書では、『理学療法白書』(日本理学療法士協会)を参考にし、理学療法士が診療することが多い疾患から10疾患を選び、評価に挑む前日に考えておきたい情報と、3日間の評価の流れについて、編者が書き下ろしたイラストを交えて展開しております。ICFは、実際の症例を参考にしておりますので、現実的に複雑な問題点をイメージしやすいと思います。また、臨床で評価するにあたって分かりにくい検査・測定の方法についても、イラストを交えて順を追って分かりやすく説明しております。まずは本書に記載されている流れを1つの例として評価プランニング力を高め、同時並行的により多くの情報をキャッチできるようにしてみてください。本書が臨床力、評価プランニング力を高めることの役に立てばうれしく思います。また、今日の臨床理学療法評価の実際を示すことで、今後の理学療法の発展に寄与できれば幸いです。

2013年5月
東京慈恵会医科大学附属第三病院
中山恭秀