書籍

緩和医療薬学

編集 : 日本緩和医療薬学会
ISBN : 978-4-524-26685-2
発行年月 : 2013年9月
判型 : B5
ページ数 : 208

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本緩和医療薬学会の「緩和薬物療法認定薬剤師」資格取得のための学会公式テキスト。資格の取得を目指す薬剤師や緩和医療に携わる医療従事者が、身につけておくべき知識をまとめた一冊。

1章 緩和医療総論
 A 定義(緩和医療とは)
  1.世界保健機関(WHO)の定義
  2.全人的苦痛の概念
 B 歴史
  1.シシリー・ソンダース女史とホスピス・ムーブメント
  2.エリザベス・キュブラー・ロス博士
  3.日本のホスピス・緩和ケアの歴史
 C 緩和医療で期待される薬剤師の役割
  1.薬剤の適正使用評価について
  2.薬剤情報提供(服薬指導)
2章 緩和薬物療法
 A 疼痛マネジメント
  1.がん疼痛マネジメント
  2.外来疼痛マネジメント
  3.在宅疼痛マネジメント
 A1 疼痛の病態生理
  1.性質による疼痛の分類
  2.パターンによる疼痛の分類
 A2 疼痛のアセスメント
  1.疼痛の評価
  2.評価ツール
 A3 WHO方式がん疼痛治療法
  1.WHO方式がん疼痛治療法とは
  2.鎮痛薬の使用方法
 A4 非オピオイド鎮痛薬
  1.定義と概要
  2.各非オピオイド鎮痛薬の特徴
 A5 オピオイド鎮痛薬
  1.定義と概要
  2.各オピオイド鎮痛薬の特徴
  3.オピオイド鎮痛薬の副作用対策
  4.依存と耐性
  5.オピオイド・スイッチング
  6.PCA ポンプの使い方
 A6 鎮痛補助薬
  1.定義と概要
  2.各補助薬の特徴
 A7 非薬物治療
  1.放射線治療
  2.神経ブロック
  3.理学療法的アプローチ
  4.補完代替医療
 B [概論]精神症状マネジメント
 B1 病態生理
  1.意識障害(せん妄)
  2.適応障害
  3.うつ
  4.不安障害
  5.睡眠障害
  6.薬剤に起因する神経・精神症状
 B2 薬物療法
  1.睡眠薬
  2.抗不安薬
  3.抗うつ薬
  4.抗精神病薬
 B3 コミュニケーション
  1.対人援助に求められる姿勢
  2.対患者・家族コミュニケーション
  3.医療者間コミュニケーション
 C 他の身体症状マネジメント
  1.消化器系
  2.呼吸器系
  3.腎・尿路系
  4.中枢神経系
  5.腹水・腹部膨満感
  6.悪液質
  7.倦怠感
  8.リンパ浮腫
  9.褥瘡
3章 がんの基礎知識
 A 5大がんの特徴と標準薬物療法
  1.肺がん
  2.胃がん
  3.乳がん
  4.大腸がん
  5.血液がん
 B 抗がん剤の主な副作用と対策
  1.血管外漏出
  2.インフュージョンリアクション
  3.骨髄抑制
  4.悪心・嘔吐
  5.下痢
  6.口内炎
  7.脱毛
  8.神経障害(末梢神経障害、中枢神経障害)
  9.皮膚障害
  10.心毒性
  11.肺障害
  12.肝障害
  13.腎障害
4章 医療連携
 A 多職種の役割
  1.医師
  2.看護師
  3.MSW(医療ソーシャルワーカー)
  4.栄養士
  5.リハビリスタッフ(PT、OT)
  6.歯科医師
  7.心理士
  8.宗教家(チャプレン)
  9.音楽療法士
  10.ボランティア
 B 緩和ケアチームの役割
  1.緩和ケアチームとは
  2.コンサルテーション診療
  3.緩和ケアチームにおける薬剤師の役割
  4.医療用麻薬を開始する患者の支援
 C 在宅緩和ケア
  1.地域保険薬局薬剤師の役割
  2.在宅(自宅・介護施設)における医療用麻薬の管理
  3.患者・家族の支援
  4.HPN、栄養管理
 D カンファレンス
  1.退院時共同指導
  2.デスカンファレンス
5章 包括的アセスメント
 A 包括的アセスメントとは
 B 終末期ケア
  1.家族ケア
  2.看取り
  3.エンゼルケアとは
  4.倫理的配慮
 C アドバンス・ケア・プランニング
 D 臨床倫理
  1.古典的倫理原則
  2.生命医学倫理の4 原則
  3.4分割表
  4.5分割表
6章 参考資料
 A 麻薬・向精神薬の取り扱い
  1.麻薬の取り扱いに関する一般的事項
  2.向精神薬の取り扱いに対する一般的事項
 B 緩和医療を取り巻く制度と保険点数
  1.病院における制度と保険点数
  2.在宅における制度と保険点数
 C 評価ツール
索引
付録 ポケット判 便利シート

がんは、1981年より日本の死因の第1位で、2010年のがん統計では年間約35万人が亡くなり、生涯のうちに約2人に1人ががんに罹ると推計されている。こうしたことから、がんは国民病といっても過言ではなく、国民の生命と健康にとって重大な課題といえる。
 日本のがん対策は、1984年に「対がん10カ年総合戦略」、1994年に「がん克服新10か年戦略」、2004年の「第3次対がん10か年総合戦略」が策定されこれに基づいて進められてきた。この間1996年に、がんやその他の治癒困難な病気の全過程において、人々のQOLの向上を目指し、緩和医療を発展させるための学際的かつ学術的研究を促進し、その実践と教育を通して社会に貢献することを目的に日本緩和医療学会が創設された。
 また、がん対策のよりいっそうの推進を図るために2006年6月に「がん対策基本法」が成立し、2007年4月より施行された。これと時を同じくして、日本の緩和医療の更なる充実を目的とし、保険薬局薬剤師、病院薬剤師、そして大学での教育研究、企業での開発・学術研究の連携を強め、専門性を究める学術研究促進をよりいっそう加速させるために日本緩和医療薬学会が設立された。緩和医療における薬物療法に関する学術大会、講演会などの開催、緩和医療の普及に益するセミナーや講座、研修会などの開催、緩和医療に関する調査・研究などのほか、緩和医療領域に専門性を有する薬剤師の養成およびその専門性に関する認定事業として緩和薬物療法認定薬剤師認定制度を構築し緩和薬物療法認定薬剤師を2009年より毎年輩出し、これまで300人を超える認定薬剤師が全国で活躍している。
 本書は緩和薬物療法認定薬剤師を目指す薬剤師のみならず、緩和医療を実践するうえで薬物療法について必要な知識・技能・態度についても触れているので、医師、看護師はもとより、その他緩和薬物療法の入門者から応用実践者まで幅広く利用されることを期待したい。
 日本緩和医療学会を中心に緩和医療の実践と理論の調和によって緩和医療がひとつの学問体系として確立されつつある。このような背景のもと緩和医療薬学という新たな学問分野を確立すべく、本書は多くの実地臨床家、基礎医学、基礎薬学の研究者、歯科医師、看護師、理学療法士、MSW、栄養士、チャプレン、心理士、音楽療法士など多くの専門家にご執筆いただいた。
 構成内容は、がん患者の緩和薬物療法、非薬物療法、がんの基礎知識(5大がんの特徴と標準薬物療法、抗がん剤の主な副作用と対策)、医療連携(多職種の役割など)、包括的アセスメント、臨床倫理などから成り、がんの痛みはトータルペインの概念に投影した構成となっている。
 卒前教育において、緩和医療の授業が医学、薬学、看護学の必須科目となることが、がんの痛みで苦しむ患者を一人でも多く苦痛から解放し、チーム医療の充実につながると確信してやまない。

平成25年9月
一般社団法人 日本緩和医療薬学会 代表理事
加賀谷肇