書籍

内分泌・代謝ゴールデンハンドブック

編集 : 田上哲也
ISBN : 978-4-524-26599-2
発行年月 : 2015年12月
判型 : 新書
ページ数 : 454

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

まず患者の何に注目してどう考え、どのように対応すればよいのか、診療時の思考の流れと実際の対応をステップ形式でわかりやすく解説。アプローチに役立つフローチャートや疾患スクリプト、ビジュアルでわかる各種ホルモンの作用・調節など、図表を駆使した紙面で、読むだけでなく目で見て理解できる。内分泌・代謝疾患診療に必要な知識と診療ノウハウを圧巻の情報量で提供。

I 内分泌・代謝緊急症への対処法
 1.下垂体卒中
 2.甲状腺クリーゼ
 3.抗甲状腺薬による無顆粒球症
 4.周期性四肢麻痺
 5.粘液水腫性昏睡
 6.甲状腺術後合併症
 7.高Ca血症性クリーゼ
 8.副腎クリーゼ
 9.褐色細胞腫クリーゼ
 10.糖尿病性ケトアシドーシス・高浸透圧高血糖症候群・乳酸アシドーシス(昏睡)
 11.低血糖昏睡
II 主要症候からの鑑別診断
 1.高血圧
 2.低血圧
 3.肥満
 4.体重減少
 5.多尿
 6.高身長
 7.低身長
 8.多毛
 9.脱毛
 10.女性化乳房
 11.過多月経
 12.希発月経・無月経
 13.高血糖
 14.低血糖
 15.高Na血症
 16.低Na血症
 17.高K血症
 18.低K血症
 19.高Ca血症
 20.低Ca血症
 21.高P血症
 22.低P血症
III 各疾患へのアプローチ
 A.視床下部・下垂体疾患
  1.アプローチのしかた
  2.甲状腺ホルモンの作用と調節
  3.甲状腺機能低下症
  4.甲状腺中毒症
  5.Basedow病
  6.甲状腺眼症
  7.橋本病(慢性甲状腺炎)と無痛性甲状腺炎
  8.亜急性甲状腺炎と急性化膿性甲状腺炎
 B.甲状腺疾患
  1.アプローチのしかた
  2.下垂体前葉ホルモンの作用と調節
  3.下垂体前葉機能低下症
  4.副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症
  5.成長ホルモン分泌不全性低身長症と成人成長ホルモン分泌不全症
  6.先端巨大症
  7.高プロラクチン血症/プロラクチノーマ
  8.Cushing病とsubclinical Cushing病
  9.異所性副腎皮質刺激ホルモン症候群
  10.下垂体後葉ホルモンの作用と調節
  11.中枢性尿崩症
  12.抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)
  13.視床下部・下垂体腫瘍
  14.リンパ球性下垂体炎とIgG4関連下垂体炎
  15.中枢性摂食異常症
  16.妊娠と下垂体疾患
 C.副甲状腺および骨・カルシウム代謝疾患
  1.アプローチのしかた
  2.副甲状腺ホルモンの作用と調節
  3.副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症
  4.原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)
  5.家族性副甲状腺機能亢進症
  6.二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)
  7.悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAH)
  8.骨粗鬆症・骨軟化症
  9.Plummer病
  10.医原性甲状腺中毒症と薬剤誘発性甲状腺機能異常
  11.甲状腺刺激ホルモン不適切分泌症候群(SITSH)
  12.低T3症候群
  13.甲状腺腫瘍(結節)
  14.妊娠と甲状腺疾患
 D.副腎および高血圧疾患
  1.アプローチのしかた
  2.副腎(皮質・髄質)ホルモンの作用と調節
  3.原発性アルドステロン症(PA)
  4.Cushing症候群とsubclinical Cushing症候群
  5.褐色細胞腫と傍神経節細胞腫
  6.Addison病
  7.先天性副腎皮質過形成(CAH)
  8.副腎偶発腫瘍(副腎インシデンタローマ)
  9.副腎皮質癌
  10.腎血管性高血圧
  11.Liddle症候群・Bartter症候群・Gitelman症候群・apparent mineralocorticoid excess(AME)症候群
  12.妊娠と高血圧
 E.性腺疾患
  1.アプローチのしかた
  2.性腺ホルモンの作用と調節
  3.男性性腺機能低下症とKlinefelter症候群
  4.女性性腺機能低下症とTurner症候群
  5.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  6.思春期早発症
  7.精巣女性化症候群
 F.多腺性内分泌疾患
  1.多発性内分泌腫瘍症(MEN)
  2.自己免疫性多内分泌腺症候群(APS)
  3.神経内分泌腫瘍(インスリノーマ,ガストリノーマ,カルチノイド症候群)
 G.糖尿病および代謝疾患
  1.アプローチのしかた
  2.インスリン分泌調節と作用
  3.糖尿病の原因と診断
  4.糖尿病の治療総論
  5.食事療法・運動療法
  6.経口血糖降下薬
  7.インスリン療法
  8.GLP-1受容体作動薬
  9.糖尿病の合併症
  10.妊娠と糖尿病
  11.肥満症・メタボリックシンドローム
  12.脂質異常症
  13.高尿酸血症
IV 内分泌検査のポイント
 A.内分泌機能検査
  1.下垂体・性腺
  2.甲状腺
  3.副甲状腺・骨粗鬆症
  4.副腎
  5.糖代謝
  6.脂質代謝
  7.遺伝子検査
 B.内分泌画像検査
  1.下垂体
  2.甲状腺
  3.副甲状腺
  4.副腎
付録
 内分泌機能検査の判定基準一覧
索引

序文

 内分泌・代謝性疾患と聞いて、「どんな機能検査をすればいい?ああ難しい」と思われる先生方は少なくないのではないでしょうか。一言でホルモンといっても、女性ホルモン?男性ホルモン?甲状腺ホルモン?ストレスホルモン?アドレナリン?インスリン?と「?」マークが次から次へと頭の中に出てくるでしょう。さらにレプチンやアディポネクチン、グレリン、インクレチンなどのように今後も新しいホルモンがどんどん追加されていくものと思われます。本書では、ヒトの身体にとって微量ながらもなくてはならない、それぞれのホルモンの作用(生理的役割)について、過剰になればどんな、不足すればどんな症状や症候の発現につながるかということに鑑みて、目の前の患者さんの症状や身体所見、検査所見からどのような内分泌・代謝性疾患が疑われるのか、どの順番でどんな機能検査や画像検査をしていけば最終診断にたどり着けるのかを、読者がステップごとに咀嚼し納得しながら診療ができるように、なおかつ、臨床現場ですぐに活用できるように心がけて解説しています。もちろん各学会が作成している診断基準や診療ガイドラインのポイントもしっかりおさえています。
 国立病院機構京都医療センターは、内分泌・代謝性疾患診療のメッカのひとつとして、全国から毎年多くの若手医師が研修・修行(?)にやって来ます。本書では、当院のそんなバリバリの若手医師と、臨床研究センターの日本を代表する内分泌・代謝性疾患の専門医がタッグを組み、理論と実践を連携させて、Basedow病、Cushing症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症などの古典的な内分泌疾患や、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどの代表的な代謝性疾患はもちろん、とっかかりの比較的難しいと思われる電解質異常や遺伝性疾患などについても、丁寧かつ簡潔に解説しています。本書が、一般病院などで内分泌・代謝性疾患を疑い、書籍を片手に孤軍奮闘されている若手からシニア医師の方々の診療の一助になること、ひいては診断がつかずに悶々とした日々を送られている患者さんの早期診断・治療につながることを心から祈願いたします。
 最後になりましたが、多忙の中、本書の執筆に協力してくださった当院内分泌・代謝内科および糖尿病内科の若手医師と、その校閲をしてくださった臨床研究センターの指導医の先生方、企画・製作にかかわっていただいた南江堂臨床出版部の方々に深謝いたします。

平成27年秋
国立病院機構京都医療センター内分泌・代謝内科
診療部長 田上哲也

 内科医でも、複雑なホルモンの話は少し苦手だなと感じる人は多いかもしれない。負荷試験などの機能検査や画像検査は煩雑で、どちらかというと敬遠されがちである。苦手意識を強めるもう一つの理由は、内分泌・代謝疾患には、日常臨床では経験することがそれほど多くない疾患も含まれる点である。しかし、なかにはまれではあるけれども重要な疾患が含まれていて、決して軽視することもできない。実際に患者さんを目の前にして診察するときに、どのように診療していくべきであるか、ときに迷うこともある。あるいは、なかなか確定診断にいたらず、主要な症候から鑑別を進めていき、ようやく正しい診断にいたることもある。そのようなときに、確実にアプローチし、迅速に診療を進めていくことが患者さんを救うことにつながる。私たちには、そのような診療技術を身に付けていくことが求められている。
 本書は、日本を代表する内分泌・代謝疾患の診療拠点である国立病院機構京都医療センターの専門医集団が、これまでの経験から理論と実践を連携させて、Basedow病、Cushing症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症などの古典的な内分泌疾患や、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなどの代表的な代謝疾患はもちろん、電解質異常や遺伝子疾患などについても丁寧にかつ簡潔に解説している。その診療手順については、内分泌・代謝疾患についてどのように考え、どう診断していき、どう対処するかの三つのステップでまとめられている。簡潔にポイントを押さえてわかりやすく導いてくれるだけではなく、必ず臨床で知っておくべきとされる細かな情報が漏れなく押さえられている。さらに本書の後半部分では、機能検査や画像検査についての情報までもが盛り込まれていて、本書一冊ですべて完結するように配慮されている。
 多くの専門書がそうであるが、情報が豊富なあまりに複雑で、分厚くてとても持ち運べるサイズにはできていない。このゴールデンハンドブックは、白衣のポケットに入るサイズで丁度手にとりやすいサイズである。普段は専門書で基本の勉強を行い、いざ患者さんを目の前にするときに、本書を白衣のポケットに入れて診療を行えば鬼に金棒である。巻頭の略語一覧や巻末の索引も便利だが、第4章の「内分泌検査のポイント」が非常に有用で、主要な内分泌器官の画像検査がありがたい。付録として「内分泌機能検査の判定基準一覧」まで掲載されているので、診断の大局観にも役立つと思われる。

臨床雑誌内科118巻2号(2016年8月号)より転載
評者●朝日生命成人病研究所附属医院糖尿病代謝内科 井上かをり