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消化器疾患最新の治療2015-2016

オンラインアクセス権付

編集 : 菅野健太郎/上西紀夫/小池和彦
ISBN : 978-4-524-26594-7
発行年月 : 2015年2月
判型 : B5
ページ数 : 512

在庫あり

定価10,800円(本体10,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

最新情報と治療方針を簡潔にまとめた「最新の治療」シリーズの消化器疾患版。巻頭トピックスでは、「炎症性腸疾患−生物学的製剤の課題と展望」「内視鏡と腹腔鏡を用いた胃局所切除術の発展−LECSと関連手技」「C型肝炎抗ウイルス治療は新しい時代に」などの注目テーマを取り上げた。各論では主要な治療法・対症療法といった基本的治療から各疾患の診断・治療・具体的な処方例を詳述。便利なオンラインアクセス権付。

巻頭トピックス
 1.新世代の酸分泌抑制薬-カリウムイオン競合型酸分泌抑制薬(P-CAB)
 2.内視鏡検査時の抗血小板薬・抗凝固薬療法ガイドライン
 3.Helicobacter pylori感染胃炎と機能性ディスペプシア
 4.炎症性腸疾患-生物学的製剤の課題と展望
 5.内視鏡と腹腔鏡を用いた胃局所切除術の発展-LECSと関連手技
 6.食道癌に対する胸腔鏡下手術
 7.肝脾腫瘍に対する腹腔鏡下手術
 8.GWASによる肝疾患感受性遺伝子の探索
 9.C型肝炎抗ウイルス治療は新しい時代に
 10.インターフェロンλとウイルス肝炎
 11.消化器癌における重粒子線治療
I章 消化器疾患の主要な治療法
 1.栄養療法
 2.輸血療法
 3.内視鏡的止血法
 4.ステント治療
 5.胃瘻造設とその管理
 6.消化器癌の緩和ケア
II章 消化器疾患の主要な対症療法
 1.腹痛
 2.悪心・嘔吐
 3.吐血・下血
 4.下痢
 5.慢性便秘
III章 消化管疾患
A.食道
 1.アカラシア
  a.内科的治療
  b.外科的治療
 2.食道炎,食道潰瘍およびGERD,NERD
 3.食道・胃静脈瘤
 4.食道癌
  a.早期癌に対する内視鏡的治療
  b.進行癌の外科的治療
  c.進行癌の化学療法,放射線療法,狭窄対策
B.胃・十二指腸
 1.急性胃炎・びらん性胃炎・AGML
 2.Mallory-Weiss症候群
 3.慢性胃炎
 4.機能性ディスペプシア
 5.消化性潰瘍
  a.薬物治療指針
  b.Helicobacter pylori除菌療法
  c.NSAIDs潰瘍の治療
 6.消化性潰瘍の合併症
  a.内科的治療
  b.外科的治療
 7.胃良性上皮性腫瘍
 8.胃MALTリンパ腫
 9.胃癌
  a.早期胃癌の内視鏡的治療
  b.早期胃癌の外科的治療
  c.進行胃癌の外科的治療
  d.切除不能胃癌の治療
 10.胃術後障害
C.腸
 1.腸管感染症
 2.抗菌薬関連腸炎
  a.出血性大腸炎
  b.Clostridium difficile感染(CDI)
 3.吸収不良症候群
 4.蛋白漏出性胃腸症
 5.急性虫垂炎
 6.潰瘍性大腸炎
 7.Crohn病
 8.腸結核
 9.虚血性大腸炎
 10.過敏性腸症候群
 11.小腸の良性腫瘍
 12.mid-GI bleeding
 13.大腸ポリープ・ポリポーシス
 14.大腸癌
  a.早期癌
  b.結腸進行癌
  c.直腸進行癌
 15.大腸憩室の合併症
  a.内科的治療〜憩室炎
  b.外科的治療〜憩室出血
 16.イレウス
  a.成人の場合
  b.小児の場合
 17.偽性腸閉塞
 18.放射線性腸炎
 19.非特異性多発性小腸潰瘍症,腸管Bechet病
 20.痔核,痔瘻,裂肛
D.消化管全般にわたるもの
 1.急性腹症
 2.好酸球性消化管疾患
 3.膠原病の消化器病変
 4.消化管悪性リンパ腫
 5.消化管カルチノイド(消化管NET)
 6.消化管間質腫瘍(GIST)
 7.横隔膜ヘルニア
 8.鼠径ヘルニア
IV章 肝・胆・膵疾患
A.肝
 1.A型肝炎,B型肝炎
 2.C型急性肝炎
 3.劇症肝炎
 4.B型慢性肝炎
 5.C型慢性肝炎
 6.自己免疫性肝炎
 7.薬物性肝障害
 8.アルコール性肝障害
 9.NAFLD/NASH
 10.肝硬変
  a.一般的治療,外来管理
  b.反復性肝性脳症
  c.腹水
 11.原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎
 12.代謝性肝疾患
 13.肝膿瘍,寄生虫性肝
 14.肝
 15.肝良性腫瘍
 16.肝細胞癌
  a.局所療法,TACE,化学療法
  b.外科手術と集学的治療
 17.胆管細胞癌(肝内胆管癌)
 18.転移性肝癌
 19.生体肝移植
B.胆
 1.胆道閉鎖症
 2.胆道感染症
 3.胆
  a.非観血的治療
  b.観血的治療
 4.胆
C.膵
 1.急性膵炎
  a.内科的治療
  b.外科的治療
 2.慢性膵炎
  a.内科的治療
  b.外科的治療
 3.膵
 4.膵癌
巻末付録
 1.ガイドラインの読み方
  a.過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン
  b.機能性ディスペプシア(FD)診療ガイドライン
  c.大腸ポリープ診療ガイドライン
  d.NAFLD/NASH診療ガイドライン
  e.内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン
  f.科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン
 2.主な消化器系薬剤一覧表
  A 消化性潰瘍治療薬
  B 胃腸機能調整薬
  C 健胃消化薬
  D 炎症性腸疾患治療薬
  E 過敏性腸症候群治療薬
  F 止痢薬・整腸薬
  G 下剤
  H 肝・膵治療薬
  I 利胆薬
  J 抗菌薬
  K 消化吸収阻害薬
  L 代謝機能活性薬
  M 抗肥満薬・消化管ホルモン関連薬
  N 消化器癌に用いられる抗悪性腫瘍薬
  O 抗腫瘍薬による嘔気の防止薬
  P その他の消化器系薬剤
  Q 漢方薬

序文

 大好評をいただいている「消化器疾患 最新の治療」の2015-2016年版が完成した.本書は2年ごとに改訂を行っているが,全体の構成としては,「巻頭トピックス」,「消化器疾患の主要な治療法」,「消化器疾患の主要な対症療法」,そして各消化器疾患について,基本的ならびに最新の治療法について内科および外科の立場などから解説されている.特に,この2年の間に登場した新しい治療法や大きく進歩した治療法については,「巻頭トピックス」として詳しく記載され,今回は11のテーマを取り上げた.
 各消化器疾患については,冒頭に「患者への説明のポイント」を箇条書き形式で簡潔にまとめた後に,原則として「疾患の解説」,「診断と検査」,「治療の一般方針」,「生活指導」に分けて記載され,さらに,具体的な治療成績や各種診療ガイドラインについても適宜解説が加えられており,実臨床にすぐに役立つよう工夫がなされている.
 最新の診療の中で,Helicobacter pylori(ピロリ菌)の除菌療法が保険収載されたことは大きなトピックスの一つで,さらにWHOでもピロリ菌除菌が胃癌抑制に有効であるとの声明が出された.しかしながら,除菌によりすぐに胃癌が減少するかは問題がある.確かに,短期的には減少傾向にあるものの,長期の観察では除菌後の胃癌症例の報告がいくつかなされており,胃癌発生におけるポイント・オブ・ノーリターンを指標とした除菌のあり方,除菌の至適時期の選択が今後の大きな課題となる.
 一方,ピロリ菌感染のような器質的疾患を伴わないにもかかわらず,さまざまな症状をきたす消化管疾患を機能性消化管障害(functional gastrointestinal disorders:FGIDs)として扱うようになってきた.その代表的な疾患が機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)と過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)で,新たな診断と治療法,そして新薬も登場してきている.
 もう一つ大きなトピックスが肝炎ウイルスに対する治療法の進歩で,次々と新薬が登場し,ウイルス学的著効(sustained virological response:SVR)率も90%以上に改善し,個々の症例に応じた治療法が進歩しつつある.これが奏効すると,すでに傾向が認められているが,ウイルス感染による肝発癌の抑制が大いに期待される.しかしその一方で,グルメ嗜好の高まりや食生活の変化などにより肥満症例が増加し,それに伴う肝発癌の増加が危惧されている.
 消化器外科の分野では,高齢者の増加もあり低侵襲の治療が発展を続け,鏡視下手術が消化管疾患のみならず肝胆膵疾患にも応用されてきている.さらに,より低侵襲な治療として内視鏡的治療と腹腔鏡下手術のコラボレーションによる治療法が開発されており,また,ロボット手術においても先進医療での適用拡大が進みつつある.
 また,今回の巻末付録には,この2年間に消化器疾患の診療ガイドラインとして新たに発表あるいは改訂されたものを6つ取り上げ,基本的な考え方からその背景まで,診療の場で活用していただきたいポイントを解説している.こちらもぜひ参照していただきたい.
 いずれにしても,消化器疾患の診療は目覚ましく進歩しており,また情報量も増えているために,的確な知識を習得するにはかなりの努力を必要とする.本書はそれらを適切かつコンパクトにまとめて編集しており,日常診療に必ずや役立つものと確信している.

2015年1月
編者

 多忙な日常診療の中で最新の治療手段を把握しておくためには、多大な努力が必要である。このような多忙な第一線の医師のために編纂されたのが、今回2015〜2016年版が完成した本書である。また、プリント版購入でオンライン書籍のアクセス権も使えるようになっており、タブレット端末やスマートフォンからいつでもどこからでも本書の内容が検索が可能であり非常に助かっている。
 1989年に出版されて以来、日々の消化器診療に携わる多くの医師や医療スタッフの必携の書となっているのは、直近2年間の最新知識を効率的に得る「巻頭トピックス」、最新知見を組み込んだ治療体系のまとめである「消化器疾患の主要な治療法」、「消化器疾患の主要な対症療法」といったすっきりと整理された構成により、非常に速いスピードで変化する消化器病分野の最新の治療知識を効率的に得られるように考えられていることが、その主な理由の一つであろう。当然ながら、各論にあたる「消化管疾患」、「肝・胆・膵疾患」の章では、各分野のエキスパートによる詳細な解説が行われている。
 2015〜2016年版の詳細な内容をみてみよう。「巻頭トピックス」では、診断・治療に関する最新の話題をさまざまなモデル図や時には分子構造の図などを用いてわかりやすく解説している。また、構成や色使いもすっきりとしてかつ目にやさしく、読みやすいように工夫されていると感じた。具体的には、カリウムイオン競合型酸分泌抑制薬(P-CAB)、内視鏡検査時の抗血小板薬・抗凝固薬療法ガイドライン、Helicobacter pylori感染胃炎と機能性ディスペプシア、炎症性腸疾患と生物学的製剤、腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)と関連手技、食道癌胸腔鏡下手術、腹腔鏡下肝脾腫瘍手術、肝疾患感受性遺伝子、C型肝炎抗ウイルス治療、インターフェロンλとウイルス肝炎、消化器癌における重粒子線治療と、消化器疾患を横断的に直近2年の間に定型治療へと躍進した治療手技が網羅的に紹介されている。
 巻頭トピックスで治療手技のどの分野が特に進歩したかを把握した後は、I章〜II章でこのような進歩を組み込んだ消化器疾患の新たな治療体系の全体像を眺めることができるようになっている。具体的にみてみる。I章は治療法の章であり、栄養療法、輸血療法、内視鏡的止血法、ステント治療、胃瘻造設とその管理、消化器癌の緩和ケアが体系的に解説されている。II章では対症療法について解説されており、項目としては腹痛、悪心・嘔吐、吐血・下血、下痢、慢性便秘に分類されている。具体的な処置法・処方例も提示されており、外来ブースやベッドサイドですぐに役立つように考えられている。また、それぞれの項目に対し「患者への説明のポイント」が解説されており、昨今急増している医師・患者間トラブルを避けるうえでもありがたい。
 III章〜IV章では各論をそれぞれ消化器疾患、肝・胆・膵疾患のエキスパートが解説している。具体的な検査、治療方針、処方例について丁寧に解説されており、読者にとって診療に利用しやすいものとなっている。
 また巻末付録として、最近の2年間に改訂された消化器疾患の診療ガイドラインを6つ[過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、大腸ポリープ、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、内視鏡診療における鎮静、肝癌]を取り上げ、それぞれのガイドラインの概略と改訂のポイントや活用法についてわかりやすく解説している。ぜひ参照していただきたい。巻末付録の最後には主な消化器系薬剤一覧表が添付されているが、必要十分な薬剤情報に絞ることで急ぎの検索でも探しやすい構成となっている。また、各々に具体的な処方例が提示されており、本書を参照することで時間の大幅な節約が望める。
 消化器疾患は他領域に比べても細分化され、専門性が高い領域である。本書は日常診療に必要かつ十分な内容が内科および外科の立場から網羅されたものであり、消化器疾患の専門医のみならず、専門領域ではない実地診療医や勤務医にとっても重宝されるべき必須の良書といえる。

臨床雑誌外科77巻11号(2015年11月号)より転載
評者●九州大学臨床・腫瘍外科教授 中村雅史

 適切な治療をするためには「知識、技術、態度」がキーワードである。現時点での正しい「知識」、最善・最良と思われる治療を施す「技術」、そして患者の安心感を醸し出す医療者の「態度」である。また、医療には「安全、安心、快適」が求められ、患者の満足度閾値は上がってきている。私はストレスと胃腸機能の研究と過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患の臨床をしている消化器心療内科医である。23年間は大学に籍を置き、現在の周産期病院で内科勤務医となって4年が経過する立場で書評させていただく。
 『消化器疾患最新の治療』は2年ごとに改訂がなされ、この2年間に登場した新しい治療法として11個のテーマが「巻頭トピックス」として詳細に記載されている。最近上市されたばかりの、PPIを超える酸分泌抑制薬であるvonoprazan、HCV選択的抗ウイルス薬(DAA)によるIFNフリーの治療などである。消化器病の教科書や特集号と異なり、消化器病関連の最新トピックスのエッセンスを短時間で「知る」ことができる。新規の酸分泌抑制薬の記載は、それを研究してきた一人としても、これで納得の記載である。また、ピロリ感染胃炎と機能性ディスペプシアは私の専門分野であるが、この複雑な内容が実に簡潔に整理・記載され、疾患概念の整理に役立つ。すなわち知識を越えた「わかる」を追求できる質に達している。
 続いて、「I章 消化器疾患の主要な治療法」「II章 消化器疾患の主要な対症療法」「III・IV章 消化器疾患」の構成になっている。各項目の冒頭に「患者への説明のポイント」が簡潔・明解に3〜6項目記載されている。適当な項目数である。また、最新で最善の治療のみならず、次善の策についての記載も多い。患者にもわかりやすい記述であり、そのまま患者に伝えることでインフォームド・コンセント(「納得のうえでの治療」と私は解釈している)が可能な内容となっている。まさに、読者が消化器疾患治療の知識・技術・態度の要点を把握し、実践できる。
 疾患については「解説」「診断と検査」「治療の一般方針」「生活指導」が記載され、治療成績や診断基準・診療ガイドラインについても適宜解説が加えられている。さらに、トピックスとして注目に値する最新のデータとその論文が紹介され、今後の治療法の方向性や発展を知ることができる。ここで、執筆者は「最新の治療薬・治療法の長期成績はいかに?」の課題も投げかけている。これは、「安全、安心、快適」の視点でもある。
 巻末付録には2014年に日本消化器病学会から公刊された4つの疾患を含む診療ガイドラインが紹介されている。また、日常診療で使用する主な消化器系薬剤が一覧表として示されている。関心や経歴は異なるが、消化器病治療に携わる医師、あるいは関心のある関係者には読み応えがある内容となっている。最新の治療が求められる消化器内科医・外科医には必読の書籍といえる。

臨床雑誌内科116巻6号(2015年12月増大号)より転載
評者●星ヶ丘マタニティ病院副院長/内科・心療内科部長 金子宏