書籍

糖尿病診療【秘伝】ポケットガイド増補版

: 能登洋
ISBN : 978-4-524-26588-6
発行年月 : 2013年11月
判型 : 新書
ページ数 : 170

在庫あり

定価2,484円(本体2,300円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

糖尿病診療の最適化と個別化を可能とするために実臨床で必要な内容を、臨床経験とエビデンスに基づき解説した好評書の増補版。血糖コントロール目標の改訂と新薬情報を盛り込み最新の内容とする。入院管理からインスリンの上手な使い方、経口血糖降下薬の使い分け、合併症管理まで、あらゆる実践的内容の“秘伝”を紹介。研修医、若手医師、一般診療医に真に役立つポケットガイド。

I章 入院管理
 1.医療面接・診察・検査
  (1)医療面接
  (2)診察
  (3)検査
  (4)合併症精査
  (5)オプション
 2.入院中の血糖コントロール
  (1)方針
  (2)血糖コントロール法
 3.周術期の血糖コントロール
  (1)1型糖尿病
  (2)2型糖尿病
 4.インスリン療法
  (1)インスリン療法の適応
  (2)インスリン療法の実際
  (3)インスリン固定打ち
  (4)インスリン・スライディングスケール
 5.糖尿病ケトアシドーシス・高浸透圧高血糖症候群
  (1)糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
  (2)高浸透圧高血糖症候群(HHS)
 6.低血糖
  (1)対処
  (2)検査
 7.感染症
  (1)易感染性
  (2)糖尿病に特異性の高い感染症
  (3)糖尿病と関連性の高い感染症
  (4)感染時の血糖コントロール
II章 診断
 1.糖尿病の分類
  (1)成因による分類
  (2)病態による分類
 2.糖尿病の診断
 3.メタボリックシンドローム
  (1)概念
  (2)診断基準
III章 外来診療・検査
 1.スクリーニングと予防
  (1)スクリーニング
  (2)予防
 2.診療意義と管理目標
 3.医療面接・診察・検査
  (1)初診時
  (2)再診時
 4.血糖自己測定
 5.糖尿病患者教育・療養指導
 6.感染症予防
  (1)易感染性
  (2)感染時の血糖コントロール
  (3)感染症予防基本策
  (4)ワクチン接種
IV章 治療
 1.治療方針
  (1)管理・評価項目
  (2)治療の原則
  (3)初期治療
  (4)維持治療
  (5)専門医への紹介や入院適応の例
 2.生活習慣改善
  (1)食事療法
  (2)運動療法
  (3)体重管理
  (4)禁煙指導
 3.薬物療法
  (1)経口薬療法
  (2)注射薬療法
V章 糖尿病合併症管理
 1.細小血管症
  (1)糖尿病網膜症
  (2)糖尿病腎症
  (3)糖尿病神経障害
 2.大血管症
  (1)総論
  (2)予防・治療
 3.フットケア
 4.口腔ケア
VI章 血圧管理
VII章 脂質管理
VIII章 シックデイ
IX章 妊娠と糖尿病
  (1)定義・病態
  (2)GDMの診断
  (3)スクリーニング
  (4)血糖コントロール
  (5)血圧・脂質管理
付録
 1.代表的経口血糖降下薬
 2.代表的インスリン製剤
  (1)ペン型インスリンプレフィルド/キット製剤
  (2)インスリンカートリッジ製剤と注入器
  (3)インスリンバイアル製剤
 3.インスリンポンプ
 4.連続グルコースモニタリング
 5.糖尿病と骨折
 6.糖尿病と癌
 7.糖尿病と認知症
 8.糖尿病専門医・拠点病院への紹介の適応とタイミング
 9.参考文献
索引

近年、糖尿病に関する治療薬やエビデンス(実証報告)が続々と誕生し、糖尿病分野は複雑性を増してきています。さらに、糖尿病患者数が激増しているため、診療の最適化と個別化が重視されています。このような状況で、糖尿病診療の現場(特に病棟)から、使いやすい解説書のニーズが高まってきました。そこで、参考文献(「付録-9」参照)を礎として臨床経験や精選されたエビデンスを織り込み、比類のない臨床的実用書として本書を作成しました。
 具体的には右記の特長を兼ね備えており、研修指導にも役立ちます。注意点として、“本書の通りにすればすべてよし”というものではなく常に例外的事象にも対応する姿勢を忘れないことが危機認識のうえでも重要です。そのためには検査値だけではなく、患者をよく診て病態を包括的に理解しなければなりません。疑問があればすぐに上級医や専門医に相談することを心がけましょう。また、最終的には患者の意向と状況を加味し、医師と患者の双方によって個別化した協働判断をすることが必要です。
 本書がよりよい診療の助けとなる手引きとして役立つことを願っております。

2013年11月
能登洋

糖尿病診療の軸となる情報として
 糖尿病診療の基本は、患者一人一人の社会的背景を含めた広い意味での生活習慣を把握し、すでに抱えている併存疾患、合併症を発見・評価し、総合的に診療を行うことにある。担当医はそうした患者個々の事情を把握し、数多くの選択と決断を行うことになる。患者の置かれた状況は千差万別、われわれが単に血糖の推移をみるだけでは済まないのは患者と長い付き合いをすれば自ずと知れてくる。その際、目の前の患者さんにとってよりよい選択をある程度の自信をもって行うためには、糖尿病診療において軸となる基本的な知識が必要になる。その内容は、たとえば医療面接や診察時に落としたくない事項から、多種多様な内服薬をいかに使い分けるか、あるいはインスリンの導入・変更のタイミングおよび注射量の調節、多くの検査とその結果の解釈、合併症の管理、シックデイの対応、そして時には入院患者の血糖管理や周術期管理と、網羅すべき範囲は実に広い。
 こうした糖尿病診療に医師として最初に関わるのは、研修医時代に、糖尿病をもつ入院患者を担当するときではないだろうか。どの科へ行っても出会うこの疾患に対し、自分自身がそのころどんな診療をしていたかを振り返ると、しばしば安易にやさしい指導医の指示に従い、実際大半の出来事はその指示に従えばうまくいくのだが、頭の片隅では「本当のところはどうなのか?」と思いつつ、多忙を理由に成書での勉強を怠ってきたことを思い出す。
 研修医を指導する立場となった現在、本書を拝読して感じるのは、本書は糖尿病診療に携わる研修医に白衣のポケットへすべからく入れておいていただきたい書籍であり、指導医の立場の先生方にぜひ推薦していただきたい手引書であるということである。私自身が若いころに知っておくべきであった「本当のところ」に関するエッセンスが実にコンパクトに記載されている。著者である能登先生はご自身でエビデンスレベルの高い論文を執筆されているのみならず、さまざまな論文を精査し多数のメタ解析結果も発表してこられた。こうしたご経験に基づく的確な参考文献も随所に入れ込まれており、本書の質を担保している。ここから糖尿病学をさらに深く学びたいという研修医が多数輩出されることを期待する。
 本書は既刊の『糖尿病診療【秘伝】ポケットガイド』に最近の新薬をアップデートした増補版である。各章末に【秘伝】としてその章に関連する豆知識や実践の際のテクニックなどが記載されている。本書の内容は序文にもあるように必ずしも指導医レベルではないが、【秘伝】の項目は目から鱗が落ちる内容や、患者さんとの対話に使える話題などが豊富に記載されている。研修医から逆に質問されても困らないように、われわれのポケットにも一冊いかがであろうか。
 最後に各章の項目をあげさせていただく。入院管理、診断、外来診療・検査、治療、糖尿病合併症管理、血圧管理、脂質管理、シックデイ、妊娠と糖尿病、そして付録には持続血糖モニターや糖尿病と骨折、癌、認知症についての言及もある。指導医の先生方にとっても、糖尿病診療に対する知識の整理のみならず、思わぬ発見ができるであろう。

臨床雑誌内科113巻6号(2014年6月増大号)より転載
評者●広島大学病院内分泌・糖尿病内科診療講師 中西修平