書籍

呼吸器疾患のステロイド療法実践マニュアル

編集 : 東田有智
ISBN : 978-4-524-26547-3
発行年月 : 2014年12月
判型 : A5
ページ数 : 176

在庫あり

定価3,564円(本体3,300円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

気管支喘息、COPD、間質性肺炎などの呼吸器疾患におけるステロイド薬の選び方・使い方をコンパクトに解説。種類や投与方法などの薬剤からのアプローチと各種呼吸器疾患の病態からのアプローチで、基礎的な知識と実践的な知識をバランスよく網羅。「何を・いつ・どのくらい」処方すればよいのか?副作用対策は?などの臨床医の疑問に答える一冊。

総論 ステロイド薬の基本知識
 A ステロイド薬はこんな薬
 B 呼吸器疾患における作用機序を知る
 C ステロイド薬の種類と投与方法を知る
 D 副作用についても理解する
 E 他剤との相互作用に気をつける
各論 呼吸器疾患におけるステロイド療法の実践
I 気管支喘息
 A 作用機序、適応と注意点
 B ステロイド療法の実践
 C 副作用とその対策
 D 特殊病態での使用法(小児・妊婦・高齢者・合併症など)
II COPD
 A 作用機序、適応と注意点
 B ステロイド療法の実践
 C 副作用とその対策
 D 特殊病態での使用法(高齢者・合併症・併存症など)
III 特発性間質性肺炎
 A 作用機序、適応と注意点
 B ステロイド療法の実践
 C 副作用とその対策
 D 特殊病態での使用法(高齢者・合併症など)
IV 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
 A 作用機序、適応と注意点
 B ステロイド療法の実践
 C 副作用とその対策
 D 特殊病態での使用法(小児・妊婦・高齢者など)
V その他の呼吸器疾患
 A 呼吸器感染症におけるステロイド療法の実践
 B 気管支肺アスペルギルス症におけるステロイド療法の実践
 C 過敏性肺炎におけるステロイド療法の実践
 D 膠原病関連肺疾患におけるステロイド療法の実践
 E 薬剤性肺炎におけるステロイド療法の実践
【付録】パッと見てわかる!ステロイド薬一覧表
索引



 呼吸器疾患は複雑な疾患であり,その多くでいまだ病因,病態が解明されていないのが現状である.しかしその一方で,多くの疾患に対して治療ガイドラインが作成されている.
 喘息治療ガイドラインでは,喘息の病態が気道の慢性炎症であることが解明され,吸入ステロイド薬が第一選択薬となり,重症難治性喘息では経口ステロイド薬を使用することが明記されているが,経口ステロイド薬の使用に関してはやや不明な点もある.COPD治療ガイドラインでは,COPDの病態解明にいまだ不明な所も多々あり,気管支拡張薬が第一選択薬となっている.ステロイド薬に関しては増悪を繰り返す症例で使用するとなっており,非専門医にとって理解困難な状況である.特発性間質性肺炎はびまん性肺疾患ガイドラインに記されているが,病態が非常に複雑なうえ現時点でも明確になっていない部分が多数残っており,ステロイド薬の使用に関しては専門医であっても頭を悩ませるところである.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療ガイドラインでは,ステロイド薬は最も頻繁に使用される薬剤ではあるが,ARDS全般の生存率を改善するエビデンスがないのが現状である.また呼吸器感染症でも,一部重症例にステロイド薬が使用されているが,これも全くエビデンスがないといっても過言ではない.その他の呼吸器疾患に関しても,ステロイド薬の使用については確実な基準がないのが現状である.
 今回本書を作成しようと思い立ったのは,上述のように呼吸器疾患に対するステロイド薬の使用に関して明確なものがない現状では,その投与時期,投与量,投与期間,減量法などは専門医でも難解であり,まして非専門医にとっては困難を極める状況であると考えたからである.
 そこで本書においては,非専門医,研修医はもとより専門医まで参考となる,呼吸器疾患におけるステロイド薬の使用方法を各疾患のエキスパートにおまとめいただいた.是非ともお手元に本書をお持ちいただき,日々の診療にお役立ていただければ幸いである.
 最後になりましたが,日々の教育,研究,診療にお忙しいなか,本書の執筆に御尽力いただきました先生方に感謝申し上げます.

2014年12月
東田有智

 ステロイドは、さまざまな炎症性疾患の治療に不可欠の薬剤である。薬剤が開発・臨床応用されたのは1948年頃とされ、開発者は後にノーベル賞を受賞している。ところで、多岐にわたる臨床領域で使用されるステロイド薬であるが、その副作用も懸念されることから、患者さんへ実際に使用するのには、臨床現場で多くの患者さんに接している専門家から得られる薬剤使用のコツを知っておくことが重要である。
 このたび発刊された東田有智教授の編集による『呼吸器疾患のステロイド療法実践マニュアル』は、多種多様なステロイド薬が開発された今日にあっては、まさに当を得た企画であった。呼吸器領域では、ARDSや、喘息およびCOPDに代表される慢性疾患の日常管理や増悪への対処を考えるうえで、ステロイド薬の使用は不可欠となっている。しかし、その使用法は疾患の病態により実にさまざまであり、専門医といえども経験の少ない疾患では、どのような処方をすればよいのか戸惑うことも少なくない。
 本書は、はじめに、ステロイド薬とは何なのか、生体への作用機序はどのようなものか、といった薬剤の基本事項・基礎知識に触れ、知っていただくための総論を設けている。そこでは、ステロイド薬の生理作用や薬理作用の情報を一覧表にまとめることで、臨床に不可欠な効果と副作用を一見して理解することが可能となっている。各論では気管支喘息、COPD、特発性間質性肺炎、ARDS、その他の呼吸器疾患など、日常診療で遭遇する可能性の高い疾患を取り上げている。基本的なステロイド薬の使用法や、刻々と変化する病態に合わせた薬剤選択、副作用に対する注意と対処法等々が、明確な数値を示しながら簡潔にまとめられている。片手でもてる176ページの小ぶりな本に、情報が満載されているのである。
 本書の特徴を端的に表現すると、「日常診療にきわめて即した実用書」として位置付けることができよう。多くの病める患者さんにとって待望の書が経験豊かな先生方の執筆により発刊されたが、本書を実際に使用していただき初めてその評価が得られるものでもある。呼吸器診療に携わる研修医、非専門医のみならず、専門医の方々にもお勧めしたい必携の一冊である。

臨床雑誌内科116巻2号(2015年8月号)より転載
評者●東京女子医科大学統括病院長 永井厚志