書籍

レベルアップのためのリンパ腫セミナー

編集 : 日本リンパ網内系学会教育委員会
ISBN : 978-4-524-26543-5
発行年月 : 2014年6月
判型 : A5
ページ数 : 268

在庫あり

定価7,020円(本体6,500円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

好評書『若手医師のためのリンパ腫セミナー』のアドバンス版。非専門家でもリンパ腫診療の全体像がわかるよう、臨床医が知っておくべきリンパ腫病理の知識、病理医が知っておきたい治療のポイントをわかりやすく解説。「ワンポイントレクチャー」「レベルアップのために」などのコラムのほか、主要項目には”case study”を掲載し、リンパ腫診療を習熟するための工夫が凝らされている。

I章.リンパ腫診療の基礎知識
 1.リンパ節腫脹の鑑別診断
 2.リンパ節の正常構造と機能
 3.リンパ節構成細胞の免疫表現型(フローサイトメトリー、免疫染色)
 4.リンパ腫診断のための染色体検査
 5.遺伝子診断法(サザンブロット法、PCR法、FISH法、CGH法)
 6.リンパ腫診療におけるPET検査
II章.病理診断を克服する!−知っておきたい病理の知識−
 1.Hodgkinリンパ腫(HL)
 2.濾胞性リンパ腫(FL)
 3.マントル細胞リンパ腫(MCL)
 4.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
 5.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の特殊病型
  A.CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(CD5-positive DLBCL)
  B.EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(EBV-positive DLBCL)
  C.原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)
 6.Burkittリンパ腫(BL)
 7.末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)
  A.末梢性T細胞リンパ腫、非特定型(PTCL-NOS)
  B.血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)
  C.未分化大細胞リンパ腫(ALCL)
   1)ALK陽性ALCL
   2)ALK陰性ALCL
 8.節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)
III章.治療のポイントをマスターする!
 1.Hodgkinリンパ腫(HL)
 2.濾胞性リンパ腫(FL)
 3.マントル細胞リンパ腫(MCL)
 4.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
 5.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の特殊病型
  A.CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(CD5-positive DLBCL)
  B.原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)
  C.中枢神経系原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(PCNSL)
 6.Burkitt リンパ腫(BL)
 7.末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)
 8.節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)
 9.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
IV章.押さえておきたいトピックス
 1.中間型リンパ腫
 2.消化管(腸管)濾胞性リンパ腫
 3.節外性リンパ腫
  A.総論
  B.B細胞リンパ腫
   1)消化管原発DLBCL
   2)精巣原発DLBCL
   3)乳腺原発DLBCL
   4)甲状腺原発DLBCL
  C.T細胞リンパ腫
   1)腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)
   2)肝脾T細胞リンパ腫(HSTCL)
 4.IgG4関連疾患
 5.組織球および樹状細胞に由来する腫瘍(組織球肉腫、Langerhans細胞由来腫瘍)
  A.組織球肉腫
  B.Langerhans細胞由来腫瘍
   1)Langerhans細胞組織球症
   2)Langerhans細胞肉腫
 6.組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)

リンパ腫は最も患者数の多い血液腫瘍で、多くの疾患単位により構成される疾患複合体であり、治療選択肢も多岐にわたる。血液疾患を診療しているわが国の大半の医療機関において、好むと好まざるとにかかわらず血液内科医はリンパ腫患者の診療に従事しているが、専門性が高いが故に判断に迷う状況に遭遇することが少なくないはずである。また、リンパ腫はリンパ節以外の多くの臓器にも発生・浸潤するため、多数の診療科の医師がリンパ腫患者に遭遇しうる。
 リンパ腫を構成する多様な疾患単位の認識と、それに基づく複雑な治療体系確立は、血液学、病理学、免疫学、分子生物学、ウイルス学、臨床腫瘍学、放射線診断学、放射線治療学などの学際的研究によって支えられている。なかでもリンパ腫の診療と研究のkey personは血液内科医と病理医であり、日本リンパ網内系学会は両者の活発なcross talkを特徴としている。本書の執筆陣は本学会のkey investigatorsによって構成されている。
 本書は、リンパ腫患者の診療に従事する、非専門家を含む多様な医師(血液内科医、病理医など)による個々のリンパ腫患者診療の手助けになることを第一の目的としている。豊富な図表に加えて、View Point、ワンポイントレクチャー、臨床医から病理医へのメッセージ、病理医から臨床医へのメッセージ、レベルアップのために、take home messageなどの項目が設定され、重要な情報を簡単に読み取れるように多くの工夫が施されている。
 本書をお読みいただくことによって、わが国のリンパ腫診療の質の向上につながることを期待したい。また、リンパ腫に興味をいただき、リンパ腫研究に取り組む若手の医師・研究者の増加につながれば、本書の企画・編集に尽力された新津望本学会教育委員長の本望とするところであろう。

2014年5月
日本リンパ網内系学会理事長
国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科科長
飛内賢正

 本書を一読して、編集責任者の新津 望、飛内賢正両氏ならびに執筆者の方々にまずお祝いと、読者を代表して感謝を申し上げたい。
 悪性リンパ腫は、造血器腫瘍のなかでもっとも遭遇する機会の多い疾患の一つですが、リンパ腫といってもリンパ節以外からの発生(節外性病変)が半数あり、網内系組織である骨髄、肝・脾臓はもちろんのこと、腸管、皮膚・骨から脳・脊髄、肺、腎臓といった実質臓器からも発症します。さらに不明熱(腫瘍熱)、高カルシウム血症といった傍腫瘍症候群から診断にいたることもありますので、血液や腫瘍を専門とする医師よりは、むしろ他の診療科の医師が遭遇し組織学的な診断を得て、血液内科に紹介されることのほうが多いかもしれません。本書の意図の一つとして、そういった場合にも非専門医が適切に対応できるようにわかりやすく書かれています。
 まず、各項目について「View Point」でその項の内容を箇条書きで整理してから、本文を記載し、その後に「ワンポイントレクチャー」、「take home message」で重要なところを補足し、ぜひ覚えてほしい事象を簡潔に記載してあります。さらに、これから血液内科医を目指す若い医師やリンパ腫を専門としない血液内科医においても、悪性リンパ腫の生物学的な特徴と治療・予後について整理ができ、もう少し勉強したい人には最近の話題を含め「レベルアップのために」が控えていることも評価できます。
 本書は日本リンパ網内系学会教育委員会編集ですが、本委員会が中心になって開催する「研修医、若手医師のためのリンパ腫基本セミナー」や「リンパ腫スキルアップセミナー」が、教育委員である新津 望(血液内科)、大島孝一(血液病理)両氏をはじめとする日本を代表する中堅の血液内科、病理の指導者によって実施され、毎年多くの若手医師が参加し、充実した研修を受けています。本書の執筆者の多くがこのセミナーの演者であることから、参加者の理解が難しいところ、あるいは知りたいところがわかっていることもあって、大変理解しやすい内容と構成になっています。
 本学会の根幹は、基礎医学と臨床医学の融合であり、本書の「I章。リンパ腫診療の基礎知識」には、リンパ腫の基礎的な生物学が記載された後、「II章。病理診断を克服する!」と「III章。治療のポイントをマスターする!」があげられています。新WHO分類では70種以上のリンパ腫が記載されていますが、基礎医学と臨床医学の両側面から頻度が高くて生物学的に特徴のある疾患を中心に、III章では9つの代表的なリンパ腫の解説がなされています。さらにII章では、疾患ごとに「病理医から臨床医へのメッセージ」、III章では「臨床医から病理医へのメッセージ」が記載され、実際のリンパ腫患者の診療にあたって、病理医と臨床医が議論すべきポイントが的確に指摘されていて、両者にとってお互い役に立つ重要な情報源となります。さらに、所々に「Case Study」があってテキストで得た知識をより実践に役立つように強化することができ、「IV章。押さえておきたいトピックス」では、最近のトピックスが記載されています。本書を手元に置き、個々の患者の問題点の抽出、適切な議論をすることにより、それぞれの患者に合った個別化した診療が展開できます。結果として、より多くのリンパ腫患者において、治癒あるいは良好なQOLを保ちながらの延命が期待できます。
 本書はポケットマニュアルのサイズでありながら、それを超える内容が含まれており、リンパ腫診療に携わる若手病理医、臨床医に必読の書として推薦したいと思います。

臨床雑誌内科115巻4号(2015年4月号)より転載
評者●福岡大学腫瘍・血液・感染症内科教授 田村和夫