書籍

SMBGで血糖管理・指導の達人になる

血糖日記のススメ

: 清水一紀
ISBN : 978-4-524-26457-5
発行年月 : 2011年7月
判型 : A5
ページ数 : 114

在庫あり

定価2,592円(本体2,400円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

血糖自己測定に影響を及ぼす原因とその対策、機器選択のポイントを解説。また、血糖自己測定を用いた生活指導によって患者の自己管理を改善させる具体的な方法についても言及した。血糖に関するちょっとした知識もQ&Aとしてまとめた。糖尿病療養指導士、看護師、臨床検査技師などのコメディカルを中心に、血糖自己測定を用いて患者指導を行うスタッフ必携の書。

I 血糖について知る−知識編
 1.血糖を知り、血糖測定を見直す
  a.まず何をしましょうか
 2.血糖って何?
  a.診断のための血糖値は正確無比である必要があります
  b.糖尿病では血糖コントロールを自動から手動に切り替える
  c.どのような人が血糖測定をするべきか
  d.血糖値をどのように活用するか
  e.病態からみた血糖パターン(筆者の経験から)
 3.血糖測定の落とし穴
  a.インスリンスケールの落とし穴
  b.低血糖の落とし穴
 4.血糖値の正確さ
  a.連続して測定してどのくらい正確か?
  b.日を変えても同じ値が出るの?
  c.同じ機器でもAさんとBさんのでは値が違いますか?
 5.血糖値を狂わせるもの
  a.ヘマトクリット(Ht)
  b.溶存酸素
  c.ビタミンC(アスコルビン酸)
  d.マルトース
  e.PAM
  f.検体量不足
  g.温度
 6.どのような機器があるのだろうか
 7.どのようなところが血糖測定器の選択基準となるのか

II 血糖を管理する−技術編
 1.血糖測定器を使いこなす
  a.ガイドライン作成のための観察研究
  b.ガイドライン作成のための前向き比較研究
 2.血糖測定器のメンテナンス
  a.よくある故障原因について

III 血糖測定の実際を体験する−応用編
 1.血糖測定のコツをつかむためのアプローチ
  a.なぜ同じ時間の血糖ばかり測るのか
 2.self-monitoring of blood glucoseからself-management of blood glucoseへの転換
  a.どうして測るのか(意味のある血糖測定)
  b.いつ測るのか
  c.傾向を知る
  d.対策を立てる
  e.新しい発見をする
  f.新たな疑問をみつける
  g.繰り返す
 3.低血糖への対応
 4.CGMでわかることと血糖自己測定への応用
 5.血糖自己測定のタイミング
  a.1週間に6回測る場合
  b.1日2回の血糖測定(1ヶ月60回)
  c.1日3回以上の血糖測定の基本パターン

IV 血糖に関するよくある質問−Q&A編
 1.低血糖のときブドウ糖を飲んで、どのくらいで低血糖症状は回復するのでしょうか?
 2.自覚症状はないけど測定器で低い値は低血糖ですか?
 3.きちんと測っているのに、主治医の診察のとき、何もいわれないのですが
 4.責任インスリンとは何ですか?
 5.食前の血糖測定は何のため?
 6.眠前の血糖測定は何のため?
 7.カーボカウンティングについて教えてください
 8.油を食べても血糖は上がらないのですか?
 9.糖の種類について教えてください
 10.糖尿病は炭水化物を摂らなければ治ると聞きましたが本当ですか?
 11.CGMがあるとSMBG機器は要らないのですか?
 12.血糖測定をすると治療の意欲がわきますか?

付録:SMBG手技のチェックリスト
参考文献
おわりに
索引

簡易血糖測定器を用いた血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose:SMBG)保険適用になり、すでに四半世紀が経過しました。現在約60万人を超える方々が利用しているといわれています。血糖自己測定器も性能が向上し、簡易で、血液量も少なく、数秒で血糖を測ることができるようになりました。それに伴い、血糖自己測定を取り巻く環境は数年の聞に変わりつつあります。そして私たち医療従事者も、血糖自己測定を使った療養指導を考えていく必要が出てきました。いま、血糖自己測定は、self-monitoring of blood glucoseからself-management of blood glucoseへ転換する時代が来たのです。本書は、そのための過程や方法、さらにその意味や効果について紹介しています。例をあげますと、血糖測定ノートに血糖値だけを書き込むだけでは、地図をみるようなものです。しかし、運動をしたとき、運動しないときに血糖値はどのように変わるのだろうか、運動した記録を日記のように血糖自己測定ノートに書き込んでみると、運動と血糖値の関係がみえてきます。このように血糖値の単なる羅列ではなく、将来の成長のために、過去の振り返りができるツールに変えていくことが、self-management of blood glucoseなのです。
 多くの医療従事者がHbA1c値を参考に、糖尿病患者さんの血糖コントロール状態をみています。そして、HbA1cが悪化(あるいは改善)したとき、患者さんとともに、その原因と解決策を考えます。しかし、なぜ血糖値が悪くなったのかわからないといわれる患者さんも少なくありません。心当たりがなくてもしょうがないのです。なぜならHbA1c値はおおよそ約1-2ヵ月の平均血糖値を表す指標です。1-2ヵ月の間には、いろいろな出来事があり、頑張ったときも頑張らなかった日もあります。自分自身にあてはめて考えてみると、2ヵ月の行動を把握することは難しいことです。患者さんにとってHbA1cだけでなく、そのときリアルタイムに測った血糖値で自己管理することは、よりわかりやすい方法なのです。
 患者指導に血糖自己測定を用いるために何よりも大切なことは、医療従事者が、血糖測定の結果に関心を持ち、ともに考えていくことです。それにより患者さんは、どのような食事や生活行動が自己の血糖に影響があるかを学んでいきます。そのような患者指導ができるようになるために、医療従事者には血糖測定および簡易血糖測定器の正しい知識と技術、それに好奇心が必要です。また、すべての患者さんが対象というわけではありません。血糖測定がよいほうに活かされる患者さんもいれば、血糖自己測定を苦痛に感じる患者さんもいます。その適応を考え、患者さんの特性を見抜くことも医療従事者の技術といえるでしょう。
 たかが血糖、されど血糖。血糖と結党、ときには血糖と決闘。血糖とのつきあいは外交のようなもので、敵にも味方にもなります。できるだけ仲よくするためには、血糖を理解し血糖の動きを知ることが大切です。患者さんがイメージできない将来の糖尿病合併症の予防にも、まずはイメージできる目の前の血糖を知り、血糖管理を行うことが有用であることを、感じていただけたら幸いです。
2011年7月
清水一紀

著者である清水先生から、SMBG(self−monitoring of blood glucose、血糖自己測定)について今面白い本を書いているからという話は少し前からきいていた。『SMBGで血糖管理・指導の達人になる―血糖日記のススメ』それがこの本だ。今では糖尿病の療養指導やインスリン調節にSMBGは欠かせないものである。昔に比べると、SMBGを行うのが容易になったのが大きな要因であろう。しかし、漫然と血糖を測定しているだけでは、血糖コントロールの改善がみられないことが、いくつかの研究グループから報告されている。どうも頻回に測定して、SMBGノートに記入するだけではだめなようである。ある人は糖尿病教育入院中と同じタイミングで測定を続けている。退院したら、忙しくてSMBGをまったく行わなくなる人もいる。中には医師によいところをみせようと血糖値の虚偽記載までしている人もいる。いかに効果的な血糖測定をしてもらうか、さらには、その測定した血糖値の意味を解釈していかに行動変容につなげてもらえるかが医療従事者の願いである。そのためにも、便利になったSMBG機器についてわれわれ医療従事者がよく知らなければならない。
 本書には医療従事者が知っておきたいSMBGに関する知識が満載されている。血糖値を狂わせる意外な落とし穴(ヘマトクリット、酸素、ビタミンC、マルトースなど)など、とても勉強になる。そして、患者さんへの説明のノウハウが詳しく書かれている。(1)どうして測るのか(意味のある血糖測定)、(2)いつ測るのか、(3)傾向を知る、(4)対策を立てる、(5)新しい発見をする、(6)新たな疑問をみつける、(7)(5)と(6)を繰り返す。いずれの項目にも著者の長年の臨床経験から得られた技が光っている。患者さんから「これはどのくらい正確なのか?」「自覚症状はないけど測定器で低い値が出たときは本当に低血糖なの?」「退院したら、仕事で忙しいんだけど、いつ測ったらいいの?」ときかれた時の回答がこの本の中にちゃんと書いてある。血糖自己測定のタイミングの項などは、患者さんに表をみせて、そのまま使えそうだ。また、肥満者、ステロイド投与中、心疾患合併例、高齢者、妊娠糖尿病など病態により血糖パターンが異なることについても触れてあり、大変参考になる。「血糖血だらけ、食後HI(ハイ)だらけ」など、一口メモもとても面白い。
 本当にかゆいところに手が届く一冊である。SMBGの値をみながら、患者さんと楽しく会話ができそうだ。本書を読めばわれわれもSMBG指導の達人になれるかも。いや、達人である清水先生に少しくらいは近づけるかもしれない。
評者● 坂根直樹
臨床雑誌内科108巻6号(2011年12月増大号)より転載