書籍

薬物動態を推理する55Question

一歩踏み込んだ疑義照会と服薬指導のために

監修 : 小西廣己
: 菅野彊
ISBN : 978-4-524-26364-6
発行年月 : 2011年11月
判型 : B5
ページ数 : 202

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

“いつ効きはじめるの?”“肝排泄型か腎排泄型かどうやって見分けるの?” 薬物動態を理解するのに必要な知識やコツを順序立ててわかりやすく解説。高齢者など特に注意すべき患者の投与量の推定や、服薬指導に役立つ。添付文書やインタビューフォームを使うため薬局薬剤師にも有用。薬物動態に苦手意識がある方に必携の書。

第1章 まずは大まかに捉える!くすりの投与量と血中濃度の法則
 Q1 くすりが体内から消失するのに法則性はあるのでしょうか?
 Q2 くすりの投与量を増やすと血中濃度はどのように変化するのでしょうか?
 Q3 アプリンジン塩酸塩(アスペノンカプセル)は上昇型非線形動態を示しますが、どんな注意が必要でしょうか?
 Q4 バルプロ酸ナトリウムでみられる頭打ち型非線形動態はどうして起きるのでしょうか?どんな注意が必要ですか?
実践編 非線形型薬物の場合は、どんな注意が必要でしょうか?

第2章 イメージで捉える!基本用語
 Q5 大学でコンパートメントモデルについて習ったけど、そもそもコンパートメントって何でしょうか?
 Q6 2-コンパートメントモデルの場合、それぞれのコンパートメントは身体のどこを指すのでしょうか?
 Q7 消失速度定数は大きければ大きいほどくすりの消失は速くなりますか?どのようにして求めたらいいでしょうか?
 Q8 分布容積ってよく聞くけど、どういう意味でしょうか?
実践編 ジスロマックSRドライシロップの分布容積は大きいけど、組織移行はどのくらいになるのでしょうか?

第3章 服薬指導で役立つ!効果発現時間や効果持続時間
 Q9 くすりはいつごろ効いてくるのかよく聞かれるけど、目安ってあるのでしょうか?
 Q10 くすりの効果がなくなるのはいつごろか推測はできるのでしょうか?
 Q11 定常状態がないくすりの場合、効果発現時間や効果持続時間はどう考えればいいのでしょうか?
実践編 定常状態がある薬物とない薬物では、服薬指導はどう違うのでしょうか?

第4章 本当に効いてる!?有効血中濃度の求め方
 Q12 有効血中濃度に達しているか判断するのに定常状態の平均血中濃度を知りたいんですけど、どのようにして求めるのでしょうか?
 Q13 それぞれの患者さんの定常状態の血中濃度を推測することで、投与量を微調整したいんですけど、どうすればできるのでしょうか?
 Q14 ジソピラミド(リスモダンカプセル)の投与量が150mg/日と少ないけれど、平均血中濃度は有効血中濃度に達するのでしょうか?
 Q15 目標とする定常状態での平均薬物血中濃度を達成する投与量を医師から聞かれることがたまにありますが、どのようにして求めればいいのでしょうか?
 Q16 定常状態の最低薬物血中濃度と最高薬物血中濃度はどのように推測したらいいのでしょうか?
実践編 テオフィリン(テオドール錠)を増量した患者さんが副作用のような症状を発現しているけど、血中濃度を推測して適切な投与量を決めることはできるのでしょうか?

第5章 薬剤選択に役立つ!肝排泄型と腎排泄型の見分け方
 Q17 薬物総クリアランスはどのようにイメージしたらいいのでしょうか?
 Q18 くすりは肝臓と腎臓以外でも排泄されると思うけど、どうして肝臓と腎臓だけとするのでしょうか?
 Q19 薬物総クリアランスは何に役立つのでしょうか?どのようにして求めるのですか?
 Q20 どうしてくすりを肝排泄型と腎排泄型に分けるのでしょうか?どんな違いがあるのですか?
 Q21 肝排泄型と腎排泄型を見分ける尿中未変化体排泄率って何でしょうか?
 Q22 尿中未変化体排泄率のデータがない場合には、どうやって肝排泄型と腎排泄型を見分けるのでしょうか?
 Q23 添付文書に排泄経路を推定する薬物動態値の記載がない場合はどうすればいいのでしょうか?
 Q24 肝排泄型薬物の場合は、どこに注目すればいいのでしょうか?
実践編1 高齢者に肝抽出率が高いくすりを投与する場合、どこに注意すればいいのでしょうか?
実践編2 腎機能が低下した患者さんではどんな注意が必要なのでしょうか?

第6章 処方設計に使える!腎機能低下者への投与量
 Q25 薬局で患者さんの腎機能低下を見分けるにはどうすればいいのでしょうか?
 Q26 加齢は腎機能を低下させると言われているけど、年齢でクレアチニンクリアランスのおおよその推測はできるのでしょうか?
 Q27 高齢者の場合、体内からくすりが消失するのにどのくらいかかるのでしょうか?
 Q28 高齢者の消失半減期を推測することはできるでしょうか?
 Q29 クレアチニンクリアランスはどのようにして推算されるのでしょうか?
 Q30 腎機能低下者と健常者の薬物総クリアランスが分かれば、腎機能低下者の投与量を求めることはできるのでしょうか?
 Q31 腎機能が低下したときのくすりの投与量を決定できるGiusti-Hayton法とはどんな方法でしょうか?
実践編 クレアチニンクリアランスが著しく低下している患者さんの場合、投与量はどうしたらいいのでしょうか?

第7章 よく遭遇する!高齢者への投与
 Q32 加齢によってどんな生理学的変化が現れるのでしょうか?
 Q33 加齢はADME(吸収、分布、代謝、排泄)にどんな影響を与えるのでしょうか?
 Q34 高齢者にはどんなくすりを投与してはいけないのでしょうか?
 Q35 Beers Criteria Japanって何でしょうか?
 Q36 高齢者に注意するくすりは実際に臨床現場では使用されていないのでしょうか?
実践編 高齢者に注意するくすりを投与する場合はどこに注意すればいいのでしょうか?

第8章 本当にダメ!?授乳婦への投与
 Q37 授乳婦には乳汁へ移行しにくいくすりを薦めたいけど、どこに注目すればいいのでしょうか?
 Q38 添付文書で「授乳中は投与を避ける」と記載がある場合は、本当に授乳できないのでしょうか?

第9章 論理的に捉える!相互作用のPK-PD分類
 Q39 相互作用を論理的に考えることはできるのでしょうか?
 Q40 薬物代謝酵素を誘導する場合と阻害する場合ではどんなことが起きるのでしょうか?
 Q41 抗てんかん薬は併用される場合が多いけど、どこに注意すればいいのでしょうか?
実践編 併用禁忌あるいは併用注意の処方であった場合、どのように疑義照会すればいいのでしょうか?

第10章 薬局でもできる!TDM
 Q42 薬局でTDMはできるのでしょうか?
 Q43 添付文書でPK-PD分析することは可能でしょうか?
実践編 プラビックスとバイアスピリンを服用している患者さんに「オメプラール錠20mg」が追加されたけど、このままくすりを出してもいいのでしょうか?

第11章 むずかしくない!非線形型薬物の投与量
 Q44 上昇型や頭打ち型の非線形速度過程を示すのはなぜでしょうか?
 Q45 テオフィリンの上昇型非線形動態ではどんな注意が必要なのでしょうか?
 Q46 くすりの血漿蛋白結合の変動に関してどんな注意が必要なのでしょうか?
 Q47 投与量比以上に血中濃度を上昇させる非線形型薬物ではどんな注意が必要なのでしょうか?
 Q48 非線形型薬物の投与量はどのように求めるのでしょうか?
実践編 まだ発作の予感がときおりあるので、フェニトイン血中濃度を14μg/mLまで上げたい.投与量はどうすればいいのでしょうか?

第12章 最近見かける!遺伝子多型の基本
 Q49 最近、添付文書でみられる遺伝子多型って何でしょうか?
 Q50 薬物代謝酵素の遺伝子多型が薬効や副作用に大きく影響するとのことだけど、例えばどんなくすりで見られるのでしょうか?
 Q51 遺伝子多型によるワルファリンへの薬物動態学的影響と薬力学的影響にはどんなものがあるのでしょうか?
実践編 処方せんや患者さんの状況から遺伝子多型の可能性のある症例であるかどうかを判断することができるのでしょうか?

第13章 使ってみよう!コンピューター解析
 Q52 薬物動態学のプログラムはどういう理論で動いているのでしょうか?
 Q53 推計的なアプローチと言われるBayes法(Bayesian法)とはどんな方法論なのでしょうか?
 Q54 コンピューターソフトTHEOPREDICT IIIはどのようにして使うのでしょうか?
 Q55 TDM支援ソフトPEDAは日本の臨床現場でもっとも多く使われていますが、PEDA-VBにはどんな特徴があるのでしょうか?
実践編 添付文書どおりの投与量では思うように血中濃度が上がらない場合、PEDA-VBで的確な投与設計を行うことができるのでしょうか?

索引

くすりの効果は「薬理作用の強さと薬物動態で決まる」と言ってもいいかと思います。しかし、日常的に患者さんと接していると、そこにもうひとつの大きな要因が働くことに気がつきます。それは、なんでしょうか?そうです!患者さんの状態ですね。薬理作用とその強さは個々のくすりで違いますから、個別に検討しなければなりません。患者さんの状態にしても然りです。身体が大きい人、小さい人、年齢が高い人、低い人、腎機能が正常な人、低下が予測される人などさまざまです。
 しかし、薬物動態の場合はある程度一定の数値で考えることができます。例えば、この患者さんのクレアチニンクリアランスはどのくらいなのか?あるいは分布容積はどのくらいだろうか?適切な投与量はいくらか?体内からの消失半減期はどのくらいだろうか?だとしたら、いつ定常状態に達するのか?などなどです。つまり、薬物動態は比較推測が可能です。そこで、薬物動態をなんとか科学的に定量的に捉えられないものか?と考え、長い間模索してきました。
 そして、くすりの動態を推測し、効果を測り、副作用を予測して、数々の提案を臨床側に行ってきました。当然それは薬理的な検討や患者さんの状況を加味しながらでありますが、患者さんの薬物動態の検討がくすりの効果の予測に基本的な影響を与えていることに確信をもつに至りました。最近の薬剤師の仕事はくすりの効果や副作用、薬物動態はどうなって行くのか?という、いわば予測学が中心になっているか、あるいはなっていくのだろうと思います。そこで、本書は臨床に必要な薬物動態学の根幹を55個のQ&Aとそのステップアップとしての13個の実践編で表してみました。Question55を読み終えたときに、あなたにはくすりの動態と効果の関係がはっきり見えてくることでしょう。
2011年秋
菅野彊

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