書籍

臨床消化器内科マニュアル

編集 : 小池和彦/一瀬雅夫/矢作直久
ISBN : 978-4-524-26331-8
発行年月 : 2011年10月
判型 : B6
ページ数 : 512

在庫あり

定価4,860円(本体4,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

レジデント、若手消化器科医を対象に、消化器内科の日常診療において知っておかなければならない、救急対応、診察法、代表的な症候の診かた、検査手技、主要疾患の病態とその診療法、各種薬剤についてコンパクトに解説するマニュアル書。簡潔平明な解説で知りたいことがすぐにわかる便利な一冊。消化器を専門としない内科医にもおすすめ。

I章 消化器救急への対応
 1.急性腹症の鑑別診断
 2.出血性ショックの重症度分類と対処法
 3.汎発性腹膜炎
 4.腸閉塞(イレウス)
 5.急性胆道感染症
 6.急性肝不全
 7.急性膵炎・重症急性膵炎
 8.急性虫垂炎
 9.消化器癌にかかわる救急
 10.薬物および毒物服用例への対応

II章 診察法・代表的症候の診方
 1.病歴聴取のポイント
 2.身体所見のポイント
 3.胸やけ、嚥下困難
 4.腹痛
 5.吐血、下血、血便
 6.悪心・嘔吐
 7.腹部膨満、腹水
 8.便通異常
 9.食欲不振
 10.体重減少
 11.黄疸
 12.消化器疾患における意識障害

III章 検査手技
 1.末梢血検査、凝固機能検査
 2.肝機能検査、肝炎ウイルス検査
 3.尿・便検査
 4.腹部X線撮影
 5.消化管造影検査
 6.内視鏡検査
 7.超音波内視鏡検査
 8.腹部エコー
 9.造影超音波検査
 10.腹部CT
 11.腹部MRI
 12.核医学(PET)
 13.ERCP
 14.腹部血管造影
 15.腹腔鏡
 16.腹水穿刺
 17.肝生検
 18.その他の検査法

IV章 治療手技
A 消化管
 1.経鼻胃管・イレウス管挿入
 2.内視鏡的狭窄解除術(バルーン、ステント)
 3.内視鏡的腫瘍切除術
 4.内視鏡的焼灼術
 5.内視鏡的止血術
 6.異物除去
 7.血球除去療法
B 肝臓
 1.ラジオ波焼灼術(RFA)
 2.経皮的エタノール注入療法(PEIT)
 3.肝動脈塞栓療法(TAE)
 4.肝動脈注入化学療法
 5.肝膿瘍ドレナージ
 6.血漿交換療法、血液透析
C 胆道・膵臓
 1.内視鏡的総胆管結石除去術
 2.内視鏡的乳頭処置術(EST、EPBD)
 3.内視鏡的胆道ドレナージ術
 4.内視鏡的膵石除去術、膵管ドレナージ術
 5.超音波内視鏡下治療(interventional EUS)
 6.PTBDと関連治療手技
 7.胆嚢ドレナージ術
D 消化器癌
 1.主なレジメン集
 2.主な副作用対策
 3.緩和医療の実際
 4.化学療法用埋め込みポート造設
E 栄養・輸液
 1.栄養評価
 2.栄養治療食
 3.経管栄養、経腸栄養
 4.高カロリー輸液、中心静脈栄養療法(IVH)
 5.胃瘻造設術(PEG)

V章 代表的疾患の病態と診療の実際
A 食道疾患
 1.アカラシア
 2.胃食道逆流症(GERD)
 3.胃・食道静脈瘤
 4.食道癌
 5.Mallory-Weiss症候群
B 胃・十二指腸疾患
 1.急性胃炎、急性胃粘膜病変(AGML)
 2.慢性胃炎
 3.functional dyspepsia
 4.消化性潰瘍
 5.胃ポリープ
 6.胃粘膜下腫瘍
 7.胃MALTリンパ腫、胃悪性リンパ腫
 8.胃癌
C 腸疾患
 1.腸管感染症
 2.吸収不良症候群、蛋白漏出性胃腸症
 3.潰瘍性大腸炎
 4.Crohn病
 5.虚血性大腸炎
 6.過敏性腸症候群
 7.大腸ポリープ・ポリポーシス
 8.大腸癌
 9.大腸憩室疾患
 10.腸閉塞
 11.薬剤起因性腸炎
 12.放射線性腸炎
 13.小腸疾患
 14.痔核、痔瘻、裂肛
D 肝疾患
 1.急性肝炎
 2.劇症肝炎
 3.C型肝炎
 4.B型肝炎
 5.自己免疫性肝炎
 6.薬物性肝障害
 7.アルコール性肝障害
 8.NAFLD
 9.肝硬変
 10.原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)
 11.代謝性肝疾患
 12.肝膿瘍
 13.肝嚢胞
 14.肝細胞癌
 15.肝内胆管癌(粘液産生性胆管腫瘍を含む)
 16.転移性肝癌
 17.肝移植の適応とマネージメントの実際
E 胆道疾患
 1.先天異常(総胆管嚢腫、胆管拡張症、膵胆管合流異常症)
 2.総胆管結石症、肝内結石症、胆管炎
 3.胆嚢結石症、胆嚢炎
 4.胆嚢・胆道癌
 5.原発性硬化性胆管炎
 6.胆嚢良性腫瘍性疾患(ポリープ、胆嚢腺筋腫症)
F 膵疾患
 1.慢性膵炎、膵石症
 2.急性膵炎、重症急性膵炎
 3.膵仮性嚢胞
 4.膵嚢胞性腫瘍
 5.自己免疫性膵炎
 6.膵臓癌
 7.膵内分泌性腫瘍

付録 消化器疾患に用いる主な薬剤一覧
 1.消化性潰瘍治療薬
 2.胃腸機能調整薬
 3.健胃消化薬
 4.炎症性腸疾患治療薬
 5.過敏性腸症候群治療薬
 6.止痢薬・整腸薬
 7.下剤
 8.肝疾患治療薬
 9.抗ウイルス薬
 10.膵疾患治療薬
 11.利胆薬
 12.胆道感染症に対する抗菌薬
 13.抗悪性腫瘍薬
 14.漢方薬

索引

消化器疾患は日常診療の中で最も高頻度に遭遇するもののひとつである。特に超高齢社会を迎えたわが国においては、増加の一途をたどる悪性腫瘍の過半が消化器癌であることから、消化器内科は内科領域における基幹診療科としての地位を不動のものとしており、その果たす役割も、社会の期待もますます大きいものとなっている。
 わが国の消化器内科診療の特徴は、日本古来の伝統に育まれた細やかな感性と持ち前の器用さとが相俟って、この国の疾患構造に対応した、世界に類をみない診断・治療の体系を醸成してきた点にある。その結果、消化器内視鏡をはじめ、世界に先駆けて進歩している分野も多く、世界屈指の良質の診療が提供され、この国で暮らす多くの人々がその恩恵を遺憾なく享受できる、実に恵まれた状況が展開している。わが国の消化器内科診療が提供している高い水準の医療は、先人の弛まざる努力の賜物であることは言うまでもなく、このかけがえのない叡智、技術をさらに発展させ、次世代に継承すべく努力を重ねることが、現在の医療人である我々に強く求められているところである。
 一方、昨今の医学知識量の急増、習得すべき消化器内科関連医療技術の加速度的な増加、医療環境の劇的な変化が複合要因となり、臨床・教育の現場の多忙さがますます際立ってきている。本書は東京大学をはじめとする消化器内科の第一線で活躍する施設からの、消化器内科医を目指し修練を重ねている世代に対するメッセージとでも言うべきものである。すなわち、新たな医学医療情報やガイドラインが溢れ、社会からの医療人に対する要求が今後いっそう増加する兆しをみせているなかにあって、厳しさを増す医療環境にも戸惑うことなく、常に原点に立ち返り、基本を十分におさえた着実な研鑽を重ねることで消化器内科医としての高みを目指してほしい、後に続いて世界に誇る消化器内科診療を継承してほしいという祈りが込められている。消化器内科診療の大海に船出した多くの先生方に本書を航海安全の羅針盤として利用いただき、消化器内科診療の新大陸発見に至る次世代が誕生することを心から願うものである。
2011年9月
編集者一同

この度、「消化器内科医を目指し修練を重ねている世代に対するメッセージ」(序文より)として本書が発刊された。そして、その書評の依頼が、なぜか消化器外科医である小生宛に送られてきた。その理由、あるいは狙いがどこにあるのか不明だが、大変光栄なことであり、また同じ消化器領域を専門とし、同様の本の企画や編集を経験したことも踏まえて印象を述べたいと思う。
 さて、昨今は「マニュアル」や「ガイドライン」と表する本が多数発刊されている。その両者の相違は必ずしも明確に区別されていないところもある。その内容としては、基本的なことや先達の経験に基づいたことや、その応用、そしてEBMに基づいたより臨床的なことの2本柱で構成されている。どちらかというと、「マニュアル」は前者が中心で、「ガイドライン」は後者が中心になっているが、そのバランスの良し悪しが、その本の使い勝手の良さや評価につながることになる。
 そこで何はともあれ、当院の消化器内科研修中の若手の医師に本マニュアルを渡し、使い勝手などを含めた感想を聞き、また、小生も本書の中身を検討することにした。まずは基礎と応用のバランスについてであるが、救急、診察、検査、治療などそれぞれについての基本的な事項がコンパクトに、そして箇条書きに記載されており、大変わかりやすくなっている。一方、応用的なことに関してであるが、第T章に記載されているのが「消化器救急への対応」である。これは他のマニュアル本にはあまりみない構成で、まさに消化器内科医が日々臨床で苦労していることであり、また、若手の医師が直面する重要な事柄で、これが本書の最大の特徴ともいえる。救急患者の初期対応をし、その所見から的確な検査を選択し、それらの結果から適切な診断と治療を行うことになるが、検査や治療などの基本的なことについては、第U章以降に順を追ってわかりやすく記載されている。
 なお、強いて要望をあげるとすると、複雑な病態や治療手技などの詳細な記述や内視鏡関連の画像がもう少しあれば、という印象もある。しかしながら、あくまで本書は「マニュアル」であり、本のサイズも限定され索引的な機能が中心とならざるをえないことは当然であり、それらについては別途自らが調べることで、本書は十分その目的を達成している。
 以上より、若手の消化器内科医、および消化器内科専門医を目指す研修医にとって、本書は使い勝手がよく、そして必ずや強い味方になるマニュアルであると確信し、強く推奨したいと思う。
評者● 上西紀夫
臨床雑誌内科109巻5号(2012年5月号)より転載