書籍

ポケット版 心肺蘇生・心血管救急ガイドブック

ガイドラインに基づく実践診療

編集 : 笠貫宏/野々木宏/高木厚
ISBN : 978-4-524-26303-5
発行年月 : 2013年9月
判型 : 新書
ページ数 : 182

在庫あり

定価3,456円(本体3,200円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

「循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン」および「JRC蘇生ガイドライン2010」に基づいて編纂された実践書『心肺蘇生・心血管救急ガイドブック』から要点を抽出し、白衣のポケットに入る体裁でまとめた一冊。循環器医、救急医が現場で必要な知識と実践の確認ができる必携書。

刊行にあたって
第1部 心肺蘇生・心血管救急−総論
 1 循環器救急医療と院外心停止の現状・課題
第2部 心肺蘇生の実際−BLSとACLS
 1 成人のBLSとACLS
 2 小児のPBLSとPALS
第3部 心血管救急の実践
I 心血管救急の症候と鑑別診断
 1 胸背部痛
 2 呼吸困難
 3 意識障害・めまい・失神
 4 ショック
 5 動悸
II 不整脈
 1 不整脈救急の診療アルゴリズム
 2 心室頻拍、心室細動
 3 発作性上室頻拍
 4 QT延長症候群
 5 Brugada症候群
 6 心房細動、心房粗動
 7 洞不全症候群
 8 房室ブロック
 9 植込み型除細動器の頻回作動
 10 抗不整脈薬(アミオダロン、ニフェカラント、リドカイン)について
 11 小児の不整脈
III 急性冠症候群
 1 急性冠症候群救急の診療アルゴリズム
 2 ST上昇型心筋梗塞
 3 不安定狭心症/非ST上昇型心筋梗塞
IV その他の心血管救急
 1 急性大動脈解離
 2 急性心不全
 3 急性肺血栓塞栓症
 4 心タンポナーデ
 5 急性心筋炎
 6 高血圧緊急症
 7 急性動脈閉塞
 8 電解質異常
 9 中毒
 10 偶発的低体温
 11 成人の先天性心疾患
V 脳血管障害
 1 脳血管障害救急の診療アルゴリズム
 2 脳梗塞
 3 脳出血
 4 くも膜下出血
VI 心拍再開後の治療
 1 低体温療法
 2 体外循環式心肺蘇生
VII 家族・市民へのアプローチ
付録 心肺蘇生・心血管救急に用いる主な薬剤一覧
索引

循環器疾患の発症・急性期における救急処置・診断・治療はきわめて困難なことが多く、処置中に増悪し致命的になることもまれではない。循環器救急の現場では、心肺停止の初期治療(一次救急処置[basic life support:BLS])から二次救急処置(advanced cardiovascular life support:ACLS)、そして心拍再開後の心停止後症候群に対する三次救急処置、さらには急性冠症候群に対する再灌流療法など心血管疾患に対する救急処置まで、迅速かつ的確に実践することが求められる。循環器救急疾患は広範にわたり、医師は緊急救命室(ER)での一次・二次・三次救急の多岐にわたる処置全般を理解し、ポイントを把握することが求められる。一方で、心血管救急疾患の初期診療は急速に進歩し、専門領域ごとに専門分化している。
 そこで編者らは、2012年9月に『心肺蘇生・心血管救急ガイドブック〜ガイドラインに基づく実践診療』を南江堂より刊行した。本書はこれを本編としたポケット版であり、臨床現場に持ち運べるよう内容を抜粋したものである。このシリーズの特徴は以下にある。(1)日本循環器学会(JCS)『循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン』の解説書であり、具体的な個別患者に対応するため、症候からのアプローチや鑑別疾患を含め、初期診療(おおよそ24時間)で的確な診断・治療を実践できるように工夫した。(2)国際蘇生連絡委員会(ILCOR)が作成した世界の専門家によるコンセンサスCoSTR2010に基づいて,日本蘇生協議会(JRC)が策定した『JRC 蘇生ガイドライン2010』でのBLS/ACLSに関する最新の内容を解説した。(3)JCSによる9つのガイドラインに記載された心血管救急にかかわる内容を網羅した。(4)循環器医に求められる脳血管障害救急および蘇生救急処置(stroke emergency)を収載した。(5)心血管救急における高度治療器具、薬剤を解説した。前述のとおり、本書は臨床現場での利用を考え厳選された内容であるため、詳細は本編を参照されて読み進めていただくことを推奨する。
 循環器医が本書を身近に置き、限られた人的・物的資源という救急医療の環境のもとでも、患者にとってもっとも望ましい診断・治療を提供する手助けとなることをなによりも願ってやまない。

2013年9月
笠貫宏

救急医療にはさまざまな場面があり、患者の背景も病態も多彩である。それだけに経験に依存するところが大きい。しかしながら救命救急医が経験のみに依存していると自己流がはびこるばかりで、科学としての救急医学の発展もなければ、次世代の教育も難しい。多彩ななかにも何らかの法則性を見出し、これを踏まえて実践することが大切である。
 米国ではReSS(Resuscitation Science Symposium)という学術集会が、毎年のAHA学術集会のプレシンポジウムとして開催されてきた。ReSSでは救急救命医療の最新の知見が発表され、議論された内容は国際的なガイドラインの策定にも影響を与えるなど、科学的な救急医療の基盤となっている。本書を編集された笠貫 宏先生、野々木宏先生、高木 厚先生は、心血管救急医療に長年携わりながら、ReSSの学術集会の内容を、わかりやすい報告書として、毎年まとめてこられた。このような活動を基にして、今回、臨床現場でただちに活用できるよう本書が作成された。
 本書は182頁から構成された小冊子で、心肺蘇生の一次、二次、三次救急処置のポイントが要領よくまとめられている。これは、編者らによる先行書「心肺蘇生・心血管救急ガイドブック−ガイドラインに基づく実践診療」の抜粋版であるが、日本循環器学会(JCS)のガイドラインや、日本蘇生協議会(JRC)によるJRC蘇生ガイドライン2010、JCSの9ガイドラインに記載された心血管救急、循環器医に求められる脳血管障害救急などが幅広く紹介されている。構成は、総論としての「心肺蘇生・心血管救急」に続いて、「心肺蘇生の実際−BLSとACLS」、さらに「心血管救急の実践」という3部からなっている。とくに第3部は、「心血管救急の症候と鑑別診断」、「不整脈」、「急性冠症候群」、「その他の心血管救急」、「脳血管障害」、「心拍再開後の治療」、「家族・市民へのアプローチ」という重要な項目が並び、記載もきわめて実践的である。このように心血管救急医療の全体を俯瞰しつつ実践に役立つハンドブックは、すべての循環器専門医にとって待望されていたものである。
 臨床医学の専門分化が進むなか、循環器専門医もさらに細分化されつつある。しかしながら心血管救急は、循環器専門医と総合診療医の双方にとって必須であり、これを身に付けることによって、両者の役割分担と連携が進むと期待される。その意味で本書はあらゆる臨床医にとって必携の書である。

臨床雑誌内科114巻1号(2014年7月号)より転載
評者●自治医科大学学長 永井良三