書籍

日本整形外科学会診療ガイドライン

外反母趾診療ガイドライン2014(CD-ROM付)改訂第2版

監修 : 日本整形外科学会・日本足の外科学会
編集 : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,外反母趾診療ガイドライン策定委員会
ISBN : 978-4-524-26189-5
発行年月 : 2014年11月
判型 : B5
ページ数 : 156

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 書評

外反母趾に対する標準的な診療方針を示したガイドラインの改訂版。外反母趾の病因・病態から保存療法・手術療法の効果、放置した場合の予後など、医療者・患者の関心にこたえる観点から39のクリニカルクエスチョンを設けて解説。今改訂では新たなエビデンスをもとに推奨度を再検討するとともに、手術に関する記載をとくに拡充。付録のCD-ROMに文献アブストラクトを収載。

前文
 1 はじめに
 2 本ガイドラインにおける外反母趾の定義
 3 本ガイドラインの構成
 4 文献検索法と、本ガイドライン作成の手順
 5 まとめと今後の課題
第1章 病因・病態・診断
 CQ1.外反母趾の診断および重症度分類はどのように行われるか
 CQ2.外反母趾の解剖学的要因にはどのようなものがあるか
 CQ3.外反母趾のX線評価はどのように行うか
 CQ4.外反母趾は扁平足・開張足と関係があるか
第2章 疫学
 CQ1.外反母趾の家族内発症はあるか
 CQ2.外反母趾に男女差はあるか
 CQ3.外反母趾は何歳頃から始まり、何歳頃まで進行するか
 CQ4.生活習慣によって外反母趾の発症率に差はあるか
 CQ5.靴の種類によって外反母趾の発症率に差はあるか
第3章 保存療法
 CQ1.外反母趾に対する靴指導は効果があるか
 CQ2.外反母趾に対する運動療法は効果があるか
 CQ3.外反母趾に対する装具療法は効果があるか
 CQ4.外反母趾に対する薬物療法は効果があるか
 CQ5.外反母趾に対して保存療法を続けても不都合なことはないか
第4章 近位骨切り術
 CQ1.近位骨切り術はどのような方法で行うか
 CQ2.近位骨切り術はどのような症例に行われるか
 CQ3.近位骨切り術の手術成績はどうか
 CQ4.近位骨切り術の合併症にはどのようなものがあるか
第5章 骨幹部骨切り術
 CQ1.骨幹部骨切り術はどのような方法で行うか
 CQ2.骨幹部骨切り術はどのような症例に行われるか
 CQ3.骨幹部骨切り術の手術成績はどうか
 CQ4.骨幹部骨切り術の合併症にはどのようなものがあるか
第6章 遠位骨切り術
 CQ1.遠位骨切り術はどのような症例に行われるか
 CQ2.遠位骨切り術の手術成績はどうか
 CQ3.遠位骨切り術の合併症にはどのようなものがあるか
 CQ4.遠位骨切り術の後療法はどのようなものか
第7章 遠位軟部組織手術
 CQ1.遠位軟部組織手術はどのような症例に行われるか
 CQ2.遠位軟部組織手術の成績はどうか
 CQ3.遠位軟部組織手術の合併症にはどのようなものがあるか
 CQ4.遠位軟部組織手術の後療法はどのようなものか
第8章 手術:その他(切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術、外反母趾手術に合併して行う手術)
 CQ1.外反母趾に対するその他の手術(切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術)はどのような症例に行われるか
 CQ2.外反母趾に対するその他の手術(切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術)の手術成績はどうか
 CQ3.外反母趾に対するその他の手術(切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術)の合併症にはどのようなものがあるか
 CQ4.外反母趾に対するその他の手術(切除関節形成術、関節固定術、人工関節置換術)の後療法はどのようなものか
 CQ5.外反母趾手術に合併して行う手術にはどのようなものがあるか
第9章 予後
 CQ1.外反母趾を放置するとどうなるか
 CQ2.外反母趾手術後10年以上の長期成績はどうか
 CQ3.外反母趾手術後の合併症に対する再手術で症状の改善は期待できるか。またその方法にはどのようなものがあるか
 CQ4.外反母趾の臨床評価法はどのようなものを用いるべきか
付録 日本足の外科学会母趾判定基準
索引

 外反母趾の診療ガイドラインが6年ぶりに改訂された。はじめに初版の編纂にかかわらせていただいた一員として、改訂版の上梓に際し日本足の外科学会診療ガイドライン委員会の大関覚担当理事、外反母趾診療ガイドライン策定委員会の渡邉耕太委員長ならびに委員の先生方に心からの敬意を表したい。ガイドライン作成の作業量は膨大であり、たいへんなご苦労があったものと推察される。
 戦後70年が経過し、幼少期より靴を履く生活をしてこられた方々が、高齢者の年代に到達した。高度経済成長期に社会の第一線で働いてこられた女性は多く、特にハイヒールなどの足の健康を阻害するような靴を長時間履かざるをえない状況があった。それに伴い最近では外反母趾の患者数が飛躍的に増加しており、一般診療においても治療する機会が多くなっている。診療にあたるわれわれは、しっかりとしたエビデンスをもった適切な治療を心がける必要がある。
 初版のガイドラインは1982〜2002年の論文を検索して作成されているが、改訂版では2003〜2012年の論文を検索し直し、clinical question(CQ)を踏襲しつつ、新しいデータが付け加えられている。本書は9つの章から構成されており、それぞれの章名は「病因・病態・診断」、「疫学」、「保存療法」、「近位骨切り術」、「骨幹部骨切り術」、「遠位骨切り術」、「遠位軟部組織手術」、「手術:その他」、「予後」である。各章には4〜5つのCQがあり、これに対してエビデンスに基づいた解説がされている。
 それぞれをみてみると、「病因・病態・診断」の章では外反母趾の重症度分類や解剖学的要因、X線評価法、【扁】平足との関係について言及されている。また「疫学」では遺伝や性差、発症に対する靴の影響について詳述されている。「保存療法」の章は、靴の指導、運動療法、装具療法、薬物療法についてのCQで構成されている。手術には5つの章が割り当てられており、現在わが国で行われている手術法はほぼすべて網羅されている。それぞれの構成は、基本的に手術の種類、適応、成績ならびに合併症からなっており、本改訂版から骨幹部骨切り術が新たに独立した章となり、詳しく記載されている。また、「遠位骨切り術」の章には最小侵襲(経皮的)手術の項目が追加され、「軽度から中等度の外反母趾に対する最小侵襲手術は、術後早期では良好な成績が期待できる」(推奨Grade C)と新たなrecommendationが述べられている。外反母趾の手術的治療を考える場合、重症であればあるほど合併障害を伴うが、改訂版では「手術:その他」の章に、外反母趾に合併して行う手術が追加された。そこでは、第2中足趾節(MTP)関節脱臼や内反小趾を合併した症例に対する術式について述べられている。
 この10年でわが国における足の外科のおかれている環境がドラスティックにかわり、足の外科に興味をもつ整形外科医が急増している。また、一般社会における外反母趾診療に対するニーズと相まって、本書はまさに最適なタイミングでの出版であると考えられる。通読しなくても辞書のような使い方ができ、委員長の渡邉耕太先生も述べておられるように、解説や採用文献の数が多く、外反母趾に関する文献集としても利用価値があると思われる。整形外科専門医はもとより、特に若い先生方はぜひ本書を手にとり、勉強していただきたいと切に願っている。

臨床雑誌整形外科66巻5号(2015年5月号)より転載
評者●奈良県立医科大学整形外科教授 田中康仁