書籍

失敗しない処方のしかた

84ケースから学ぶ有害反応と適正使用

  • 新刊

: 藤村昭夫
ISBN : 978-4-524-26185-7
発行年月 : 2017年2月
判型 : A5
ページ数 : 224

在庫あり

定価3,456円(本体3,200円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

たとえば高度な徐脈と著しい高カリウム血症。これはARBと抗アルドステロン薬の併用によるものである。本書は薬物療法のエキスパートが、このような報告された84の失敗例ををもとに処方の際に必要な臨床薬理学(相互作用、薬物動態、腎障害・高齢者との関連など)をわかりやすく解説。医薬品の適正使用が無理なくわかり、有害反応のない処方が身につく。

総論
 1 臨床薬理学総論
  1 薬物動態
  2 薬物・薬物相互作用
  3 薬物・食物相互作用
  4 薬理遺伝学
  5 時間治療
  6 妊娠と薬物
  7 小児と薬物
  8 高齢者と薬物
  9 肝障害と薬物
  10 腎障害と薬物
  11 薬物アレルギー
  12 TDM
各論
 1 脂質異常症
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 アトルバスタチンとグレープフルーツ・ジュースの併用で起きた横紋筋融解症例
   症例2 スタチン投与で生じた糖尿病例
   症例3 スタチン投与による記憶障害出現例
   症例4 遺伝子多型が原因となったスタチン誘発性筋障害例
   症例5 薬物相互作用によるスタチン誘発性肝障害例
   症例6 甲状腺機能低下症患者で生じたプラバスタチン誘発性筋障害例
   症例7 肝硬変患者で生じたアトルバスタチン誘発性横紋筋融解症例
 2 高血圧
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 アムロジピン投与によって生じた歯肉増殖例
   症例2 エナラプリル投与によって生じた乾咳出現例
   症例3 リシノプリル投与によって生じた血管性浮腫例
   症例4 シラザプリル投与によって生じた抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)例
   症例5 カンデサルタンとスピロノラクトン併用によって生じた著しい高カリウム血症例
   症例6 メトプロロールによって睡眠障害とうつ状態になった高齢者例
   症例7 メトプロロールとプロパフェノンの薬物相互作用出現例
 3 不整脈
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 ジソピラミドとクラリスロマイシンの併用による低血糖出現例
   症例2 ジソピラミドとグリメピリドの併用による低血糖出現例
   症例3 シベンゾリンとアラセプリルの併用による低血糖出現例
   症例4 アミオダロンによる間質性肺炎出現例
   症例5 アミオダロンによる甲状腺機能亢進症と甲状腺がんの合併例
   症例6 アミオダロンによる肝硬変発症例
   症例7 ベプリジルによる間質性肺炎発症例
   症例8 ピルシカイニドとセチリジン併用による徐脈出現例
 4 糖尿病
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 グリメピリドとイソニアジドの併用によって生じた低血糖例
   症例2 メトホルミンによる乳酸アシドーシス例
   症例3 インスリンによる浮腫例
   症例4 ボグリボースによる麻痺性イレウス例
   症例5 ボグリボースによる腸管気腫症例
   症例6 ピオグリタゾンによる僧帽弁逆流症例
   症例7 ピオグリタゾンによる糖尿病黄斑浮腫例
   症例8 ダパグリフロジンによる急性腎前性腎不全例
   症例9 グリベンクラミドとレボフロキサシン併用による低血糖出現例
 5 慢性心不全
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 クラリスロマイシンとの併用によって生じたジコキシン中毒例
   症例2 シルデナフィルとフロセミド併用時の聴覚障害出現例
   症例3 スピロノラクトン投与によって増悪した前立腺がんの一例
   症例4 ACE阻害薬とスピロノラクトン併用によって生じた高カリウム血症に伴う失神例
   症例5 パロキセチン併用によって生じたジゴキシン中毒例
 6 血栓症
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 ワルファリン投与によって生じた急性腎障害例
   症例2 標準量のワルファリン投与による血尿出現例
   症例3 ω-3脂肪酸投与によって生じた硬膜下血腫例
   症例4 ダビガトラン投与中に生じた脳血栓例
   症例5 5-FU製剤併用によってワルファリンの抗凝固作用が増強した例
   症例6 シロスタゾール投与中にグレープフルーツ・ジュース摂取によって紫斑が出現した例
 7 前立腺肥大症
  1 治療方針(日本泌尿器科学会:前立腺肥大症診療ガイドライン2011)
  2 有害反応出現例
   症例1 タムスロシンによって生じた高血糖例
   症例2 タムスロシン投与による有痛性の持続性勃起出現例
   症例3 5α還元酵素阻害薬フィナステリドによって生じた性機能低下例
   症例4 5α還元酵素阻害薬フィナステリドによる男性不妊例
 8 C型肝炎
  1 治療目標と治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 PEG-IFNα-2a投与による精神症状出現例
   症例2 PEG-IFNα-2a投与による心膜炎例
   症例3 PEG-IFNα-2bおよびテラプレビル投与による網膜症例
  3 多発性硬化症のIFN療法
   症例4 IFNβ-1bによるネフローゼ症候群例
   症例5 IFNβ-1aによる1型糖尿病例
 9 感染症
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 エノキサシンとフルルビプロフェンの併用による痙攣発作例
   症例2 リファンピシンとシロリムスの薬物相互作用出現例
   症例3 リファンピシンとワルファリン併用中止による肉眼的血尿出現例
   症例4 シンバスタチンとアジスロマイシン併用による横紋筋融解症例
   症例5 クラリスロマイシンによる躁病例
   症例6 ボリコナゾールとエプレレノンおよびニフェジピンの薬物相互作用出現例
   症例7 ワルファリンとミコナゾールの薬物相互作用出現例
   症例8 腎機能低下患者で生じたセフェピムによる精神神経症状出現例
 10 潰瘍性大腸炎
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 5-ASA 中止によって症状が再燃したアザチオプリン治療中の潰瘍性大腸炎例
   症例2 5-ASA誘発性好酸球性肺炎例
 11 虚血性心疾患
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 ニトログリセリン耐性例
   症例2 ニコランジルによる舌潰瘍発症例
 12 関節リウマチ
  1 治療方針〔田中良哉(監):膠原病・リウマチ性疾患治療指針第11版,2015に基づく〕
  2 有害反応出現例
   症例1 セレコキシブによる心筋梗塞を懸念し,患者が服用を拒否した例
   症例2 セレコキシブとワルファリンの薬物相互作用出現例
   症例3 メトトレキサートとナプロキセンの薬物相互作用出現例
 13 消化性潰瘍
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 ラフチジンによる精神神経症状出現例
   症例2 食道再建後潰瘍にオメプラゾールやランプラゾールが無効であった一例
   症例3 ファモチジンによる急性間質性腎炎例
 14 悪性腫瘍
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 5-フルオロウラシル(5-FU)による重篤な有害反応出現例
   症例2 ワルファリンとシスプラチンの薬物相互作用出現例
   症例3 メトトレキサートとシプロフロキサシンの薬物相互作用出現例
   症例4 イリノテカンによる重篤な有害反応出現例
   症例5 スニチニブによる甲状腺機能低下症例
   症例6 ゲフィチニブとワルファリンの薬物相互作用出現例
 15 気管支喘息
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 テオフィリンとレボフロキサシンの薬物相互作用出現例
   症例2 albuterolによるたこつぼ型心筋症例
 16 高尿酸血症
  1 治療方針
  2 有害反応出現例
   症例1 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の併用によるコルヒチンの有害反応出現例
   症例2 フェブキソスタットによる好中球減少症例
 17 うつ病(双極性障害)
  1 治療方針(日本うつ病学会治療ガイドライン2012)
  2 有害反応出現例
   症例1 クロルプロマジンによる膀胱拡張が原因の肺塞栓症例
   症例2 パロキセチンによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)出現例
   症例3 無痛性甲状腺炎に伴うリチウム中毒症出現例
   症例4 リチウムとオランザピン併用に伴う脳症出現例
 18 てんかん
  1 治療方針(日本てんかん学会:成人てんかんにおける薬物療法ガイドライン2006)
  2 有害反応出現例
   症例1 フェノバルビタールと活性炭(クレメジン)の薬物相互作用出現例
索引
有害反応索引

はじめに

 わが国では、医薬品名として約17,000種類の薬が疾患を治療するために用いられています。主治医は、患者の訴え、身体所見および検査データにもとづいて疾患を正しく診断するとともに、病態を十分把握したうえで、これらの薬を適切に使い分ける必要があります。しかし臨床の場では、しばしば薬の有害反応が出現し、時には患者が重篤な状態に陥ることがあります。このような事態を防ぐために薬の適正使用の必要性が叫ばれていますが、現状では、必ずしも薬は適正に使用されていません。薬の適正使用が十分行われていない大きな要因として、薬物療法の基礎となる臨床薬理学の知識が不足していることが考えられます。
 そこで本書では、最初に基礎編として薬物動態学、薬物相互作用、薬理遺伝学、高齢者と薬、腎障害と薬などの、薬を使用する際に考慮すべき知識(臨床薬理学総論)を解説しました。次いで実践編として、薬の有害反応が報告されている18疾患84症例を集め、1症例ごとに有害反応を回避するために必要な基礎知識を明示し、さらに有害反応および処方時に注意すべきポイントを解説しました。
 本書が、薬を処方する際に必要な基礎知識を習得する機会となり、さらに薬の適正使用の推進に役立つことを期待しています。

2017年1月
藤村昭夫