書籍

エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92

総編集 : 堀内成子
分担編集 : 飯田真理子/中村幸代/永森久美子/八重ゆかり
ISBN : 978-4-524-26177-2
発行年月 : 2015年6月
判型 : B5
ページ数 : 276

在庫あり

定価3,240円(本体3,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

妊産婦・授乳婦が助産師や看護師によく聞く疑問92個をQ&A形式で、エビデンスを示して説明した実際書。食事・くすり・環境…多岐にわたる妊産婦・授乳婦の疑問を、原則見開き2頁で解説。コクラン等のシステマティックレビューにより最新の確かな情報・研究を収載しているので、本書を見れば質問に自信をもって答えることが出来るようになる。コラムは助産外来で話してみたい興味深い内容を取りあげた。医療者から正しい情報を得たいと思っている女性・家族を安心させ、信頼関係を強固なものにする一冊。

●統計関連用語の解説一覧
●本書を読む前に
●エビデンスの強さ
第1章 くすりに関する質問
 Q1 妊娠中にくすりを飲むと,胎児への影響や危険性はありますか?
 Q2 授乳中にくすりを飲むと,赤ちゃんへの影響や危険性はありますか?
 Q3 妊娠中・授乳中に予防接種は受けられますか?また,妊娠前に受けておいたほうがよい予防接種はありますか?
第2章 妊娠中の食物・嗜好品に関する質問
 Q4 妊娠初期に葉酸のサプリメントを飲むと,胎児の健康状態に影響がありますか?
 Q5 妊娠中にハーブのサプリメントやお茶を飲むと,どのような効果がありますか?
 Q6 妊娠中にビタミンAのサプリメントを飲むと,胎児に奇形を起こすような影響はありますか?
 Q7 妊娠中の魚の食べ方で注意することはありますか?
 Q8 妊娠中に生肉,生ハムを食べると,トキソプラズマ症にかかりますか?
 Q9 妊娠中に鉄分の多い食品を摂ることで,貧血が予防できますか?
 Q10 妊娠中に食物繊維を摂取すると,便秘を予防できますか?
 Q11 妊娠中にカフェインを含む飲み物(コーヒー,紅茶,緑茶など)を摂ると,胎児の成長に影響がありますか?
 Q12 妊娠中にお酒を飲むと,胎児の成長・発達に影響がありますか?
 Q13 妊娠前・妊娠中の喫煙は,胎児の成長・発達に影響がありますか?
 Q14 同じ家に住む家族の喫煙は,胎児の成長・発達に影響がありますか?
第3章 妊娠中のマイナートラブルに関する質問
 Q15 つわりはどのように対応するとよくなりますか?
 Q16 妊娠してからおりものが増えたのですが,どうしてでしょうか?
 Q17 妊娠中に痔が悪化する要因は何ですか?
 Q18 便秘になりました.どうすればよいですか?
 Q19 妊娠してから全身がかゆいのですが,どうしてでしょうか?
 Q20 お腹(子宮)が張ります.張るときはどうしたらよいですか?
 Q21 足がつる(こむら返り)のですが,どうすればよいですか?
 Q22 妊娠末期に腰痛(骨盤痛)になりました.どうすればよいですか?
 Q23 妊娠末期に動悸・息切れが多くなりました.どうしてでしょうか?
 Q24 冷え症だと,早産しやすくなりますか?
 Q25 冷え症だと,破水しやすくなりますか?
 Q26 冷え症だと,お産が長引きますか?
第4章 妊娠中の生活に関する質問
 Q27 妊娠中の腹帯はしたほうがよいでしょうか?
 Q28 妊娠中に性交を行っても問題はないですか?
 Q29 妊娠してから自転車に乗ることで,どのような危険がありますか?
 Q30 妊娠してからの車の運転には,どのような危険がありますか?
 Q31 妊娠中期以降(安定期)に海外旅行に行ってもよいですか?
 Q32 放射線が心配ですが,放射線はどのような影響がありますか?
第5章 妊娠中のセルフケアに関する質問
 Q33 妊娠中にエッセンシャルオイルを芳香浴やマッサージに使うと,胎児に影響はありますか?
 Q34 妊娠中に有酸素運動をすると,どのようなメリットがありますか?
 Q35 下肢の浮腫への対策には何が効果的ですか?
 Q36 妊娠末期に下肢に静脈瘤ができました.下肢の静脈瘤対策には何が効果的ですか?
 Q37 妊娠中に会陰マッサージをすると,会陰裂傷を防げますか?
 Q38 腰が痛いとき,磁気治療器具(ピップエレキバンR)を貼ってもよいですか?
 Q39 妊娠中に体重がほとんど増加しないと,胎児の成長・発達にどのような影響がありますか?
第6章 母体の年齢に関する質問
 Q40 高年齢妊娠・出産には,どのようなリスクがありますか?
 Q41 35歳以上の初めての妊娠では,帝王切開になる確率は高くなりますか?
 Q42 35歳以上の妊娠では,早産しやすいですか?
 Q43 35歳以上の妊娠では,ダウン症の確率は高くなりますか?
第7章 検査・治療に関する質問
 Q44 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(新型出生前診断)では,どのくらいの確率で胎児の病気や障害がわかるのでしょうか?
 Q45 羊水検査をすると,流産する可能性は高くなりますか?
 Q46 遺伝カウンセリングを受けると,どのような効果がありますか?
 Q47 妊娠初期にX線検査を受けてしまいました.胎児に影響はありますか?
 Q48 妊娠中につぼ療法・鍼灸治療を受けることで,胎児に影響はありますか?
 Q49 妊娠中に鍼灸治療を受けることで,逆子は治りますか?
第8章 出産に関する質問
 Q50 助産師から受ける継続ケアには,どのようなメリットがありますか?
 Q51 妊娠中に体重が増えすぎると,分娩時にどのような影響やリスクがありますか?
 Q52 帝王切開を受けるにあたり,自己血は採血しておいたほうがよいですか?
 Q53 フリースタイル出産には,どのようなメリットがありますか?
 Q54 自然に陣痛が来るようにするために,自分でできることはありますか?
 Q55 破水しましたが,陣痛が始まりません.分娩誘発をしなければなりませんか?
 Q56 分娩第1期にお風呂に入ると,どのようなメリットがありますか?
 Q57 分娩第2期に水中出産すると,赤ちゃんにどのような影響がありますか?
 Q58 出生直後のskin-to-skin contactには,どのようなメリットがありますか?
第9章 生まれた赤ちゃんに関する質問
 Q59 げっぷがうまく出なくて,母乳(ミルク)を吐いてしまいます.どうしたらよいでしょうか?
 Q60 アトピー性皮膚炎が心配です.予防する方法はありますか?
 Q61 赤ちゃんの肌がかさかさしています.どのようなケアをしたらよいですか?
 Q62 赤ちゃんの顔があぶらっぽく,ニキビができてきました.どうしてあげたらよいですか?
 Q63 赤ちゃんが黄色っぽくなりました.大丈夫ですか?治りますか?
 Q64 赤ちゃんが便秘になってしまいました.どのように対処したらよいでしょうか?
 Q65 同じ家に住む家族の喫煙は,乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクに影響がありますか?
 Q66 赤ちゃんが寝てくれなくて睡眠不足ですが,いつ頃から夜眠ってくれるようになるでしょうか?
 Q67 1歳未満で赤ちゃんに卵や牛乳,小麦を食べさせると,アレルギーになりやすいですか?
第10章 授乳に関する質問
 Q68 母乳をあげることは,赤ちゃんにとってどのような利点がありますか?
 Q69 母乳をあげることは,母親にとってどのような利点がありますか?
 Q70 授乳前に乳頭の消毒は必要ですか?
 Q71 母乳分泌を良くするために,どのようなことが必要ですか?
 Q72 母乳が足りているかどうか不安です.足りているかは,どのように判断したらよいですか?
 Q73 母乳分泌を良くするために,乳房マッサージは効果的ですか?
 Q74 母乳分泌を良くするために,ハーブティーは効果的ですか?
 Q75 赤ちゃんが1時間おきに泣いてしまいます.母乳が足りていないのでしょうか?
 Q76 ストレスと母乳の分泌は関係ありますか?
 Q77 授乳中に乳頭に傷ができてしまいました.どうすればよいですか?また,乳頭トラブルを予防する方法はありますか?
 Q78 乳房の一部が赤く腫れて痛みがあります.悪寒と39℃の発熱で倦怠感もあります.どのように対処すればよいですか?
 Q79 風邪をひきました.母乳から赤ちゃんに風邪はうつりますか?
 Q80 ケーキやてんぷらを食べると,乳腺炎になりやすいですか?
 Q81 授乳中に卵や小麦粉,乳製品を食べると,赤ちゃんはアレルギーになりやすいですか?
 Q82 授乳中に喫煙をすると,赤ちゃんの成長・発達に影響がありますか?
 Q83 授乳中にお酒を飲むと,母乳に影響しますか?
 Q84 断乳・卒乳後にマッサージなどのケアは必要ですか?
第11章 産後の身体に関する質問
 Q85 会陰切開(裂傷)の痛みは,どのくらい続きますか?
 Q86 会陰切開(裂傷)の痛みを緩和するために,鎮痛薬以外の効果的な方法はありますか?
 Q87 尿漏れがありますが,骨盤底筋運動は効果的ですか?
 Q88 産後の体型や体重を戻すために,どのような運動が効果的な方法ですか?
 Q89 生理が来なくても,妊娠しますか?
 Q90 もう子どもを産むつもりはないのですが,良い避妊方法はありますか?
第12章 漢方に関する質問
 Q91 妊娠中に漢方薬を飲むと,胎児への影響や危険性はありますか?
 Q92 授乳中に漢方薬を飲むと,赤ちゃんへの影響や危険性はありますか?
資料
 1 妊娠中・授乳中の薬のリスク(症状別薬剤一覧)
 2 妊娠前・妊娠中・授乳中の予防接種可否・推奨一覧
 3 妊娠中・授乳中の薬剤服用リスクに関する情報が得られる主なウェブサイト等
 4 妊娠中の生薬および漢方製剤のリスク
 5 授乳中の生薬および漢方製剤のリスク
索引

はじめに

 妊娠・出産・育児の経験は、女性にとって身体的にも心理的にも劇的な変化をもたらす貴重な経験です。誰もが、できるだけ健康的に暮らしたいと願います。妊婦は、日常生活で生じるさまざまな身体の変化に戸惑い、妊婦健診においていろいろな疑問を助産師や看護師に投げかけます。妊娠中は、食事のこと、薬のこと、日常生活での疑問、検査に対する疑問など、また出産後は、赤ちゃんとの暮らしという未知の世界に入るため、小さな赤ちゃんの変化に戸惑い、これは健康のサインなのか、病気のサインなのか判断に迷うこともあります。良い親になろうとするあまり、育児方法によっては子どもの成長や発達に影響があるのではないかと些細なことも不安に思います。現代は、インターネットが普及し、どこでも誰でもが簡単にたくさんの情報に触れることが可能になっています。しかし、自分で膨大な情報の中から選択していくという意思決定は、意外に難しい道のりなのです。
 周産期医療に携わる助産師、看護師そして学生は、妊婦健診において妊婦や家族に身体の症状や日常生活上の悩みがあるかどうかを探ります。24時間対応の電話相談などでは、子どもの便秘、泣き止まないことの理由、母乳が足りているかなど、あらゆる場面に関する相談が突然始まります。相談内容の中には、些細な健康問題でも重大な病気が潜んでいることもあるため、ひとつひとつの電話対応は慎重にならざるを得ません。助産師や看護師は、相手が何を欲しているのかを探り、症状を聞き出し、診療へつなぐ必要があるか、そのまま様子をみることで大丈夫なのか、また不安な気持ちを聴くこと自体に意味があるかなど、重要性や緊急性の程度をアセスメントする必要があります。容易に回答できる場合もありますが、いくつかの選択肢を提示して妊産婦に選んでもらうことも多くあります。また、より専門的知識が必要と判断して、医師の診察を勧めることもあります。
 助産師や看護師は、専門職として常に最新の知識を確かめながら対応することが望まれますが、自身が持っている情報の確からしさが不明な場合もあります。自分の持っている知識は最新の情報なのか、もしかしてすでに更新されたものではないだろうかといった疑問を感じることもあります。また学生は、実習の場面で予め用意してきた資料では不十分で、答えに窮してしまう場面もあります。曖昧にしか回答できず、実習後に最新の情報を得たいと思うこともあるでしょう。
 そのような多忙な臨床現場において、手を止めて本を開いて妊婦と話し合う時間は限られています。そんな場面で、助産師、看護師、そして学生の皆さんに参考資料として手に取ってもらえればと願い、この本を製作しました。

2015年4月
堀内成子