書籍

甲状腺超音波診断ガイドブック改訂第3版

編集 : 日本乳腺甲状腺超音波医学会 甲状腺用語診断基準委員会
ISBN : 978-4-524-26163-5
発行年月 : 2016年6月
判型 : A4
ページ数 : 214

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

甲状腺超音波検査の標準化のための、JABTS甲状腺用語診断基準委員会編集による手引き書。改訂第3版では、結節性病変に対する診断の進め方、超音波エラストグラフィなどの記載を充実させるとともに、新たに小児の甲状腺超音波解剖、福島県における小児超音波検診の項を設けた。甲状腺疾患の診療、頸部超音波検査に携わるすべての医療者にとって必携の書。

I 機器の条件,操作法
 A 使用装置
  1 診断装置
  2 探触子(プローブ)
  3 使用周波数帯域の選択
  4 精度管理・メンテナンス
 B 検査手順
  1 検査前の注意点
  2 体位:仰臥位と座位
  3 探触子(プローブ)の操作
 C 観察項目
  1 甲状腺
  2 副甲状腺
 D ドプラ法
  1 超音波ドプラ法の意義
  2 カラードプラ法の検査手順
  3 ドプラスペクトル解析法の検査手順
  4 血流情報の有用性
II 甲状腺・副甲状腺(上皮小体)の解剖と超音波画像
 A 甲状腺・副甲状腺(上皮小体)の解剖
  1 甲状腺の解剖
  2 副甲状腺(上皮小体)の解剖
 B 甲状腺・副甲状腺の超音波画像
  1 表示方法
  2 正常甲状腺の超音波画像
  3 副甲状腺の超音波画像
  4 超音波画像のアーチファクト
 C 小児甲状腺
  1 甲状腺サイズ,体積
  2 先天的異常
  3 隣接臓器との鑑別
III 甲状腺・副甲状腺疾患の病理
 A 甲状腺疾患
  1 バセドウ病
  2 慢性甲状腺炎(橋本病)
  3 亜急性甲状腺炎
  4 腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫
  5 濾胞腺腫
  6 濾胞癌
  7 乳頭癌
  8 髄様癌
  9 低分化癌
  10 未分化癌
  11 悪性リンパ腫
  12 転移性腫瘍
 B 副甲状腺疾患
  1 副甲状腺腺腫
  2 副甲状腺過形成
  3 副甲状腺癌
 C 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診(FNAC)
  1 適応
  2 穿刺部位
  3 禁忌と合併症
  4 準備
  5 穿刺手技
  6 検体処理方法
IV 甲状腺超音波における用語
 1 形状(shape)
 2 境界部(境界,辺縁,周辺)
 3 内部エコー(internal echoes)
 4 エコーパターン(echo pattern)
 5 後方エコー(posterior echo)
V 診断の進め方
 A 総論
  1 甲状腺超音波診断の進め方
  2 超音波検査の適応
  3 質的診断
 B びまん性病変
  1 超音波検査による診断
  2 その他の検査
 C 結節性病変
  1 結節が-胞性病変の場合
  2 結節が充実性病変の場合
  3 頸部リンパ節腫大,甲状腺外腫瘤がある場合
  4 良悪性の鑑別診断
VI 疾患別診断
 A 甲状腺中毒症をきたす疾患
  A-1 バセドウ病
  A-2 慢性甲状腺炎(橋本病)
  A-3 破壊性甲状腺炎
   A-3-1 亜急性甲状腺炎
   A-3-2 無痛性甲状腺炎
   A-3-3 慢性甲状腺炎(橋本病)の急性増悪
   A-3-4 急性化膿性甲状腺炎
   A-3-5 甲状腺癌による破壊性甲状腺炎
  A-4 腺腫様結節・腺腫様甲状腺腫
  A-5 機能性甲状腺結節
  A-6 嚢胞性疾患
 B 甲状腺の悪性疾患
  B-1 乳頭癌
  B-2 濾胞癌(濾胞腺腫)
  B-3 髄様癌
  B-4 低分化癌
  B-5 未分化癌
  B-6 悪性リンパ腫
  B-7 転移性腫瘍
  B-8 その他の悪性腫瘍
   B-8-1 平滑筋肉腫
   B-8-2 胸腺様分化を示す癌(ITET/CASTLE)
   B-8-3 Cowden症候群,
 C 副甲状腺の疾患
  C-1 副甲状腺腺腫・過形成・嚢胞
   C-1-1 原発性副甲状腺機能亢進症
   C-1-2 続発性副甲状腺機能亢進症
   C-1-3 副甲状腺嚢胞
  C-2 副甲状腺癌
  C-3 家族性副甲状腺機能亢進症
 D その他の疾患
  D-1 リンパ節
  D-2 耳下腺・顎下腺
  D-3 その他
   D-3-1 食道憩室
   D-3-2 正中頸嚢胞
   D-3-3 非反回下喉頭神経
   D-3-4 神経鞘腫
VII インターベンション
 1 超音波ガイド下太針生検(CNB)
 2 経皮的エタノール注入療法(PEIT)
 3 皮下血腫・乳びの評価
VIII 超音波エラストグラフィ
 1 組織弾性評価の登場
 2 超音波エラストグラフィの分類
 3 用手圧迫法のStatic elastography(RTEを例として)
 4 音響放射圧による画像(AFRI imaging)
 5 剪断波伝搬速度画像(Shear wave speed imaging)
 6 課題と展望
IX 検診
 1 結節性甲状腺疾患に対する甲状腺検診の有効性と問題点
 2 びまん性甲状腺疾患のスクリーニング
 3 甲状腺超音波検診の評価方法と精査基準
 4 甲状腺外病変のスクリーニング
 5 甲状腺超音波検診の実施方法
X 福島県における小児甲状腺検診
 1 小児甲状腺癌のスクリーニングの必要性
 2 福島県県民健康管理調査「甲状腺検査」の実施方法
 3 福島県県民健康管理調査「甲状腺検査」の結果概要
 4 甲状腺結節性疾患有所見率等調査
索引

改訂第3版の序

 このたび、日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)として、『甲状腺超音波診断ガイドブック第3版』を出版する運びとなりました。2008年に初版が出版され、2012年に第2版が、そして今回が2回めの改訂となりました。このガイドブックが作成されるまで、甲状腺・副甲状腺などを対象としたまとまったテキストがなく、通読にて知識を整理することはもちろん、私自身を含めて多くの臨床家が毎日の診療において有効利用してきたことと思います。今回の改訂では、機器の条件、操作法、解剖と超音波画像といったきわめて基本的なところにもきめ細かな改訂が行われております。超音波検査が日常臨床においてこの領域の画像診断の最も重要かつ頻用されるモダリティであることは間違いなく、本書は、技術の進歩とともに基本的な部分にも役立つものと考えます。さらに、甲状腺癌に関しては取扱い規約第7版の改訂点も盛り込まれたものとなっています。
 東日本大震災による福島原発事故から5年が経過しました。小児甲状腺の超音波検査においてもこのガイドブックの果たしてきた役割は大きいものがありました。今回第II章のなかに小児甲状腺、第X章に福島県における小児甲状腺検診という独立した章も作成されており、これまでのたゆまぬ努力の結果を改めて認識するとともに、今回の改訂が医療者へのさらなる情報提供と、そしてそれが被災された方々へのよりよい支援に繋がることを確信しております。
 改訂出版にはJABTS甲状腺用語診断基準委員会の委員の方の議論がありました。また、多くの関係者の方々の支援に厚くお礼を申し上げます。そして、この第3版が甲状腺などの診療に携わる医療者の臨床に今まで以上に寄り添うものになることを願っております。

2016年4月
日本乳腺甲状腺超音波医学会
理事長 角田博子

 2008年12月に『甲状腺超音波診断ガイドブック』初版が刊行され、2009年4月から改訂作業を開始し、2011年の東日本大震災を挟み、2012年5月に改訂第2版が完成しました。改訂第2版は、まさに改訂作業中に発生した福島県での原発事故後の甲状腺検診に対する参考書として、また、福島県での検診の二次検査における超音波診断、穿刺吸引細胞診検査など、重要な判断基準として本書の役割は計り知れないものがありました。多くの執筆者のご協力により、現在までに1万部近いベストセラーとなりました。好評発売中であった第2版刊行後の翌年2013年秋には、改訂第3版に向けた準備が始まりました。この過程で用語と血流評価を担当されていた宮本幸夫委員が逝去されたこともあり、新たな委員の入れ替えと、テーマの選択が始まりました。この場を借りて本書の編集に多大な貢献をされた故宮本委員のご冥福をお祈りさせていただきます。
 機器の条件、操作法では、超音波工学の基礎に立ち返って見直しを行い、また、解剖と超音波画像では、新たに分かりやすくそして超音波像との対比を、さらには正常の超音波像に加え、典型的なアーチファクト像を提示し、甲状腺超音波検査初学者の実際の診断に有益なものとしました。病理および各論では、『甲状腺癌取扱い規約第7版』の改訂に伴い、追加改訂を行いました。超音波用語に関しても、実際の画像を追加することでよりわかりやすいものとしました。
 「診断の進め方」は、昨今の頸動脈エコーやPET、CT、MRIなどの画像診断で偶発的に発見される甲状腺病変が増加していることを踏まえ、過剰診断にならないような配慮のもとに作成され、第2版の刊行後には日本甲状腺学会のガイドラインにも採用されています。しかし、この第2版も、実際に検診や臨床の現場で運用してみますと、充実部分を伴う.胞性病変の場合の細胞診の基準が、充実性病変に比して、やや小さいものも細胞診を行うような傾向になる可能性が想定されました。そこで第3版ではこの点についてさらに慎重な配慮を行い、より詳細な条件をつけることで過剰診断を避ける努力をしております。また、その他の腫瘍を充実させ、インターベンションでは新たに、頸部外科手術後のベッドサイドでの超音波検査の実際としての、皮下血腫、乳びの評価を追加いたしました。組織弾性評価に関しては機器の進歩とともに、用語としてエラストグラフィと確定したためそのメカニズムとともに詳述しております。検診に関しては、震災後の福島県での超音波検査を踏まえより詳細に解説するとともに、福島県における小児甲状腺検診についても項目を追加し詳述いたしました。
 本検査は、検査者間の技術や診断基準が異なることで結果に大きな影響を及ぼすことが知られております。患者様のためにはできる限り、適切な手技と統一された基準を用いた結果の開示が必須と考えます。このように、本ガイドブックも現在の日本の甲状腺超音波の状況に即しながら更なる改訂をいたしましたので、ご活用いただければ幸いです。

2016年4月
貴田岡正史
鈴木眞一