書籍

緩和ケアゴールデンハンドブック改訂第2版

編著 : 堀夏樹
ISBN : 978-4-524-26138-3
発行年月 : 2015年6月
判型 : 新書
ページ数 : 262

在庫あり

定価3,456円(本体3,200円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

“苦痛を訴える患者さんを前に、具体的に何を考え、どうすべきか”をコンパクトにまとめた好評書、最新情報とともにさらにバージョンアップした待望の改訂版。診断、治療、管理方法、具体的処方例、ガイドラインのエッセンスなど現場のノウハウが凝縮されており、症状の病態生理を理解しながら目の前の患者に対応できる。ドクターだけでなく緩和ケアに携わる全てのスタッフにおすすめ。

I がん疼痛
 1.がん疼痛の基本概念
 2.がん疼痛への姿勢と評価
 3.WHO第1段階〜非オピオイドによる鎮痛
 4.WHO第2段階〜オピオイド導入
 5.WHO第3段階〜オピオイド増量
 6.WHOラダーでは対処困難なとき
 7.オピオイド注射による導入
 8.オピオイドの薬物動態
 9.各オピオイドの特徴
 10.オピオイドスイッチング
 11.オピオイドの副作用概論
 12.オピオイドの副作用〜嘔気・嘔吐
 13.オピオイドの副作用〜便秘
 14.オピオイドの副作用〜眠気
 15.オピオイドの副作用〜排尿困難,掻痒・発汗,ミオクローヌス,意識障害
 16.神経障害性疼痛概論
 17.鎮痛補助薬
 18.骨転移痛
 19.脊椎圧迫骨折
 20.骨転移による病的骨折の外科治療
 21.神経ブロック-1
 22.神経ブロック-2
 23.放射線治療〜総論
 24.骨転移への放射線治療
 25.疼痛の看護
II ADLの低下
 1.ADLを低下させる病態〜悪液質,高カルシウム血症,低ナトリウム血症,SIADHなど
 2.緩和的リハビリテーション〜廃用予防,自立度の向上
III 血液に関する病態
 1.貧血
 2.出血性素因
IV 消化管に関する病態
 1.口腔ケア
 2.嚥下障害
 3.吃逆(しゃっくり)
 4.便秘・下痢〜消化管機能低下,反射性下痢
 5.嘔気・嘔吐
 6.消化管閉塞
 7.腹水
 8.消化器疾患のインターベンション〜消化管ステント
 9.胆道系疾患のインターベンション〜胆道系ステント
V 呼吸器に関する病態
 1.呼吸困難総論〜呼吸不全,呼吸困難
 2.呼吸不全の治療〜酸素療法の基本
 3.咳嗽・喀血
 4.胸水
 5.呼吸器感染症
 6.上大静脈症候群
 7.気道分泌過多〜喘鳴
VI 皮膚に関する病態
 1.褥瘡
 2.皮膚病変〜皮膚悪臭,皮膚出血,皮膚滲出液
 3.皮膚掻痒
 4.浮腫とリンパ浮腫〜鑑別診断と対処
VII 輸液と栄養
 1.輸液
 2.栄養〜悪液質と飢餓の鑑別
VIII 泌尿器に関する病態
 1.排尿障害〜刺激症状,閉塞症状
 2.閉塞性腎症〜上部尿路閉塞,下部尿路閉塞
 3.血尿〜上部尿路出血,下部尿路出血
IX 婦人科疾患に関する病態
 1.不正出血・帯下・瘻孔
X 神経疾患による苦痛
 1.脳転移,がん性髄膜炎
 2.脊椎圧迫〜転移性脊椎腫瘍による髄外圧迫
 3.凝固系異常〜担がん患者の凝固異常−Trousseau症候群
XI 精神疾患
 1.意識障害〜混乱,せん妄
 2.うつ・適応障害〜気持ちのつらさ
 3.睡眠障害
 4.薬物による神経・精神症状〜見逃されやすい病態
 5.不安と心理療法〜カウンセリング
 6.医療従事者のケア
XII 自律に関する問題
 1.スピリチュアルな苦痛
 2.予後予測
 3.病状説明〜インフォームドコンセント
 4.鎮静〜鎮静のガイドライン
XIII 在宅移行のために
 1.在宅への移行・社会資源の活用
 2.医療処置が必要な場合
 3.在宅緩和ケアの実際
XIV ターミナルケア
 1.看取り〜終末期への対処
 2.エンゼルケア
 3.死亡診断書
XV 薬剤の知識
 1.抗精神病薬
 2.抗うつ薬
 3.抗不安薬・睡眠薬
 4.抗けいれん薬
 5.緩下薬・止瀉薬
 6.制吐薬
 7.消化管薬
 8.コルチコステロイド
 9.循環器系薬
 10.抗菌薬
 11.薬が飲めないとき〜簡易懸濁法
 12.医療用麻薬の管理〜麻薬及び向精神薬取締法
■コラム
(1)オンコロジックエマージェンシー
(2)コミュニケーション
索引

改訂第2版序文

 初版発行以来6年が経過し、その間にがん診療における緩和医療の比重がますます高まってきました。
 2015年4月には、緩和医療の充実をうたったがん診療連携拠点病院の新要件が示され、厚生労働省による新たな認定作業が行われました。日本緩和医療学会に登録された緩和ケアチームも500近くとなり、緩和医療のすそ野が広がってきました。さらに、緩和ケア病棟では、すべてのスタッフが穏やかな終末期のための努力を払うと同時に、QOL維持・改善のための、より進んだ緩和ケアを展開し、それを一般医療者に伝えるという新たな目標もうまれてきました。
 こうした動きに対して、緩和ケアの専門家を自負するからには、われわれはより新しいスキルや知識を敷衍しなければならない義務があると再認識しています。
 幸いにして本書初版(2009年発行)は、多くの読者諸賢のお力によって増刷を重ねることができ、さらにここにおいて改訂版上梓という大きな節目を迎えられ、感謝に堪えません。
 それにしても、とかく改訂版というのは「新しい酒を古い革袋に」といったイメージがつきまといますが、緩和医療のめざすところ(あえてここでは言及しないので、本書の中からくみとっていただきたい)は劇場や観客がかわっても普遍的なものとして存在し続けているので、すべてが入れ替わるわけではない、という点をご理解いただければ幸いです。
 改訂第2版においては、初版同様に「病態生理、基本概念」から「診断、評価」を導き、それに対する「治療、対処」という流れを踏襲しました。さらに、新たに付け加えられたエビデンス、ガイドラインのレビューを行い、新薬について言及し、在宅部門の充実をはかりました。とはいっても日進月歩の学問の世界においては、いくら頑張ってみても、これらの内容は活字になった瞬間からカビが生え始めるという事実は常にかみしめなければなりません。たとえそうであっても、それを恐れずに発言を続ける作業こそ、さらなる進歩を生み出すものと考えています。そして、読者諸賢のご批判・ご高見がこの成長の何にも代えがたい糧である点も明記したいと思います。

2015年初夏
堀夏樹

 近年の緩和医療の進歩には目を見張るものがある。がん診療の領域においては、2007年のがん対策基本法の施行により策定された第1次がん対策推進基本計画に「治療早期からの緩和ケア」の重要性が盛り込まれた。5年後の2012年に改訂された第2次がん対策推進基本計画では「がんと診断されたときからの緩和ケア」と、さらに緩和ケアの守備範囲が拡大された。そして、2014年には、がん診療連携拠点病院の要件が一新され、緩和ケア、チーム医療、地域連携に関わる要件が強化されている。
 本書の初版は2009年である。第1次がん対策推進基本計画が進行する最中に出版された本書は、多くの多職種の読者の支持を得て、2015年に改訂第2版の出版の運びとなった。奇しくも2015年4月には全国のがん診療連携拠点病院が新要件の下で認定の更新作業を行った。この過程は、今まで以上に実のある緩和ケア・チーム医療の必要性を全国の多職種の医療者が深く認識する絶好の機会でもあった。このタイミングで本書の改訂第2版が出版されたことは、誠に時宜を得たものであり、全国の緩和ケアに携わる医療者の福音となると確信している。
 編集の堀夏樹氏は、NTT東日本関東病院の緩和ケア科を長らく率いてこられた。私事で恐縮だが、私が茨城の病院で緩和ケア病棟開設に関わったときに、最初に見学に来たのがNTT東日本関東病院であった。当時から、多職種での病棟運営、病態に基づいたアセスメントとそれに対する最適のマネージメントを実践されていたことに感銘を受けた。
 本書はNTT東日本関東病院における緩和ケア実践の軌跡をコンパクトにまとめあげ、多職種のチームが、それぞれの専門性を最大限に生かして現場に還元するノウハウが満載されている。全部で15の章とコラムで形成されているが、第15章には薬剤に関する記載をまとめてある。それぞれの章はさらに細分化した項目に分けられている。それぞれの項目には、基本的に、【病態生理】、【診断】、【治療】の3ステップの構成を取っており、われわれが日常の臨床で経験する内容が網羅されている。それぞれの項目には最新の知見もふんだんに盛り込まれており、ハンドブックとはいいながらも、専門書に負けない情報を得ることができる。また、多職種を対象としているため、一般の医学書や看護学の書物と違って、この1冊を読み込むとチーム医療の全体像が浮かび上がってくる。本のサイズも日常臨床で持ち歩くことができる大きさとなっている。
 今でも、日本には医療チームは数多くあるが、真のチーム医療はまだまだ発展途上という意見もある。本書を活用した多職種の人材が、緩和ケアのさまざまな場面で、良質の緩和ケア・チーム医療を提供されることを心から願っている。

臨床雑誌内科117巻3号(2016年3月号)より転載
評者●東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学分野教授 三宅智