書籍

あなたのプレゼン 誰も聞いてませんよ!

シンプルに伝える魔法のテクニック

: 渡部欣忍
ISBN : 978-4-524-26127-7
発行年月 : 2014年4月
判型 : A5
ページ数 : 226

在庫あり

定価3,240円(本体3,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

すばらしい研究内容、なのに眠くなってしまう…。どうすれば聴衆を飽きさせない、よいプレゼンテーションができるのか。多数の賞を受賞してきた著者が、『シンプルプレゼン』をベースに、これまで実践してきた研究発表のプレゼン・テクニックをビジュアルに解説。スライド例を豊富に掲載し、文字の色や大きさ、図表の見せ方についても詳しく説明。研究デザインのコツや、臨床データのまとめ方も掲載。よりよい学会発表を行うための知識を凝縮した一冊。

プロローグ
第1章 スライドの文字と文
 1 高橋メソッドに習う:ビックリするほど大きな文字で
  A 高橋メソッドとは
  B 文量が多いことによる混乱
  C 長老はいつも前方にいる
  D ビジーなスライド
  E 文字の大きさ
  F 80対20の法則で、文はのべ行数3行以内
 2 魅力的なフォントを使う
  A 発表はプロポーショナル・フォントで
  B 視認性と可読性
  C 基本はゴシック体とサンセリフ体
  D 読みやすい行間の設定
  E 文字の装飾
 3 箇条書きを撲滅せよ
  A 書籍や論文の中では有用な箇条書き
  B ありがたくないスライドの中の箇条書き
  C 箇条書きの「結論」はダメ
  D エビングハウスの忘却曲線
  E ハンドアウトなら「箇条書き」も「まとめ」もOK
  F 絶対ダメな入れ子の箇条書き
第2章 スライドのデザイン
 1 スライドの背景
  A はじまりはブルーから
  B コンピュータによるスライド作成のはじまり
  C 代表的なコンピュータ・プレゼンへ
  D 色付いたバックグラウンドが全盛
  E 教科書とノートの背景は?
  F スティーブ・ジョブズとApple 社に学ぶ
  G 「白」と「黒」の世界
  H 地味すぎる?
 2 文字の視認性再び
  A 見やすい文字の設定
  B 色相、明度、彩度
  C 視認性を高める色の組み合わせ
  D 4つの「色」を決める
 3 スライドのタイトル(見出し)
  A スライドのタイトル(見出し)の役割
  B スライドにタイトルは必要か?
  C タイトルを入れないことの効用
  4 イラストと写真
  A ホワイトスペースを意識する
  B イラストや写真の大きさ
  C 写真のアライメント:縮尺と配置
  D 写真の注釈
  E 視覚に訴える印象的な写真
  5 アニメーション効果とトランジッション効果
  A アニメーション効果の多用は下品
  B トランジッション効果を上品に使う
 6 グラフのデザイン
  A グラフの基本
  B グラフ作成
  C 棒グラフと折れ線グラフ
  D 円グラフと帯グラフ
  E Y エラーバーの付け方
  F グラフの中の文字情報
  G 立体グラフは絶対に使わない
  H 多色のグラフはできるだけ避ける
  I とことんこだわるならIllustratorでグラフを編集する
 7 表のデザイン
  A 発表における表
  B 表には縦線は付けず、横線は3本
  C 行・列の項目を減らす
  D 入れ子の箇条書きは表にする
 8 イラストの描き方
  A ドロー系ソフトを使う
  B イラストの簡単な描き方
  C Power PointやKeynoteだけでイラストは描けないか?
第3章 スライドを“わかりやすく”修正してみよう
 ♯1〜♯
第4章 論理的に考える
 1 ある学会場での光景
 2 論証モデル:トゥールミン・モデル
 3 トゥールミン・モデルで論文を分析する
 4 学会・研究会での発表と討論
 5 感情と論理の狭間で
第5章 研究計画:ここさえ押さえれば合格ライン
 1 研究目的
  A 何を明らかにしたいのか?
  B 仮説探索的研究と仮説検証的研究
  C 臨床的疑問点の設定
 2 研究デザイン
  A 研究デザインの分類
  B 症例報告(ケースレポート)と症例集積(ケースシリーズ)
  C 横断研究
  D コホート研究
  E ケース・コントロール研究
  F もう1つのコホート研究
  G 比較的敷居が低い「後ろ向きコホート研究」
  H 介入研究:ランダム化比較試験
  I 介入研究なのか、観察研究なのか
  J システマティック・レビューとメタアナリシス
  K メタアナリシスの読み方
 3 研究デザインとエビデンスレベルの階層
 4 最小限の統計学
  A 難しい話は抜きにして
  B 推定と検定
  C データの分類
  D パラメトリック検定とノンパラメトリック検定
  E 独立変数が名義尺度(または順序尺度)で、従属変数が間隔尺度の場合
  F 独立変数が名義尺度で、従属変数も名義尺度の場合
  G オッズ比と相対リスク
  H 独立変数が間隔尺度で、従属変数も間隔尺度の場合
  I 独立、従属という方向性がなく共変関係を問題にする
  J Kaplan.Meier 法とlog.rank テスト(累積の比較)
第6章 いざ発表
 1 どんな人を対象に話すのか?
 2 大きな声で明瞭に話す
 3 制限時間を守る
 4 発表原稿の棒読みはやめよう
 5 研究背景
  A 研究の重要性を主張する
  B 研究背景は手短に
 6 研究目的
 7 対象と方法
  A 研究デザインを意識させる
  B 対象を定義する
  C アウトカム:何を観察・測定・計測したか
  D 統計手法は手短に
 8 結 果
 9 考 察
  A 考察とは結果の解釈である
  B 再びトゥールミン・モデル
 10 結論は簡潔で明確に!
 11 学会抄録の書き方
  A 演題のタイトル
  B 構造化抄録
エピローグ
 参考文献
 索引

本書は、主に学会や研究会でのプレゼンテーション(プレゼン)をいかに魅力的に行うかを、具体的なスライド作成のテクニックを中心に解説した実用書です。プレゼン・テクニックのベースになっているのは、ガー・レイノルズ氏が提唱されている『シンプルプレゼン』です。ただし、研究成果の発表では、聴衆に飽きさせずに印象的なプレゼンをするだけでなく、論理的に破綻しない発表内容にすることがより重要になります。本書では、この点に関しても、はじめて学会発表する人はもとより、指導的立場の人にも参考になるように研究計画から発表の実際までを解説いたしました。
 では、ここから本書のセールスポイントを書くことにします。本書を読むことでどんな成果が期待できるか!
第1〜3章を読むことで、
(1)スライドが見やすくなって、みんなから褒められます。
(2)スライド中の文字数は少ないのに、発表の内容をよく理解してもらえるようになります。
(3)発表後にたくさん質問してもらえるようになります。
(4)同僚からスライドを作ってくれ、あるいは直してくれと頼まれることが増えます(これはデメリットかもしれません)。
第4章を読むことで、
(1)論理的にモノを考えるとはどういうことなのかが何となくわかるようになります。
(2)失礼な質問に対して倍返しで対抗できるようになります。
(3)実は論文も上手に書けるようになります。
第5〜6章を読むことで、
(1)研究デザインに詳しくなります。
(2)臨床論文が読めるようになります。
(3)よい実験計画が立てられるようになります。
(4)発表データを統計解析するときに、専門書のどの部分を読めばよいかがわかるようになります。
(5)本番で堂々と発表できるようになります。
(6)よい抄録が書けるようになります。
 執筆当初は、見やすくわかりやすいスライド作成の方法だけを解説するつもりでしたが、書きはじめるとどんどん文章の量が増えてしまいました。その分、内容は充実しました。きっと、みなさんのお役に立てる内容に仕上がったのではないかと思っております。

2014年2月
渡部欣忍

筆者がまだ駆け出しのころ、筆者自身の学会発表を先輩の医師がビデオに撮ってみせてくれたことがある。それをみて愕然とした…。何とつまらない発表であろう。一生懸命発表しているのに何をいっているのかわからない。ビデオにはよそ見をしている聴衆まで映っていた。多くの発表者は自らの姿を鏡に映したことがないので、この事実に気づかない。
 そんなある日、とある英国人医師のプレゼンテーションをみる機会があった。そのプレゼンテーションでは、選りすぐりのキーワードがパワーポイントのアニメーションを使ってポンポン出てきた。スライドにはちょっとした絵が添えられて聴衆の想像力を助長し、会場を覆い尽くす視線と身振り手振りを交えた淀みない口調は、聴衆すべての注意を引きつけるに十分であった。実に目立つ、かっこいい!いったい何が違うのか…。生まれた国がいけないのか、親を恨むべきなのか。いやいやそんなはずはない。
 学生時代は同じ教材を与えられて必死に勉強し、机の上にある答案用紙にベストの回答をする者が勝者となった。しかし社会に出ると、プレゼンテーションは周りから高い評価を受けるための重要なツールである。プレゼンテーションで自己表現ができなければ、同じ仕事をしていても周囲からの評価は低くなる。力を尽くした研究を報告するとき、研究資金を獲得するとき、重要プロジェクトを立ち上げるとき、生涯のポジションを獲得するときなど、いろいろな局面で最高のプレゼンテーションができれば、人生がガラリとかわるかもしれない。本書にはそのためのあらゆる技が網羅されている。さあ、本書を座右におき、皆さんも運命のプレゼンテーションに臨もうではないか!

臨床雑誌外科76巻10号(2014年10月号)より転載
評者●東京医科歯科大学肝胆膵総合外科教授 田邉稔

書きたくない。本書の書評を書いてほしいと出版社である南江堂から依頼を受けました。しかし、小生の本音としては書評を書きたくなかったのです。それはなぜか? 本書から学んだ「魔法のテクニック」を自分だけの秘密にして他人に伝えたくなかったからです。「プレゼンが上手ですね」、「説得力のあるスライドですね」……このような賛辞を自分だけで独占したいのです。それだけのインパクトのある一冊です。
 本書の第1章と第2章では、スライドに使う文字やデザインについての極意が紹介されています。第3章では、「スライドを“わかりやすく”修正してみよう」というタイトルのもとに渡部先生が自らの魔法のテクニックを披露しています。実際の発表スライドに魔法をかけるのです。修正前のスライドが小生の眼にはかなり素晴らしいスライドにみえるのですが、魔法をかけられた修正後には、驚くほどシンプルでインパクトのあるスライドに変化するのです。まさに魔法です。いいかげんな内容のプレゼンを、魔法によってごまかそうという趣旨ではありません。発表の内容を研ぎ澄ますための論理的な背景について第4章から第5章で解説しています。第6章では「いざ発表」というタイトルで、実戦的な注意事項が紹介されています。
 このように、「自分だけの秘密にしておきたい」、「書評を書きたくない」とまで思わせる書籍なのです。しかし、著者である渡部先生が皆さんに魔法を伝授しようと執筆された珠玉の一冊です。勇気を出して書評を書くことにしました。それが、この一文です。本書で学んだ魔法の真似事をして書いてみました。発表を間近に控えた方や、発表法について指導すべき立場の方にぜひお薦めしたい一冊です。

臨床雑誌内科114巻4号(2014年10月号)より転載
評者●天理よろづ相談所病院循環器内科部長 中川義久