書籍

ER・ICUスタッフ必携マニュアル

編集 : 今泉均/升田好樹/巽博臣
ISBN : 978-4-524-26077-5
発行年月 : 2015年2月
判型 : B6変
ページ数 : 270

在庫あり

定価4,104円(本体3,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

救急・集中治療に携わるスタッフの共通理解を深め、多種多様な背景を有し刻々と変化する患者の状態に対応するための実践的なポケットリファレンス。患者の病態や診療の流れを理解し、連携して円滑に診療を行うことで、患者の予後に影響を与える急性期の診療・管理のポイントを、コンパクトな解説と多数の図表により短時間で押さえられるスタッフマニュアル。

I 基礎編:全身管理を行うにあたっての基礎知識
 A.気道管理
  1.酸素投与法と吸入酸素濃度とは?−バッグバルブマスクへの誤解
  2.気道確保の方法
  3.気管挿管の適応と用意すべきものは?
  4.気道緊急!一刻を争う処置の要点(ASAアルゴリズム)
  5.外科的気道確保:輪状甲状靱帯切開
  6.経皮的拡張式気管切開(percutaneous dilated tracheostomy:PDT)
 B.呼吸管理
  1.呼吸生理指標をマスターしよう
  2.呼吸不全に関連する臨床的指標(成人)
  3.これだけ!人工呼吸モードとその特徴
  4.人工呼吸管理の初期設定とウィーニングの方法
  5.人工呼吸中の鎮静・鎮痛をどうするか
  6.不穏スケール
  7.気管支の解剖と急性呼吸不全における気管支鏡の役割
 C.循環管理
  1.BLSとALS(ACLS)
  2.循環動態のモニタリング
  3.不整脈を観る
  4.CVカテーテル挿入法
  5.γ計算の実際
  6.降圧薬の種類と低酸素性肺血管攣縮(HPV)
 D.ショック管理
  1.ショックの分類と初期対応
  2.CAI、CAIPとは?
  3.エコーで循環動態を把握しよう
  4.肺動脈カテーテルを有効に使おう
  5.敗血症性ショックに対するSSCG 2012とresuscitation bundle
  6.敗血症性ショックの循環管理戦略
  7.補助循環(IABPとPCPS)の適応と施行方法
 E.神経
  1.意識障害を評価しよう
  2.「けいれん」で慌てないために
  3.聴性脳幹反応(ABR)のみかた
  4.脳波のみかた
  5.今さら聞けない脊椎・脊髄と脊髄神経
  6.対光反射障害と障害部位
 F.体液/輸血・凝固線溶
  1.体液(水)はどこに分布するのか?
  2.血漿浸透圧と膠質浸透圧
  3.酸塩基平衡異常とその代償作用とは?
  4.電解質緊急!高K血症治療と知っておきたいpH、HCO3−、Kとの関係
  5.知っておくべき凝固線溶系の反応
  6.DICの診断と治療
  7.血液製剤の使用法
  8.血液製剤の使用とその効果
 G.血液浄化療法
  1.病因物質がこの分子量ならばこの血液浄化療法だ!
  2.こんな病態の患者にはこの血液浄化療法だ!
  3.もっと病因物質の除去効率を上げるならば
  4.チェック項目
 H.栄養管理
  1.栄養を処方する前に知っておくべき基本事項
  2.経腸栄養のコツとポイント:こんなときはこれがおすすめ!
  3.静脈栄養のコツとポイント
  4.栄養に関するトラブルシューティング
 I.感染症
  1.血液培養の方法と重要性
  2.PK/PD理論からみた抗菌薬投与法と臨床効果
  3.市中肺炎(医療介護関連肺炎)・院内肺炎を疑ったら:起因菌と治療は?
  4.誤嚥性肺炎を疑ったら:起因菌は?
  5.敗血症を疑ったら:感染巣と起因菌は?
  6.MRSA対策
  7.耐性菌が出現したら
  8.γグロブリンの使い方
 J.ステロイド:副腎皮質ステロイドの種類と特徴・投与法
II 応用編:異常・病態を理解するために
 A.呼吸器
  1.その人に適切な人工呼吸モードは?
  2.治療につながるARDSの病態
  3.こんなARDSの画像−ステロイド投与か腹臥位呼吸療法か
  4.VAPを防ぐために
  5.NPPVの適応と問題点
  6.喘息発作で慌てない重症度別治療
  7.気胸の虚脱度(Kircher)と胸腔ドレナージの手技
  8.人工呼吸器の取り扱いとトラブルシューティング
  9.ECMO(ELCA)とは?
 B.循環器
  1.経過観察してよいか?心電図のチェックポイント
  2.抗不整脈薬の分類と用量
  3.急性心筋梗塞の診断
  4.急性心筋梗塞の初期対応・治療−専門医へ送る前までにすべきこと
  5.急性心不全の診断
  6.急性心不全の治療
  7.急性大動脈解離の分類
  8.IABP/PCPSでありがちなトラブルと対処
 C.消化器
  1.肝機能の評価法と解釈は?
  2.肝性脳症の昏睡度分類とは?
  3.劇症肝不全を救命するために
  4.こんな所見ならどちら?上部・下部消化管出血
  5.重症急性膵炎を救命するために
  6.腸管虚血を見逃すな
  7.abdominal compartment syndromeの管理をどうする?
 D.神経
  1.脳卒中の診断と急性期管理法
  2.脳出血の急性期治療
  3.脳梗塞の急性期治療
  4.脳圧上昇の管理法(ICPとCPP)
  5.脳死判定
 E.腎
  1.急性腎障害(AKI)の原因と分類
  2.尿細管性アシドーシスの分類とその対処
 F.外傷
  1.外傷患者の見方
  2.緊急気道確保
  3.ショックへの対応
  4.脊椎損傷の所見とは?
  5.外傷時の抗菌薬、テタノブリンの使い方
 G.重症熱傷
  1.熱傷の重症度と輸液療法
  2.局所治療と全身管理法
  3.感染対策と抗菌薬の使い方
 H.腫瘍
  1.oncology emergencyとは?
  2.tumor lysis syndromeとは?
 I.MET(medical emergency team)院内の急変患者を救命するために
III 資料編
 A.画像読影のエッセンス
  1.胸部
  2.腹部
  3.骨盤
 B.エコー読影のエッセンス
  1.心臓・胸部
  2.腹部
 C.外傷分類
  1.肝損傷分類
  2.脾損傷分類
  3.腎損傷分類
  4.骨盤損傷分類
  5.顔面骨骨折分類
 D.ICUで用いられるスコアリング
  1.APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)IIスコア
  2.SOFA(sequential organ failure assessment)スコア
 E.ICUにおける薬剤
  1.ICUで用いられる漢方薬の種類と効果
  2.起因菌トップ3を覚えよう
索引

巻頭言

 救急・集中治療領域では、広汎で緊急性を要する重篤な患者に遭遇します。それに対して、迅速かつ適切な診断・治療が必要ですが、その進歩は早く、広範囲な知識・技術が必要です。
 本書『ER・ICUスタッフ必携マニュアル』は、救急・集中治療領域の様々な緊急性を要する重篤な患者の診断・治療にあたって必要なエッセンスを凝縮し、図、チャートを多用し、ビジュアル的に理解しやすいように工夫しています。特にベッドサイドで使用しやすいように、項目毎に要約である“Key Point”を記載してあります。全文を読まなくても現場で必要な項目を選び読むことによりベッドサイドで知りたい情報や知識を得ることができます。
 本書の構成は初心者から上級者まで理解できるように、「基礎編」、「応用編」、「資料編」の3項目からなっています。基礎編では全身管理を行うにあたって必要な基礎知識・技術を気道管理、呼吸管理、循環管理、ショック管理、神経、体液/輸血・凝固線溶、血液浄化法、栄養管理、感染症、ステロイドに関して解説し、応用編では呼吸器、循環器、消化器、神経、腎臓、外傷、熱傷、腫瘍の各臓器の急性期病態、疾患における診断・治療、さらにMETシステムについて簡潔に記載しました。最後に資料として、画像読影、エコー読影のエッセンスと外傷分類、ICUで用いられるスコアリング、漢方薬について記載しました。
 なお、本書は札幌医科大学集中治療医学のスタッフが中心となり、札幌医科大学出身で他施設で活躍している医師、さらに札幌医科大学附属病院ICUで一緒に診療にあたっている他科の医師の協力により、出版することができました。
 本書が、救急・集中治療を担う若手医師の臨床に役立つのみでなく、上級者にはさらなる発展に役立てていただけたら幸いです。

2015年1月
編集者を代表して 今泉均

 本書は、札幌医科大学で救急・集中治療を行ってきた今泉均先生を中心とするチームが中心となり、救急・集中治療領域に必要とされる実際的な知識と技術についてまとめたコンパクトマニュアルである。医師、看護師、臨床工学技士(ME)をはじめとする多くの医療従事者がこの領域に興味をもち、学び、また実際に診療業務に従事するわけであるが、その幅広い読者にとって有益な情報を簡潔に伝えることに著者らは腐心していることがわかる。
 目次を開くと具体的なQ&Aに近いタイトルが並び、読者は求める疑問に対する回答を素早く入手することができるよう工夫されている。基礎編を拝見すると、“これだけ! 人工呼吸モードとその特徴”あるいは“γ計算の実際”など、研修医を相手にスタッフが教えているのが目に浮かぶようなタイトルが読者の意欲を掻き立てることと思う。応用編では、“治療につながるARDSの病態”あるいは“VAPを防ぐために”などのように、あくまで臨床的な問題解決を目的にする姿勢が貫かれているのがわかる。また、資料編では“ICUで用いられる漢方薬の種類と効果”といった海外の文献だけでは吸収できない、実際的で有益な知識が記されているのも本書の特徴といえるであろう。
 もっとも筆者のように、心臓血管外科医として救急・集中治療領域に数十年かかわってきた者にとっては、全体を通読することによって自分に欠けている知識を吸収することができ、自分の中の時代遅れな部分あるいは自分の流儀に修正が必要なことに気付かされる。「スタッフ必携マニュアル」というタイトルに違わず、コンパクトなサイズは押さえなければいけない知識のリニューアルを短時間で行うためにきわめて有効で、本書はビギナーのみならずシニアスタッフにも有益な書の一つといえる。
 本書を用いてエビデンスベース情報にも配慮しながら、現代の救急・集中治療における公約数を共有することは、施設やスタッフ間における知識のばらつきを減らし、より質の高い医療をめざすために有益と考える。本書は、救急・集中治療領域にかかわるすべての方におすすめの一冊である。

胸部外科68巻9号(2015年8月号)より転載
評者●横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター外科教授 井元清隆