書籍

実践にもとづく骨折・脱臼の保存療法

共著 : 竹内義享/堺研二/西川順三/上村英記
ISBN : 978-4-524-26068-3
発行年月 : 2012年6月
判型 : A4
ページ数 : 302

在庫あり

定価7,344円(本体6,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

運動器外傷の保存療法をまとめた実際書。視診・触診での留意事項、X線などの画像のみかた、保存療法の適否の判断基準、整復法、固定法、後療法の構成で、豊富なフルカラーの症例写真とともに各疾患の保存療法の実際を整形外科医からの視点もふまえわかりやすく丁寧に解説。臨床の柔道整復師だけでなく、柔道整復師をめざす学生にもぜひ読んでもらいたい一冊。

総論
I 骨折の基礎知識
 A.骨の構造
 B.骨の損傷修復
 C.骨修復の分類
II X線画像に関する基礎知識
 A.X線画像の用い方
 B.MRI画像
 C.CT画像
III 整復の基礎知識
 A.徒手整復
 B.機器を用いた牽引整復法
IV 固定法
 A.クラーメルシーネ
 B.アルミ副子の用途
 C.クラーメルシーネの使用例
V 運動療法の基礎知識
 A.骨折における運動療法の原理
 B.MMTの結果と運動療法の種類
 C.上肢の運動療法
 D.下肢の運動療法
VI その他の基礎知識
 A.固定時の衛生管理
 B.浮腫への対応
 C.本書で使用される用語

各論
1 指DIP関節・母指IP関節背側脱臼
2 マレット指(槌指)
3 末節骨骨折
4 PIP関節脱臼骨折
5 基節骨骨折(母指以外)
6 母指の基節骨骨折
7 母指MP関節脱臼
8 中手骨骨折
9 中央索断裂
 10 舟状骨骨折
 11 橈骨遠位端骨折
 12 前腕骨遠位端骨折(小児の場合)
 13 前腕両骨骨幹部骨折
 14 尺骨骨折
 15 上腕骨顆上骨折
 16 肘関節周辺骨折
 17 肘関節後方脱臼
 18 肘内障
 19 上腕骨骨幹部骨折
 20 上腕骨近位端骨折
 21 肩関節脱臼
 22 肩甲骨骨折
 23 肩鎖関節脱臼
 24 鎖骨骨折
 25 鎖骨外側端骨折
 26 顎関節脱臼(前方脱臼)
 27 腰椎肋骨突起骨折
 28 骨盤の裂離骨折
 29 肋骨骨折
 30 膝蓋骨骨折
 31 下腿骨骨幹部骨折
 32 腓骨単独骨折
 33 下腿骨果部骨折・脱臼骨折
 34 踵骨骨折
 35 中足骨骨折
 36 指骨(PIP、DIP)関節脱臼骨折、基節骨骨折

索引

近年、四肢・体幹の骨折に関わる書籍をみますと観血療法を扱ったものが大多数であり、保存療法を正面から取り上げているものは極めて少ないように感じられます。既に、保存療法は過去のもの、臨床には役に立たないものとなりつつあるのでしょうか。非科学的な治療法として葬り去られようとしているのでしょうか。
 臨床現場で保存療法の人気が低い理由を自分なりに考えてみますと、(1)皮膚の上から骨折部の転位を立体的に想像しながら整復することは極めて難しい。(2)想像下で整復操作をおこなう行為自体が非科学的で野蛮的印象を与える。(3)ようやく整復ができてもその後の固定が難しい(転位をきたしやすい)。(4)最も重要な位置を占める固定後の経過観察・管理に十分な時間がとれない。(5)固定後に様々な制限(荷重制限など)が求められる。(6)診療報酬上のメリットが極めて少ない(保険点数が極端に低くなる)などがあげられると思います。ただ、症例にもよりますが治癒にいたる過程を観血療法と保存療法で比較した多くの報告からは、観血療法が絶対的優位にあるということも言えないようです。逆に、熟練した治療者がおこなう保存療法は患者に多くのメリットを与えることも周知の事実であります。
 ちなみに、保存療法のメリットとしては、(1)皮膚を切開しないために血腫が温存され、また骨膜が損傷されにくいため骨癒合に有利となる。(2)感染のリスクがない。(3)適度の固定力と固定材料の特性、さらには適正な固定肢位は骨折部にメカニカルストレスをもたらして骨癒合に有利となる、などがあげられます。
 保存療法のメリットを生かすも殺すも治療者側の骨折に対する取り組み方が大きく左右すると思われます。特に保存療法をおこなう場合は骨・筋・関節の機能解剖学を十分に理解した上で、骨折の転位であれば骨折線の方向、転位に対する筋・靱帯への影響、さらには整復時の肢位とその肢位における筋張力の影響など、総合的に判断できる知識と技術を備えていなければなりません。また、外固定をおこなう場合でもそれなりの理論を持ちながら実施すべきであり、単に、外固定をおこなうことが保存療法ではありません。
 保存療法は想像以上に困難さを伴いますが、反面、メリットも大きいものがあります。保存療法のメリットを検証することなく、臨床から忘れ去られることは極めて残念なことであり、本書が保存療法をみなおす契機となることを心より期待しております。
 なお、本書は堺整形外科医院(福岡県)が開院以来、骨折治療に保存療法を優先させてきた結果得られた膨大な症例の中から、保存療法の適応と考えられる症例を集約して解説を加えたものであります。著者の一人である西川順三氏の長年の臨床症例を集大成させたものであり、保存療法をビジュアルに説いた極めて希有な書として世に送り出されることを嬉しく思っております。
平成24年5月
明治国際医療大学
竹内義享