書籍

超・EPS・入門

編集 : 村川裕二/山下武志
ISBN : 978-4-524-25957-1
発行年月 : 2016年6月
判型 : B5
ページ数 : 160

在庫あり

定価3,672円(本体3,400円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

心臓電気生理学的検査(EPS)に関する知識を、初学者・非専門医・臨床工学技士(ME)に向けて徹底的にやさしくわかりやすく解説した“入門書”。「検査の前にしておくべきことは何ですか?」「カテーテルで記録される電位はいったい何を見ているのですか?」など、知っておくべきエッセンスのみを凝縮。また、各疾患の検査と治療の実際も簡潔に盛込まれており、医師だけでなく、EPSにおいてこれから活躍の場が広がるMEにも役立つ一冊。

I章 EPSの歴史をかいついまんで
II章 検査に備えて
 1 EPSの前にしておくべきことは何ですか?
III章 EPS/アブレーションを行う前に:ハード
 1 EPS/アブレーションを行うためのハードについて教えてください
 2 EPS/アブレーション時の電極カテーテルの配置について教えてください
 3 EPS/アブレーション時の記録装置・刺激装置について教えてください
 4 カテ室を使いやすくする工夫について教えてください
IV章 EPS/アブレーションを行う前に:ソフト
 1 EPS/アブレーション中の鎮静と全身管理について教えてください
 2 シース挿入の方法について教えてください
 3 基本的なカテーテルの動かし方、電極カテーテルのポジショニングについて教えてください
 4 Lasso カテーテルの操作法について教えてください
 5 合併症とその対策について教えてください
V章 プログラム刺激とは何か
 1 カテーテルで記録される電位はいったい何を見ているのですか?
 2 心臓の興奮伝導について教えてください
 3 期外刺激法で何を見ているのですか?
 4 頻回刺激法で何を見ているのですか?
 5 頻拍のメカニズムに関する特殊用語について教えてください
 6 頻拍アブレーションでよく用いられる特殊用語について教えてください
VI章 検査と治療の実際
 [A]洞不全症候群
  1 洞不全症候群について教えてください
  2 具体的なEPSの方法について教えてください
   ケースで学ぶEPSの実践:洞不全症候群(1)
   ケースで学ぶEPSの実践:洞不全症候群(2)
 [B]房室ブロック
  1 房室ブロックについて教えてください
   ケースで学ぶEPSの実践:房室ブロック
 [C]副伝導路の関与する発作性上室頻拍および特殊な副伝導路
  1 副伝導路の関与する上室頻拍について教えてください
 ケースで学ぶEPSの実践:副伝導路を介する上室頻拍(1)
 ケースで学ぶEPSの実践:副伝導路を介する上室頻拍(2)
  2 特殊な副伝導路について教えてください
 [D]房室結節リエントリー性頻拍
  1 房室結節リエントリー性頻拍について教えてください
  2 房室結節リエントリー性頻拍の典型例を教えてください
  3 まれなタイプの房室結節リエントリー性頻拍について教えてください
 [E]洞結節リエントリー性頻拍
  1 洞結節リエントリー性頻拍について教えてください
   Memo:不適切洞頻脈に対するアブレーション
   ケースで学ぶEPSの実践:洞結節リエントリー性頻拍
 [F]心房粗動
  1 心房粗動について教えてください
 [G]心房頻拍
  1 心房頻拍について教えてください
  2 特殊な心房頻拍について教えてください
 [H]心房細動
  1 心房細動について教えてください
  2 具体的なカテーテルアブレーションの方法について教えてください
  3 心房細動アブレーションの合併症について教えてください
 [I]陳旧性心筋梗塞後の心室不整脈
  1 陳旧性心筋梗塞後の心室不整脈について教えてください
  2 OMI-VTの起源を探す具体的な方法(マッピング)について教えてください
 [J]非虚血性心疾患に合併する心室頻拍
  1 非虚血性心疾患に合併する心室頻拍について教えてください
 [K]特発性心室頻拍:流出路起源
  1 流出路起源の特発性心室頻拍について教えてください
   ケースで学ぶEPSの実践:流出路起源特発性心室頻拍(1)
   ケースで学ぶEPSの実践:流出路起源特発性心室頻拍(2)
 [L]特発性心室頻拍:ベラパミル感受性
  1 ベラパミル感受性心室頻拍について教えてください
 [M]心室細動とブルガダ症候群
  1 ブルガダ症候群について教えてください
   ケースで学ぶEPSの実践:ブルガダ症候群
 [N]QT延長症候群
  1 QT延長症候群について教えてください
VII章 三次元マッピング法
 1 CARTOシステムについて教えてください
 2 EnSiteシステムについて教えてください
VIII章 EPSで用いる薬剤
 1 イソプロテレノール:いつ、どう使いますか?
 2 アトロピン:いつ、どう使いますか?
 3 ATP(アデノシン三リン酸):いつ、どう使いますか?
※本書内の図表は,出典明記のないものは,いずれも『EPS概論』(南江堂,2011年1月刊行)からの転載図である.

序文

臨床工学技士(ME)、看護師、若手の医師。
EPSの基本を学ぶために作りました。

観光案内所の「街並みマップ」。
バス停、グルメ、買い物のポイントを瞬時に理解できます。
「小さい町」なら、わかりやすいマップを作れます。

東京やパリではムリ。
詳しすぎるとわからない。
シンプル過ぎると情報が消えてしまいます。

EPSは「大きな街」。
この本は「一瞬で見渡せる地図」ではありません。
それでも、「ページをめくれば、だんだん見えてくる」感じ。

どう工夫したかというと…
 テーマを細かく分けました。
 細か過ぎることは捨てました。
 <これから何を学ぶのか>わかるように書いてあります。

「それが何か」、「なぜ電気刺激をするのか」、「どう解釈するか」がわからないと、EPSは退屈でつまらない検査。
景色が見えてくると「ワクワクする面白さ」。
せっかく、おつきあいするのなら、見えたほうが楽しいです。
皆さんにEPSを好きになっていただければ嬉しいです。

2016年4月
編者

追記:
この本は既刊の『EPS概論』(南江堂、2011年1月刊行)の内容に沿って、
初学者でも読み通せるように改編したものです。

 このたび『超・EPS・入門』が上梓された。編集を担当された村川裕二先生と山下武志先生は、わが国を代表する不整脈学・心電学の大家でありオピニオンリーダーである。本書は既刊の『EPS概論』(2010年刊行)の内容に沿って初学者でも平易に読み通せるように、両先生によって改編された臨床心臓電気生理学(cardiac electrophysiological study:EPS)の入門書である。入門書である以上通読できなければ意味がない。受験勉強の参考書一つをとっても、通読しなければ達成感も湧かないし自信もつかないのは誰しもが経験したところである。疑問が湧いたときに辞書のようにチェックできる専門書も重要であるが、最近の医学生は辞書機能を成書ではなく電子教材に任せている。ベッドサイドにもタブレット端末が欠かせない時代なのである。そのような時代であるからこそ、まずは通読できるテキストが入門者や非専門家にとっては重要なのである。
 私も既刊の『EPS概論』と、今回の『超・EPS・入門』を比較してみた。既刊本をコンパクトに改編した場合、どうしてもコンテンツを取捨選択するプロセスが入るので、ときとして重要な部分が削ぎ落とされたり、単純化されたり噛み砕かれて読者の誤解につながる危険性がある。しかし本書では既刊本のエッセンスがそのまま継承されており、読者と一問一答の対話形式で進行するスタイルであることに気づかされる。「EPSでみているものは一体何なのか」、「EPSにおけるさまざまな検査法はどのような目的で行われるのか」といった初学者が抱く素朴な疑問に答える姿勢や、EPSの敷居を低くする配慮や工夫が随所にみられる。
 目次を俯瞰すると「教えてください」と表記された項立てで全体が統一され、これに対する解説が加えられている。あたかも著者らが傍らで解説してくれているような錯覚にとらわれる。解説の後には「ケースで学ぶEPSの実践」というジャンルの症例提示が続いている。症例提示では病歴から非侵襲的な心電学検査、EPS所見の提示とその説明が続き、治療方針やガイドラインを含めたコメントで締めくくられている。疑問を解決した後、応用問題で自身の理解や達成度を確かめるというコンセプトが本書の一貫したスタイルであり、脳に優しく感じられる。価格を既刊本から大幅に下げている出版社の計らいもお財布に優しい。しかし、賢明な読者の方々は、本書を通読すればEPSをさらに深く知りたいと思うに違いない。そのようなときは既刊本の『EPS概論』を読むこともお勧めするが、疑問を感じたときは思い切って両先生に質問してみてもよいかと思われる。医学生や研修医を大切にされ、不整脈学の普及と発展に情熱を注がれる両先生はむしろそれを待っているようにも感じられるからである。
 まさに村川ワールド・山下ワールド全開の本書は、EPラボに勤務するナースやME、デバイスメーカーのCDRの方々、不整脈全般に興味のある研修医やこれから不整脈専門医を目指す若手医師に広く自信をもってお勧めしたい一冊である。

臨床雑誌内科119巻1号(2017年1月号)より転載
評者●九州大学基幹教育院健康支援センター教授 丸山徹