書籍

リウマチ・膠原病診療ゴールデンハンドブック

  • 新刊

編集 : 竹内勤
ISBN : 978-4-524-25952-6
発行年月 : 2017年1月
判型 : 新書
ページ数 : 352

在庫あり

定価4,320円(本体4,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

多彩な症状を呈するリウマチ・膠原病の診療について、臨床症状の見極めかたから、各種検査の要点、治療法・治療薬に関して知っておきたい知識、各疾患へのアプローチ、エマージェンシーまで、そのエッセンスを凝縮したポケットブック。巻末には診療時の参考となる各疾患の分類基準、重症度分類を付録として収載し、実用性の高い構成とした。リウマチ・膠原病診療に携わる研修医・若手医師必読の一冊。

略語一覧
I 基本的アプローチ
 A.関節所見の取り方
 B.リウマチ性疾患の皮膚所見
 C.鑑別のためのアプローチ
  1.関節痛・関節腫脹
  2.不明熱
  3.筋痛
  4.筋力低下
  5.乾燥症状
  6.皮膚硬化・手指腫脹
  7.検査異常(RF陽性,ANA陽性)
II リウマチ・膠原病領域の主要検査
 A.血液検査
 B.関節液検査
 C.画像診断
  1.単純X線
  2.MRI
  3.関節エコー
III 主要な治療法・治療薬
 A.免疫抑制療法
  1.免疫抑制療法実施にあたっての注意点
  2.非ステロイド性抗炎症薬
  3.ステロイド
  4.免疫調節薬
  5.免疫抑制薬
  6.生物学的製剤・分子標的治療薬
  7.免疫グロブリン大量静注療法
  8.血漿交換療法
 B.非薬物療法
  1.リハビリテーション
  2.生活指導・在宅ケア
IV 各疾患へのアプローチ
 A.関節リウマチと類縁疾患
  1.関節リウマチ
  2.悪性関節リウマチ
  3.リウマチ性多発筋痛症
  4.RS3PE症候群
  5.成人発症Still病
 B.脊椎関節炎と類縁疾患
  1.強直性脊椎炎
  2.乾癬性関節炎
  3.SAPHO症候群
  4.反応性関節炎
  5.炎症性腸疾患関連関節炎
  6.ぶどう膜炎に関連した脊椎関節炎
  7.分類不能脊椎関節炎
 C.全身性自己免疫疾患
  1.全身性エリテマトーデス
  2.抗リン脂質抗体症候群
  3.Sjogren症候群
  4.全身性強皮症
  5.多発性筋炎/皮膚筋炎
  6.混合性結合組織病
 D.血管炎
 [大型血管炎]
  1.高安動脈炎(大動脈炎症候群)
  2.巨細胞性動脈炎
 [中型血管炎]
  3.結節性多発動脈炎
 [小型血管炎]
  4.ANCA関連血管炎
  5.免疫複合体性血管炎
 E.変形性関節症
 F.結晶誘発性関節症
  1.痛風
  2.偽痛風
 G.感染性関節炎(細菌性・結核性・真菌性)
 H.その他の全身性疾患
  1.Behcet病
  2.IgG4関連疾患
  3.Castleman病
  4.自己炎症性症候群
  5.再発性多発軟骨炎
  6.好酸球性筋膜炎(びまん性筋膜炎)
  7.サルコイドーシス
  8.アミロイドーシス
  9.小児膠原病
  10.内分泌・代謝疾患,悪性腫瘍,血液疾患に伴う関節炎
  11.線維筋痛症
V リウマチ・膠原病領域におけるエマージェンシー
 A.急性間質性肺疾患
  1.CTD.ILDの急性増悪
  2.ニューモシスチス肺炎
  3.薬剤性肺炎(MTX肺炎など)
 B.肺胞出血
 C.血液障害を伴う免疫病態
  1.secondary ITP
  2.血栓性微小血管障害症
  3.血球貪食症候群
 D.強皮症腎クリーゼ
 E.膠原病性肺高血圧症クリーゼ
付録
(1)各疾患の分類基準
(2)各疾患の重症度分類/活動性評価/damage indexなど
索引

序文

 本書は、関節・筋肉の痛みやこわばりなどのリウマチ症状をきたすリウマチ性疾患、それに加えてリウマチ症状を呈しながら自己免疫学的異常を背景に全身の多臓器に炎症を引き起こす膠原病を包括した疾患群について、日常診療に必要な情報を盛り込んだハンドブックである。「ゴールデン」という名には、この領域の診療に携わる医師にとって最も信頼していただけるハンドブックにしたいという執筆者たちの思いが込められている。
 日本においては65歳以上の高齢化率は2016年に26.7%、2025年には30%を超えると想定され、世界的にも高齢化社会のモデルとして日本に向けられる注目度は高い。その中で、高齢者で問題となる認知機能や運動機能が社会に及ぼす影響について大きな関心が寄せられている。特に運動機能が低下するフレイルの問題は、世界全体の課題として取り組んでいかなければならない。運動機能の低下をきたす主要な疾患としてのリウマチ性疾患は、従って、これからの高齢社会にとって極めて重要な領域であり続けることは言うまでもない。
 リウマチ性疾患は、関節・筋肉の痛みを主訴とすることが多く、それがどのような病態で起こっているかを理解し、診断を絞り込んでいく。頻度の高い、変形性関節症や関節リウマチ、極めて稀な疾患まで広範な知識に基づく鑑別が必要である。その中にあって特に、診断が難しく、病態が多様で、治療反応性の個人差が大きい膠原病診療は、数ある内科的疾患の中で最も難しい疾患領域でもある。
 このように重要かつハードルの高いリウマチ・膠原病についてcommonな疾患からrareな疾患まで幅広く扱い、初学者にもわかりやすくかつ簡潔に解説したハンドブックが本書である。執筆は、慶應義塾大学医学部リウマチ内科の第一線で診療にあたっている若手医師にお願いした。彼らの熱意と頑張りに改めて深謝したい。最後に、このハンドブックが、より良いリウマチ・膠原病診療のために少しでもお役に立てば幸いである。

2016年12月
竹内勤

 関節リウマチ(RA)や変形性関節症(OA)は代表的なリウマチ性疾患である。リウマチ性疾患は、関節炎や関節痛をはじめとする筋骨格系症状を呈することがきわめて多い。整形外科の日常診療では、関節や筋肉の痛み、腫れを主訴とする患者をみることが多く、RAやOAのみならず、種々のリウマチ性疾患の病態を理解し、鑑別診断に臨むことが求められる。一方、ひとくちにリウマチ性疾患といっても多種多様で、研修医として研鑽を重ねる若手はもちろんのこと、経験を積んだベテランの整形外科医ですら、とっさのときに手元に何か本があればと思うことが多いのではなかろうか。忙しく動き回る日常診療では、ハンドブックでコンパクトであれば、なおさらありがたい。こっそり、ポケットに忍ばせることができる。成書を繙く時間のない先生には、まずはポイントだけは確認したいときにうってつけである。
 本書は、リウマチ・膠原病診療という視点から、略語一覧に始まり、前半では診察、診断にいたる基本的アプローチ、検査法、治療法が、コンパクトにまとめられておりわかりやすい。外来やベッドサイドでもっとも知りたい項目のエッセンスが詰まっている。関節エコーはRAの病勢評価に有用で、所見の取り方が上手にまとめられている。また、皮膚所見に関するカラー写真はたいへんわかりやすい。
 中盤では、RAや最近話題の多い脊椎炎(血清反応陰性脊椎関節症)と、それらの類縁疾患の概要、続いて、代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、Sjogren症候群、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、混合性結合組織病、また種々の血管炎、OA、結晶誘発性関節症、感染性関節症、さらにまれな疾患群へのアプローチが簡潔にわかりやすくまとめられている。免疫グロブリンG(immunoglobulin G:IgG)4関連疾患や、自己炎症症候群、Castleman病、再発性多発軟骨炎、悪性腫瘍に伴う関節炎の知識も得ることができる。
 後半では、診断・治療の過程で遭遇する可能性のある筋骨格症状以外の代表的な病態で、緊急対応を要する疾患がまとめられている。結合組織病に関連した間質性肺病変の急性増悪、ニューモシスチス肺炎、薬剤性のメトトレキサート(MTX)肺炎などの急性間質性肺疾患、肺胞出血、血液障害を伴う免疫病態、強皮症腎クリーゼ、膠原病性肺高血圧症はぜひ知っておきたい。そして最後には、各疾患の分類基準、重症度分類、活動性評価法も掲載され、便利なことこのうえない。
 ちょっと時間のあるときに通読して、そして、とっさのときに、「あそこに書いてある!」と思い出して役立てられる内容に感心する。第一線で活躍する診断・治療に精通したベテラン・中堅のリウマチ膠原病内科の先生が担当した本書は、整形外科診療に携わるわれわれどもにとって、ある意味、病態の理解、診断、治療に、新たな異なる視点も提示してくれるようであり、新鮮で日常診療の幅を広げてくれるコンパクトな良書である。

臨床雑誌整形外科68巻4号(2017年4月号)より転載
評者●山形大学整形外科教授 高木理彰

 一昔前まで原因不明の難病といわれたリウマチ性疾患・膠原病も現在では病態の解明が進み、新たな治療の進歩も著しいものがある。今やリウマチ・膠原病の診療は決して専門医にのみ任されるべきものではなく、少なくともプライマリ・ケアの段階では一般内科医や内科以外の専門医の介入が必要となる。しかし現実には、なおリウマチ・膠原病は難解であるというイメージが強く、一般の臨床医からは敬遠される傾向にある。このために、膠原病が疑われるとほとんど精査もなされず、あるいは不適切な治療が施された挙句に専門施設へ紹介されることが依然としてみられる。この原因として、発症病態に複雑な免疫異常が絡むこと、全身のさまざまな臓器を障害するため専門分化が進んだ個々の医学領域ではカバーしきれないこと、ステロイドや免疫抑制薬使用の十分な経験がないこと、などがあげられる。リウマチ・膠原病の雑誌特集や教科書は多いが、患者を目の前にしたときに、多彩な疾患・病態における基本的な考え方と、診断、治療をどのように選択すべきかを実践的にかつわかりやすく解説したマニュアルはこれまで少なかったように思われる。
 『リウマチ・膠原病診療ゴールデンハンドブック』は全352ページから成る、ポケットサイズ(新書判)のハンドブックである。本書の対象はリウマチ専門医というよりは、臨床実習の学生、初期研修医、リウマチ・膠原病を診療する機会のある総合内科・一般内科医、これから専門医を目指すリウマチ・膠原病内科の若手スタッフ向けに書かれている。総論として基本的診療アプローチ、リウマチ・膠原病領域の主要検査、主要な治療法と治療薬、および各論としての主要な膠原病・リウマチ性疾患へのアプローチが解説されている。また、本書の特徴の一つに、「リウマチ・膠原病領域のエマージェンシー」を独立した章立てとしていることがある。一般に膠原病・リウマチ性疾患は慢性疾患であり、じっくり患者の病態を考え抜いて診療にあたることが求められるが、ときに迅速な対処を誤ると生命予後が脅かされるエマージェンシーケースも少なくない。膠原病を診療する医師にとっては必読のパートといえる。いずれも大変わかりやすく書かれており、教科書的記載に留まらない臨床に即した実用的な内容が特徴である。各疾患の分類(診断)基準、重症度分類、活動性評価が巻末にまとめられている点も使いやすい。
 本書は、わが国における本格的リウマチ・膠原病診療の草分けであり、最も長い歴史を有する慶應義塾大学医学部リウマチ内科のスタッフが中心となって執筆・編纂したコンパクトな診療マニュアルである。リウマチ・膠原病の診療に携わる内科系の若手スタッフと、初期および後期研修医にはとくに推薦したい。

臨床雑誌内科120巻3号(2017年9月増大号)より転載
評者●京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学教授 三森経世