書籍

関節外科診療ファーストステップ

これ一冊で基本をマスター!

編集 : 齋藤知行
ISBN : 978-4-524-25912-0
発行年月 : 2016年5月
判型 : B5
ページ数 : 330

在庫あり

定価7,560円(本体7,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

外来受診率の高い関節疾患について、日常診療で求められる知識を包括的かつコンパクトにまとめた。問診・視診・触診、各種計測法や検査手技の概説と、関節別に解剖、診察法、検査法、治療法、代表的な疾患の要点をまとめた構成で、関節外科診療の基本的な考え方と対処法をマスターできる。整形外科臨床の第一歩を踏み出す研修医が最初に手にすべき一冊。

I章 関節疾患総論
 A 問診・視診・触診のポイント
 イントロダクション
  1.関節痛
   1)安静時痛
   2)歩行時痛
   3)圧痛
   4)夜間痛
  2.関節可動域制限
  3.関節腫脹
  4.関節不安定性
   1)肩関節
   2)肩鎖関節
   3)肘関節
   4)手関節
   5)膝関節
   6)足関節
  5.関節変形
   1)肩関節
   2)肘関節
   3)手関節
   4)膝関節
   5)足関節
   6)足趾
  6.歩容異常(跛行)
   1)正常歩行
   2)跛行
 B 各種診察法・テストの実際
 イントロダクション
  1.疼痛の種類・意義と評価法
   1)疼痛の病態
   2)疼痛の種類
   3)痛みの評価法
  2.関節可動域測定
  3.筋力評価
  4.神経学的所見
   1)運動障害
   2)感覚障害
   3)反射
   4)整形外科領域で有用な神経学的誘発テスト
  5.血管・血流評価
   1)四肢循環障害の診断に有用な徴候,検査
   2)四肢に循環障害をきたす主な疾患
  6.機能評価法
   1)日本整形外科学会治療成績判定基準(Japanese Orthopaedic Association Score:JOA スコア)
   2)SF-36(short form containing 36questions)
   3)WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)
   4)Harris hip score
   5)Oxford hip score
   6)日本整形外科学会股関節疾患評価質問表
   7)KSS(Knee Society Score)
   8)変形性膝関節症患者機能評価尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure:JKOM)
   9)Lysholm score
 C 各種検査法
 イントロダクション
  1.画像検査
   1)単純X線検査
   2)透視・動態撮影・関節造影検査
   3)CT
   4)MRI
   5)核医学検査
   6)超音波検査
  2.血液・尿検査
   1)炎症性疾患:骨関節感染症,関節リウマチ(RA),痛風,偽痛風など
   2)腫瘍性疾患:原発性骨腫瘍,転移性骨腫瘍など
   3)代謝性疾患:骨粗鬆症,痛風,Lesch-Nyhan症候群など
  3.関節液検査
   1)色調,混濁度,白血球数
   2)結晶分析,細菌学的検査
  4.電気生理学的検査
   1)神経伝導速度
   2)針筋電図
  5.関節鏡検査
   1)鏡視所見による関節軟骨評価
   2)鏡視所見による靱帯,関節唇,腱板,その他の軟部組織評価
II章 部位別各論
 A 肩関節
  1.肩関節の解剖
   1)骨
   2)関節上腕靱帯,烏口肩峰アーチ,関節包,滑液包
   3)筋肉
   4)血管
   5)神経
  2.肩関節の診察法
   1)問診
   2)視診
   3)触診
   4)徒手検査
  3.肩関節の検査法
   1)単純X線検査
   2)MRI
   3)超音波検査
   4)CT
   5)関節造影検査
  4.肩関節の治療法
   1)保存的治療
   2)手術治療
  5.代表的な疾患の要点
   1)凍結肩
   2)インピンジメント症候群
   3)腱板断裂
   4)上腕二頭筋長頭腱炎
   5)反復性肩関節脱臼,動揺性肩関節
   6)肩関節スポーツ障害
 B 肘関節
  1.肘関節の解剖
   1)骨
   2)筋
   3)靱帯
   4)神経・血管
  2.肘関節の診察法
   1)問診
   2)視診
   3)触診
   4)徒手検査
   5)神経学的所見
  3.肘関節の検査法
   1)単純X線検査
   2)CT
   3)MRI
  4.肘関節の治療法
   1)保存的治療
   2)手術治療
  5.代表的な疾患の要点
   1)変形性肘関節症
   2)肘部管症候群
   3)上腕骨外側上顆炎
   4)肘頭滑液包炎
   5)内反肘・外反肘
   6)遅発性尺骨神経障害
   7)関節リウマチ
   8)肘関節スポーツ障害
 C 手関節,手指関節
  1.手関節,手の解剖
   1)体表解剖
   2)神経系
  2.手関節,手の診察法
   1)問診
   2)診察
  3.手関節,手の検査法
   1)単純X線検査
   2)血液検査
   3)CT・MRI
   4)その他の検査
  4.手関節,手の治療法
   1)保存的治療
   2)手術治療
  5.代表的な疾患の要点
   1)変形性関節症
   2)骨壊死(Kienbock病,Preicer病)
   3)手根管症候群
   4)腱鞘炎
   5)関節リウマチ
   6)化膿性関節炎,化膿性腱鞘炎
   7)複合性局所疼痛症候群(CRPS)
   8)腫瘍,腫瘍類似疾患
 D 股関節
  1.股関節の解剖
   1)骨ランドマーク
   2)血管
   3)神経
   4)筋肉
  2.股関節の診察法
   1)問診
   2)視診,触診
   3)徒手検査
  3.股関節の検査法
   1)単純X線検査
   2)MRI
   3)CT
   4)関節造影検査
   5)超音波検査
   6)骨シンチグラフィー
   7)PET
  4.股関節の治療法
   1)保存的治療
   2)手術治療
  5.代表的な疾患の要点
   1)変形性股関節症
   2)大腿骨頭壊死症
   3)femoroacetabular impingement(FAI.大腿骨寛骨臼インピンジメント)
   4)関節リウマチ
   5)急速破壊型股関節症
   6)大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折
 E 膝関節
  1.膝関節の解剖
   1)骨ランドマーク
   2)骨・靱帯
   3)動静脈・神経
  2.膝関節の診察法
   1)問診
   2)視診・触診・徒手検査
  3.膝関節の検査法
   1)画像検査
   2)関節液検査
   3)関節鏡検査
  4.膝関節の治療法
   1)薬物治療
   2)運動療法
   3)装具療法
  5.代表的な疾患の要点
   1)変形性膝関節症
   2)特発性骨壊死
   3)痛風,偽痛風
   4)関節リウマチ
   5)膝蓋大腿関節障害
   6)膝蓋骨亜脱臼・脱臼
   7)離断性骨軟骨炎
   8)半月板損傷
   9)膝靱帯損傷
   10)膝関節スポーツ障害
 F 足関節,足部
  1.足関節,足部の解剖
   1)骨
   2)血管
   3)神経
   4)筋肉
   5)靱帯
  2.足関節,足部の診察法
   1)問診
   2)視診
   3)触診
  3.足関節,足部の検査法
   1)単純X線検査
   2)CT
   3)MRI
   4)関節鏡検査
   5)関節造影検査
   6)骨シンチグラフィー
  4.足関節,足部の治療法
   1)保存的治療
   2)手術治療
  5.代表的な疾患の要点
   1)変形性足関節症
   2)成人扁平足
   3)外反母趾
   4)関節リウマチ
   5)痛風関節炎
   6)足根管症候群
   7)外脛骨障害
   8)足底腱膜炎
   9)足部骨端症
巻末資料
 1.関節可動域測定
 2.主な徒手筋力検査
索引

序文

 このたび、整形外科学を初めて学ぶ先生方を対象に本書を企画し、刊行いたしました。本企画に際し、整形外科の対象が小児から高齢者と幅広いこと、疾患の病態の把握には局所解剖を十分に理解し、問診と触診、特に整形外科の診察では様々な徒手検査が重要となることに留意しました。近年における画像補助診断法やIT技術を導入した術前計画、また術中支援機器の進歩は著しく、各章で参考となるようにコラム形式で挿入しております。さらに運動器疾患の中の骨粗鬆症、関節リウマチ、運動器の疼痛管理の領域では、薬物療法が飛躍的に進歩しましたのでこれらの点にも言及しています。整形外科の将来的方向性も理解できる内容となると考えております。
 日本は超高齢社会となり、少子・高齢化により様々な疾患構成が変化しつつあります。これらの変化により必然的に治療対象の多くが急性疾患から慢性疾患に移行し、加齢に伴う運動器疾患が増加しています。高齢者の整形外科疾患の問題はいくつかの疾患が併発することが特徴です。産業や社会環境の整備と改善は労働災害や交通事故件数を減少させましたが、骨折を含む外傷は整形外科医が治療する最も大きな分野であることに変わりはありません。近年の健康意識の高まりとともにスポーツ活動を希望する高齢者も多く、学童期を含めたスポーツ障害が増加し、この分野でも整形外科医の果たす役割が高まっています。筋肉、骨、関節と神経組織からなる運動器の統合的協働が歩行や日常生活動作を可能にすることから、人間が人間らしく活動するための基盤をなすのが運動器といえます。最近では生活習慣病、認知症、がんの発生予防に運動療法の介入の重要性が広く認知され、この領域での関心が高まっています。整形外科医は運動器の専門家であり、この意味においても活躍の場がますます拡大していくものと考えます。
 現在、日本専門医機構による専門医制度が構築されつつあります。整形外科は基盤領域のひとつであり、専攻医研修年限、研修施設要件やカリキュラムの内容が決定され、今後脊椎脊髄病医、手外科医、リウマチ医などの副専門領域の設定も予定されています。医学部学生や初期研修医の多くの先生方が整形外科に興味を持ち、国民に信頼される専門医となっていただけることを期待しています。研修の際には是非、本書を活用し参考にしていただければ幸いに存じます。

2016年4月
齋藤知行

 関節疾患は運動器の中で大きなウエイトを占めているにもかかわらず、これまでのテキストの多くは、肩関節、膝関節といった特定の分野のみを扱っており、意外にも関節全般のテキストはこれまでほとんどありませんでした。本書は、関節疾患の診断〜治療法を効率よく学ぶことができるテキストとして、主に整形外科学をはじめて学ぶ若手の先生方を対象に企画されています。
 本書ではまず類書のように診断学から始まりますが、関節疾患の問診・視診・触診のポイント、基本的な身体所見の取り方の実際を、わかりやすいシェーマとともに解説しています。さらに臨床評価に必要な、JOAスコアやWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)といった基本的な関節機能評価法も余すところなく記載しています。外来診療においては局所所見に目を奪われがちですが、全身的な検索が必須であることは論を俟ちません。本書では、運動器疾患の診断に必要不可欠な神経学的評価や血流循環障害の評価など、関節外の診察法も要領よくまとめてあります。このような項目があるのも、本書が全身の関節疾患を取り上げているからであり、運動器疾患全体の知識整理に役立つものと思われます。
 総論の検査法では、画像診断、血液・尿検査、電気生理学的検査などについても、わかりやすく解説しています。画像診断における読影の手順とピットフォールを、実際の関節疾患の画像を提示・解説し、さらに画像のシェーマが読者の理解を助けるような構成となっています。単純X線像、MRI、CTなど従来の一般的な画像診断に加え、整形外科診療で重要性が増してきた超音波検査に関しても十分盛り込まれています。もちろん画像診断では写真が命であり、関節鏡視像も含め、多色刷りの写真がカラーアトラスのように多数掲載されています。「最新トピック」というコラムでは、コンピュータ支援による術前計画、新しい骨イメージングとして期待されている18F-fluoride positron emission tomography(PET)など、新しい画像や診断法が詳しく解説されており、整形外科専門医にも読み応えのある内容です。
 各論では、肩、肘、手・手指、股、膝、足関節・足部と、整形外科で扱うあらゆる関節が取り上げられていますが、本書の大きな特徴として、すべての項で解剖に数ページが割かれていることがあげられます。各関節の解剖を、シェーマを用いて復習・整理することにより、疾患の理解が深まります。また疾患の解説も従来の教科書とは異なり、疾患の病態概略、診察のポイント、画像検査、保存的治療と手術的治療、そして気をつけなければならないピットフォールを、簡潔かつ明瞭に解説しています。さらに、各疾患で重要な文献も必要最小限に記載されており、病態などを深く学びたい読者にも役立つ構成となっています。
 本書は関節疾患診療のエッセンスをイラストや画像を多用して余すところなく解説しており、短時間で知識を整理することができます。整形外科学を学ぶ若手の先生方を対象に企画されておりますが、ある程度経験を積んだ整形外科医にとっても十分な内容となっています。運動器疾患の治療に携わるメディカルスタッフも含め、ぜひとも一読してほしいと願う一冊です。

臨床雑誌整形外科68巻1号(2017年1月号)より転載
評者●弘前大学大学院整形外科教授 石橋恭之