書籍

診断モダリティとしての心筋病理

  • 新刊

編集 : 心筋生検研究会
ISBN : 978-4-524-25908-3
発行年月 : 2017年3月
判型 : B5
ページ数 : 222

在庫あり

定価10,800円(本体10,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

心筋炎・心筋症の病態把握、心臓移植後の評価などで必須となる心筋生検について、基本的知識から具体的な観察法、病態と絡めた解釈、診断・治療戦略上どのように役立つのかまで学べる決定版。各疾患の解説では、心筋生検による病理像のみならず他の診断モダリティ(MDCT、MRIなど)も提示されており、形態と機能の関連性が理解しやすい。循環器専門医はもちろんのこと心臓を診る病理医、放射線科医にもオススメの一冊。

総論
 1.心筋症の概念と変遷
 2.心内膜心筋生検(心筋生検)の歴史
 3.心筋疾患の診断までのアプローチ
 4.心筋生検法の適応症・方法・合併症と対処法
 5.心臓検体の取り扱い方法
 6.病理組織標本の観察法
  a)光学顕微鏡的評価
   1)心筋細胞
   2)間質
   3)アーチファクト
  b)電子顕微鏡的評価
  c)免疫組織化学的評価とin situ hybridization
   1)総論
   2)評価のポイント
  d)総合的解釈,臨床応用など
   1)総合的解釈
   2)臨床応用
 7.遺伝子検索
  a)ウイルスゲノム
  b)不全心筋における遺伝子発現の評価
 8.画像診断における基礎的知識
  a)MRI,MDCT
  b)SPECT/PET
各論
 第I章 炎症を主病態とする疾患
  1.急性心筋炎
   a)総論
   b)リンパ球性心筋炎
   c)好酸球性心筋炎
   d)巨細胞性心筋炎
  2.慢性心筋炎
  3.心臓サルコイドーシス
   a)臨床
   b)病理
   c)診断基準
  4.心臓移植
   a)適応基準(申請手続きも含めて)
   b)移植心の拒絶反応
 第II章 心拡大を主病態とする疾患
  1.拡張型心筋症
   a)臨床
   b)病理
   c)症例
  2.アルコール性心筋症
  3.薬剤性心筋症
  4.周産期心筋症
  5.膠原病合併心筋症(膠原病における心筋病変)
  6.筋ジストロフィ(神経・筋疾患)
  7.左室緻密化障害(心筋緻密化障害)
 第III章 心肥大を主病態とする疾患
  1.肥大型心筋症
   a)臨床
   b)病理
   c)症例
  2.リソソーム(ライソゾーム)病
   a)Fabry病
   b)糖原病
   c)ムコ多糖症
   d)Danon病
  3.ミトコンドリア心筋症
 第IV章 拡張障害を主病態とする疾患
  1.拘束型心筋症
   a)成人の拘束型心筋症
   b)小児の拘束型心筋症
  2.アミロイドーシス
   a)臨床
   b)病理
 第V章 不整脈・伝導障害を主病態とする疾患
  1.不整脈原性心筋症
略語一覧
索引

序文

 心臓における生検は、今から55年前の1962年に考案された今野・榊原式心内膜心筋生検鉗子により現実的となりました。その後の心臓カテーテル検査の発展とともに、生検による心筋の病理組織学的検査は疾患の診断に留まらず病態解明においてもその有用性が重んじられるようになり、今から約40年前の1979年に、今の「心筋生検研究会(Cardiac Biopsy Conference:CABIC)(ホームページhttp://www.cabic.biz)」の前身である「心内膜心筋生検所見を読む会」が、岡田了三先生(順天堂大学循環器内科)、河村慧四郎先生(大阪医科大学第三内科)、関口守衛先生(東京女子医科大学日本心臓血圧研究所内科)により産声を上げました。その後は毎年会を重ねてきております。

 この40年近くの積み重ねにより証明されたことは、小さな心筋生検組織から得られる情報が、光学顕微鏡、電子顕微鏡から得られる形態学的解明ばかりでなく、分子生物学的手法、遺伝子解析などにより、これからも新たな世界をもたらすということです。高度先進医療だった心臓移植が今では世界中で一般の医療にまで広まったのはまさしくこの心筋生検の賜物でしょう。そして、20世紀後半に心筋生検とともに発展したもう一つのものが医用画像機器(モダリティ)です。コンピューターを駆使したCTやMRI、超音波診断装置に代表されるこれらモダリティは、現在、心臓病、とくに心筋疾患の臨床および研究に大きく貢献しています。私たちは、これらのモダリティから得られる情報とその元になる組織学的所見を理解しておかなければなりません。

 本書は、「心筋生検研究会(CABIC)」が、心臓病に携わる循環器医、画像診断医、病理医、そして総合診療医から研修医、基礎研究者、さらには検査技師の方々のために、循環器病学における各種モダリティとその病理組織所見を解釈し、病態を理解するためのテキストブックとして作成しました。

 本書が、先人たちが残した多くの業績を礎に、皆様の座右の書として、心臓病、とくに心筋疾患で病んでおられる患者さんの確定診断、病態解明、そして治療向上の一助になれば誠に幸いと思っております。

 最後になりますが、関口守衛先生が2016年10月にご逝去されました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

2017年2月
編集委員長
心筋生検研究会(CABIC)幹事
布田伸一