書籍

糖尿病性腎症エキスパートブック

state of the art

監修 : 羽田勝計
編集 : 前川聡/古家大祐/牧野雄一
ISBN : 978-4-524-25866-6
発行年月 : 2016年3月
判型 : B5
ページ数 : 228

在庫あり

定価7,020円(本体6,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

透析導入の原疾患第1位でもある糖尿病性腎症、その診療に必要な知識をすべて網羅したテキスト決定版。永年本領域をリードしてきた監修者を筆頭にエキスパートが集い、病因、診断と治療までを臨床視点から解説。糖尿病治療の新薬、腎移植などの新たな治療法も盛り込み、2013年12月の病期分類改訂も反映。本疾患の診療のスタンダードから将来展望までをまとめた一冊。

第1章 糖尿病性腎症診療のロードマップ
 1 糖尿病・CKDと糖尿病性腎症の経過・疫学・予後
 2 糖尿病性腎症の診断フローチャート
 3 糖尿病性腎症の治療フローチャート
第2章 イラストで理解する糖尿病性腎症の基礎知識
 1 糖尿病性腎症の疾患感受性遺伝子
 2 糖尿病性腎症の成因・発症メカニズム
 3 糖尿病性腎症の病態生理
第3章 糖尿病性腎症の診断を究める
 1 診断の基本
 2 検査法の理解とその実践
 3 病理アトラス
第4章 糖尿病性腎症の治療を極める
 1 生活習慣の修正〜今できることのススメ〜食事・運動療法を中心に〜
 2 薬物療法〜血糖・血圧・脂質のトータルコントロールの要点〜
 3 透析療法〜エキスパートのコツ〜
 4 移植療法〜その実際と今後の展開〜
 5 包括的リスク管理〜チーム医療の力〜
 6 心理・社会的問題に対するトータルケア〜トータルアプローチの実践〜
第5章 症例から考える糖尿病性腎症の治療実践
 1 糖尿病性腎症第2期の典型的症例
 2 糖尿病性腎症第3期の典型的症例
 3 糖尿病性腎症第4期の典型的症例
 4 糖尿病性腎症第3期の治療難渋例
 5 糖尿病性腎症第4期の治療難渋例
 6 糖尿病網膜症を併発した症例
 7 糖尿病性神経障害を併発した症例
 8 高齢の症例
 9 周術期症例
 10 妊娠・出産症例
第6章 糖尿病性腎症のトピックスと将来展望
 1 糖尿病性腎症のバイオマーカー
 2 糖尿病性腎症発症の分子メカニズム〜mTOR活性との関連〜
 3 糖尿病性腎症の新規発症メカニズム〜NO産生異常〜
 4 期待される新規糖尿病性腎症治療薬
 5 再生医療
付録 知っておくべき糖尿病性腎症の最近の主要エビデンス(2000年以降)
索引

序にかえて

 2006年、国際糖尿病連合(IDF)の推計では、世界の糖尿病患者数は2億4,600万人であり、20年後には3億8,000万人に達すると発表された。このような状況の下、国連総会において、非感染症では初めて糖尿病の撲滅が決議された。しかし、その後も世界の糖尿病患者数は急速に増加している。昨年2015年には当初の予想をはるかに超えて4億1,500万人を突破し、2040年までには6億4,200万人に達すると推計されている。
 糖尿病患者の増加は、同時に合併症患者の増加につながることが予想される。一方、糖尿病の治療においては、新しい作用機序をもつ治療薬が登場し、その治療法に“パラダイムシフト”が起こりつつある。2009年にDPP-4阻害薬が発売、2014年にはSGLT2阻害薬が相次いで発売された。DPP-4阻害薬は現在、2型糖尿病に対し国内でもっとも頻回に処方されている。また、インスリン治療に関しても、作用時間が異なるアナログ製剤が販売されるとともに、CGM機能を搭載したインスリンポンプも使用可能となり、糖尿病治療の選択肢は大きく広がっている。糖尿病治療の発展に加え、合併症治療も進歩している。硝子体手術などの進歩により、糖尿病網膜症に起因する重度視力障害は減少傾向にあり、米国では大血管障害の罹患率の減少が報告されている。
 では、本書のテーマである糖尿病性腎症の状況はどうであろうか?わが国では、腎症は1998年に慢性透析療法導入原疾患の第1位となり、その後も増加の一途を辿ってきた。最近は割合としては減少傾向にあるが、人数はいまだに微増している。さらに2011年からは、年末透析患者数でも慢性糸球体腎炎を抜き第1位となっている。エビデンスに基づく腎症に対する治療戦略はすでに確立しているが、このような現状を勘案すると、腎症の早期診断・早期治療がきわめて重要であるとともに、成因に基づいた創薬も急務であると考えられる。
 私事ではあるが、本年春に定年退職を迎える。本書は、特に腎症の診療を中心に、旭川医科大学・滋賀医科大学の関連の先生方、および腎症を通じて日頃親しくさせて頂いている先生方にご執筆頂いた。この場を借りて御礼申し上げるとともに、本書が腎症の診療の一助となれば存外の喜びである。

2016年2月
羽田勝計