書籍

小児・新生児診療ゴールデンハンドブック改訂第2版

編集 : 東寛
ISBN : 978-4-524-25839-0
発行年月 : 2016年5月
判型 : 新書
ページ数 : 520

在庫あり

定価4,860円(本体4,500円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日常診療において知っておかなければならない疾患とその対処法など、研修医、小児科医にとって必要な知識をコンパクトにまとめた。小児科診療における救急・蘇生から疾患各論、新生児診療、小児保健までの幅広い内容を網羅。付録として成長曲線、検査基準値、薬用量など、役立つデータも収載。白衣のポケットに入れておきたい内容充実の一冊。

Part1 小児科診療へのアプローチ
Part2 小児科診療の実践 救急・蘇生
 1 蘇生
 2 救急
  A.発熱
  B.呼吸困難
  C.ショック
  D.急性心不全・不整脈
  E.痙攣発作・意識障害
  F.脱水・電解質異常
  G.腹痛・嘔吐・下痢
  H.熱中症
  I.気道異物・誤飲・中毒
  J.外傷・熱傷・溺水
  K.不審死・不審外傷
Part3 小児科診療の実践疾患 各論
 1 感染性疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)細菌感染症
   2)ウイルス感染症
   3)その他の感染症
 2 内分泌代謝疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)成長障害
   2)甲状腺疾患
   3)急性副腎不全
   4)思春期発来異常
   5)カルシウム代謝異常
   6)糖尿病
   7)肥満
 3 神経疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)熱性痙攣
   2)てんかん
   3)脳炎・脳症
   4)発達障害・心身症
   5)その他の疾患(重症心身障害児など)
 4 呼吸器疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)咽頭炎・扁桃炎
   2)喉頭炎
   3)気管支炎・肺炎
   4)その他の炎症性疾患
   5)その他の疾患(気胸など)
 5 循環器疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)先天性心疾患
   2)後天性心疾患
   3)肺高血圧
   4)慢性心不全
   5)川崎病
  D.先天性心疾患をとりまく諸問題
 6 消化器疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)胃食道逆流
   2)胃腸炎
   3)幽門狭窄
   4)炎症性腸疾患
   5)急性虫垂炎
   6)肝炎
   7)膵炎
   8)胆道系疾患
 7 血液疾患・腫瘍性疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)貧血
   2)出血傾向
   3)好中球減少症
   4)白血病
   5)悪性リンパ腫
   6)ランゲルハンス細胞組織球症
   7)固形腫瘍
   8)oncologic emergency
   9)血球貪食症候群
 8 免疫・アレルギー疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)気管支喘息
   2)食物アレルギー
   3)アトピー性皮膚炎
   4)その他のアレルギー性疾患
   5)免疫不全症
   6)リウマチ性疾患
 9 腎尿路疾患
  A.診療の基本姿勢と注意点
  B.検査
  C.疾患
   1)急性腎炎症候群
   2)ネフローゼ症候群
   3)IgA腎症
   4)尿路感染症
   5)慢性腎不全
   6)急性腎傷害
 10 先天代謝異常症
 11 染色体異常・奇形症候群
Part4 新生児科診療の実践
 1 診察
 2 管理
  A.新生児の一般管理
  B.低出生体重児の管理
  C.新生児搬送
  D.新生児の気道確保
  E.新生児の呼吸管理
  F.新生児の循環補助
  G.早産児の栄養管理
  H.母乳育児
 3 症候・疾患
  A.仮死
  B.黄疸
  C.低血糖
  D.子宮内発育遅延児
  E.無呼吸発作
  F.新生児痙攣
  G.多血症
  H.新生児一過性多呼吸
  I.呼吸窮迫症候群
  J.胎便吸引症候群
  K.遷延性肺高血圧症
  L.未熟児動脈管開存症
  M.急性腎不全
  N.低カルシウム血症
  O.感染症
  P.頭蓋内出血
  Q.消化管疾患
  R.外性器異常
  S.未熟児貧血
  T.未熟児網膜症
  U.乳幼児突然死症候群
Part5 小児保健
 1 健診
  A.乳幼児
  B.学童・思春期
 2 学校検尿
 3 予防接種
 4 新生児マススクリーニング
付録
 A.標準身長・体重曲線,肥満度判定曲線,BMI
 B.栄養必要量
 C.検査基準値執筆者全員
 D.小児のための計算式梶野浩樹
 E.主な医療費助成・福祉制度
 F.一般薬用量執筆者全員
索引

改訂第2版 序文

 再生医療で医療が大きく変わる可能性が出てきている。ここ数年間の小児医療もワクチンの定期接種化の推進、出生前遺伝子診断、希少疾患克服に向けた診断技術の確立や新たな治療薬・治療法の出現など、著しい変化を遂げてきており、日常診療においてもそれを肌で感じるようになってきた。しかしながら、小児科は、成長発達する存在である「子供」を対象としており、いかなる場合においても、身体および心の両面から総合的に診療にあたらなければならないことは、まったく変わりがない。子供は常に社会的弱者であることも忘れてはならない。
 実際の診療に携わり、「子供」の疾患を総合的にみようとする場合に、手元に関連する知識を参照・再確認できるものがあれば大変に有用である。このハンドブックは小児科医・研修医が小児科の日常診療において、是非とも、知っておかなければならない疾患とその対処法、鑑別診断、検査法、治療法、薬剤などを、最近の動向をふまえて、コンパクトにまとめたものである。
 本書は2009年に初版が発刊され、翌年には重版されたが、初版以来の改訂がなされてこなかった。この度、最近の小児医療の変化をふまえて、一部の改訂を行った。このことで、よりユーザーのニーズに応えられるようになったと考えている。
 旭川医科大学小児科では、感染・免疫・腎臓、内分泌・代謝、心臓、血液・悪性腫瘍、神経・精神、新生児などの専門グループが、お互いに協力し合いながら、総合的に1人ひとりの「子供」の診療にあたっている。初版の出版にあたっては、教室のスタッフで何度も話し合いを持ち、実診療における考え方の共有・標準化を心掛けた。今回の一部改訂においても、初版の考え方をできる限り踏襲することとした。
 執筆にあたった教室および関連病院の諸先生に心から感謝の意を表したい。また、今回の改訂作業における、南江堂の諸氏のご協力に対しても慎んで御礼を申し上げる。
 本書が、小児診療に携わる諸先生のベッドサイドメモとして活用され、診療の質の向上に寄与するものであることを編集の責任者として切に願っている。

2016年5月
東寛

 本書は、初版が2009年に発行され、翌年には重版されたが、改訂がなされてこなかったということでこのたび一部改訂となった。初版以来、旭川医科大学小児科が総力をあげての執筆であるが、各専門グループの診療レベルの高さと患者思いの情熱が伝わる内容となっている。
 本書の構成はPart 1〜5に分かれていて、「Part 2。小児科診療の実践 救急・蘇生」、「Part 3。小児科診療の実践 疾患各論」、「Part 4。新生児科診療の実践」が本書の中心となっている。Part 1は小児科診療へのアプローチ、Part 5は小児保健である。
 すべてを読んでみたが、いきなりPart 1が素晴らしい。小児診療の基本的な姿勢・態度・心がけが記載されており、実に感銘を受けた。「問診」のところでは「親は子どもの一番の観察者であり、その洞察力や直感は的を射ていることが多い」、「同伴した家族にはできる限り診察室に入ってもらう」は筆者も常に感じることであり、実践していることである。「診察・検査」のところでは「がんばった子どもをしっかりほめることを忘れないように」は若い先生にぜひ身につけてほしい習慣である。そして、「治療とその後」では「よい結果になったときにそれを自分の手柄と思わず、検査法や治療法が存在したおかげ、先輩の助言やメディカルスタッフの協力のおかげ、何より患者自身の回復力のおかげということに思いを馳せられる医師でありたい」、「よくない結果を自分の知識や手技に足りないところがあるに違いないと振り返ることのできる医師でありたい」などの言葉の数々は、そのまま筆者の若手医師教育に使用したい珠玉の言葉である。筆者も小児診療を行うものの一人であるが、この項を拝読して身が引き締まる思いがするとともに、今日からの診療に気持ちを新たにしようと思ったほどである。
 「Part2。小児科診療の実践 救急・蘇生」では、まず救急蘇生の方法と薬剤について細かな説明があり、救急現場に必要な薬とその薬用量が表一覧として記載されている。そして、発熱、呼吸困難、ショック、急性心不全・不整脈などの救急疾患へのアプローチ法が丁寧かつ簡潔にまとまって記載されている。
 「Part3。小児科診療の実践 疾患各論」は、感染性疾患、内分泌代謝疾患、神経疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、血液・腫瘍性疾患、免疫・アレルギー性疾患、腎尿路疾患、先天代謝異常症、染色体異常・奇形症候群の順で編成されている。筆者のような小児整形外科医は、「成長障害」を合併する脊柱変形や足部変形、麻痺性股関節脱臼などに多く対応している。そのため、特に内分泌代謝疾患の項における成長障害の病態と、なかでも成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断と治療基準の細かな記載はとても勉強になった。また、神経疾患の項においては、主な発達障害の概要が表一覧となっており、知的能力障害、注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム、限局性学習障害についてのそれぞれの主要な症状、診断・治療とその対応が簡潔にまとめられており、小児外科系医師にとってもこのような患者を理解するよい手がかりとなり、外来診療の大きな助けとなるであろう。
 「Part4。新生児科診療の実践」では、新生児と低出生体重児の管理からさまざまな新生児疾患の診断と治療について説明されている。新生児特定集中治療室(NICU)勤務の医師にとって役立つ内容が満載である。
 「Part5。小児保健」では、検診、予防接種、新生児マススクリーニングの記載でこれも有用である。付録に、成長曲線、栄養必要量、小児薬用量、検査基準値のほかに医療費助成・福祉制度についても説明がなされている。
 以上のように、本書は小児医療に携わるどの科のどの年齢層の医師にも役立つ記載が必ずあり、日ごろより白衣のポケットに入れておいて、日常診療の現場ですぐに手にとり、役立つことは間違いないおすすめの一冊である。

臨床雑誌整形外科67巻11号(2016年10月号)より転載
評者●自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児整形外科教授 吉川一郎

 本書は小児の日常診療のために知っておくべき疾患とその対処法、鑑別診断、検査法、治療法、薬剤などを初期臨床研修医や小児科医向けにコンパクトにまとめたもので、2009年に出版された初版の改訂版である。本来、小児のさまざまな疾患の詳細は成書で学ぶべきだが、経験の浅い小児科医にとって、「今、目の前にいる患者さんにどのような検査をして、どのような治療をすべきか」という疑問に直面する日常診療の現場で白衣のポケットに収まるハンドブックはありがたい。本書はコンパクトながら、そういった状況で知りたい情報が網羅されており痒いところに手が届く内容になっている。
 本書の構成は付録を含む6つのパートから構成されている(Part 1:小児科診療へのアプローチ、Part 2:小児診療実践 救急・蘇生、Part 3:小児診療実践 疾患各論、Part 4:新生児科診療の実践、Part 5:小児保健、付録)。小児科医向けのハンドブックは、ほかにもいくつか出版されているが、本書と類書との違いについて3つほど紹介したい。一つめの特徴は、すべての項目を旭川医科大学小児科学教室の先生方と関連施設の先生方のみで執筆されていることである。東寛教授の強力なリーダーシップのもと、同門の先生方が執筆されているため、各項目の分量や文体に統一性がある。専門家の先生に、得意な疾患の執筆を依頼すると、その項目だけが専門書のように詳細な記述になって突出してしまうことがあるが、本書はそういったことがない。二つめの特徴は、新生児科診療や小児保健という分野にも大きなスペースを割いていることがあげられる。小児科医には「子どもの総合診療医」、「育児・健康支援者」、「子どもの代弁者」、「学識・研究者」、「医療のプロフェッショナル」という5つの大きな役割が求められる。本書は、類書で比較的簡単な記述で終わりがちな新生児科診療や小児保健の記述にも大きなスペースを割いており、この1冊で小児科専門医の到達目標を達成できる内容になっている。もう一つの特徴は基準値や薬用量などを記載した付録の充実があげられる(本書全体で約500頁のうち、60頁が付録である)。内科と比較した場合の小児科の難しさは、小児の健康状態の正確な把握、およびさまざまな年齢の小児に合わせた適切な投薬量の設定である。小児は成人と異なり、成長と発達の過程にあるため、年齢などによって身体所見や検査所見、薬剤の投与量も変化する。この点が難しさであり、またプロフェッショナルとしての醍醐味でもある。小児の成長発育や検査値の基準、そして年齢別薬用量を詳細に記述した本書は、まさにこれ一冊で小児の日常診療に事足りる内容になっている。
 本書には臨床現場で培った貴重な指導医の経験が詰まっており、初期臨床研修医や小児科医に限らず、小児科看護師や小児外科系医師など、小児医療に携わるすべてのプロフェッショナルにとって有用な情報が満載で、白衣のポケットに常備しておいて損はない一冊である。

臨床雑誌内科118巻5号(2016年11月号)より転載
評者●関西医科大学小児科学講座教授 金子一成