書籍

必ずうまくいく!入院インスリン治療マスターブック

あらゆるシチューションへの対応力をこの一冊で!

編著 : 弘世貴久
ISBN : 978-4-524-25714-0
発行年月 : 2016年2月
判型 : 新書
ページ数 : 212

在庫あり

定価2,700円(本体2,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

入院インスリン治療に必要なあらゆる情報をコンパクトにまとめたポケットブック。導入から、糖毒性解除後、退院時指導に至るまでの“基本的知識”に加え、ブドウ糖入り点滴の使い方、合併症や周術期、特殊病態や1型糖尿病への対応法等の“応用的知識”も網羅。入院時に遭遇するあらゆるシチュエーションへの対応力が身につく。研修医・若手医師だけでなく、糖尿病治療に関わる医療スタッフにも有用な情報が満載の一冊。

基本編 血糖コントロールを目的とした入院インスリン治療〜ストレスのない導入とステップダウン
 I 入院でインスリン導入を始める前に−責任インスリン,追加・基礎インスリン使用時に気をつけること
  1 入院でインスリン導入を始める前に
  2 これだけは押さえたい,basal-bolus療法の基本
  3 責任インスリン,どう考える?
  4 追加・基礎インスリン製剤使用時に気をつけること
 II いよいよ,インスリン導入!
  1 いよいよ,インスリン導入!
  2 未治療糖尿病患者にbasal-bolus療法を導入するには?
  3 経口糖尿病治療薬,GLP-1受容体作動薬使用時にbasal-bolus療法を導入するには?
  4 混合型インスリン使用時にbasal-bolus療法に切り替えるには?
  5 インスリン導入のために入院で何をするか?
  6 インスリンスライディングスケールの導入−著明高血糖のとき
 III 糖毒性が解除されたあとにすること
  1 糖毒性が解除されたあとにすること
  2 basal-bolus療法やBasal 2Plusを継続するとき
  3 basal-bolus療法から混合型インスリン(Low-,Mid-,High-Mix)に切り替えるには?
  4 basal-bolus療法からライゾデグR配合注に切り替えるには?
  5 basal-bolus療法からGLP-1受容体作動薬に切り替えるには?
  6 basal-bolus療法に経口糖尿病治療薬を併用するとき
  7 basal-bolus療法からBasal PlusやBOTへステップダウンするとき
  8 basal-bolus療法から経口糖尿病治療薬に切り替えるには?
 IV 退院にまつわるエトセトラ〜食後血糖チェック,夜間,退院時指導,次の外来までのアルゴリズム
  1 退院にまつわるエトセトラ
  2 退院前には食後血糖値のチェックを!
  3 退院時指導はこうする
  4 退院2週間後に外来受診するまでのアルゴリズム
応用編これであなたも入院インスリンマスター〜特殊病態における治療の実践
 V ブドウ糖(グルコース)入り輸液をマスターする
  1 ブドウ糖(グルコース)入り輸液をマスターする
  2 食止め・末梢輸液時のインスリン療法(点内注)の基本
  3 高カロリー輸液時のインスリン療法(CVII)の基本
  4 ブドウ糖(グルコース)抜き点滴は行ってよいのか?
 VI 糖尿病合併症をマスターする
  1 糖尿病合併症をマスターする
  2 糖尿病ケトーシスはどう治療するか
  3 糖尿病ケトアシドーシス(DKA)はどう治療するか
  4 DKA改善後のインスリン治療は?
  5 高浸透圧高血糖症候群はどう治療するか
  6 腎機能障害や慢性腎不全時のインスリン導入のしかた
  7 末期腎不全(透析期)のインスリン療法では何に注意する?
 VII 周術期のインスリン治療をマスターする
  1 周術期のインスリン治療をマスターする
  2 経口糖尿病治療薬を服用しているがコントロール不良(HbA1c>7.0%)のとき
  3 混合型インスリンを使用しているとき
  4 術後帰室時のCVIIコントロールのしかた
 VIII 特殊な状態や患者のインスリン治療をマスターする
  1 特殊な状態や患者のインスリン治療をマスターする
  2 中等度〜高度肥満合併の場合
  3 肝硬変・慢性肝疾患の場合−高血糖・低血糖,肝動脈塞栓術や硬化療法後のインスリン変化
  4 膵臓がんで膵全摘出術後の場合
  5 高齢・認知症患者の場合−施設への転院のしかた
  6 低血糖を繰り返す場合のチェックポイント
  7 経口・点滴ステロイドを使用しているとき
  8 妊婦はとくに注意!
 IX 1型糖尿病のインスリン治療をマスターする
  1 1型糖尿病のインスリン治療をマスターする
付録 インスリン製剤一覧
索引

序文

入院におけるインスリン治療を再び考える!
 私は『これなら簡単今すぐできる外来インスリン導入』(メディカルレビュー社、2007年刊)の執筆以来、外来でのインスリン導入をもっと積極的に行うことをお勧めしてきました。それは当時、多くの患者はインスリン治療を始める際、入院することが基本だったからです。しかも、インスリンの導入は専門医が行うべきであるという考えも根強く(今でもそうかもしれませんが……)、いよいよハードルは高くなっていました。増え続ける糖尿病患者、そしてインスリンが必要な患者に適切に対応するには、このような状況ではとても追いつかないと思っていました。あれから8年が経った現在、インスリンの外来導入は、専門医以外の医師による導入も含め決して珍しくない世の中になりました。これには私の本の影響もほんの少しはあったと自負していますが、何よりその牽引役となったのは持効型溶解インスリンの登場でしょう。もう「Basal-supported Oral Therapy」と説明しなくてもいいぐらい有名になってしまった、経口糖尿病治療薬と基礎インスリンを併用するBOTは、きわめて少ない低血糖頻度とそれなりの血糖コントロール改善が期待できるインスリンの新しいレジメであり、専門医以外の医師が外来で行うのも容易です。
 さて、これまでの私の著書をお読みいただいた方は、私が「インスリン治療はすべて外来で導入すればよい」と考えていると思われるかもしれません。いえいえ、そうではないのです。もちろん入院でのインスリン治療はきわめて重要です。患者が入院してくれるのならば是非ともそうしていただきたいですし、そのほうがより緻密な指導が可能でしょう。要は、入院できないことを理由にインスリン導入が後回しになることがあってはならないということなのです。
 かく言う私も、最初から現在のように外来インスリン導入に執心していたわけではありません。私自身が外来導入法を試行錯誤していた西宮市立中央病院では、赴任当初の1997年、本当に多くの外来患者に入院してもらいインスリン導入を行いました。さらに外科や眼科の手術を予定された糖尿病患者の血糖管理も数多く「請け負って」いましたが、なにぶん糖尿病内分泌の担当医は私一人でしたので、すぐに仕事が飽和状態になってしまいました。どうすれば入院患者の血糖管理をより効率的に行えるのか?というのが私の切に求めていた解答でした。その一つの答えが「責任インスリンスライディング」でした。いわゆるスライディングスケール−そのときの血糖値に合わせてインスリン量を増減して注射する方法−とは全く違うものです。従来のスライディングスケールは、そのまま指示として出しておいても食事ができる患者では血糖値の改善に向かっていくことは全くありません。ところが「責任インスリンスライディング」の指示を金曜日に出しておけば、土日休みの市立病院でも月曜には血糖コントロールがちゃんと改善してきているのです。詳細は本文に譲るとして、この方法は私の市立病院での業務を本当に効率的なものにしてくれましたし、何より週末を有意義に家族と過ごすことを可能としてくれました。
 「入院すればコントロールができて当たり前」とよくいわれますが、そのとおりだと思います。食事や運動の指導、実施が理想的環境で行われるインスリン入院導入では、まさにインスリンの匙加減一つで血糖コントロールはばっちりなのです(本書I、II章参照)。しかし、それで患者の血糖コントロールは大丈夫と思ったら大間違いです。短期間での血糖コントロール改善効果はその後さらなる改善、すなわち糖毒性の解除という形で現れ、退院後のインスリン必要量の顕著な変化をもたらすかもしれません。さらに、患者が退院したあとの一日の生活がどのようなものなのかをよく聞き出し、思い描くことがもっとも重要です。その意味では、入院導入は簡単とはいえないかもしれません。入院導入のクライマックスは退院時の対応にあるともいえるでしょう(本書III、IV章参照)。そのときだけを断面的にみて血糖コントロールが良好、というのでは不十分なのです。退院後も継続的に良好な血糖コントロールを得るための工夫がきわめて重要なのです。
 さらに、入院でのインスリン治療は導入だけで終わりではありません。インスリン治療を必要とするさまざまな局面にも対応する必要があります。インスリンを導入したのにうまくいかない患者にもう一度糖尿病について学んでもらうことは、きわめて重要です。インスリンレジメの見直しも重要でしょう。また、シックデイや術前患者の管理には皮下注射だけでなく点滴、輸液管理が必要となることが多く、インスリンを別個に使用するか、あるいは混注するかなどの判断が必要となってきます。さらに必ず押さえておくべきは、糖尿病ケトアシドーシスをはじめとする急性合併症の管理でしょう(本書V章参照)。
 このように、外来とはまた別の側面からみたインスリン治療が入院患者においてあるわけで、本書では共に日々の入院患者をみている東邦大学医療センター大森病院糖尿病・代謝・内分泌センターの医師メンバー全員に筆を執ってもらい、安全で効率的、そして必ずうまくいく、入院におけるインスリン治療について解説しています。是非とも手に取って毎日の診療のお役に立てていただくことを願って止みません。

2016年1月
東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野教授
弘世貴久

 糖尿病専門医が専門医であるために欠かすことができない診療技術のひとつとしてインスリン治療があげられる。とくに、コンサルテーションの現場におけるインスリン治療をスマートにこなすことは他科の医師に「糖尿病の専門医がいてよかった……」と思ってもらう絶好の場面といえる。また、病棟のスタッフにとっても、適切で的確なインスリンの指示は、面倒なインスリン治療を安全で効率的なものとして、与薬のリスクを減らすためにきわめて重要である。
 弘世貴久教授はプラクティカルなインスリン治療のエキスパートとして、確固たるポジションを築いている臨床的能力の高い教授のお一人である。今回、病棟におけるインスリン治療について、基礎から応用までを教室のスタッフと一緒にコンパクトにまとめあげたのがこのテキストである。インスリン治療を血糖値というひとつひとつの数字からではなく、血糖値の変動というダイナミクスを頭のなかでビジュアライズしてインスリン治療を行うことの重要性がきめ細やかに記されている。
 基礎編と応用編に分けて構成され、基礎編では未治療患者へのインスリン導入、経口糖尿病治療薬、GLP-1受容体作動薬を使用中の患者に対するインスリン導入、さらには、混合製剤から頻回注射への移行、さらにはスライディングスケールを「一時しのぎ」として捉えるなどの臨床の現場にすぐに応用できるように配慮した記載が見事に詰まっている。また、応用編では食止めの際のインスリン治療、高カロリー輸液の際のインスリン治療、糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、周術期、ステロイド治療、妊娠など病棟のあらゆる場面に応用できるようにきめ細かく章立てされており、しかも、内容には重複した記載がないように巧みに編集されている。まさに、弘世教授の細やかな配慮が行き届いたハンドブックといえる。
 「基礎インスリンの必要量は入院中と外来では大きく変わる」、「必見!! 休日ゆっくり過ごすための新スライディング指示」、「Mid-Mixの3回打ち」、「できれば避けたい2回打ち」、「食事、運動療法がやっぱり大事」などのタイトルのColumnにも弘世教授の糖尿病臨床医としてのセンスが煌めいている。
 インスリン治療のノウハウを惜しみなく詰め込んだ、白衣のポケットに入るハンディサイズのこのテキストは、読者をインスリン治療のエキスパートに導いてくれるきわめて優れた「マスターブック」である。

臨床雑誌内科118巻4号(2016年10月号)より転載
評者●NTT東日本札幌病院内科診療部長・副院長 吉岡成人

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