書籍

慢性便秘症診療ガイドライン2017

  • 新刊

編集 : 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会
ISBN : 978-4-524-25575-7
発行年月 : 2017年10月
判型 : B5
ページ数 : 112

在庫あり

定価3,024円(本体2,800円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本消化器病学会関連研究会「慢性便秘の診断・治療研究会」編集によるガイドライン。便秘は有病率が高く、ありふれた症状の一つといえるが、その診断は客観的な評価が難しく、治療に対する患者の満足度も低い疾患である。一方、治療法として、生活習慣改善、下剤、漢方薬、外科治療のほか、近年新薬も登場し選択肢が広がりつつある。本ガイドラインは「第1章.定義・分類・診断基準」、「第2章.疫学」、「第3章.病態生理」、「第4章.診断」、「第5章.治療」で構成され、第5章ではCQ形式で臨床上の疑問を解説する。

第1章 定義・分類・診断基準
 1.便秘の定義
 2.慢性便秘(症)の分類
 3.慢性便秘症の診断基準
第2章 疫学
 1.有病率
 2.発生のリスク
 3.QOL
 4.心理的異常
 5.長期予後
第3章 病態生理
 1.慢性便秘の病態生理学〜小腸運動〜
 2.慢性便秘の病態生理学〜大腸運動〜
 3.慢性便秘の病態生理学〜直腸肛門運動(運動,知覚,反射)〜
 4.慢性便秘症を起こす基礎疾患
 5.慢性便秘症への加齢による影響
 6.慢性便秘症を起こす薬剤
 7.アントラキノン誘導体と大腸(偽)メラノーシス・大腸運動異常
 8.慢性便秘症と心理的異常の関係
第4章 診断
 1.問診票
 2.身体診察
 3.通常検査
 4.専門的機能検査
第5章 治療
 前文
 CQ5-01 慢性便秘症に生活習慣の改善は有効か?
 CQ5-02 慢性便秘症にプロバイオティクスは有効か?
 CQ5-03 慢性便秘症に膨張性下剤は有効か?
 CQ5-04 慢性便秘症に浸透圧性下剤は有効か?
 CQ5-05 慢性便秘症に刺激性下剤は有効か?
 CQ5-06 慢性便秘症に上皮機能変容薬は有効か?
 CQ5-07 慢性便秘症に消化管運動賦活薬は有効か?
 CQ5-08 慢性便秘症に漢方薬は有効か?
 CQ5-09 慢性便秘症に浣腸,坐剤,摘便,逆行性洗腸法は有効か?
 CQ5-10 慢性便秘症にバイオフィードバック療法は有効か?
 CQ5-11 慢性便秘症に精神・心理療法は有効か?
 CQ5-12 慢性便秘症に順行性洗腸法(antegrade continence enema:ACE)は有効か?
 CQ5-13 大腸通過遅延型便秘に大腸切除術は有効か?
 CQ5-14 便排出障害に外科的治療は有効か?
索引

慢性便秘症診療ガイドラインの発刊にあたって

 2014年(平成26年)4月に日本消化器病学会の附置研究会として、慢性便秘の診断・治療研究会が発足しました。前年の10月の第55回日本消化器病学会大会の会場で、中島淳先生(横浜市立大学教授、本研究会事務局長)が、日本消化器病学会前理事長の菅野健太郎先生と一緒に来られて、「先生、一緒にガラパゴス化した日本の便秘の診断と治療を何とか是正しましょう」と言われたのがきっかけでした。中島先生のご努力で全国の消化管関係のエキスパートの先生方の参集を得て附置研究会ができ、私が財団評議員であったので代表となり、中島先生の横浜市立大学のスタッフが事務局となって、日本消化器病学会から補助金をいただき活動が始まりました。まず、診療ガイドラインを作ろうということで、ガイドライン作成に詳しい三輪洋人先生(兵庫医科大学教授)に委員長になっていただき、研究会の先生方に作成委員をお願いしました。外科と内科の先生で意見が違い大論争になったり、論文が少なくエビデンスがないのでデルファイにしたり、大変なご努力をいただき、手分けして作成した血と汗の結晶のガイドラインであります。
 便秘の定義の難しさはご存じのとおりで、統一された定義がないのが現状でありますが、本ガイドラインでは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とさせていただきました。また、様々な診断基準も出ていますが、国際基準として最新のRome IV基準を採用させていただきました。従来の弛緩性、痙攣性便秘といった分類も世界的には通用しなくなってきていますので、第3章の病態生理に紙面をさいて十分に解説していただき、便秘の概念をリフレッシュしていただくようにしました。治療薬としては、新規に開発された便秘薬を加えるとともに、従来頻用されていた刺激性下剤は常用しないで頓用にしていただきたいというメッセージを詳述しました。
 本ガイドラインは、原案を作成後、菅野先生をはじめとする外部評価委員に評価していただき、日本消化器病学会、日本消化管学会、日本大腸肛門病学会、日本神経消化器病学会にパブリックコメントを依頼しました。そして、多数のコメントをいただき、作成委員会で再度協議して、皆様のコメントをもとに修正を加えて完成させました。ここに、上記学会の理事長はじめ関係の先生方に深謝いたします。また、刊行にあたり、いろいろとお世話いただいた事務局の稲生優海先生(横浜市立大学)、南江堂出版部の皆様に心より御礼申し上げます。
 今や高齢化社会を迎え、わが国の慢性便秘の患者数は1,000万人以上と増加の一途で、難治性便秘も増加しており、単に下剤を処方すれば終了といった対応では不十分となってきています。そこで是非、本ガイドラインの活用をお願いする次第です。もちろん、本書は初版であり、不備な面も多々あり、今後も改訂を行う予定ですので、いろいろとご批評をいただければ幸いです。
 最後に、第5章の漢方薬に関するCQの作成委員としてご尽力いただいた洲崎文男先生が2016年にご逝去なさいました。ここにご冥福をお祈り申し上げますとともに、本ガイドラインをご霊前に捧げたいと存じます。合掌。

2017年9月
日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会 代表幹事
大草敏史