書籍

血液疾患最新の治療2017-2019

  • 新刊

編集 : 小澤敬也/中尾眞二/松村到
ISBN : 978-4-524-25422-4
発行年月 : 2017年2月
判型 : B5
ページ数 : 378

在庫あり

定価9,936円(本体9,200円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

年々進歩する血液領域の最新情報と治療方針を簡潔にまとめた最新版。巻頭トピックスでは、免疫チェックポイント阻害薬、急性骨髄性白血病(AML)の新規治療薬、多発性骨髄腫治療の新たな展開、移植後大量cyclophosphamideを用いたHLA半合致移植など、話題の10テーマを取り上げた。疾患別各論では、疾患の概説、治療のための検査・診断、治療の一般方針、処方例のほか、生活指導、リハビリテーションまで具体的に解説。また今版では新たに「患者への説明ポイント」も掲載。疾患別各論以外にも造血幹細胞移植、血液領域の主な診断・治療法も網羅している。

巻頭トピックス
 1.免疫チェックポイント阻害薬の作用機序と造血器腫瘍での臨床試験
 2.再生不良性貧血におけるゲノム異常
 3.急性骨髄性白血病(AML)の新規治療薬
 4.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)のゲノム解析
 5.低リスク悪性リンパ腫に対する新規治療薬
 6.多発性骨髄腫治療の新たな展開(IMiDs,プロテアソーム阻害薬を含む)
 7.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の最新治療
 8.移植後大量cyclophosphamideを用いたHLA半合致移植
 9.間葉系幹細胞(MSC)を用いたステロイド抵抗性重症急性GVHDの細胞治療
 10.キメラ抗原受容体発現Tリンパ球(CAR-T)を用いた養子免疫遺伝子療法
I 主な血液疾患用薬剤の作用機序と適応
 1.鉄剤・葉酸・ビタミンB12
 2.造血因子
 3.免疫抑制薬
 4.抗がん薬
 5.抗体医薬
 6.抗凝固薬と抗血小板薬
 7.止血薬と凝固因子
II 赤血球系疾患
 1.鉄欠乏性貧血
 2.巨赤芽球性貧血
 3.溶血性貧血
 4.再生不良性貧血
 5.赤芽球癆
 6.全身疾患に伴う貧血
III 造血系・リンパ系疾患
 1.急性骨髄性白血病
 2.急性前骨髄球性白血病
 3.高齢者白血病
 4.小児白血病
 5.慢性骨髄性白血病
 6.骨髄増殖性腫瘍
 7.低リスク骨髄異形成症候群
 8.高リスク骨髄異形成症候群
 9.急性リンパ性白血病
 10.Ph染色体陽性急性リンパ性白血病
 11.慢性リンパ性白血病
 12.MALTリンパ腫
 13.濾胞性リンパ腫
 14.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
 15.血管内リンパ腫
 16.Burkittリンパ腫
 17.リンパ芽球性リンパ腫
 18.成人T細胞白血病/リンパ腫
 19.マントル細胞リンパ腫
 20.NK/T細胞リンパ腫
 21.Hodgkinリンパ腫
 22.多発性骨髄腫
 23.原発性マクログロブリン血症
 24.血球貪食症候群
IV 出血・血栓性疾患
 1.先天性および後天性血管障害による出血
 2.特発性血小板減少性紫斑病
 3.血小板機能異常症
 4.血友病
 5.von Willebrand病
 6.その他の先天性凝固異常症・線溶異常症
 7.先天性血栓傾向
 8.深部静脈血栓症
 9.抗リン脂質抗体症候群
 10.播種性血管内凝固症候群
 11.血栓性微小血管障害(TMA)/血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)
 12.ヘパリン起因性血小板減少症
V 造血幹細胞移植
 1.造血幹細胞移植の前処置
 2.非血縁者間造血幹細胞移植(末梢血幹細胞移植を含む)
 3.臍帯血移植
 4.HLA半合致移植(PT/Cy以外)
 5.GVHDとTA-TMA
 6.造血幹細胞移植後のウイルス感染症と対策
VI 主な診断法・治療法
 1.PET診断
 2.フローサイトメトリー
 3.遺伝子診断
 4.輸血療法
 5.放射線治療
 6.感染症とその対策(細菌)
 7.感染症とその対策(真菌)
 8.細胞免疫療法
付録 主な血液疾患用薬剤

序文

 本書「血液疾患 最新の治療」は、急速に進歩する血液学領域における最新情報を、治療法を中心に簡潔にまとめて、多忙を極める血液内科医やレジデントに提供することを目的に企画された。「2011-2013年版」からスタートし、「2014-2016年版」に続き、今回の「2017-2019年版」が3巻目となる。内容をしっかり改訂するために、執筆陣を入れ替え、また編集者についても順に交代していく方針となっている。今回は、初版より編集に携わっていた直江知樹先生から松村にバトンが渡され、中尾・小澤は引き続き担当し、この3名で編集作業を行った。
 本書の構成は、従来どおり、最近注目されている話題を巻頭トピックスとして最初に取り上げ、各領域の最新動向を要領よく把握できるようになっている。次に、血液疾患領域で使用される薬剤の概説が続き、各論では、血液疾患ごとの治療方針、処方の実際から患者管理、生活指導までをなるべく具体的にまとめ、治療に関するトピックスなども簡単に紹介・解説している。さらに、造血幹細胞移植、血液疾患領域における主な診断法と各疾患に共通する治療法が続き、最後に主要薬剤を一覧表としてまとめている。
 特に目立った動向としては、やはりゲノム解析の拡がりであり、遺伝子レベルの網羅的病態解析が可能となっている。白血病や骨髄異形成症候群(MDS)では遺伝子異常と予後などの関係も明らかになりつつあり、また病態に応じた分子標的治療薬の開発にもつながっている。再生不良性貧血のゲノム解析でも新しい知見が生み出されている。治療面では、多発性骨髄腫に対する新規治療薬の開発の進展が著しい。また、抗体医薬も低分子薬物との複合体やBiTE(bispecific T-cell engager)抗体が開発され、免疫チェックポイント阻害薬の登場はがん治療のあり方を一変させた。さらには、CAR-T遺伝子治療(キメラ抗原受容体発現T リンパ球療法)が脚光を浴びるようになり、その実用化が視野に入ってきた。造血幹細胞移植領域では、HLA半合致(ハプロ)移植が大きく進んできたことや、重症急性GVHDに対するMSC(mesenchymal stem/stromal cell)治療がわが国で承認されたことも注目される。血栓・止血領域では、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する治療法の開発が進んでおり、また、バイスペシフィック抗体を用いた血友病Aの全く新しい治療法が、わが国で開発されていることも最近の大きな話題である。
 血液内科の専門医であっても、血液疾患の治療に関する最新動向を漏れなくカバーすることは難しい時代になっており、本書の存在意義は大きい。一般的な教科書と異なり、現時点の世界のダイナミックな動向を臨場感を持って知ることができる本書が、レジデントを含む若手医師にとって、診療現場で役立つだけでなく、血液学の面白さを知る一助となれば望外の喜びである。
 最後に、ご協力いただいた執筆陣の先生方に深謝するとともに、本書がこれまで以上に有効活用されることを期待したい。

2017年2月
小澤敬也
中尾眞二
松村到

 ご存知のように、本書は、急速に進歩する血液学領域の最新情報を簡潔にまとめて、血液内科医やレジデントに提供する目的に企画されたが、最初の「2011-2013年版」から数えてすでに3巻目となる。
 構成は、巻頭に「巻頭トピックス」として最近の血液学におけるトピックス、続いて、「主な血液疾患用薬剤の作用機序と適応」として血液領域で使用される薬剤の概説、そして、各論として、各疾患ごとの治療方針、造血幹細胞移植、主な診断法・治療法と続く。いずれの項目もわが国のトップランナーによる最前線までをカバーする内容であると同時に、簡潔かつわかりやすい解説で、血液内科専門医の知識のup-dateから血液を目指す研修医までが楽しめる内容となっている。
 まず、巻頭トピックスでは、文字どおり最近の話題である免疫チェックポイント阻害薬や、再生不良性貧血のゲノム解析、各種疾患の新規治療薬、ハプロ移植、間葉系幹細胞、キメラ抗原受容体発現Tリンパ球(CAR-T)を用いた養子免疫遺伝子療法等が取り上げられているが、これらをみると近年の血液領域の進歩は目を見張るものであると感嘆せざるをえない。
 さらに、特筆すべきは各疾患の解説である。「患者への説明ポイント」から、「治療のための検査・診断」、「治療の一般方針」、「生活指導とリハビリテーション」と統一した項目で書かれており、読みやすいだけでなく、「治療のための検査・診断」、「治療の一般方針」の最前線の治療の解説に加えて、「患者への説明ポイント」、「生活指導とリハビリテーション」のようなかなり実践的な内容が組み込まれており、日常臨床にすぐにでも役立つ点が特徴であろう。
 したがって、本書は、最新の血液学の面白さを広く知ることができるだけでなく、日常の実臨床にすぐにも役立つ素晴らしい書籍であり、血液内科専門医のみならずレジデントにも強くお勧めしたい。

臨床雑誌内科120巻4号(2017年10月号)より転載
評者●京都大学医学研究科血液・腫瘍内科学教授 高折晃史