書籍

腎疾患・透析最新の治療2017-2019

  • 新刊

編集 : 山縣邦弘/南学正臣
ISBN : 978-4-524-25421-7
発行年月 : 2017年1月
判型 : B5
ページ数 : 402

在庫あり

定価9,720円(本体9,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

3年ごとの定期刊行で、腎臓内科医・外科医・泌尿器科医・透析医および一般臨床医のために、腎疾患治療・透析の最新情報を掲載。新たに「目からウロコの豆知識」「困ったときの治療の奥の手」「治療のご法度!」を随所に盛り込み、巻末には「薬剤一覧表」を収載。巻頭トピックスを含め本領域における最前線を解説する実臨床に役立つ一冊。

I 巻頭トピックス
 1.IgA腎症の発症因子(遺伝要因)
 2.糖尿病性腎症と腎硬化症の鑑別
 3.CKDと医療連携
 4.腎臓と酸素代謝
 5.腎臓の線維化
 6.腎臓病治療薬の臨床試験におけるエンドポイント
 7.透析患者の悪性腫瘍の実態と問題点
 8.腎臓病とエピジェネティクス
 9.新規腎臓病データベース構築の展望
 10.腎疾患ガイドライン:今後の展開(『CKD診療ガイドライン』を中心に)
 11.『腎性貧血治療ガイドライン』の改訂
II 腎疾患に伴う緊急時の症候と対処法
 1.乏尿・無尿・尿閉
 2.浮腫:心疾患を合併した場合
 3.浮腫:肝疾患を合併した場合
 4.尿毒症の症状と対症療法
 5.電解質の異常:カリウム(K)異常
 6.電解質の異常:ナトリウム(Na)異常
 7.電解質の異常:カルシウム(Ca)異常
 8.酸塩基平衡の異常
 9.急激な血圧上昇
 10.ショック
III 治療方針・治療法
 A 一次性糸球体疾患
  1.微小変化型ネフローゼ症候群:小児
  2.微小変化型ネフローゼ症候群:成人
  3.巣状分節性糸球体硬化症
  4.膜性腎症
  5.IgA腎症(成人):予後からみた臨床・病理学的分類と治療原則
  6.IgA腎症(成人):ステロイド療法の適応と実際
  7.急性糸球体腎炎(急性溶連菌感染後糸球体腎炎)
  8.膜性増殖性糸球体腎炎
  9.急速進行性糸球体腎炎
  10.無症候性血尿・蛋白尿(家族性良性血尿)
 B 全身性疾患に伴う糸球体疾患
  1.ループス腎炎
  2.紫斑病性腎炎:小児
  3.紫斑病性腎炎:成人
  4.Goodpasture症候群
  5.感染症に伴う糸球体病変
  6.アミロイド腎症
  7.多発性骨髄腫に伴う腎症
 C 代謝異常に伴う腎疾患
  1.糖尿病性腎症:病期からみた治療原則
  2.糖尿病性腎症:晩期糖尿病性腎症の管理と注意点の実際
  3.痛風腎
 D 血管系疾患における腎病変
  1.良性腎硬化症・悪性腎硬化症
  2.腎血管性高血圧
  3.強皮症腎クリーゼ
  4.血管炎に伴う腎症(ANCA関連腎炎)
  5.血液凝固異常に伴う糸球体病変:HUS,TTP,DIC
  6.血液凝固異常に伴う糸球体病変:抗リン脂質抗体症候群
  7.加齢による腎臓の機能変化
 E 尿細管疾患
  1.急性尿細管間質性腎炎
  2.尿細管性アシドーシス
  3.Dent病,Fanconi症候群
  4.Bartter症候群,Gitelman症候群,Liddle症候群
  5.尿崩症
 F 遺伝性疾患
  1.Alport症候群
  2.多発性.胞腎
 G 泌尿器科領域の注目すべき疾患と治療の進歩
  1.尿路感染症
  2.水腎症
  3.膀胱尿管逆流
  4.尿路結石
  5.腎腫瘍
  6.前立腺疾患
  7.膀胱腫瘍
  8.神経因性膀胱
 H 保存期腎不全
  1.急性腎障害:概念と病期分類(『KDIGOガイドライン』から)
  2.急性腎障害:バイオマーカー
  3.急性腎障害:中毒性腎症
  4.慢性腎障害:腎機能保持を目指した薬物療法
  5.慢性腎障害:腎機能保持を目指した食事療法
  6.慢性腎障害に対するチーム医療
  7.慢性腎障害:心血管系合併症対策
IV 透析療法
 A 透析導入
  1.導入の時期と治療法の選択
  2.透析患者の生命予後とその規定因子,患者数の将来予測
 B 血液透析
  1.透析処方の指標
  2.血液透析中の合併症の治療
  3.在宅血液透析の進歩
  4.バスキュラーアクセスの管理と修復
 C 腹膜透析
  1.『腹膜透析ガイドライン』の評価と今後:透析液処方の実際
  2.腹膜透析(PD)+血液透析(HD)併用療法
 D 長期透析の合併症治療
  1.長期透析患者における心臓・血管系合併症対策
  2.CKD-MBD:概念と管理の実際
  3.多発性.胞腎患者の動脈塞栓療法
  4.心理的問題:サイコネフロロジーの関わり
 E 急性血液浄化
  1.多臓器不全症候群(MODS)の病態と治療
V 腎移植
 1.腎移植の動向
 2.免疫抑制薬の進歩と使用法
 3.腎移植後再発糸球体腎炎の管理
 4.腎移植慢性拒絶への対応
VI 治療上の注意点,患者指導
 1.腎臓リハビリテーション
 2.高齢者に対する腎代替療法・治療上の注意点
 3.糖尿病透析患者の管理
VII 薬剤の使い方
 1.リツキシマブ
 2.MMF
 3.リン吸着薬
■付録薬剤一覧表
 1.腎疾患関連薬剤一覧
 2.腎機能低下時に注意の必要な薬剤投与量一覧
索引

序文

 わが国の末期慢性腎不全のために維持透析を要する患者、腎移植を要する患者はいまだ増加を続けている。特に糖尿病、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の長期的な罹患の結果、末期慢性腎不全に至る高齢者の増加が著しい。このような生活習慣病に起因する慢性腎臓病については、生活習慣の改善により理論的には発症予防が可能である。しかし、現実的には生活習慣病の重症化予防が喫緊の課題とされており、末期慢性腎不全への進展を予防することが医療施策として全世界的に重要な課題とされている。一方、蛋白尿・血尿などの検尿異常により発症する一次性腎疾患については、検尿健診による早期発見と治療の進歩により末期慢性腎不全へと進展する時期を遅延させることが可能となったものの、検尿陽性率は過去数十年にわたり不変であり、IgA腎症を代表とする慢性糸球体腎炎の発症そのものは減っていない。したがって、これらの一次性腎疾患の発症機構の解明と腎機能悪化抑制方法、特に根本的な治療法の開発などの対策を怠ることは許されない。そしてその根源的な問題である腎組織の加齢による変化とも鑑別の難しい糸球体硬化、腎間質の線維化機構の解明と共に、慢性腎臓病の原因除去と腎機能悪化機構の制御が実現されることが望まれる。
 本書は腎臓、透析領域における各疾患の診療ガイドラインなどの最新情報と共に、このような腎臓病領域における社会医学、臨床医学、基礎医学の課題とトピックスをコンパクトにまとめた一冊となっている。これまで、初期研修医〜後期研修医、一般臨床医の皆様から大変な好評を得て、版を重ねることができ、2002-2004年版から、6巻目となった。
 特に「巻頭トピックス」では、腎疾患領域のガイドラインの現況と将来展望、腎泌尿器・透析領域における臨床的課題やその後の合併症まで網羅し、腎疾患の発症進展機構の最新の話題など過去数年のトピックスを網羅することができた。
 本書が読者諸兄の日々の臨床の一助となることを祈念する。

2016年12月
編者

 『腎疾患・透析最新の治療』は3年ごとの定期刊行で腎疾患治療・透析の最新情報を掲載している。このたびの改訂でも、全国のエキスパートを執筆陣として配し、多くの新しい治療がアップデートされている。巻頭トピックスでは腎疾患の遺伝要因やエピゲノムの関与など基礎的内容から、腎臓病データベースや医療連携など医療システムに関する内容まで多岐にわたって興味ある内容が掲載されている。
 腎疾患診療においては緊急に対応しなければならない場合から、慢性に進行する病態まで時間軸に大きなバリエーションが存在する。体液異常、電解質異常、酸塩基平衡の異常はしばしば緊急の対応を要することが多く、これらの治療法が独立した章立てでまとめられており、このような徴候が認められた場合にはすぐ確認ができて便利である。
 さらに腎疾患診療は原発性腎疾患のみならず、血液疾患、代謝・内分泌疾患、リウマチ・膠原病、血管系疾患、嚢胞腎などの遺伝疾患、尿路系腫瘍などの泌尿器疾患、薬剤性腎障害といった多くの全身疾患を扱っている。本書ではそれらのすべてを網羅しているのみならず、それぞれが「診断・検査と患者への対応」、「具体的な治療法とその成績」と統一された書きぶりで執筆されており、大変読みやすくなっている。
 血液・腹膜透析・移植医療についてはそれぞれの技術の進歩に著しいものがあるが、心臓・血管系合併症、慢性腎臓病の進行に伴う骨・ミネラル代謝異常などの全身管理がますます重要になっており、それらの治療法の進歩にも注目した。サイコネフロロジー、腎臓リハビリテーション、食事療法といったチーム医療としての取り組みも重要であり、その点も詳しく述べられている。
 「目からウロコの豆知識」、「困ったときの治療の奥の手」、「治療のご法度!」、「TOPICS」が随所に盛り込まれており、本書を手にとりページをめくると、これらに目がとまって効率的に新しい情報を身につけることができる。また巻末の「薬剤一覧表」も大変便利なので実臨床の場で利用したい。
 本書は腎臓内科医・外科医・泌尿器科医・透析医および一般臨床医が腎臓領域における最前線を把握して、それを実臨床に役立たせるうえで大変便利であり、必携の書であると考える。また内科を研修する初期研修医・後期研修医にもぜひお勧めしたい。電子書籍も併売されており、携帯端末を愛用される場合はお勧めである。

臨床雑誌内科120巻7号(2017年7月号)より転載
評者●岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学教授 和田淳